日本歯周病学会会誌
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39 巻 , 1 号
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  • 矢野 和子
    1997 年 39 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究ではBacteroides forsythus (B. forsythus) の歯周疾患における病因としての役割を検討するために, 細菌培養法とDNAプローブ法を用いて健常者, 成人性歯周炎, 早期発症型歯周炎患者の歯肉縁下プラーク中から B. forsythus の検出および同定を試みた。培養法ではTS血液寒天培地にN-アセチルムラミン酸を1 mg/lの濃度で加えることにより標準株および臨床株の培養, 継代が容易になった。DNAプローブ法はBecton Dickinson社製のAffirm DP ® を用いてB. forsythusの標準株と細菌培養法で得た臨床株で行い, 105個以上で検出可能であった。細菌培養法とDNAプローブ法でB. forsythusの検出頻度を明らかにした後, 歯周疾患患者から得た歯肉縁下プラークサンプル中のB. forsythusの検出割合との関連性について検索を行った。その結果B. forsythusは健常者ではほとんど検出されず, 歯周炎患者群から高率に検出された。その検出頻度や総菌数中に占める割合がポケットの深さやポケット測定時の出血, 骨吸収と相関が認められたことよりB. forsythusが歯周疾患に深く関与していることが示唆された。
  • 笠毛 甲太郎
    1997 年 39 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アーリーコロナイザーズ (early colonizers) の1つで多くの歯周病関連細菌の定着の足がかりになっていると考えられているActinomyces viscosusの菌体表層成分から, 歯周病関連細菌で成人性歯周炎の有力な原因菌とされている、Porphyromonas gingivalisに対する付着関連物質の1つと考えられる, SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にて200kDaを超える高分子量物質 (AvAF) を分離した。分離はSephacryl S-400HRによるろ過, HiTrap Octyl Sepharose 4FFによる疎水性クロマトグラフィー, HiTrap Qによる陰イオン交換クロマトグラフィーにより行った。得られたAvAFの蛋白質あたりのP. gingivalisに対する共凝集阻害活性は12倍に上昇し, 回収率は2.5%であった。AvAFには糖も検出されたことから糖蛋白であることが示唆された。その活性は加熱処理, プロテアーゼ処理に耐性であったが, 過ヨウ素酸処理に感受性があった。よって, AvAFの活性は糖に存在することが明らかとなった。またAvAFはPrevotella intermedia, Fusobacterium nuclea-tum, Capnocytophaga ochraceaA. viscosusに対する共凝集においても阻害作用を示した。
  • 四元 幸治
    1997 年 39 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉溝へのプラーク堆積に次ぐ歯肉炎の初発部位とされている接合上皮に由来する細胞の分離, 培養が確立された。本実験の目的はこの接合上皮細胞における好中球走化性因子のひとつであるインターロイキン-8 (IL-8) および, 好中球由来蛋白分解酵素を阻害するsecretory leukocyte protease inhibitor (SLPI) の産生量を測定し, 歯肉角化上皮細胞 (以下; 角化上皮細胞) との性状の差異を明らかにすることである。それぞれの細胞を48穴プレートに播種し, インターロイキンー1α (IL-1α), 腫瘍壊死因子 (TNF-α) と共にそれぞれ培養した後, 上清を採取し, 上清中のIL-8およびSLPIをELISA systemにて, 測定した。結果として接合上皮細胞は無刺激およびIL-1α (0.1, 10ng/ml) 刺激下において, 角化上皮細胞よりも有意に高いIL-8産生を示した。SLPI産生量に関しても接合上皮細胞のほうがIL-1α (0.1, 1, 10ng/ml), TNF-α (100ng/ml) 刺激下において有意に高い値を示した。これらの結果は, 歯周破壊接の初発部位とされる接合上皮自体が好中球の歯肉溝への遊走を誘導し, また好中球由来蛋白分解酵素による歯周組織破壊に対して防御的に働いていることを示唆するものである。
  • 住井 浩剛
    1997 年 39 巻 1 号 p. 31-45
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 咬合性外傷による歯周組織の変化がサルの実験的歯周炎における炎症の深部波及に及ぼす影響を検索することである。実験にはニホンザル10頭を用いた。I群: 10週間外傷性咬合を与え, その後4週間外傷性咬合と炎症を合併させた。II群: 14週間外傷性咬合のみを与えた。IIIl群: 10週間プラークコントロールを行い, その後4週間炎症を惹起させた。咬合性外傷は北村の方法, すなわちサルにブラキシズムを発生させた後に, 実験歯頬側咬頭内斜面に咬頭嵌合位には変化を与えないような修復物を装着することで発現させた。炎症は歯頸部に絹糸を結紮することで惹起させた。臨床診査はプロービングデプス, クリニカルアタッチメントレベル, 動揺度について2週毎に測定を行った。各動物は実験終了時に安楽死させ, 通法に従い組織標本を作製し, 検鏡を行った。I群では, 歯間水平線維内血管の偏在と拡張がみられた。骨頂部付近の歯根膜内で血管断面数および面積の増加, 血管周囲への炎症性細胞浸潤を認めた。骨頂部には多数の破骨細胞による活発な骨吸収像がみられ, 骨髄腔は著しく拡大していた。II群では, 歯問水平線維内の血管の偏在が生じていたが, 拡張はなかった。またI群と同様に, 骨頂部付近の歯根膜内血管断面数の増加がみられた。骨髄腔の拡大も生じていたが, その程度は小さかった。III群ではI, II群のような血管の変化はみられず, 骨頂部に炎症性細胞浸潤は認められなかった。以上より, 咬合性外傷は歯間水平線維や歯根膜内の血管, および骨髄に影響を与え, 歯周組織深部への炎症波及を容易にさせることが示唆された。
  • 特にアルカリフォスファターゼ活性について
    渋川 義宏
    1997 年 39 巻 1 号 p. 46-63
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 骨再生誘導法 (GBR) における骨形成過程の特性について検索することである。実験には雑種成犬24頭を用いた。下顎第1前臼歯から第4前臼歯まで抜歯し, 4カ月後, 無歯顎部位に外科的に頬側裂開型骨欠損を作製した。実験群の各骨欠損部にe-PTFE膜を被覆し, ミニスクリューおよびシアノアクリレート系接着剤でe-PTFE膜を固定した。対照群の骨欠損部はe-PTFE膜で被覆しなかった。観察期間は術後1, 2, 4, 8, 16週とし, 組織学的検索および組織計測を行った。組織学的検索としてヘマトキシリン・エオジン重染色による観察およびアゾ色素法によるアルカリフォスファターゼ (ALP) 活性の局在について検索した。
    その結果, 術後2週の対照群では, ALP活性を示す細胞は骨欠損底部の新生骨梁周囲に限局していたが, 実験群では新生骨梁周囲, さらに肉芽組織内の紡錘形細胞にも認められ, e-PTFE膜で被覆された骨欠損内全域に観察されだO組織計測について, 相対類骨量および分画形成面率は, 術後4週で実験群は対照群に比較して高く, 有意差が認められた (p<0.05) 。骨形成量は術後4, 8, 16週において実1験群は対照群に比較して有意に多かった (p<0.05) 。
    以上の結果より, GBRにおいてe-PTFE膜を応用することは, 骨形成のためのスペースを確保し, 新生骨の成熟に必要な場を維持することが示唆された。
  • 細菌を指標とした術後の臨床変化の予知性
    栗原 千佳子, 荒木 久生
    1997 年 39 巻 1 号 p. 64-71
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    DNAプローブを用いて, 初期治療前後の歯肉縁下細菌 (A. actinomycetemcomitans, P. gingivalis, P. intermedia, F. nucleatum, T. denticola, C. rectus) を検索し, 初期治療後の歯肉縁下細菌が術後の臨床変化を予知しうるかどうかを検討した。
    成人型歯周炎と診断した患者6名から25部位を選び被験部位とした。平均PPDは6.12mmであった。歯肉縁下細菌叢は, 実験開始時とスケーリング・ルートプレーニング後4週と8週に採取した。術後14週の臨床診査の結果から, 被験部位を治療反応良好群と治療反応不良群に群分けし, 統計分析を行った。その結果, 治療反応良好群では, すべての診査時にCALの有意な増加が認められたが, 治療反応不良群では認められなかった。また, 両群間の全細菌の陽性率の比較では, 8週のT. denticolaにのみ有意差が認められた (P=0.02) 。これらの結果から, lowレベル (≦6×103cells<6×104) 以上を陽性部位として, 術後8週にT. denticolaの有無を検索すれば, 術後14週の臨床変化を予知しうる検査項目として有効であることが明らかになり, 予後診断の指標としての有用性が示唆された。
  • 元村 洋一, 荒木 久生, 申 基テツ, 宮田 隆
    1997 年 39 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 中医薬に用いられる生薬の抗菌効果が, 成人性歯周炎の局所治療に有効であるかどうかを検討することである。これまで, 生薬の抗菌効果については, 黄色ブドウ球菌などごく一部の細菌に対してのみ検討されてきた。したがって, 歯周病関連細菌などに対する生薬の抗菌効果を検討した報告はほとんどなされていない。そこで, 炎症性患者に適応されている中医薬の処方中の構成生薬より, 10種類の生薬を選択し, 抗生剤の抗菌効果の判定の標準法として用いられている微量液体培地法による抗菌効果を検討したところ, 黄連, 黄苓, 黄柏は他の生薬として比較して, 培地中の生薬濃度1mg/mlで明らかな抗菌効果を示した。
    本報告ではさらに, それら生薬の抗菌活性の背景をberberineに求め, 今回は上に黄連抽出液を薄層クロマトグラフィーによって分画し, 各分画の抗菌活性を測定したところberberine, coptisineに相当する分画の抽出液の抗菌活性を認めた。
    これらの結果より, 従来から中医学において「清熱剤」として用いられてきた抗炎症剤の構成生薬に, 抗菌活性が認められることが示唆された。
  • 宮田 隆杉, 杉本 博宣, 小林 之直, 申 基テツ, 荒木 久生, 市村 光, 大塚 秀春, 須藤 洋太郎, 池田 克已
    1997 年 39 巻 1 号 p. 77-85
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    インプラント周囲に炎症がない状態において実験的な咬合性外傷を, 骨接合型インプラントに負荷した場合のインプラント周囲組織の変化を検討した。実験動物として5頭のカニクイザル (Macaca Fascicularis) に, Friatec社から提供を受けた実験用骨接合型インプラントを埋入し, 約3ヵ月の骨接合期間を経たのち, 約100μmの過高な上部構造を装着し, 舌側から頬側へ実験的な外傷性咬合力を, それぞれ1週間から4週間負荷した。負荷期間終了後, ただちに屠殺し, 通法に従い, 灌流固定標本を作製し, インプラント周囲組織を病理組織学的に検討した。その結果, 1週~4週間外傷性咬合力を負荷したおのおののモデルにおいて, 外傷力の影響と思われるような骨吸収などは認められず, おおむね良好な骨接合が認められた。また, 3, 4週間経過モデルでは, インプラント周囲組織の歯冠側の骨や頬側外側骨膜下の周囲に旺盛な骨の新生が認められた。このような結果から, インプラント周囲組織に炎症のない環境下での, 約100μm程度の過高な咬合負荷では, その周囲組織の破壊という機転は惹起されにくく, むしろ外傷力に対する代償性の骨添加が起こる可能性が示唆された。
  • 天野 敦雄, 久保庭 雅恵, 堀江 博, 片岡 宏介, 永田 英樹, 雫石 聰
    1997 年 39 巻 1 号 p. 86-92
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯周病原性菌の歯周組織への定着, 炎症の惹起, 組織破壊と推移する辺縁性歯周炎の進行過程において, 病原性菌の存在する環境変化のひとつとして局所の急性炎症による歯周組織の温度上昇が考えられる。Porphyromonas gingivalis ATCC 33277株を39℃で培養し2℃の温度ストレスを加えると, 37℃培養に比べ菌体表層の線毛構造物の発現が著しく抑制されるとともに, ヒト全唾液被覆ハイドロキシアパタイトビーズ (HAP) へのP. gingivalisの付着能が著しく減少した。P. gingivalis線毛と特異的に結合する唾液タンパク質である高プロリンタンパク質およびスタセリンで被覆したHAPと菌体との結合も顕著な減少を示した。さらに, 本菌のStreptococcus oralisとの共凝集能も92%の減少を示した。全菌体抽出物のウエスタンブロットと歯周炎患者血清との反応バンドにおいて37℃と39℃培養菌の間に差が認められ239℃培養菌において既存バンドの濃度の減少と新しいバンドの検出が観察され2両菌体の血清との反応性には相違が認められた。以上の結果から, P. gingivalisは歯周炎の進行に伴う周囲環境の変化に対応して, その付着能や抗原性を変化させていく可能性が示唆され, 本菌の歯周ポケット内での生態の一端が推測された。
  • 生活歯および失活歯の糖タンパク質の比較
    江田 昌弘, 鈴木 邦治, 前野 正夫, 鈴木 直人, 伊藤 公一, 大塚 吉兵衛, 村井 正大
    1997 年 39 巻 1 号 p. 93-103
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ヒト生活歯および失活歯から象牙質タンパク質を抽出し, 主に糖タンパク質の糖鎖成分を比較検討した。タンパク質の抽出は, グアニジン塩酸塩 (G1-ext), EDTA (E-ext) およびグアニジン塩酸塩 (G2-ext) を順次用いて行った。抽出タンパク質をSDS-PAGEで分離し, 銀, Stains-all, およびローダミンBで染色した。ついで, 各抽出画分の糖鎖をビオチン標識の各種レクチンを用いてウェスタンブロッティング法によって調べた。抽出タンパク質の総量は生活歯の方が多く, 各抽出画分では生活歯, 失活歯ともにE-extが最も多く, ついでG2-extであった。糖タンパク質の大部分はE-extに認められ, 生活歯と失活歯とを比較すると, 糖鎖にSiaα 2-6 Gal, Fucα 1-3 GlcNAc, Fucα 1-6 GlcNAcおよびGalβ 1-4 GlcNAcを含む分子量の異なる糖タンバク質が生活歯の方に種類, 量ともに多く認められた。
  • とくにpH, 酸化還元電位, 遊離有効塩素濃度, 殺菌効果について
    嶋田 浩一, 五十嵐 建夫, 海老原 直樹, 川本 和弘, 吉沼 直人, 郷家 英二, 伊藤 公一, 村井 正大
    1997 年 39 巻 1 号 p. 104-112
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    近年, NaClとHClを添加した水を電解して得られるソフト酸化水 (SOW) が, 口腔微生物に対する殺菌効果を有することから, SOWの化学的プラークコントロール剤としての有用性が検討されている。化学的プラークコントロール剤として使用した場合, 使用時までの保管による性質の変化, および口腔内で使用した場合の唾液との接触による性質の変化が考えられる。そこで, SOWを1) 遮光密閉容器, 4℃, 2) 遮光密閉容器, 室温, 3) 密閉容器, 室温の3条件で保管した場合の経時的変化および唾液と接触した場合の変化をpH, 酸化還元電位 (ORP), 遊離有効塩素濃度, 殺菌効果について検討した。
    さらに, 強酸化水 (HOW) についても同様に検討した。SOW, HOWともに, pH, ORP, 遊離有効塩素濃度において, 遮光密閉容器, 4℃で保管した場合が最も少ない経時的変化を示した。殺菌効果においては, SOWでの経時的変化はなかったが, HOWでは経時的に低下した。唾液を添加した場合は, 唾液添加量の増加にしたがって, pH, ORP, 遊離有効塩素濃度は変化した。殺菌効果においては, SOWでの変化はなかったが, HOWでは低下が認められた。
    結論として, SOWおよびHOW共に, 最も変化の少ない保管条件は, 遮光密閉容器, 4℃で保管した場合であった。唾液と接触した場合においては, HOWと比較してSOWは殺菌効果を維持する可能
  • 葛城 啓彰, 大森 みさき, 富井 伸之, 岡村 勝文, 長谷川 明, 斎藤 和子
    1997 年 39 巻 1 号 p. 113-120
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    喫煙が歯周疾患において歯周組織局所に与える影響を検討するため, 喫煙車度歯周炎患者 (男性, 22名, 平均年齢50.8±8.6歳) および非喫煙重度歯周炎患者 (男性, 11名, 平均年齢52.6±11.9歳) より, 歯周外科手術時に歯肉組織片を採取し, 凍結連続切片およびパラフィン連続切片を作成しモノクローナル抗体を用いABC法により免疫組織化学的に検討した。
    歯肉結合組織における血管内皮細胞の3種類の接着分子, ICAM-1, CD62e, CD62Pの発現について検討した結果, 喫煙・非喫煙歯周炎患者間では, 差異が認められなかったが, いずれの患者群でもCD62pを強く発現しており, 歯周組織局所での活動性炎症の存在が示唆された。また, 喫煙重度歯周炎患者では, 歯肉上皮内への炎症性細胞浸潤が強く認められ, さらに, Fcεレセプター陽性組織肥満細胞が歯肉上皮および結合組織内で有意な増加が認められた。
    以上の結果より喫煙重度歯周炎患者では, 喫煙の影響により歯周組織局所の炎症性反応が修飾されている可能性が示唆された。
  • 音琴 淳一, 上條 博之, 伊藤 茂樹, 坂本 浩, 太田 紀雄, 永沢 栄, 高橋 重雄
    1997 年 39 巻 1 号 p. 121-135
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    毛束反復回転式電動歯ブラシ (電動歯ブラシ) のプラーク除去効果および使用感について手用歯ブラシとの比較を行った。被験者は健康歯肉および軽度歯肉炎と診断された成人30名 (平均年齢26.8歳) とし2群 (A, B: 15名ずつ) に分けた。両群とも実験開始1週間前に電動歯ブラシの使用法およびバス法を指導し, 同時にプラークフリーとした。7日間の通常のブラッシング後, 実験期間1において, 被験者は6日間の手用歯ブラシあるいは電動歯ブラシによるブラッシングを行い, その後1日ブラッシングを停止させ, 7日目に同じ歯ブラシによる十分なブラッシングを行い, その前後のプラーク付着量を6歯について測定した。再びプラークブリーにし, 7日間の通常のブラッシング後, 実験期間IIにおいて, 被験者は実験期間1と別の歯ブラシを用いてブラッシングを行い, その後実験期間Iと同様にプラーク付着量を測定した。また実験期間終了後, 各被験者に対しブラッシングによる軟組織への損傷の診査および各歯ブラシの使用感に関するアンケートを実施した。その結果, 1) 電動歯ブラシは手用歯ブラシと比較して各群とも歯種, 歯面 (とくに隣接面で) 共有意にプラーク除去効果に優れていた。2) 両群間における各歯ブラシの使用順序によるプラーク除去効果に差を認めなかった。3) アンケートによる電動歯ブラシの使用感も良好であり, 軟組織の損傷は実験期間中認めなかった。
    これらの結果から本電動歯ブラシのプラーク除去効果が示された。
  • 上稲葉 隆, 瀬戸 康博, 瀬戸口 尚志, 鎌田 哲郎, 和泉 雄一, 末田 武
    1997 年 39 巻 1 号 p. 136-142
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者における歯周治療の効果を知る目的で, インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) を有する歯周炎患者6名 (DM群), および全身疾患はないが成人性歯周炎を有する患者6名 (Control群) に対し歯周初期治療を行い, 糖尿病の有無による歯周治療に対する反応性を比較検討した。初診時, 初期治療終了時のO'Learyのplaque controlrecordの変化, ボケツトデプスの変化およびボケツト減少量, ボケツト測定時の出血 (BOP) の割合の変化を両群で比較検討を行った。その結果O'Learyのplaque control record, BOPの割合, ポケットデプスおよびポケット減少量は初期治療終了時に両群間で有意な差はなく, 両群共に有意な減少を示した。また, 初診時, 4~6mmの中等度のポケットデプスの部位におけるポケット減少量は糖尿病を有する患者群が, 有さない患者よりも有意に大きな値を示した。DM群の患者は内科医のコントロール下にあり, 全ての患者で糖尿病性合併症はみられず, ヘモグロビンA1cは平均7.6±13%で比較的コントロール良好な患者群であった。これらのことから, 糖尿病を有する患者でも, 比較的良好なコントロール状態では, 適切な歯周初期治療によって全身疾患を有さない患者に劣らない歯周治療効果が得られることが示唆された。
  • 八重柏 隆, 菊池 隆, 藤本 淳, 矢菅 隆利, 西尾 俊彦, 阿部 仰一, 梁川 輝行, 熊谷 敦史
    1997 年 39 巻 1 号 p. 143-146
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周外科手術は各種のストレスを患者に与えていると考えられるが, その実態は不明である。そこで歯周外科手術の術前と術中の血圧, 心拍数, 心拍出量などの循環動態の変動をストレスの影響の1つとしてとらえ実態解析を試みた。歯周外科手術103例の分析の結果, 心拍数を除いた, 収縮期血圧, 拡張期血圧, 心筋負荷指数, 1回拍出量, 心拍出量はいずれも有意に変動した (p<0.05) 。各症例における心筋負荷指数の最大値は手術開始直後に出現する頻度が高かった。歯周外科時に循環動態は実際に変動しており, ストレスの存在が示唆された。
  • 加藤 熈
    1997 年 39 巻 1 号 p. S1-S9
    発行日: 1997/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平成8年3月末に「歯周病の診断と治療のガイドライン」が発表され, 4月1日に社会保険診療報酬が改訂されて, 社会保険診療においてはこのガイドラインに基づいた新しい歯周治療の体系に従って歯周病の治療を行うことになった。ガイドラインの作成にあたっては日本歯周病学会が大きな役割を果たしたが, 国民皆保険である日本では, 保険診療の治療体系が実際の歯周治療に大きな影響を与え, 日本歯周病学会会員も大きな影響を受けることになった。そこで日本歯周病学会の編集委員会 (野口俊英委員長) から医療委員長としてガイドライン作成に参加した私に対し, 学会会員に新しいガイドラインについて正しい情報が伝わるよう学会の立場から解説を加えるようにと原稿依頼があった。私も学会会員の皆様が歯周治療を行う上でまた今後さらに保険診療における歯周治療の体系を改善していく上で少しでもお役に立てばと考え, 今回の「歯周病の診断と治療のガイドライン」の作成の背景や過程及びガイドラインの特徴さらに今後の問題点などについて整理し紹介することとした。
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