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池田 康男, 原 宜興, 加藤 伊八
1994 年 36 巻 3 号 p.
519-530
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
本実験の目的は,
in vivoにおいて,
PorphyromonaLs gingivalis (
P. gingivalis) 由来のリポ多糖 (LPS) の歯周病原因子としての活性を
Escherichia coli (
E. coli) 由来LPSを対照として比較検討することである。実験には前処置としてPBSを腹腔投与したマウス60匹 (非免疫群) と, 各LPSを腹腔投与し, 免疫系の活性化を行ったマウス60匹 (免疫群) の2群のマウスを用いた。腹腔投与4週経過後より, 2日間隔で各LPSを両群のマウス歯肉に頻回 (1, 4, 7, 10, 13, 20回) 投与した時に惹起される歯肉の炎症および歯槽骨吸収について病理組織学的に観察し, 比較検討した。その結果,
E. coli由来LPSでは1回歯肉投与による歯肉の炎症は非免疫群よりも免疫群が強かったが, 4回投与以降は両群間に差はなく, 投与回数の増加にともなって炎症性細胞浸潤の範囲の拡大と著しい破骨細胞性の骨吸収が観察された。一方
P. gingivalis由来LPSでは1回歯肉投与から非免疫群と免疫群の炎症所見の程度には差はなく, 投与回数の増加にともなう炎症性細胞浸潤の拡大は
E. coli由来LPSよりも軽度であった。同様に骨吸収の発現時期も遅く, 吸収の進行が緩徐で, また吸収程度も軽度であった。
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水野 清
1994 年 36 巻 3 号 p.
531-544
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
本実験はイヌの実験的歯周炎組織におけるヘパラン硫酸 (HS) の局在性をモノクローナル抗体 (HepSS -1) を用い免疫組織化学的に検討した。実験的歯周炎は歯肉溝に絹糸を結紮し, 結紮3日, 7日, 21日のものを惹起させた。健常組織ではHSが歯肉上皮の上皮細胞および上皮細胞間隙, 歯肉結合組織および歯根膜組織では血管構成細胞, 神経細胞や線維芽細胞に存在した。歯周炎組織におけるHSの局在性は健常時と同様であった。しかし, 歯肉上皮の細胞間の染色性は異なっていた。また, 急性炎症時における歯槽骨骨吸収窩の破骨細胞様細胞にHSが認められた。以上の結果から, HSは組織構築のみならず細胞代謝に何らかの役割を担っていると考えられた。
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伊東 博司, 高田 隆, 宮内 睦美, 小川 郁子, 二階 宏昌
1994 年 36 巻 3 号 p.
545-551
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
炎症に関与するインターロイキン (IL) であるIL1α, IL1β およびIL6のヒト炎症歯肉組織における局在状況を解明するために, ヒト炎症歯肉組織について抗ヒトIL1α. IL1β ・IL6抗体を用いた免疫組織化学的検索を行った。その結果, IL1α の局在は, 歯肉内縁側, すなわちポケット上皮または口腔歯肉溝上皮, および接合上皮と, それら上皮下の結合組織に浸潤する好中球・マクロファージに見いだされた。IL1β もIL1α とほぼ同様の局在を示した。なお, 上皮と上皮下の炎症細胞では各IL1の陽性反応強度にそれぞれ違いが認められ, IL1α は上皮に, IL1β は炎症細胞により強い反応を呈した。IL6染色では, IL1陽性部位に加え, 形質細胞と形質細胞に隣接する細胞にも陽性所見が見られた。歯周炎の際に著明な組織変化が生じる歯肉内縁側にIL1α, IL1β およびIL6の主たる局在が見られたことから, これらILを介した組織反応が歯周炎に関与する可能性が示唆された。
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小川 哲次, 加納 利文, 朱 正浩, 藤谷 百合, 吉野 美穂, 吉野 宏, 河口 浩之, 白川 正治, 岡本 莫
1994 年 36 巻 3 号 p.
552-562
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
歯周初期治療におけるルートプレーニング (RP) 処置後の歯根面に再形成される付着構造について超微形態学的に検討した。
ビーグル犬3頭の切歯部に, 24週間の歯肉溝内綿糸結紮とソフトダイエット飼育法により実験的歯周炎を形成し, 歯周初期治療のRP処置として, セメント質表層のみの削除 (RP-A群), または, セメント質の完全除去RP-B群) を行い, これらのRP処置を施さないものを対照群とした。RP処置後4および8週経過時の試料 を (作製し, 透過型電子顕微鏡にて観察した。
対照群では8週においても歯周ポケットが存続していたが, RP-A群では, 4および8週で菲薄となったセメント質面全域に長い再生付着上皮が接しており, 結合組織性付着の様相はみられなかった。一方, RP-B群では, RP-A群に比べてより発達した上皮付着構造を有する長い再生付着上皮が裸出象牙質面に形成され, 根尖側部には象牙質上の電子密度の高い顆粒層を介して新生セメント質基質が観察された。
本研究により, 罹患歯根面の十分なRP処置によって発達した上皮付着構造を有する長い再生付着上皮と根尖側部に限局する結合組織性付着が再形成される可能性が示唆された。
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出口 眞二, 福野 光男, 山下 修, 宮島 実, 川瀬 俊夫, 斎藤 滋, 堀 俊雄
1994 年 36 巻 3 号 p.
563-570
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
HPLFはpreconfluentの状態の細胞を化学走化性試験に, confluentの状態の細胞はHPLF-CM採取に用いた。HPLF-CMはYM-5の限外濾過膜により100倍濃度 (whole-CM) とし, それをHPLFのPO-60Kカラムにより8分画 (F-I~VIII) に分けた。すでに, whole HPLF-CMはHPLFの接着, 伸展, 増殖を促進させることが報告されており, 今回は, 2枚の膜を用いたボイデン変法により, whole HPLF-CMと, その8分画の化学走化活性について検索した。なお, ヒト血漿由来fibronectin (FN) をpositive controlとした。その結果, HPLFは1.2μ9/m
lのFNの濃度に対し最大の化学走化活性を示した。また, whole-CMとF-IIIはFN 1.2μg/m
l) と比較し, 有意に高いHPLFに対する走化活性を示した。F-IIIの分子量は約70kDaと推定された。
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CIDマウス歯肉への内毒素投与による変化
岩崎 由佳, 原 宜興, 加藤 伊八
1994 年 36 巻 3 号 p.
571-577
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
歯周組織破壊の開始時期や程度にB細胞がどのように関与しているかを明らかにする目的で, 機能的なTおよびB細胞が欠如しているSCIDマウスに大腸菌由来の内毒素を頻回投与して病理組織学的に観察した。また正常マウスとヌードマウスに同様の処置を行い, 著者らがすでに報告した実験結果と比較した。その結果, SCIDマウスにも炎症性細胞浸潤や歯槽骨吸収は認められたが, 正常マウスの所見と比較すると炎症の程度は弱く, 骨吸収の開始時期は遅延していた。しかしT細胞が先天的に欠如しているヌードマウスとの比較では, 浸潤細胞の構成をみると線維芽細胞様の細胞やマクロファージが多いなど若干の相違がみられたが, 骨吸収の開始時期はほぼ一致していた。このことより, TおよびB細胞の欠如によって組織破壊の程度は軽度になるが, 特に骨吸収の開始時期については, SCIDマウスではヌードマウスと同様に遅延していたことから, B細胞よりもT細胞の関与がより強いことが示唆された。
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今井 久夫, 李 繁良, 信藤 孝博, 丹田 博己, 柳原 一晃, 山岡 昭
1994 年 36 巻 3 号 p.
578-585
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
歯周疾患や加齢の実験モデルとして多用されているラットの歯根膜血管の微細構造を明らかにする目的で, 歯根が完成し, 十分な咬合機能を確立した直後である生後3ヶ月齢のWistar系雄性ラットを用いて, 下顎第一臼歯の歯根膜の組織構造と微細血管構築の観察を行なった。
歯根膜の血管構築は, 根尖部では歯槽骨よりに太い細動静脈の粗な血管網を形成し, そこから派出される毛細血管が, 根面の歯冠側に向けてヘヤーピンループを密に形成していた。それが根中央に向うにつれてヘヤーピンループの脚部が短くなりアーケード状に変化し, 歯槽骨頂部ではループは消失し束状を呈していた。
このように, 歯根膜の血管を観察した結果, 根尖部, 根中央部および歯槽骨頂部において, 血管構築に形態差が認められた。
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嶋田 浩一, 工藤 省子, 林 邦雄, 芥川 秀康, 伊藤 公一, 村井 正大
1994 年 36 巻 3 号 p.
586-591
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
延命草 (
Rabdosia trichocarpa,
Rabdosia jponica) 成分であるオリドニンの口腔微生物に対する抗菌作用を
in vitroにおいて検討した。供試菌株は13菌種14株であり, 判定は液体培地による濁度を測定し, OD
550値が0.1以下の時をIC (inhibitory concentration) とし, 判定はこのICを比較することによって行った。その結果,
C. albicansを除いた微生物に対して抗菌作用を示したが,
P. gingivalisや
P. intermediaなどの歯周病原性細菌に対しては強い抗菌作用を示さなかった。しかし, これらの菌の歯肉溝上皮, ポケット上皮に対する付着機構における先行菌である
Actinomyces属に対して強い抗菌作用を示すことから, 歯周病原性細菌の歯肉溝, ポケット内での定着を間接的に抑制する可能性が示唆された。
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加藤 孝, 秋山 浩教, 菅野 直之, 伊藤 公一, 村井 正大, 加藤 雅子, 浅野 博文, 木所 義博, 茂呂 周
1994 年 36 巻 3 号 p.
592-598
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
歯周炎の発症への関与が考えられるグランザイムA (Gra-A) とインターロイキン2 (IL-2) 遺伝子の歯周組織における検出をRT-PCR法を用いて検討した。IL-2遺伝子は歯周炎歯肉中すべてにおいて認め, 臨床上健康歯肉においても1例発現を認めたが, 歯周炎罹患によってその発現は増強した。Gra-Aは30%の歯周炎歯肉においてその発現を認め, 臨床上健康歯肉には認められなかった。また, Gra-Aを発現した歯肉はより多くのCD8陽性細胞浸潤を認め, 歯周炎の急性期を診断できるマーカーとして使用できることが推察された。
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今井 久夫, 柳原 一晃, 信藤 孝博, 李 繁良, 丹田 博巳, 山岡 昭
1994 年 36 巻 3 号 p.
599-611
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
本研究の目的は, 歯周領域における骨膜血管網の役割を再認識し, 裸出骨床への遊離歯肉自家移植後の骨膜血管網の修復過程における血管動態を詳細に観察することにある。本研究においては, 健康な歯周組織を有する雑種成犬45頭を用い, 柳原の方法に従って裸出骨床へ遊離歯肉自家移植を行った。すなわち, 上顎右側犬歯付着歯肉の一定の位置に裸出骨床を作製し, 左側付着歯肉部より移植片を採取し, 裸出骨床へ移植を行った。術後3, 5, 7, 14, 21, 28, 42, 56, 84日の各期間に骨膜血管網の変化を, 血管鋳型標本を用いて詳細に観察した。その結果, 裸出骨床への遊離歯肉自家移植後の骨膜血管網の治癒過程において, 移植片辺縁部では受容床創縁から骨膜血管が進展し, 辺縁部から中央部にかけては骨中からの血管や辺縁部からの新生血管により成立する治癒様式を示した。
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ヒト歯根膜由来線維芽細胞培養系による評価
藤井 健男, 小鷲 悠典, 矢嶋 俊彦
1994 年 36 巻 3 号 p.
612-624
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
歯周疾患罹患根面に対する根面処置法の有効性をヒト歯根膜由来線維芽細胞培養系を用いて評価した。その結果, 罹患根面の深部セメント質を保存したルートプレーニングとクエン酸処理を行った根面上の細胞増殖は, 非罹患根面上と同様の動態を示した。クエン酸処理を行った場合, 細胞接合性は向上した。また, エンドトキシン量はルートプレーニングで52%, クエン酸処理によりさらに清浄化され64%が除去された。細胞のアルカリホスファターゼ活性は, 培養経過とともに活性の低い罹患根面群およびルートプレーニング群と約2倍の高い活性を示す非罹患根面群およびクエン酸処理群との二極化を示した。以上より, 罹患根面深部セメント質保存のルートプレーニングは, エンドトキシンを物理的に除去して細胞を処置根面上で早期に付着・増殖させ, クエン酸処理は, 根面へ対する細胞接合性の向上とともに細胞分化を促進する有用性の高い処置であることが示唆された。
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谷 芳子, 後藤 礼子, 谷 真彦, 加藤 伊八
1994 年 36 巻 3 号 p.
625-633
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
スケーリング・ルートプレーニングとペリオクリン®を併 用し臨床パラメーターと歯周ポケット内細菌叢にどのような影響があるか調べた。スケーリング・ルートプレーニングのみのコントロール群, ペリオクリン®1回, 2回, 4回投与群の4群に分け, 術前と投与後1ヵ月において臨床パラメーター (PD, AL, GI, BoP, SI) と位相差顕微鏡および嫌気培養を用いて, 細菌叢を調べた。この結果, コントロール群と比較するとPD, AL, GIは4回投与群が有意に改善していた。BoPは投与回数を増すごとに出血部位が減少した。SIは全ての群で排膿部位が消失した。細菌叢は, 運動性桿菌とスピロヘータの菌数, 割合の変化において各群間で有意差は見られなかった。総嫌気性菌の変化は各群間では, 有意差はみられなかったが, 黒色色素産生嫌気性桿菌や
A. actino-mycetemcomitansは投与回数を増すごとに消失する部位が増加し, 4回連続投与群ではほとんどの部位から検出されなかった。
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米田 栄吉, 千枝 桂子, 徳山 礼子, 佐伯 訓子, 堀内 博
1994 年 36 巻 3 号 p.
634-641
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
仙台市内の女子中高生の歯周疾患状態をCPITNで10年問調査した。10年間に全被検者 (13, 542名) のコード0と3の有病者率は減少し, コード2は著しく増加した。コード1と4はほとんど増減がなかった。10年間でコード0の一人平均部位数は初年度の約1/2に減少した。コード1とコード2の有病部位数は増加したが, コード3と4はやや減少した。被検者を6歯群のコード数の合計であるCPITN値から軽度群・中度群・重度群に分類した。重度群はWHOのTreatment Needsに従う処置を施した。10年間で中度群の大きな増加に対して軽度群と重度群は段階的に減少した。この結果は健常とポケットが減少する代わりに歯石が増加することを示している。3年間連続受診した重度群197名について, 処置年のCPITN値は初年度の約2倍に増加し, 次年度には処置前年の値に減じた。この群の歯周疾患状態は急激に進行するようであるが, 重度群であっても早期の適切な処置により歯周疾患の改善が得られた。
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葛城 啓彰, 富井 伸之, 大森 みさき, 鈴木 安里, 長谷川 明, 斎藤 和子
1994 年 36 巻 3 号 p.
642-653
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
24~35歳歯周疾患患者の末梢血 (PB) および歯肉溝浸出液 (GCF) の多形核白血球 (PMN) の補体3レセプター (CR1, CR3) の発現, 細胞内・外活性酸素産生についてフローサイトメトリー法およびケミルミネッセンス法により, また, GCF中のIL-8, IL-1β レベルについてELISA法にて同年代の健常者と比較検討した。
補体レセプターは, PB-PMNでは, 患者 (AP, RPP群) 健常者間で差異は認められなかったが, GCF -PMNで, 健常者に比較し有意に高値を示した。また, 初期治療後には低下する傾向を認めた。細胞外活性酸素産生は, PB-PMNでは, 患者, 健常者間で差異は認められなかったが, GCFPMNでは, AP, RPP群とも有意に高値を示した。
細胞内活性酸素産生は, PB-PMNでは健常者群より高値を示したが, GCF-PMNでは健常者群より低下していた。GCF中のIL-8レベルは, AP, RPP群共, 健常者群より有意に高値を示した。以上の結果よりGCF -PMNの活性化は, 歯周病巣局所の状態と関連する可能性が示唆された。
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加藤 義弘, 稲場 昭人, 清水 学, 澤田 彩子, 加藤 熈, 仲川 弘誓, 高松 隆常, 小鷲 悠典
1994 年 36 巻 3 号 p.
654-664
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
本実験は, 従来困難であった睡眠時ブラキシズムの下顎運動を客観的に観察する方法を開発する目的で, 著者らが既に開発した下顎運動記録装置に改良を加え, パーソナルコンピュータ (PC) でデータを分析することにより下顎運動を前後・左右の2次元的に再現できるようにした。なお, 同時に咬筋筋電図と咬合接触時の骨振動を記録した。本装置の再現性はMKGの水平面での2次元的記録とほぼ同等であった。本装置を用いて歯周組織が健康で顎関節症の症状を認めない7名の被験者の睡眠時ブラキシズムを観察した。その結果, ブラキシズムを下顎運動パターンから分類することが可能となり, とくにグラインディングは1つから3つに分類できた。しかし, 3つに分類されたものでも下顎運動路の一部は共通しているものが存在した。一方, クレンチングを行なう咬合位は, 咬頭嵌合位以外の偏心位にも存在し, その位置はグラインディング時の運動経路上に存在するものが多かった。
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第4報形状の異なる歯間ブラシのプラーク除去効果について
瀬戸口 尚志, 牧野 文子, 浜田 義三, 谷口 拓郎, 岡本 博之, 恒吉 みゆき, 上原 真弓, 和泉 雄一, 末田 武
1994 年 36 巻 3 号 p.
665-670
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
われわれは歯間ブラシの仕様の違いが隣接面プラーク除去効果に及ぼす影響について一連の検討を行っている。今回第4報として, シリンダー形, テーパー形, 樽形の3種の形状の異なる歯間ブラシについて検討した。成人性歯周炎と診断された初診の患者12名に上記歯間ブラシのいずれかを3週間連続して使用させ1週毎に隣接面プラーク付着量の変化を調べた。その結果いずれの歯間ブラシを使用しても, プラーク付着量は経時的に減少し, いずれの診査時においてもブラシ間で有意な差はなかった。さらに各被験者に対し指導後3週目と4週目には他の形状の歯間ブラシを1週間ずつ使用させ, 各ブラシ使用後のプラーク付着量について検討を行った。その結果, 全診査部位の平均プラーク付着量はブラシ間で有意の差はなかったが, 部位別に検討したところ前歯部および舌側部ではテーパー形および樽形ブラシの方がシリンダー形ブラシに比べ有意に良好なプラーク除去効果を示した。
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木村 三右衛, 相羽 寿史, 三辺 正人, 岡本 浩, 堀内 登
1994 年 36 巻 3 号 p.
671-678
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
歯周治療用ミノサイクリン含有コラーゲンペレット (MINOペレット) の薬剤徐放性を向上させる目的で, MINOペレットを歯周ポケット周囲歯肉組織内に刺入する方法 (歯肉組織内投与法) の有効性について臨床試験を行った。すなわちMINOペレットを歯肉組織内投与後の歯肉組織内と歯周ポケット内のミノサイクリン濃度測定および歯肉組織内のミノサイクリンの局在とMINOペレットの吸収過程について形態観察を行った。結果はミノサイクリン平均濃度は投与後7日目に歯肉組織内で40.5μg/m
l1, 歯周ポケット内で6.5μg/m
lであり, ともに検出率は100%であった。歯肉組織中のミノサイクリンの蛍光は14日目まで観察され, 14日目以降にMINOペレットは吸収消失するものと考えられた。以上の結果から本法は歯肉組織内および歯周ポケット内に高濃度のミノサイクリンを長期間確実に維持できる方法であることが明かとなった。
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須田 玲子, 三橋 規子, 康野 とし恵, 鈴木 基之, 長谷川 紘司, 向山 賢一郎, 佐藤 昌史, 佐々 竜二, 曹 采方
1994 年 36 巻 3 号 p.
679-692
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
アンケート調査によって調べた自覚症状と臨床所見との関連性を分析し, アンケート調査による歯周病のスクリーニングの有効性について統計学的検討を行った。
中国承徳市近郊の歯科医療低普及地域の住民486人 (14~44歳, 男性211名, 女性275名) について調査を行った。歯肉出血 (GI), ポケット (PD), アタッチメントレベル (AL) などの臨床診査, パノラマX線写真撮影及び, 歯肉出血, 歯の動揺など歯周病に関連すると思われる自覚症状18項目について聞き取り調査を行った。その結果, 個人別に見ると, 最低0, 最高16項目, 平均約5項目の自覚症状を有していた。自覚症状の数と年齢, および臨床診査における各個人別平均値との間に有意な相関が認められた。なかでも, ALとの相関が高くr=0.52), GIとの相関が最も低かった (r=0.17) 。CPITNを基準としてスクリーニングを試みた結果, 自覚症 (状の数が6項目以上の者を重症とした場合, 感度0.68, 特異度0.67であった。さらに, ALと関連のある項目を選択することで, より良好な感度が得られた。
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各種歯ブラシの形態によるプラーク除去の効果について
苗代 明, 鴨井 久博, 斉藤 洋一, 大崎 忠夫, 島田 栄一, 田中 正直, 松村 彰子, 中島 茂, 西澤 和利, 佐藤 聡, 鴨井 ...
1994 年 36 巻 3 号 p.
693-706
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
本研究は, プラークコントロールの重要性, 必要性を認識し, 歯ブラシの形態およびブラッシング法の違いによるプラーク除去効果について比較検討したものである。
ブラッシング技術が同レベルな10名を対象に, 14種類の歯ブラシを用い, スクラッビング法とローリング法を行わせ, プラッシング前後に, プラークスコアを全歯にわたり測定し, 前後の値の差からプラーク除去率を算出した。プラーク除去率は平均65.6%, 前歯部84.0%, 臼歯部54.1%であった。プラーク除去率が高い部位は前歯部頬側, 低い部位は臼歯部隣接面であった。歯種別では前歯, 臼歯の順に, 部位別では頬側, 咬合面, 舌側, 隣接面の順に低下した。また, 各歯ブラシ別, 各ブラッシング法別により違いがみられた。
これらのことは, プラークコントロールを高めるためには, 各個人, およびその部位に適した歯ブラシやブラッシング法の選定が重要であることを示唆している。
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佐藤 聰, 松村 彰子, 苗代 明, 鴨井 久一, 芥川 秀康, 菅井 健二, 藤川 謙次, 村井 正大, 市村 光, 大塚 秀春, 渡辺 ...
1994 年 36 巻 3 号 p.
707-716
発行日: 1994/09/28
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
本研究の目的はトリクロサン, トラネキサム酸, グリチルリチン酸ジカリウム等を配合した液状歯磨剤, 高度テーパード用毛を植毛した歯ブラシ, 塩化セチルピリジニウム, トラネキサム酸を配合したデンタルリンスを併用したときの, 歯周病を予防, 改善する効果について検討することである。被験者は重度の歯周病または全身的疾患に罹患していない歯周病患者60名を対象とした。被験者を均等に2群に層別し, 試験品または有効成分無配合の液状歯磨剤, デンタルリンスと一般歯ブラシの組み合わせから成る対象品のいずれかを4週間1日2回ずつ使用させた。その結果, 試験群は対照群と比較して有意に高いプラーク抑制, 粛肉炎改善, 歯周ポケットの深さ改善および出血改善効果を示した。また, 歯周ポケット内細菌叢の形態学的検査において試験群は有意な球菌の増加と有意な運動性菌の減少を示した。本試験の観察期間中, 両群間において為害作用は認められなかった。
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