日本歯周病学会会誌
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35 巻, 4 号
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  • 菅谷 勉
    1993 年 35 巻 4 号 p. 577-586
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ポケット探針型超音波スケーラーチップの使用条件が, 根面の形態・性状に及ぼす影響を明らかにする目的で, 抜去歯の象牙質面を用い, ポケット探針型超音波スケーラーの使用条件を12通りに変化させてルートプレーニングを行い, 根面削除量と中心線平均粗さを計測, SEMにより表面形態の観察を行った。さらに, 歯周炎罹患歯を同様の条件でルートプレーニングした後, 根面上で線維芽細胞を培養, 付着増殖した細胞数を計測した。その結果, ポケット探針型超音波スケーラーの使用条件は, 出力を小から大へ, チップの超音波振動方向を根面に水平から垂直へ, 根面に加える荷重を小から大へ変化させることにより, 削除量, 表面粗さ, 為害性物質の除去効果は大きくなった。この結果から, ポケット探針型超音波スケーラーチップは, 使用条件を変えることによりハンドスケーラーと同等の滑沢性と為害性物質の除去効果が得られることが明らかとなった。
  • 小松崎 明, 加藤 千穂美, 長谷川 明, 斎藤 和子
    1993 年 35 巻 4 号 p. 587-604
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では10歳未満から60歳代までの医学部外来患者164名, 各病型歯周炎患者51名を対象として, 各年代間における歯周病原菌種に対する抗体価の推移を検討するために, ELISA法を用いて血清抗体価の検索を行った。抗体価は2方法 (End-point法, EU) で算定した。抗原にはA. actinomycetemcomitans (A. a.), P. intermedia (P. g.), P . intermedia (P. i.) を用い, IgA, IgM, IgGについて検索した。その結果, 医学部外来g患ingivalis (者各年代間での抗体価の推移では, 3菌種に対して同様に20歳・30歳代でピークを示した。またA. a. に対しては, P. g., P. i. に比較して若い混合歯列期から上昇を認めた。歯周炎患者については, 年齢相応となる医学部外来患者各年代と比較してJPおよびAP患者において上昇している傾向が認められた。Post-JP患者については細菌学的検索も行い, 患者病巣局所からはP. i. の分離頻度が高かったが, 抗体価との関連性は低かった。
  • 造影法を併用したX線写真による診断
    松田 幸子
    1993 年 35 巻 4 号 p. 605-614
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    上顎大臼歯根分岐部病変の診断は一般にX線診査と歯周ポケットへのプロービング診査によつて行われている。しかしながら根分岐部が隣接面に開口しているために正しい処置法に連なる診断が困難である。このことが上顎大臼歯の治療後の予後を悪くしている一因でもある。本実験では, 開発したヨード系造影剤を上顎大臼歯根分岐部病変の診査に応用し, それによつて今までのX線撮影法による診断を改善するかどうかを評価した。動物実験モデルおよび歯周炎患者の歯周ポケットを用いて造影剤の到達度を確認した。造影剤を注入したX線写真 (造影X線写真), 通常のX線写真 (非造影X線写真) を用いて根分岐部の貫通の有無について診断し, 歯周外科時の判定と一致した割合を評価した。非造影X線写真診断の一致率は48.0%, 造影X線写真診断の一致率は88.9%であり, 上顎大臼歯近遠心の根分岐部病変の診断に造影X線写真を用いることの有効性が明らかになつた。
  • 第1報ラット背部皮下における観察
    松本 敦至
    1993 年 35 巻 4 号 p. 615-624
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本実験は, 歯周治療にBMPを応用する第一段階として, BMPの担体としての強化コラーゲン線維膜FCM) の有効性と, FCMに対するBMPの適切な濃度を検討する目的で, BMPを配合したFCMを5週 齢 (ラットの背部皮下に移植して病理組織学的に評価した。使用したFCMは, ウシ真皮由来のコラーゲンに, テロペプチドの除去, 線維の凝集, 架橋導入の処理をして, 膜状に調製したものであり, BMPは, ウシ皮質骨より抽出, 部分精製したものである。まず, BMP 500μgをFCM 500μgに配合して移植した結果, 3週後に, 骨梁構造と骨髄を伴う異所性骨形成が認められた。次に, FCMに対するBMPの濃度を変化させて移植した結果, 重量比にして0.2以上で骨形成が見られ, 臨床的に十分と思われる量の骨形成を得るには1.0程度必要と思われた。今後は, BMPを配合したFCMが歯周組織の再生に及ぼす影響などについて検討を加えてゆきたい。
  • 井村 憲二, 原 宜興, 加藤 伊八
    1993 年 35 巻 4 号 p. 625-637
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本実験の目的は, 免疫系の活性化と歯肉の炎症および歯槽骨吸収との関係を明らかにすることである。そこで非免疫群として, 正常マウスの歯肉に大腸菌由来の内毒素を頻回投与した。また同内毒素によってあらかじめ前感作した免疫群, およびT細胞が先天的に欠如しているヌードマウス群にも同様の処置を施し, これらの3群について組織破壊の程度を病理組織学的に観察した。その結果, 非免疫群においては血清抗体価が低い時期は歯肉の炎症や破壊の程度は免疫群よりも軽度であったが, 血清抗体価が上昇するにつれて免疫群と同程度の炎症所見を呈し, 破骨細胞の形成をともなう著しい歯槽骨吸収が認められた。一方, ヌードマウス群では血清抗体価が上昇しても前述の2群よりも歯肉の炎症の程度は弱く, さらに破骨細胞の形成をともなう歯槽骨吸収の時期は遅延し, その程度も軽度であった。すなわち歯肉の炎症や破骨細胞性の骨吸収は免疫系が活性化されていれば強く, 逆にT細胞の欠如があると軽度であった。以上のことから, 免疫系の活性化と組織破壊とは密接に関連していることがin vivoにおいても明らかとなった。
  • 五味 一博, 川崎 文嗣, 桜庭 栄一, 染谷 匡慶, 新井 高, 中村 治郎
    1993 年 35 巻 4 号 p. 638-646
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は, 多孔性ハイドロキシアパタイト顆粒 (P-HAP) に骨芽細胞やセメント芽細胞へと分化しうると考えられる歯根膜由来細胞を付着させたハイブリッド体を作製し, このハイブリッド体を歯根膜由来細胞を得た実験動物 (ウサギ) に移植することにより組織学的観察を行った。歯根膜細胞はウサギの中切歯より採取し, 通法に従い培養した。ウサギ下顎骨側面より臼歯歯根にまで達する人工骨欠損を2カ所作り, 一方にハイブリッド体を他方にP-HAP顆粒のみを填塞し, 3週および6週目に屠殺し組織学的に観察した。術後3週例では両者に差は認められなかったが, 欠損部周囲骨から移植部への骨新生は対照側において著明であった。6週例では実験側の一部において, P-HAP周囲にヘマトキシリンに濃染するオステオイド様の所見を認めた。さらにこの部において細胞がP-HAPに対して垂直に入り込む所見を認めた。
  • 河野 いづみ, 上稲葉 隆, 比嘉 美奈子, 内田 博文, 竹内 誠, 和泉 雄一, 末田 武
    1993 年 35 巻 4 号 p. 647-654
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    対合関係をなくした場合に, 健全な歯周組織を有する部位と実験的に歯周炎を発生させた部位における挺出の違いを評価する目的で本実験を行った。実験にはサル3頭を用い, 被験部位は上顎左右第1, 第2大臼歯とし, 片側を実験側, 反対側を対照側とした。まず実験側に歯周炎を惹起させる目的で, 歯頸部に木綿糸を結紮し, ソフトフードを与えた。対照側は, 週3回ブラッシングを行い, 健全状態を維持させた。24週経過後, 被験部位の対合歯歯冠を歯頸部にて切除し対合関係をなくし, 挺出に影響を及ぼすと考えられる頬舌圧を排除するための装置を装着し, 4週毎に20週挺出量の評価を行った。その結果, 実験側には軽度歯周炎が発生し, 両側間で挺出量に統計学的有意差は認められず, 20週においても挺出を続ける傾向にあった。従って軽度歯周炎は歯の挺出に影響を及ぼさず, 対合関係をなくした歯は, 早期に対合関係を回復することが望ましいと思われた。
  • 穴井 恭市, 辰巳 順一, 栗原 裕子, 河田 克之, 栗原 徳善, 池田 克已
    1993 年 35 巻 4 号 p. 655-660
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    非ステロイド系抗炎症薬フルルビプロフェンは, 歯科領域において歯周外科手術を含めた小手術の鎮痛・消炎薬として用いられている。このフルルビプロフェンの骨代謝における作用機序を検討する目的で, 骨吸収に対する作用をRaiszの器官培養系を用いて, また破骨細胞の形成をヒト血液幹細胞の芽球を用いて検討した。その結果, Raiszの系で10-7Mのフルルビプロフェンは, PTHおよびIL-1に誘導される45Caの遊離を抑制した。さらに非付着性未分化単核細胞を用いた破骨細胞形成系において, 10-10~10-7Mのフルルビプロフェンは濃度依存的に破骨細胞の形成を抑制した。さらにCD34陽性単核細胞のCFU-GMコロニー形成においてフルルビプロフェンは, 10-10~10-6Mで有意な抑制は示さなかった。以上の結果, フルルビプロフェンは破骨細胞の前駆細胞に働き, その形成の抑制と直接破骨細胞に働くことにより骨吸収が抑制されることなどが示唆された。
  • 葛城 啓彰, 鈴木 安里, 富井 信之, 長谷川 明, 斎藤 和子
    1993 年 35 巻 4 号 p. 661-673
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    早期発症型歯周炎患者の免疫応答・多形核白血球機能について明らかにする目的で, 臨床上AP, RPP, PJPと診断された20名の患者を対象にし, フローサイトメトリー法により末梢血リンパ球サブセット, 食細胞補体レセプターを, ELISA法により特異的血清抗体価を, ケミルミネッセンス法により多形核白血球 (PMN) 活性酸素産生能を検索した。AP群では, T4/T8比の上昇, T/B比の低下, P. intermedia, A. actinomycetemcomitansに対する特異的IgG抗体価, P. gingivalisに対する特異的IgM抗体価の上昇, CL反応の全般的増加傾向が認められた。RPP群では, P. gingivalisに対する特異的IgA抗体価の上昇, P. intermedia, A. actinomycetemcomitansに対する特異的IgG抗体価の上昇, ルミスフェアに対するCL反応の低下が認められた。PJP群では, A. actinomycetemcomitansに対してのみ特異的IgG抗体価の上昇が認められた。
    歯肉溝におけるPMN膜上の補体レセプターの増加は3群とも共通して認められたが, RPP群において, GCF -PMN CR3の増加が著明であった。
    これらの各疾患群における特徴ある反応は, 臨床病態と関連するものと考えられる。
  • とくに刷掃時間と手用歯ブラシの刷掃技術の違いにおける刷掃効果
    中川 種昭, 磯部 秀一, 池上 暁子, 林 真理, 渋川 義宏, 住井 浩剛, 高橋 潤一, 轟 啓造, 山田 真美, 大串 勉, 佐和 ...
    1993 年 35 巻 4 号 p. 674-680
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    2種類の電動歯ブラシと手用歯ブラシを用い, 任意刷掃時間と3分におけるプラーク除去効果および手用歯ブラシの刷掃技術レベルの違いによる電動歯ブラシの刷掃効果について18名の被検者を用い検討した。その結果, 電動歯ブラシにおける任意刷掃時間は, 毛束反復回転式で平均7分3秒, ユニット運動式で7分22秒で, 従来規定することの多い3分より長い時間であった。そのプラーク除去効果は3分と比較して10~15%高く, その差は多くの被検者で舌側, 隣接面といったプラークコントロールに重要な部位に認められる差であり, 電動歯ブラシにおいてもある程度長い刷掃時間が必要であることが示された。また, 手用歯ブラシの刷掃技術レベルの高い群と低い群での電動歯ブラシのプラーク除去効果について調べたところ, その刷掃効果は同程度であり, 手用歯ブラシの刷掃技術が低い患者に対して電動歯ブラシの使用がとくに有効であることが示唆された。
  • 松江 美代子, 田原 洋, 鈴木 明夫, 山口 進也, 増永 浩, 遠藤 弘康, 松江 一郎
    1993 年 35 巻 4 号 p. 681-691
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1985年に直接訪問して口腔内を診査, 問診して, 1992年にはアンケート方式で, それぞれ447名および1186名の日本全国100歳以上高齢者を対象に歯科実態調査をおこなった。本研究では, 得られた集計をもとに1985年と1992年のデータの比較分析をおこなった。
    調査表の回収率は37.3%と54.4%で高率であった。有歯顎者の残存歯数は1992年にわずかに増加していた。残存歯は臼歯, または臼歯と前歯部に増えており, 咀嚼能率が向上していることが示唆された。一方, 義歯使用者も増加しているが, その義歯に満足している人は, 上顎, 下顎ともに約10%増えていた。すなわち義歯の不都合を訴える人はわずかに減少していた。
    また十分ではないが, 歯の清掃状況も改善されていた。
    これらのことから, 1985年から1992年に歯科保健対策が講じられ, その効果が多少なりともあることが推定された。
    以上の結果から, 高齢者社会にむけて, 高齢者のADL (activity of daily living) の向上をはかるために, さらに歯科医療の充実をはかることが重要であると考えられた。
  • 西田 哲也, 江田 昌弘, 嶋田 浩一, 山田 潔, 伊藤 公一, 村井 正大
    1993 年 35 巻 4 号 p. 692-697
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本実験の目的は, アクア酸化水 (OX水) のプラーク形成抑制効果について検討することである。日本大学歯学部学生および大学院生, 歯周病科医局員計13名 (男子8名, 女子5名) を被検者とした。ヒト第三大臼歯より大きさ5×5×1mmに切り出した象牙質試験片を埋入した口腔内保持装置を作製した。実験期間は7日間とし, 装置を口腔内に装着しOX水で, 朝夕 (8: 00, 17: 00) 1日2回 (1回30秒) 洗浄を行つた。対照として, 0.2%クロルヘキシジン水溶液と生理食塩液を用いた。一試験片上に形成されたプラークの様相を, 走査型電子顕微鏡で観察を行つた。その結果, OX水で象牙質片を洗浄することで, 0.2%クロルヘキシジン水溶液と比較して若干劣るものの, 生理食塩液で洗浄した場合よりも明らかにプラーク形成量が抑制され, かつ初期プラーク形成における構成細菌叢に対して影響があった。このことから, OX水が化学的プラークコントロールの一方法として臨床応用できることが示唆された。
  • 口腔清掃指導による5年間の推移
    河合 治, 藤井 健男, 加藤 義弘, 根井 敏行, 小鷲 悠典
    1993 年 35 巻 4 号 p. 698-703
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 今金町の中学生における歯周疾患の罹患状態を調査し同時に行った口腔清掃指導の効果について, CPITNとGI, PlIを用い検討することである。診査部位は, 左右上下顎第一・第二大臼歯, 上顎左側及び下顎右側中切歯とした。調査および指導期間は, 1987~1991年の5年間で, 延べ1839人であった。初年度の診査結果は, CPITNのコードは, 0が42%, 1が19%, 2が32%, 3が7%, 4が0%であった。GI, PlIは, それぞれ平均1.56±0.97, 1.68±0.64であった。CPITNのコードは3年目まで大きな変化は認められなかったが, 4年目に悪化し, 5年目にはコード0が59%, 1が23%, 2が15%, 3が2%, 4が0%となった。また, GI, PlIは, 初めの3年間減少傾向が認められ, 4年目には一時的に悪化したが5年目には, 改善が認められた。以上の結果から, 診査対象は既報の他地域の同世代を対象とした研究結果と比較すると, 歯周組織の状態はやや良好な集団であり, 著者らが行ったブラッシング指導を伴う検診のシステムが有効であると考えられた。
  • 高田 耕平, 西村 和晃, 山田 実, 甲斐 敬幸, 畑中 健太郎, 服部 雅俊, 山岡 昭
    1993 年 35 巻 4 号 p. 704-710
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患罹患根面に, 形態的変化の全くみられないセメント質がどの程度存在するか調べるため, Plaque-free zoneの幅ならびに面積を測定した。30本の歯周疾患罹患歯を抜去後, SEMを用いてポケット内の歯周疾患罹患根面を検索し, plaque-free zoneの幅ならびに面積を測定, ポケット内の罹患根面全体を占める割合 (面積占有率) を算出した。その結果, plaque-free zoneは, 罹患根面の最根尖側部に, 幅で0.69±0.38 mm, 面積では15.58±7.92%に亘って存在し, その部のセメント質には形態的変化が全くみられないことが分かった。このことから, 歯周疾患罹患歯におけるplaque-free zoneのセメント質の過剰な掻爬は必要でないことが示唆された。
  • 渡辺 久, 石川 烈, 小勝 弘明, 宮下 元, 鈴木 丈一郎, 新井 高, 中村 治郎, 岡田 昭五郎
    1993 年 35 巻 4 号 p. 711-718
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ポビドンヨード配合歯磨剤の有用性を検討するために, ポビドンヨード, 酢酸トコフェロール, 塩化ナトリウム, エピジヒドロコレステリンを配合した薬用歯磨剤「PIP」と既に有用性が認められているグルコン酸クロルヘキシジンを配合した同種の薬用歯磨剤「NP」との比較を51症例につき臨床評価を行った。その結果, 薬用歯磨剤「PIP」は使用開始2週間目および4週間目で「NP」と比較して全症状で改善点数が優り2週間目では腫脹に, 4週間目では出血に有意差がみられた。有効率については2週間目で「PIP」59%, 「NP」39%, 4週間目で「PIP」78%, 「NP」59%でともに「PIP」が有意に優り, 歯周疾患の予防, 改善に有効であることが示唆された。
  • 奥野 健二, 伊藤 公二, 小幡 純, 内山 寿夫, 芥川 秀康, 藤川 謙次, 伊藤 公一, 村井 正大
    1993 年 35 巻 4 号 p. 719-725
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    臼歯部欠損を持つ歯周疾患患者17名 (男性6名, 女性11名) にインプラント材料の中の1つであるバイオセラム・プレート・タイプ・インプラントを植立し, 上部補綴物を装着した25症例の5年以上にわたる臨床的パラメーターとエックス線写真を経年的に分析した。その結果, インプラント体の残存率は96%であった。プロービングデプス, 歯肉出血指数, 歯肉炎指数およびプラークコントロールレコードはいずれの患者でも低い値を示した。また, エックス線写真による骨吸収量の経年的変化も僅かであった。この研究からバイオセラム・プレート・タイプ・インプラントは, 臨床的ならびに生物学的適合性にも優れた材料であることが示唆された。
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