日本歯周病学会会誌
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34 巻 , 2 号
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  • 菅野 直之
    1992 年 34 巻 2 号 p. 277-285
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周炎の発症への関与が示唆されているInterleukin-6 (IL-6) 遺伝子の歯周組織における検出と神経ペプチドの一つであるSubstanceP (SP) による末梢血単核球のIL-6発現の誘導についてPCR法を用いて検討した。PCR法は感受性と特異性に優れ, 微量な臨床サンプルからのサイトカインの検出に有効な方法であり, この方法を用い, 歯周炎歯肉15例中10例にIL-6の発現を認めた。しかし, その発現の程度と臨床症状には有意な相関は見られなかった。SPは末梢血単核球のIL-6の発現をSPの濃度が10-8M, 添加後6時間で最も強く誘導することが示された。その発現はantagonistを加えることにより抑制された。このことから歯周組織のIL-6遺伝子の発現にSPが関与していることが考えられ, 歯周組織にはSPの遊離を介した防御メカニズムが構成されていることが推察された。
  • 高橋 慶壮
    1992 年 34 巻 2 号 p. 286-300
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病へのインターロイキン6 (IL-6) の関わりを評価することを目的として, 44名の歯周病患者および25名の健常者について, 末梢血単核球のIL-6産生能, 血清IL-6活性, 歯肉組織のIL-6mRNAおよびIL-6レセプターmRNA発現, さらにIL-6産生細胞を調べた。
    歯周病患者の末梢血単核球IL-6産生能および血清IL-6活性は個体差が大きく, 健常者のそれらに差がなかった。しかし, 若年性歯周炎患者の血清IL-6活性は有意に低かった。あらゆる病型の歯周炎歯肉 (17個) からIL-6 mRNAおよびIL-6レセプターmRNAを検出した。検出量は炎症の程度によって異なり, 同一患者でも採取部位によって異なる。また, 健康歯肉ではそれらを検出し得ないこともあった。末梢血レベルの所見と炎症歯肉での所見は全く相関しなかった。歯周炎組織のIL-6産生細胞は, 血管内皮細胞, 線維芽細胞およびマクロファージであった。本研究から, 歯周病の病理はIL-6の様態を含めたサイトカインネットワークの関連から捉えられなければならないことが示唆された。
  • 滝川 雅之
    1992 年 34 巻 2 号 p. 301-314
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病の発症と進行におけるサイトカインネットワークのなかで, 歯肉線維芽細胞がインターロイキン6 IL-6) 産生を介し果たす役割を評価することを目的に, 培養歯肉線維芽細胞のIL-6産生の動態および調節機構 (をmRNAの発現ならびに蛋白の産生段階から調べた。さらに免疫染色によって炎症歯肉における線維芽細胞のIL-6産生の様態について調べた。歯肉線維芽細胞は健常者の辺縁歯肉から分離した細胞を用いた。得られた結果は次の通りである。1) インターロイキン1β (IL-1β) あるいは腫瘍壊死因子 (TNFα) の刺激を受けた歯肉線維芽細胞はIL-6mRNAを発現し, IL-6を分泌した。2) 歯肉線維芽細胞のIL-6産生は自ら産生するプロスタグランジンE2 (PGE2) を介して調節を受けることが示された。3) IL-6は歯肉線維芽細胞のDNA合成能およびコラーゲン合成能に影響を及ぼさなかった。4) 歯肉線維芽細胞のIL-6レセプターのmRNA発現は検出されなかった。5) 炎症歯肉においても線維芽細胞がIL-6陽性細胞であることが確かめられた。以上の結果から, 炎症歯肉において歯肉線維芽細胞はIL-6産生細胞として歯周病の炎症反応の調節に関与することが示唆された。
  • IL-1存在下でのニフェジピンが培養線維芽細胞のウロン酸産生に与える影響
    戸村 真一
    1992 年 34 巻 2 号 p. 315-322
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    IL-1存在下でニフェジピン (NF) が培養歯肉線維芽細胞 (HGFs) のウロン酸 (UA) 産生量に与える影響を検討した。HGFsは, 5名の健常者から初代培養したもの (F1~F5) を用いた。また, 培地は10% FBSを含むMEM-α を用いた。NF濃度および, IL-1α, β 濃度がHGFsの増殖に与える影響を各々検討した。実験は, HGFsを培養フラスコで72時間培養後, 培地を除去し次の2群に分けた。実験 (E) 群はIL-1α (+), NF (+) の培地, コントロール (C) 群はIL-1α (+), NF (-) の培地を各々注いだ。これを72時間培養した。また, IL-1β についても同様な操作を行った。なお, NFは10-6M, IL-1α は100pg/ml, IL-1β は500pg/mlとした。つぎにこの培地上清を採取して, 試料を処理し, 改良カルバゾール法でUA量を測定した。その結果, 1. HGFsは10-5Mで増殖が抑制された。2. HGFsはIL-1α が100pg/ml, IL-1β が500pg/mlで増殖が最も促進された。3. F2とF4の2例でC群に比べE群で有意に多くのUA量がみられた。
  • 木暮 隆司
    1992 年 34 巻 2 号 p. 323-340
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究目的は, 成人性歯周炎の根面の歯銀縁下プラークにおけるPorphyromonas (Bacteroides) gingivalis, Treponemadenticolaの分布状態を検討することである。重度歯周炎患者9名から採取した抜去歯14歯を歯齦縁から根端側方向に0-2mm, 2-4mm, 4-6mm, 6mm以上の部位に分けて, 光学顕微鏡並びに電子顕微鏡にて観察した。P. gingivalis, T. denticolaに対するウサギ免疫血清を用いて免疫組織化学的に検索した結果, 両菌種共に4mm以上の深い部位のプラークに著明に検出された。プラーク最表層にはT. denticolaが, その直下にはP. gingivalisの集簇が認められた。また6mm以上の歯周ポケット底部付近に相当する部位では, 両者はプラーク全域に検出され, P. gingivalisが存在する周囲にはT. denticolaの局在が観察された。以上の結果から, P. gingivalis, T. denticolaは共存関係をもって歯周ポケットの深い部位に存在し, 歯周炎の進行に重要な役割を担っていることが示唆された。
  • 斉藤 長俊
    1992 年 34 巻 2 号 p. 341-367
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯の動揺は歯周疾患の病因のうちの炎症性因子, 外傷性因子双方によって発現するが, 本研究はそのうち外傷性因子をもつものの動揺歯の発現状態とその因子を知る目的で, まず動揺歯の発現状況について上下顎別, 歯種別, 年齢別に検討し, 次に動揺歯と歯周ポケットの状態, 欠損歯との関係, ファセットの状態, 咀嚼筋活動量との関係について検索した。
    その結果, 動揺歯を有するものは, 対象506名のうち80%にみられ, 動揺度は軽度なものが83.7%と大部分を占め, 動揺歯は下顎にくらべ上顎に多く, 最も動揺しやすいのは左側上顎第一小臼歯であった。年齢的には, 46~50歳群で急増し, 加齢とともに増加する傾向にあった。歯周ポケットは3mm以下が77.2%を占め, ファセットは50.8%に認められた。動揺歯率と欠損歯率とは関係がなかったが, 咀嚼筋活動量とは有意の関係にあった。
  • 西野 恒理
    1992 年 34 巻 2 号 p. 368-377
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人型歯周炎と診断された患者 (14名) と臨床的健常歯肉を有する者 (3名) より歯肉溝滲出液 (GCF) を採取し, 歯周初期治療前後のコンドロイチン硫酸-プロテオグリカン (CS-PG) の変化をELISA法を用いて検討した。
    歯周炎患者のGCF中にはコンドロイチン4硫酸プロテオグリカン (C4S-PG), コンドロイチン6硫酸-プロテオグリカン (C6S-PG), デルマタン硫酸-プロテオグリカン (DS-PG) の検出が可能であったが, 健常者からは検出できなかった。
    歯周初期治療後, GCF中のCS-PGは治療前に比して有意に減少した。以上の結果よりGCF中のCS-PGは歯周炎による組織破壊の指標となる可能性が示唆された。
  • 藤保 芳博
    1992 年 34 巻 2 号 p. 378-394
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周処置後, 口腔内に露出した象牙質表層の変化を経時的に知る目的で, 歯根象牙質を2群に分けスケーリング (Sc面) またはルートプレーニング (Rp面) し, ホーレーリテーナー様レジン床装置を用いて4種の環境下で口腔内に0~28日露出させ, SEMと光顕で検索した。その結果, 歯肉縁上で自浄作用のない根面とポケット内を想定し口蓋粘膜に接触させた根面は, 細菌の付着量が多く, 3日以後にスピロヘータも出現した。舌の自浄作用がある根面は, 菌の付着が少なく球菌主体であり, 毎日ブラッシングを行った根面は, 細菌は極めて少なかったが細管開口部に球菌が認められた。Sc面とRp面を比べると, 最初の2日間は清掃の悪いSc面で細菌付着が多かったが, 他の環境下では差がなかった。象牙細管への細菌侵入は自浄作用のある根面でもごく一部に7日目からみられ, 時間とともに深部に及び, 28日で100μmに達するものもあった。細菌侵入の程度と根面の処置法および口腔内露出環境との間に関連性はなかった。
  • 森 昌彦, 村瀬 範泰, 保坂 松治
    1992 年 34 巻 2 号 p. 395-401
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, ヒト歯肉組織における接着分子の局在を免疫組織化学的に検索した。炎症歯肉組織 (16例) を用い, 10μmの凍結連続切片を作成し, 接着分子 (PECAM, ICAM-1, ELAM-1, VCAM-1) の免疫組織化学的染色を行なった。また, パラフィン連続切片でUEA-1レクチン, 第VIII関連因子, ラミニンの染色を行ない乳比較検討した。
    1. 炎症歯肉の末梢血管上皮細胞にPECAM, ICAM-1, ELAM-1の強い染色性が認められ, 接着分子の活性が増加していると思われた。
    2. 歯肉の毛細血管には, VCAM-1はほとんど染色されず, 結合組織のある細胞に弱い染色性が認められた。
    3. 血管内皮細胞は, UEA-1レクチン, 第VIII関連因子に陽性であった。
    以上の結果より, 炎症歯肉はサイトカインなどにより活性化され, 血管内皮細胞, 白血球, リンパ球, 単球系細胞相互の接着分子が関与し, また結合組織細胞やその基質との関連にも接着分子が関与していると思われる。
  • 走査型電子顕微鏡による観察
    氏家 久, 秋山 浩教, 加藤 孝, 小菅 一弘, 伊藤 公一, 村井 正大
    1992 年 34 巻 2 号 p. 402-409
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は, 歯周疾患罹患歯根面にスケ― リング (Sc), ルートプレーニング (Rp) および歯面研磨用バー (Tpバー) による処置を施し日処置面に対する培養細胞 (Ca 9-22 cell, L 181cell) の付着, 形態を走査型電子顕微鏡 (SEM) により比較し, Tpバーによる処置の有効性を検討することである。
    被験歯として, アタッチメント・ロス5mm以上の歯周疾患罹患抜去歯を20本用い, 以下の処置を行った。1) 未処置 (NT面) 2) Sc処置 (Sc面) 3) Rp処置 (Rp面) 4) Tpバーによる処置 (Tp面) 。日群の5試片に, 日々の培養細胞を2.0×104個になるように播種し, 96時間インキュベートした。その後, SEM観察を行った。
    その結果, NT面, Sc面において培養細胞の発育, 増殖は不良であった。一方, Tp面では培養細胞の発育, 増殖は良好でRp面とほど同様であった。このことから, Tpバー使用による歯周疾患罹患根面に対する処置が有効であることが示唆された
  • 西方 純一, 平野 泰之, 伊藤 公一, 高田 治, 成川 勝一, 村井 正大
    1992 年 34 巻 2 号 p. 410-415
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, He-Neレーザーを用いプラーク構成細菌の一つであるStrepococcus mutans (S. mutans) を供試してHe-Neレーザー照射を行い, その殺菌効果と殺菌メカニズムについて検討した。Mitis Salivarius MS) 寒天平板上にS. mutansの培養液を混釈したsoft agarを重層し, He-Neレーザー (10mW, 63 2 (. 8nm) を2, 5および10分間 (約17, 42. 5および85J/cm2) 照射した。ついで, MS寒天培地に含まれる色素を, Brain Heart Infusion寒天平板, もしくはS. mutansの培養液との混釈用soft agarに添加したものを調製し, 先の実験方法と同様にレーザー照射を行った。この結果, BHI寒天培地およびsoft agar共に色素の添加のない条件では殺菌効果は認められなかったが, いずれか一方に色素が添加されている場合には, 殺菌効果が認められた。殺菌メカニズムは光化学増感によるものであることが示唆された。
  • 睡眠中の顎運動記録装置の開発とBruxism自覚者と無自覚者の比較検討
    加藤 義弘, 加藤 熈, 小鷲 悠典
    1992 年 34 巻 2 号 p. 416-429
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 夜間睡眠中に生じる顎運動を記録する装置を開発し, この装置を用いてbruxismの自覚の有無による睡眠中の顎運動の違いについて調査することである。睡眠中の顎運動を記録する目的で開発した装置は, 発光ダイオード (LED) と光電式変位検出センサーから構成され, 下顎の側方・前方方向の移動をテレメータ方式で記録するものである。
    本研究はこの装置に, EMG, 加速度計, コンデンサーマイクロフォンを組み合わせて, 顎運動, 左右咬筋筋活動, 咬合接触, 咬合接触音を記録した。被験者は歯周組織が健康な27~32歳の男性で, bruxism自覚者2名, 無自覚者2名を選択し, 5夜繰り返し記録した。その結果, 睡眠中のbruxism時の顎運動を記録することが可能になり, さらに顎運動とEMGからgrinding・cienching・ その他の3種に分類できた。またbruxismを自覚する被験者は自覚しない被験者に比べgrindingの出現率が有意に高いのに対し, 自覚しない被験者はclenchingの出現率が有意に高かった。
  • 上田 雅俊, 稲田 芳樹, 寺西 義浩, 中垣 直毅, 山岡 昭, 上村 参生, 熨斗 秀光, 神原 正樹, 小西 浩二
    1992 年 34 巻 2 号 p. 430-436
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    露出根面にスケーリング (S群) およびルートプレーニング (R群) を施したものと両処置につづいて, さらにAir power abrasive system (APA system) 処置を加えたもの (S+A群とR+A群) の4群を設定し, 多角的に観察した結果, つぎのような結論を得た。すなわち, X線分析計によるCa, PおよびCa/P比は, 各数値ともに, S群が最大値, R+A群が最低値を示していた。また, 走査型電顕では, キュレットタイプスケーラーによる条痕がAPA systemで処置することにより, それがやや不明瞭になってきていた。さらに, X線光電子分光分析法による観察におけるCa, P, O, F, およびNの相対濃度は, S群およびR群と, S+A群およびR+A群の各元素比較では, それぞれ両群ともほとんど差は認められなかった。しかし, S群およびS+A群と, R群およびR+ A群の比較では, Ca濃度の増加によるCa/P比の増加を示した。さらに, セメント質最表層の元素の結合エネルギーについては, Ca2Pの結合エネルギーは, Hydroxyapatite (HAp) を示すエネルギーとほぼ同じであった。また, P2pの結合エネルギーはS群およびR群に比べ, S+A群およびR+A群はそれぞれ低エネルギー側にシプトしていた。さらにFlsの結合エネルギーから, 各試料最表層にとりこまれるFはFHApの形で存在していることを示した。接触角の観察結果では, S群が最低値, R+A群が最高値を示しており, R+A群の値は非露出根面とほぼ同様の値であった。
  • 歯周病原性細菌に対するDNAprobeの臨床検査応用への検討
    小延 裕之, 扇 正一, 岩崎 直弥, 青木 護, 鴨井 久一, 波多江 新平
    1992 年 34 巻 2 号 p. 437-445
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人性歯周炎患者9名の歯周ポケット16部位を対象として, ISODINE® Gelを注入し, その歯周疾患罹患部位の臨床パラメーターおよび, 歯肉縁下ポケット中の細菌叢の動態について1週間にわたっての検索を行つた。その結果, 歯肉溝滲出液は減少した。細菌叢は, 総菌数が減少し, 形態学的分類においては球菌の比率の増加, 運動性桿菌の減少が観察された。DNA probeを用いた検索によればP. gingivalisは減少傾向を示したが, A. actinomycetemcomimms, P. im termediaは共に影響を受けなかった。
  • 藤谷 百合, 小川 哲次, 廣畠 英雄, 河口 浩之, 吉野 美穂, 加納 利文, 佐藤 裕紀, 白川 正治, 岡本 莫
    1992 年 34 巻 2 号 p. 446-455
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, フラップ手術後の塩酸脱灰処理歯根面に対する結合組織性再付着の様相について組織学的に検討した。
    実験には, 雑種成犬2頭とビーグル犬1頭の小臼歯部とその頬側歯周組織を用いた。フラップ手術では, セメントエナメル境から約4mmの骨を削除し, セメント質除去により裸出させた象牙質面の根尖側半分に0.3N塩酸を5分塗布した。術後2および4週経過時に試料を摘出して, 固定, 脱灰, パラフィン包埋後, 光顕により観察した。
    その結果, (1) 塩酸処理群では, 未処理群に比べて再生上皮の下方増殖が少ない傾向を示した。 (2) 塩 酸処理群の結合組織性再付着量ならびに新生セメント質量は, 術後2, 4週のいずれも未処理群に比べて大であった。本研究により, 塩酸脱灰処理により象牙質面に対する新生セメント質形成が促進される可能性が示唆された。
  • 久保 浩二, 田方 義弘, 黒木 清志, 壱岐 晃一, 平岡 孝志, 末田 武
    1992 年 34 巻 2 号 p. 456-464
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Porphyromonas gingivalis381, Prevotella intermedia ATCC33563のLPSとこれらのLPSにて刺激した単球の培養上清がヒト培養線維芽細胞のコラーゲン代謝たどのような影響を及ぼすかを知るために本研究を行った。線維芽細胞を健康歯肉, 健康歯根膜および炎症歯肉より採取, 培養し, LPSあるいはLPSと共に48時間培養した単球培養上清を線維芽細胞に加えコラーゲン合成能をL- [2.3-3H] -プロリンの取り込みを指標として測定した。その結果, LPSおよびLPS刺激単球培養上清はプロリンの細胞外タンパクへの取り込みを抑制した。LPS無刺激単球培養上清は線維芽細胞のコラーゲン合成を促進したが, LPSおよびLPS刺激単球培養上清はコラーゲン合成を抑制した。これらの結果より, 線維芽細胞のコラーゲン合成能はLPSおよびLPSの刺激を受けた単球培養上清にて抑制されることが示唆された。
  • 永田 俊彦, 石田 浩, 若野 洋一, 上田 雅俊, 今井 久夫, 山岡 昭
    1992 年 34 巻 2 号 p. 465-471
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本邦における5%硝酸カリウム配合歯磨剤の象牙質知覚過敏に対する臨床効果を調べるために, 74名の被験者を対象に37名を試験群, 37名を対照群として, 擦過刺激試験, 冷気刺激試験, 自覚評価の3種類の診査項目について二重盲検法を行なった。試験群すなわち硝酸カリウム配合歯磨剤使用群では, すべての診査項目において反応や症状の改善または消失が著明に認められた。その診査数値の減少率は使用後4週, 8週, 12週において, すべて対照群よりも有意に高かった。試験群で症状が改善した被験者数は, 2週目で44%, 4週目以降では80%を越え, 症状が消失した被験者は, 8週目で42%, 12週目で56%に達した。また, とくに問題となるような副作用は認められなかった。これらの結果から, 5%硝酸カリウム配合歯磨剤が, 象牙質知覚過敏の症状緩和に適した歯磨剤であることが明らかとなった。
  • 笹本 幸資, 佐藤 聡, 伊藤 弘, 鴨井 久一
    1992 年 34 巻 2 号 p. 472-484
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    上顎前歯部に歯周外科治療を必要とする歯周疾患の患者20名を選び, フラップ手術後の創傷治癒過程における血流量の変化をレーザースペックル血流計を用いて観察した。
    予備実験群として臨床的に健康な歯肉を有する成人10名を対象とし, 脈拍, 血圧および血流量の変化を0日, 3日, 5日, 7日, 14日, 21日, 28日と経日的に測定をおこなった。血流量の測定では, 測定部位の上顎切歯群および犬歯部の頬側中央部の付着歯肉部に, 保持装置を作製し測定をおこなった。また, 臨床パラメータとしては測定部位のplaque control record (PCR), gingival index (GI), およびプロービングデプス (PD) を測定した。実験群では, 0日の値を術前値とし, 上顎前歯部にフラップ手術をおこなった。さらに予備実験群と同様の実験計画で, 術後の血流量の変化を比較観察し, 以下の結果を得た。
    1) 臨床パラメータは, 予備実験群でPCR 0%, GI 0, 実験群ではPCR 0%, GI 0.95±0.70であった。予備実験群では, 測定期間において歯肉直下血流量の経日的変化は認められず, 脈拍および血圧と血流量との相関関係についても認められなかった。
    2) フラツプ手術後の創傷治癒過程において歯肉上皮直下の血流量の変化は, 術前の測定値に比較し術後早期に増加または, 減少する型の2相に分けられた。さらに2相に分けられた群のPDの平均値は, 増加群で2.89±0.42 mm, 減少群で3.97±0.76mmであった。
    3) フラップ手術後の血流増加群では, 術後3日, 5日および7日において, 術前の血流量と比較して増加し有意差が認められた (p<0.01) 。
    4) フラップ手術後の血流減少群では, 術後14日, 21日および28日において, 術前の血流量と比較して減少し有意差が認められた (p<0.01) 。
  • 佐藤 寿祐, 佐藤 聡, 鴨井 久一
    1992 年 34 巻 2 号 p. 485-499
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 反回転式電動歯ブラシと手用歯ブラシにおけるプラーク除去効果について比較観察したものである。実験は顎模型による人工プラークの除去効果について規格撮影装置を用いたもの, さらに臨床研究では, 経週的なプラーク除去効果について比較観察を行ない以下の結果を得た。
    顎模型での清掃効果では, 隣接面のプラーク除去率において, 電動歯ブラシで80%以上, 手用歯ブラシで65%以上を示し, 上下顎前歯部の近遠心面と上顎第一大臼歯の近心面を除いた全隣接面で続計的有意差が認められた(p<0.01, p<0.05) 。
    臨床研究の清掃効果では, 電動歯ブラシ, 手用歯ブラシともブラッシングによる経週的清掃効果の向上は認められなかった。さらに隣接面では, 電動歯ブラシは手用歯ブラシに比べて高いプラーク除去率を示し, 隣接面において続計的有意差が認められた (p<0.01) 。
  • 小林 博, 原 良成, 仲谷 寛, 永田 達也, 北谷 修一, 鴨井 久一
    1992 年 34 巻 2 号 p. 500-507
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, シリンダータイプ・インプラント (Integral®) のインプラント部周囲歯槽骨の高さを診査する目的で, 改良型X線規格撮影ホルダーを製作し, 平行撮影法を試みた。被験者14名において, 臨床的に良好に経過したアバットメント装着1~3年以内のインプラントについて調べたところ, 以下の結果を得た。
    1) 改良型X線規格撮影ホルダーをシリンダータイプ・インプラントに応用することにより, 正確な骨吸収の状態を測定できた。
    (2) アバット メント装着後1~3年以内の骨吸収量は, 平均0.77mmで最高値でも1.98mmだった。
    (3) この期間において, 上部構造物の咬合面の材質の違いと骨吸収とにおいて有意差は認められなかった。
    (4) 臨床的に良好に経過している場合, PlI, GI, SD, BOPとX線診査による骨吸収量との間に相関は認められなかった。
  • 瀬戸口 尚志, 上稲 葉隆, 内田 博文, 竹内 誠, 久保 浩二, 浜田 義三, 神田 千恵子, 末田 武
    1992 年 34 巻 2 号 p. 508-513
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯問ブラシの仕様の違いが隣接面のプラーク除去効果に及ぼす影響を調べるために, 前回我々は毛の長さ毛丈) がプラーク除去効果に及ぼす影響について報告した。今回, 第2報として毛の直径がプラーク除去効果に及 (ぼす影響を検討する目的で, 毛の直径の異なる3種の歯間ブラシ (2.5mil, 3.0mil, 4.0mil) を試作し, プラーク除去効果の違いについて比較検討を行った。成人性歯周炎と診断された初診の患者12名を被験者とし, 上記の歯間ブラシを3週間使用させprobing depth, 隣接面プラーク付着量の変化を調べた。その結果いずれの歯間ブラシを使用した場合も, 臨床状態の改善がみられ, 隣接面プラーク付着量は経時的に減少し, 3種の問で有意な差はみられず, 同程度の隣接面プラーク除去効果を示した。
  • 末田 武, 竹内 誠, 南 睦美, 横田 誠
    1992 年 34 巻 2 号 p. 514-520
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    メインテナンスの診査で, プロービング時の出血が見られた浅いポケットに対するdebridementの効果を調べた。メインテナンスの診査時にProbing Depthが3mm以下であるにもかかわらずプロービング時の出血がみられた部位を被験部位とし, 歯肉縁下プラークをキュレットタイプのスケーラーで機械的に除去 (debridement) した場合の効果に いて調べた。診査項目として, 1) Probing Depth, 2) Bleeding on Probing, 3) Probing Attachment Level, 4) プラーク付着率, 5) 歯肉縁下細菌の形態学的観察を行った。メインテナンス時および1週間後に診査, debridement処置を行い, 3ヵ月後のリコール時に再度診査を行った。なお, debridement処置を行わなかったものをコントロールとした。その結果debridementを行った群とcontrol群との間で臨床状態に及ぼす影響には有意の差はなかった。なお, 歯肉縁下のプラークコントロールは, 両群とも良好に保たれていた。したがって, 歯肉縁下のプラークコントロールが十分行われていれば, メインテナンス中に出血が認められた浅いポケットに対し, 歯肉縁下プラークの除去を行っても大きな効果はないことが示唆された。
  • 加藤 まり, 深井 浩一, 大森 みさき, 長谷川 明
    1992 年 34 巻 2 号 p. 521-531
    発行日: 1992/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    過去に施行した根分岐部病変の処置に対し, その後の経過を追跡し, 特にプラークコントロールの面からこれらの治療方針の再検討を行った。対象は, 外科的根分岐部病変処置施行症例156例とした。結果は以下のことを示した。1) メインテナンス中の4mm以上ポケットの出現率は全体の8.8%で, 特に分岐部関連部で多かった。2) 処置後, 抜歯の転帰をとったものは156例中7例4.5%で, カリエスが原因のもの4例, 歯周疾患の悪化によるものが3例であった。3) 同様にカリエスの発生は156例中16例10%に認められた。これは処置後2年以内に発生するものが多かった。4) プラークの診査は, PCRとP-PCRを用いた。P-PCRは処置歯のプラーク付着を継続的に評価したものである。抜歯やカリエスの発生はPCRよりこのP-PCRとの関連が大きかった。5) ヘミセクション, 根分割は最終処置として施行されることが多かった。
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