日本歯周病学会会誌
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37 巻, 1 号
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  • 岩川 忠
    1995 年 37 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 歯の挺出が実験的歯周炎によって誘発されるか否についての評価を行った。雑種成犬5頭の, 下顎左右第2, 第3, 第4小臼歯に, 歯の挺出量を計測するために実験装置を装着した。実験側の第3小臼歯には, デンタルフロス結紮によって実験的歯周炎を惹起させ, 反対側にはフロス結紮は行なわず対照側とした。歯の挺出量の測定は, 精密印象採得によって1週間毎に行い, 印象上のメタルキャップ上面と計測用ステント下面の間の距離を計測することで行った。同時に臨床的パラメーターの計測も行った。
    その結果を以下に示す。
    1. 実験側では, 対照側に比較して, 顕著な挺出が認められた。
    2. 実験側における歯の動揺度は, 対照側に比較して大きく, 挺出量の増加に伴い動揺度の増加も認められた。
    3. 実験側では, 実験開始1週目までにポケット量の増加と付着の喪失が認められ, 以後ほとんど変化はなかった。
  • 出口 勝敏
    1995 年 37 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Porphyromonas gingivalis 381株が産生する溶血素を培養懸濁上清から部分精製し, その性状を調べた。381株の溶血素は, 血液を含まない培地による液体培養では産生されず, 血液を加えた寒天平板培地による培養で産生された。この条件で培養した菌体の懸濁上清を粗標品とし, 硫安沈殿, DEAE-Sepharoseによるイオン交換クロマトグラフィー, Sephacryl S-300によるゲル濾過により精製を行ったところ, 溶血活性が9.1倍に濃縮された部分精製標品が得られた。この標品の溶血活性は, システインおよびグルタチオンにより促進され, ヨードアセトアミド, EDTA, アルギニン, コレステロールにより阻害された。また, Ca2+, Zn2+では阻害されたがMg2+では逆に促進された。さらに4℃ で96時間静置すると活性の半分以上が失われた。培養懸濁上清と反応させたヒツジ赤血球の電子顕微鏡像において, 赤血球膜構造の破壊が認められた。
  • Flow Cytometryによる解析
    浅木 英理, 沼部 幸博, 鴨井 久一
    1995 年 37 巻 1 号 p. 23-38
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病原性因子に対する宿主側の免疫応答反応の不調和が, 歯周病の発症・進行に影響を与え, さらに, 歯周病原菌である. Actinobacillus actinomycetemcomitans (A. a.) は, 多形核白血球 (PMN) を傷害することが報告されている。そこで, 急速進行性歯周炎 (RPP) 患者および, 健常な歯周組織を有する者 (健常者) の末梢血PMN機能をFlow Cytometryを用いて解析し, 比較を行なった。さらに. A. a. のロイコトキシンを含む菌体抽出物 (LT) がPMN機能に与える影響を検索した。その結果, 健常者に比較しRPP患者のPMNは, 貧食能・活性酸素産生能ともに低く, LTに対する反応も, 健常者とRPP患者では異なる結果を示した。
    以上のことから, RPPの病因論およびRPP患者の治療において, PMN機能が重要な指標となることが示唆された。
  • 小延 裕之
    1995 年 37 巻 1 号 p. 39-54
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    日本人の成人性歯周炎患者の歯周ポケットより, TSBV培地にて分離培養した41菌株の血清型“a”のA. sctinomycetemitansについて, 生化学的および分子生物学的な分析を加えた。その内容は, 既知の血清型a, bおよびcの菌株との各種生化学的代謝, 各種の酵素活性, 菌体タンパクのSDS-PAGEによる泳動像の比較および, 菌体より抽出した全DNAの相同性の比較と各菌株G/C mol%の解析である。その結果, 日本人の成人性歯周炎患者に感染していた血清型“a”のA. actinomycetemconcmitansについて遺伝的に相同性が高い株が多数を占めていた。これはA. aotinomyoetemcomtansのいわゆる“clonalinfection”を示すものであると考えられる。
  • 歯周ポケットの発現状況について
    加藤 まり, 深井 浩一
    1995 年 37 巻 1 号 p. 55-66
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の部位差や個体差に対応できるプラークコントロール法の開発を目的として, 歯周ポケットの分布型の解析を試みた。今回は第一報として, 歯周ポケットの部位的特徴を調査した。対象は日本歯科大学新潟歯学部附属病院歯周治療科において歯周炎と診断された58名とし, 歯周ポケットの発現状況を他の臨床的パラメータを含めて詳細に調査した。歯周ポケットの発現状況は平均PDと4mm以上PD出現率から検討した。その結果, 歯周ポケットの発現は頬側より舌側, 歯面別では歯問隣接面, 歯種別では大臼歯部において高かった。この傾向はPlI値でも同様であった。上下歯種別の比較では, 上下顎の発現状況に差を認め, 特に前歯部においてその差が大きく, 下顎前歯部で低かった。一方PlIには上下顎差を認めず, 歯周ポケットの発現の上下顎差にはプラーク以外の因子の関与が考えられた。
  • 歯周ポケットの分布型の分類と臨床応用について
    加藤 まり, 深井 浩一
    1995 年 37 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の部位差や個体差をプラークコントロールに応用すべく, 歯周ポケット (PD) の分布型の解析を試みた。対象は第1報と同じ歯周炎患者58名とし, 第1報で得られた歯周ポケット発現の部位的特徴をもとに, 個々の口腔内での4mm以上のPDの分布を解析した。また, この分布型を考慮したプラークコントロール法の臨床応用を行い, その効果をPCR20%以下への達成率より予備的に検討した。その結果, 1.4mm以上のPD部の歯間隣接面に占める割合は症例ごとにも67.9%から100%と高く, 分布型は歯間隣接面を中心に考慮すべきと考えられた。2. 歯周ポケットの分布型は, 58例中86.2%が5つの分布型で分類可能であり, 多いものから, 全歯間部型, 上顎歯間部・下顎臼歯歯間部型, 全歯間部+舌側型, 全臼歯歯間部型, 上顎歯間部+舌側部・下顎歯間部型であつた。3. 分布型を考慮したプラークコントロール法の臨床応用の結果, 平均2.0±0.7回の指導でPCR 20%以下を達成でき, この方法が患者にとって理解し易く, 有効である可能性が示唆された。
  • 牛村 秀夫, 松戸 裕子, 田中 ゆり子, 筒井 健機
    1995 年 37 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯周疾患用軟膏剤の適用局所における為害作用を推測する目的で, これらの軟膏剤をヒト歯肉由来培養ケラチノサイトに作用させ, その細胞毒性をニュートラルレッド・アッセイ法で定量的に調べた。歯周ポケット注入用軟膏剤の細胞毒性は, ヒノポロン®≫テトラ・コーチゾン軟膏>ペリオクリン歯科用軟膏®≒テラ・コートリル®軟膏であり, ヒノポロンの細胞毒性は, テトラ・コーチゾン軟膏の約1,100倍, ペリオクリン歯科用軟膏やテラ・コートリル軟膏の少なくとも1,300倍強かった。また, 塗布用軟膏剤の細胞毒性は, デキサルチン軟膏口腔用)®>デスパコーワ®>テトラサイクリン・プレステロン歯科用軟膏®≒プレステロン®「歯科用軟膏」≒口腔用ケナログ®≒歯科用 (口腔用) アフタゾロン®であった。デキサルチン軟膏 (口腔用) およびデスパコーワの細胞毒性は, 他の塗布用軟膏剤より少なくとも3倍以上強かった。このように各種歯周疾患用軟膏剤のヒト歯肉由来培養ケラチノサイトに対する毒性がランク付けされ, その強弱が量的に比較できるようになった。これらの結果は, 歯肉に対してより為害作用の少ない軟膏剤の選択や適用方法を考慮したり, 新規製剤の毒性を評価する際, 役立つものと思われる。
  • 野村 隆, 久保田 健彦, 一戸 千華子, 小川 伸之, 大石 祐一, 井上 紳太郎, 高橋 徳也, 原 耕二
    1995 年 37 巻 1 号 p. 84-96
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラット実験的歯周手術後に創傷部に形成されるI型及びIII型collagen量を蛍光免疫染色及び画像解析の手法を用いて半定量的に測定することを試みた。その際, 没食子酸プロピルの歯肉創傷部におけるcollagen形成量に対する影響についても併せて検索した。その結果, プラセボ群におけるI型collagen形成量は創傷後3~7日目の間有意な変化がないのに対し, III型collagen形成量は創傷後5, 7日目で有意な増加を示した。一方, 没食子酸プロピル投与群ではI型collagen形成量は創傷後5日目以降, さらにIII型collagen形成量は創傷後3日目より5日目までプラセボ群に比較して有意な増加を示した。以上の結果から, 実験的歯周手術後の創傷部ではまずIII型collagen形成が先行するのに対し, I型collagen形成は少なくとも術後7日までは著明な変化を示さないこと, さらに没食子酸プロピルはこれらのcollagen形成を促進させることが示唆された。
  • 外科用メス及び電気メスによる歯肉切除後の神経線維の再生
    杉山 裕一, 菅谷 彰, 茂木 信道, 辻上 弘, 吉川 昌幸, 堀 俊雄
    1995 年 37 巻 1 号 p. 97-110
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周外科処置後の神経線維の再生を検索する目的で, 以下の実験を行った。ラット口蓋歯肉に, 外科用メス及び電気メスによる歯肉切除術を施し, 1日, 3日, 7日, 14日後の歯周組織および同組織内の神経線維の再生について, 病理組織学的観察及びNeurofilament Protein (NFP), Calcitonin Gene-Related Peptide CGRP), 各種抗体を使用した免疫組織学的観察を行った。その結果, 外科用メス使用群では術後3日か (ら神経線維の新生が観察され始め, 7日ではほぼ対照群と同様な所見を呈した。一方電気メス使用群では7日で神経線維の新生が観察されたが, 外科用メス使用群と比べ, 周囲組織の再生と同様に神経線維の再生は遅延していた。以上の結果から, 神経線維の再生は侵襲の種類, あるいは周囲の組織の再生状態に影響されることが示唆された。
  • 北後 光信, 梶本 忠保, 堀木 到, 渋谷 俊昭, 岩山 幸雄
    1995 年 37 巻 1 号 p. 111-117
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ハイドロキシアパタイト (HAP) は, 歯周外科において骨の再生の材料として使用されている。埋入したHAPの多くは, 高結晶性のため吸収されることはほとんどない。本研究の目的はラットを用いて新しく開発されたアパタイト析出型コラーゲンシート (HAPCシート) をラットの皮下に埋入してその吸収性を評価することである。HAPCシートの細胞毒性と可溶性はin vivo, HAPCシートの吸収性では組織学的に未処理コラーゲンシートとフォスファターゼ処理コラーゲンシートを対照にして比較検討した。HAPCシートの存在下でL-929細胞の増殖は7日間の培養期間中影響を受けなかった。HAPCシート中のリン, カルシウムは人工組織液中に溶出しなかった。皮下にコラーゲンシートを埋入した場合, 埋入後3週まではHAPCシートの吸収は確認されず, コントロールのシートのみ吸収されていた。しかしながら, 埋入4週では, HAPCシートは吸収された。以上の結果アパタイト析出型コラーゲンシートは, 生体反応により吸収されることが示された。
  • 林 崇韜, 渋谷 俊昭, 塚田 英治, 北後 光信, 古沢 裕, 岩山 幸雄
    1995 年 37 巻 1 号 p. 118-126
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯胚の成熟に伴うグリコサミノグリカン-プロテオグリカン (GAG-PG) の局在性の変化を各種モノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。ラットの下顎臼歯歯胚を生後0, 7, 14, 21日目に採取し固定, 脱灰後パラフィン切片とし, 染色を行った。コンドロイチン4硫酸とデルマタン硫酸はほぼ類似した局在性を歯胚周囲の結合組織, 歯乳頭, 象牙前質, 象牙芽細胞層やエナメル上皮細胞層中の細胞に呈した。コンドロイチン6硫酸は歯乳頭に特異的に存在した。ベパラン硫酸は口腔上皮細胞以外のほとんどの組織に存在したヒアルロン酸は結合組織繊維や歯乳頭で観察された。それぞれのGAG-PGは歯胚およびその周囲の組織に特異的な局在を示し, 歯胚の成熟や萌出, 歯周組織形成に伴い局在の変化が認められたことからGAG-PGは歯胚および歯周組織の分化, 成熟に関与する可能性が示唆された。
  • 西田 哲也, 音琴 淳一, 伊藤 公一, 滝川 智義, 小野瀬 英雄, 村井 正大
    1995 年 37 巻 1 号 p. 127-133
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 強電解酸性水 (AE水) のエナメル質に対する影響を検索することである。
    ヒト第三大臼歯より切り出した健全エナメル質を, AE水および生理食塩水中に30秒, 30分, 6時間, 18時間および60時間, 37. C振盈浸漬した。なお陽性対照としては, エッチングゲルを用いてエナメルエッチングを30秒間行つた。それぞれの歯片の表面を走査型電子顕微鏡にて観察, 走査像解析装置を用いて表面粗さを分析した。その結果, AE水に浸漬する時間とともにエナメル質表面の脱灰が進む傾向にあったが, 30秒浸漬面では脱灰は認められなかった。AE水中に18時間浸漬したエナメル質表面の脱灰の程度は, エナメルエッチング面と同等であった。以上のことから, AE水によるエナメル質表面に対する脱灰の危険性は少ないことが判明した。
    しかし, AE水による洗口で脱灰が認められることは確実であるので, 患者にAE水を長期間使用させる場合は, 十分な使用方法の説明および定期的な観察が不可欠であることが示唆された。
  • 金銀花のIL-1処理ヒト歯肉線維芽細胞のMCP-1およびIL-6遺伝子発現の抑制効果の検討
    元村 洋一, 宮田 隆, 荒木 久生, 申 基テツ, 杉本 博宣, 小林 之直, 池田 克已
    1995 年 37 巻 1 号 p. 134-140
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人性歯周炎の抗炎症局所治療薬として, 中医薬の持つ抗炎症効果に注目し, その臨床応用を試みたところ, 金銀花・連翹混合煎剤が, 歯周疾患の臨床パラメーターである歯肉溝滲出液量, およびプロービング時の出血を有意に抑制した。そこで, この中医薬の持つ抗炎症効果のメカニズムをin vitroで検索するために, 近年, 歯周疾患の成立に関与すると言われてきている単球特異的走化性因子であるMCP-1を指標として用い, 金銀花の抽出液が, ヒト歯肉線維芽細胞で炎症性サイトカインにより誘導されるMCP-1の遺伝子産物の産生, および遺伝子発現を抑制するか否かについて検討を行った。
    その結果, 金銀花抽出液はMCP-1の遺伝子発現, その遺伝子産物の産生を抑制した。また, 同様にIL-6遺伝子発現も抑制したことから, 金銀花のこれらへの抑制効果が, さきに報告した成人性歯周炎に対する抗炎症作用の一端を明らかにしたものと考える。
  • 茶抽出物配合チューインガムの評価
    安田 英之, 森山 貴史, 角田 正健
    1995 年 37 巻 1 号 p. 141-148
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    緑茶抽出物, 紅茶抽出物, 茶カテキン混合物, 銅クロロフィル, 銅クロロフィリンナトリウムの5種の物質は唾液を用いた実験により, いずれも優れた悪臭抑制効果を示した。これら消臭素材を配合したチューインガムを用い, チューインガム咀嚼前後における呼気中揮発性硫化物 (V. S. C.) 濃度の変化をガスクロマトグラフにより分析し, 口臭抑制効果を判定した。尚, 被験者は口臭の認められない健常者であったが, 本実験のために調製したにんにくエキスで洗口し, 人為的に口臭の認められる状態とした。その結果, 消臭素材無添加のコントロールガムと比較して, 消臭素材添加ガムではV . S. C. 抑制効果が高く, 口臭抑制に対する茶抽出物配合チューインガムの有効性が確認された。
  • 佐藤 香, 金谷 一彦, 深井 浩一, 長谷川 明
    1995 年 37 巻 1 号 p. 149-157
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    電動歯ブラシの効果的な臨床適用を検討する目的で, 繰り返しブラッシング指導を行ったにも関わらず改善の得られない歯周炎患者に対して電動歯ブラシを導入し, 清掃状態とブラッシング状況の変化を調査した。対象は歯周炎患者10名で, いずれも最近10回のPlaque Control Record (O'learyら; 以下PCR) の平均が30%以上の者とした。被験者は電動歯ブラシを手渡され, 個別に最低6回のブラッシング指導を受けた。この時のPCRの平均値を手用歯ブラシ使用時のものと比較検討した。またアンケートによってブラッシング時間, 回数, 歯間部清掃用具の使用状況の変化を調べた。その結果, 10名全体の平均では2種類の歯ブラシ間に差がなかったが, 4名では電動歯ブラシの使用によりPCRの有意な改善がみられた。またアンケートの結果より, 一部の患者で電動歯ブラシの導入がモチベーション効果として働いたことが考えられ, これがPCRの改善につながったものと思われた。
  • 荒木 久生, 宮田 隆, 申 基テツ, 杉本 博宣, 元村 洋一, 小林 之直, 池田 克已
    1995 年 37 巻 1 号 p. 158-168
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    いわゆる顎関節症 (Craniomandibular disorders; CMD) 患者で, 成人性歯周炎と診断された患者40名について臨床的観察を行った結果, 以下の結論を得た。1. CMD患者で成人性歯周炎を併発している被験者の65%に咬合性外傷を認めた。2. 併発症群と非併発症群ではともに女性が多かった。3. 併発症群と非併発症群で年齢差は認められなかった。4. CMDの罹患部位は片側性の症例が多く認められた。5. 併発症群で咬頭嵌合位での早期接触部位と顎関節および咀嚼筋群の疼痛を発症側で比較したところ, 26例中10例が発症側で認められた。6. 併発症群で, 咬頭嵌合位での早期接触部位と顎関節雑音を発症側で比較したところ, 26例中8例が発症側で認められた。7. 併発症群ではCMDIII型とII型が非併発症群と比較して多かった。
  • 3年間経過症例
    鴨井 久一, 原 良成, 永田 達也, 西澤 和利, 中島 茂, 大関 道子, 佐藤 聡, 仲谷 寛
    1995 年 37 巻 1 号 p. 169-174
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, Integral ® ハイドロキシアパタイトをコーティングしたシリンダータイプ・インプラントの術後経過について評価を行ったものである。被験者は8名, フィクスチャー22本についてアバットメント装着後1年6カ月後および3年後に規格X線写真撮影, および臨床パラメーターの測定を行った。規格X線写真によるインプラント周囲の骨吸収は, 1年6カ月から3年で平均0.09mm認められた。Plaque index, Gingival indexは, それぞれ1年6カ月で0.61, 0.42, 3年で0.39, 0.03と低い値であった。Peri-implantsulcus depthは, 1年6カ月で1.99mm, 3年で1.95mmであり, 経時的な増加は認められなかった。以上の結果より, Integral ®は, 歯欠損補綴に対する有効な治療法であり, 長期的にも安定したインプラントシステムであると考えられる。
  • 西川 聖二, 永田 俊彦, 住谷 光治, 木戸 淳一, 石田 浩
    1995 年 37 巻 1 号 p. 175-184
    発行日: 1995/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    口呼吸が関連した歯肉炎の長期観察症例を報告した。初診時の診査から口呼吸の原因が11の唇側への突出による口唇閉鎖困難であることが示唆された。歯肉は線維性に増殖し, 上顎前歯部で顕著であった。口腔清掃状態は不良で, プラークコントロールレコード (PCR) は80%であった。ブラッシング指導に引き続いて歯肉切除を行なったが, その後患者の都合によって治療が中断した。5年後の再来院時も口腔清掃状態は不良で, 歯肉は発赤を伴い増殖し, 歯肉からの出血, 排膿も著明であった。約1年半の徹底した初期治療によって歯肉はほぼ正常レベルまで改善された。その後, 1 1の矯正移動によって口呼吸癖が改善され, メインテナンスに移行した。メインテナンス中, 口腔清掃が不良な期間があったにもかかわらず, 症状の再発は観察されなかった。以上の治療経過から, 口呼吸は歯肉炎の発症因子ではなく, 存在する歯肉炎の増悪因子であることが示唆された。
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