本研究では, 歯の挺出が実験的歯周炎によって誘発されるか否についての評価を行った。雑種成犬5頭の, 下顎左右第2, 第3, 第4小臼歯に, 歯の挺出量を計測するために実験装置を装着した。実験側の第3小臼歯には, デンタルフロス結紮によって実験的歯周炎を惹起させ, 反対側にはフロス結紮は行なわず対照側とした。歯の挺出量の測定は, 精密印象採得によって1週間毎に行い, 印象上のメタルキャップ上面と計測用ステント下面の間の距離を計測することで行った。同時に臨床的パラメーターの計測も行った。
その結果を以下に示す。
1. 実験側では, 対照側に比較して, 顕著な挺出が認められた。
2. 実験側における歯の動揺度は, 対照側に比較して大きく, 挺出量の増加に伴い動揺度の増加も認められた。
3. 実験側では, 実験開始1週目までにポケット量の増加と付着の喪失が認められ, 以後ほとんど変化はなかった。
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