日本歯周病学会会誌
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40 巻, 2 号
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  • -上皮下結合組織移植術を用いて-
    松村 彰子, 小延 裕之, 仲谷 寛, 鴨井 久一
    1998 年 40 巻 2 号 p. 151-161
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉退縮による審美障害を主訴として来院した患者10名 (男性3名, 女性7名) の42部位を対象に, 上皮下結合組織移植術により根面被覆を行った。術前に, 退縮の深さおよび幅, アタッチメントレベル, 角化歯肉の幅の臨床診査を行った。臨床所見ならびに術後6カ月の臨床パラメーターの推移を統計学的に検索した。また, 上皮下結合組織移植術後の治癒形態を知る目的でイヌを用い, 下顎左右第2, 3, 4前臼歯部に上皮下結合組織移植術, または遊離歯肉移植術を行い病理組織学的に観察し, 以下の結論を得た。
    1) 露出根面の被覆率 (術前のVR一術後のVR) /術前のVR×100 (%) は, 全体で73.95±32.27%であった。
    2) 歯種別では, 上顎が下顎に比べて有意に高い根面被覆率を示した。また, 前歯部が臼歯部に比べ根面被覆率が高かった。
    3) 歯肉退縮の幅における根面被覆率は有意差が認められず, 歯肉退宿の深さにおける根面被覆率では有意差が認められた。
    4) イヌにおける上皮下結合組織移植術後の治癒形態は, 遊離歯肉移植術後と同様の長い上皮性の付着が見られた。以上より, 歯肉退縮のある露出根面に対する上皮下結合組織移植術は, 移植片を骨膜と歯肉弁とで挟み込むことができるため, 生着および根面被覆に有効であった。また, 本術式は供給側が閉鎖創となるため, 術後の痺痛が少なく, 日常臨床に有効な方法であることが示唆された。
  • 小宮 明代
    1998 年 40 巻 2 号 p. 162-174
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    チェアーサイドで簡単に迅速に使用可能な簡便DNAプローブ法を開発し, 歯周炎局所のPorphyromonas gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans の検出率およびprobing depth (PD), bleeding on probing (BOP) の臨床評価との関連性により臨床応用の可能性を検討した。
    本法の特色は, チェアーサイドで行うことを目標とし, ハイブリダイゼーションおよび洗浄を行う際に可及的に恒温槽を使用しないですませられるよう工夫した。したがって, 100℃ 加熱DNAプローブを試料DNAと直接10分間反応させ温度が自然に下降しアニーリングする様にした。また75℃ 0.2×SSC/0.1% SDSで洗浄効率を高めた。操作は24-well plate上で約2時間で終了し検出限界は細菌数104個/試料であった。
    被験者は歯周炎患者55名 (14~69歳) 468部位とし, 初期治療後, 9名58部位の歯周ポケットを検索した。培養法との一致率はP. gingivalis 88%, A. actinomycetemcomitans 67%であった。P. gingivalis検出率とPDおよびBOPの間に有意な関連性が認められた (x2 test: p<0.001)。A. actinomycetemcomitans検出率とPDとの有意な関連性は35歳以上で認められたが (x2 test: p<0.001), BOPとの有意な関連性はなかった。A. actinomycetemcomitansは10歳代で最も高頻度で検出された。10歳代PD 3mm以下の症例でP. gingivalisは検出されなかったが, A. actinomycetemcomitansは22%に認められた。P. gingivalisの検出率は臨床症状改善部位のみで有意に減少し (x2 test: p<0.01), A. actinomycetemcomitansは治療後有意には減少しなかった。
    本簡便DNAプローブ法は, 迅速診断, 歯周治療法の選択, 細菌学的な治療効果判定のチェアーサイドテストとして臨床的に有効であると示唆された。
  • 大崎 忠夫, 清信 浩一, 鴨井 久一
    1998 年 40 巻 2 号 p. 175-187
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人性歯周炎患者の歯肉溝滲出液 (Gingival crevicular fluid: 以下GCF) における多形核白血球Polymorphonuclear leukocytes: 以下PMNs) の貪食能および貪食能に関わる表面レセプターであるFcγR (III, CR3の発現量について, 健常者との比較検討を行った。成人性歯周炎患者および健常者, 各10名の協力を得, 同一被験者より末梢血中多形核白血球, 歯肉溝滲出液中多形核白血球 (以下それぞれPB-PMNs, GC. PMNs) を採取し, その後, 貪食能 (貪食率および貪食度), レセプター発現量について検索を行った。また, GCFがPMNsの機能に影響を与えていることが考えられることから, 各被験者GCF上清にてPB-PMNsをインキュベートして, 同様に検索を行った (HBSS-CMFでインキュベートしたものをコントロール群とした) 。その結果, 患者群, 健常者群ともにPB-PMNsよりもGC-PMNsにおいて貪食率および貪食度の低下がみられ, FcγR IIIの発現量の減少, CR3の発現量の増加が認められた。患者群のGC-PMNsでは, 健常者群に比較して貪食度の有意な低下がみられ, FcγR IIIの発現量は減少傾向を示した。GCF上清で刺激したPB-PMNsは, コントロール群に比較して, 貪食能およびFcγR IIIの発現量に有意差を認めなかったが, CR3の発現量の有意な増加が認められた。以上の結果から, 成人性歯周炎患者のGC-PMNsでは, 健常者に比較して異物の取り込み能力の一部が低下していることが考えられるが, その原因としてGCFが関与している可能性は少ないことが示唆された。
  • 長谷川 郁夫
    1998 年 40 巻 2 号 p. 188-197
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜は種々の病因により, 機能的あるいは形態的な変化に続き, その防御機構が破壊される。本研究は炎症性サイトカイン刺激による培養ヒト歯肉上皮細胞の細胞骨格や細胞膜裏打ち蛋白の変化を検索することを目的としたものである。ヒト歯肉上皮細胞は臨床的に健康な歯肉より採取し, 炎症性サイトカイン刺激としてInterleukin-1β (IL-1β) を用いた。光顕的観察では刺激群は対照群と比較し, 細胞間隙の軽度のの大を認めた以外に顕著な変化を示さなかったが, その超微形態的観察では細胞は扁平化し, 細胞間隙のの大, 細胞突起の変性および消失を認めた。さらに, 対照群ではアクチンフィラメントは細胞質内を縦横に走行していたが, 刺激群では凝集や束状配列を示し, ストレスファイバーとしての形態を喪失していた。また, 細胞膜裏打ち蛋白であるVinculinとFAK (Focal adhesion kinase) は, 刺激群ではいずれもその発現量が減弱あるいは消失していた。加えて, Vinculin, FAKの抗体を用いた免疫組織化学検索では, 対照群では細胞膜に一致した分布を示したが・刺激群ではそれらの蛋白は細胞膜部での分布を示さず, 核周辺の細胞質にビマン性の分布を示した。以上の結果より, IL-1β 刺激によって歯肉上皮は細胞膜裏打ち蛋白やアクチンフィラメントの形態的変化を引き起こし, 細胞突起の消失や細胞間隙のの大をもたらし, 正常の生理的上皮機能から逸脱する可能性が示唆された。
  • Masaaki Iwamoto, Yoshitaka Hara, Yasuo Ikeda, Takashi Kaneko, Atsutosh ...
    1998 年 40 巻 2 号 p. 198-207
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus actinomycetemcomitans Y 4とPorphyromonas gingivalis 381のLPSがラット歯肉溝を通過して起こる歯周組織の変化を明らかにすることを目的として本研究を行った。付着上皮および結合組織に傷害を与えないように, A. actinomycetemcomitansまたはP. gingivalisのLPSの溶液 (5mg/ml) をラットの第一臼歯の舌側歯肉溝に24時間おきに30分間滴下した。滴下1回, 3回, 7回, 10回そして15回後にラットを屠殺し, 病理組織学的および組織形態学的に観察し各LPSによる影響を比較した。その結果, 各LPS滴下群 (それぞれn=25) で炎症が観察されたが, 特にA. actinomycetemcomitans LPS滴下群に強い炎症と歯周組織の変性が認められた。結合組織性付着の喪失と上皮脚の延長もA. actinomycetemcomitans LPS滴下群の方が強かった。接合上皮と上皮下結合組織の変性は1回, 3回投与群に観察され, 7回, 10回滴下群では上皮細胞とコラーゲン線維が根表面から剥離していた。上皮脚は歯槽骨頂に向かって延長し, 上皮の剥離は根尖側に広がっていた。またA. actinomycetemcomitans LPS 15回滴下群の一部の歯槽骨頂部には破骨細胞性骨吸収が観察された。これらの結果からA. actinomycetemcomitans LPSはP. gingivalis LPSよりも歯周組織破壊に対する影響が強いことが示唆された。
  • 長田 豊, 的場 一成
    1998 年 40 巻 2 号 p. 208-214
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    超音波を応用した歯間ブラシを試作し, 表面性状の異なる2種類のアクリル製のプレート上に塗布した人工プラークの除去効果を通常の手用歯間ブラシと比較した。超音波歯間ブラシは, 超音波スケーラーのハンドピースのチップに高強度ワイヤー歯間ブラシを装着したものを試作し, 通常型手用歯間ブラシは試作超音波歯間ブラシと同じ規格の歯間ブラシを専用のホルダーに装着して使用した。また, 糊と絵の具を調合して人工プラークを作り, アクリルプレートの表面に塗布した。アクリルプレートの間隙が3mmになるように2枚重ねた歯間部モデルを作製した。上記の2種類の歯間ブラシをプレート間の隙間に挿入し, 表面粗さの異なる2種類のプレートについて操作時間と超音波スケーラーの出力を変化させ人工プラークの除去操作を行った。評価法は, 除去後のプレートをイメージスキャナーでグレースケールのデジタル画像としてコンピューターに取り込み, 画像解析用ソフトを用いて人工プラークが除去された範囲の濃淡 (グレー値) を測定することにより行った。結果は, 通常型手用歯間ブラシを使用して人工プラークを除去したプレート面のグレー値に比べ, 試作超音波歯間ブラシを使用した場合のグレー値は装置の出力, 操作時間および表面粗さにかかわらず有意に低い値を示した。これらの結果から, 今回試作した超音波歯間ブラシは通常型手用歯間ブラシよりも除去効果に優れ, 臨床応用への可能性が示唆された。
  • 尾崎 幸生, 國松 和司, 田尻 公一, 原 宜興, 加藤 伊八
    1998 年 40 巻 2 号 p. 215-225
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    宿主免疫機構に関与するランゲルハンス細胞 (LC) のニフェジピン (NF) 歯肉増殖症における役割を調べる目的で, NF誘発性歯肉増殖症患者 (NF-responders, R群), NF非感受性歯周炎患者 (NR群), プラークに起因する増殖性歯肉炎患者 (ND群) および全身疾患を持たない臨床的健康歯肉保有患者 (Ctrl群) から得られた歯肉組織中に存在するLCの上皮内分布ならびに存在密度を抗S-100蛋白抗体を用いて検索し, 比較検討した。各群からそれぞれ5名ずつ被検者を任意に選択し, 患者から同意を得た上で歯周外科時あるいは抜歯時に試料を採取してパラフィン包埋連続切片を作製した。これらの切片にウサギ抗S-100蛋白ポリクローナル抗体を用いて免疫染色を施し, 歯肉上皮内におけるS-100蛋白陽性細胞の組織学的検索を行った。なお, 計測時に全S-100蛋白陽性細胞数から連続切片におけるシュモール染色陽性細胞数を差し引いたものをS-100蛋白陽性LC数とした。その結果, S-100蛋白陽性細胞は, 各群の歯肉上皮の基底層から有棘層にかけて散在性に存在していた。なかでも, 歯肉上皮の単位面積あたりに存在する総上皮細胞に対するLCの百分率はR群>ND群>NR群>Ctrl群の順に高く, R群とND群, R群とNR群, ND群とNR群, R群とCtrl群, およびND群とCtrl群との間にそれぞれp<0.05, p<0.01, p<0.05, p<0.01およびp<0.05で有意差を認めた。なお, NR群とCtrl群との間には有意差は認められなかった。また, 歯肉上皮をLCに富んだ領域と少ない領域に分けた場合, LCが多く集積する上皮直下の結合組織中にCD3陽性細胞が多数浸潤する傾向がみられた。この傾向は, 特にR群において顕著であった。さらに, 結合組織を炎症性細胞浸潤密度の高い領域と低い領域に分け, その直上の上皮内におけるLCの出現頻度を比較すると, ND群でのみ有意な差がみられた (p<0.05)。また, 炎症性細胞浸潤密度の低い領域におけるR群のLCの比率は, 他群に比べて有意に高い値を示した (p<0.01)。以上より, NF歯肉増殖症では口腔上皮内にLCが有意に増加し, またその上皮直下結合組織に多くのCD3陽性細胞が浸潤していることから, 本疾患においてこれらの細胞の果たす役割が増強されている可能性が示唆された。しかし, 炎症性細胞浸潤の程度とLCの分布との関連を明らかにすることはできなかった。
  • 鈴木 丈一郎, 谷 陽子, 木暮 隆子, 山本 章代, 荒瀬 誠, 渡辺 孝章, 新井 高, 山根 幸恵, 松本 仁
    1998 年 40 巻 2 号 p. 226-232
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    今までブラッシングマシーンは主に歯磨剤の歯や歯冠修復材料の摩耗性に関する基礎的研究に用いられてきた。その運動の大部分は水平運動と振動であり, しかも実際のブラッシング法とは必ずしも一致していない。そこで今回我々は, 最近開発したブラツシングマシーンの再現性について, まずスクラッビング法のプラーク除去効果をもとに比較検討した。
    ブラッシングシミュレーターに入力するデータを得る目的で, 本学保存科医局員10名を被験者とし, 2種の試作歯ブラシ (AおよびB) を用い, 著者らの方法に準じ, 臨床実験を行った。 得られたデータをブラッシングシミュレーターに入力し, 顎模型® (D15 D-500H, (株) ニッシン, 京都) 上で上顎左側中切歯部に人工の染色剤を塗布し, ブラッシングシミュレーター上で, 臨床実験と同じ試作歯ブラシを用いブラッシングを行わせ, 同様にプラーク除去率を算出した。 プラーク除去率は, Aの歯ブラシでは臨床実験上77.9±19.4%, ブラッシングシミュレーター上92.1±4.2%であり, Bの歯ブラシでは同様に92.4±18.0%, 90.4±3.4%であった。 以上の結果より, 今回のブラッシングシミュレーターは, ブラッシング圧の規定, 入力範囲の設定などを考慮すれば, 再現性は期待でき, ブラッシングマシーンとしての有用性はあると考えられる。
  • 牧野 文子, 瀬戸口 尚志, 和泉 雄一, 末田 武
    1998 年 40 巻 2 号 p. 233-239
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患患者において歯ブラシの植毛部の形態の違いが隣接面部のプラーク除去効果に及ぼす影響を調べるため, 2種類の歯ブラシ (ストレートカット歯ブラシ, 山切りカット歯ブラシ) を試作し検討した。成人性歯周炎と診断され歯周治療を終了した, メインテナンス中の患者34名 (男性8名, 女性26名) を被験者とし, 山切りカット歯ブラシ群, ストレートカット歯ブラシ群, ストレートカット歯ブラシと歯間ブラシ併用群の3群に分け, 各ブラシを3週間使用させた。ブラッシング法や回数などは特に規定しなかった。プラーク付着量を実験開始時から1週毎に3週調べた。また, 実験開始時および終了時にProbing Depth, Gingival Index, Bleed -ingonProbingを測定した。その結果, 山切りカット歯ブラシは, ストレートカット歯ブラシに比べて, 有意に隣接面のプラーク除去に対して効果的であったが, 歯間ブラシ併用程の効果はなかった。また, この山切りカット歯ブラシは歯間空隙の大きな部位に比べ, 小さな部位において効果が高かった。
  • 下島 孝裕, 市村 光, 大塚 秀春, 須藤 洋太郎, 宮田 隆, 池田 克已, 岩崎 直弥, 松村 彰子, 神田 善姫, 山蔦 佐和, 高 ...
    1998 年 40 巻 2 号 p. 240-253
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ブラッシング方法および術直後の創傷面を考慮し, 歯ブラシのヘッドとネック部形態, さらには毛丈と毛束配列に特長を有する新規歯ブラシによる術直後のブラッシングがもたらす影響について, これを術後に生じる歯肉の炎症改善効果およびプラーク除去効果の観点から検討を行った。被験者は, 少なくとも2ブロック以上の部位で歯周外科処置が必要と判断された成人性歯周炎患者40名 (男性14名, 女性26名, 49.0±9.6歳) で, 術後の歯周パックの有無によりこれを2つのグループ (グループA: 歯周パックを行った群, グループB: 歯周パックを行わなかった群) に層別した。試験は, 同一患者の口腔内において歯周外科処置を施した2部位をそれぞれ無作為に試験歯ブラシと殺菌剤配合リンス剤を併用する群 (試験歯ブラシ) および殺菌剤配合リンス剤のみを用いる群 (対照群) に分け, それぞれ異なった時期にこれを実施するクロスオーバー試験とした。試験期間は15日間とし試験開始時 (グループA: 術後1週間後の抜糸時, グループB: 術後翌日). 7日後 (day 7) および15日後 (day 15) の歯肉の炎症とプラークの沈着状態を比較検討するとともに, 試験歯ブラシによる為害作用および使用感についても診査した。
    グループA (歯周パックを行った群) における試験歯ブラシ群の経日的な歯肉の発赤および腫脹は, 対照群のそれと比較して低い傾向を示し, day 15で両群問に統計学的な有意差が認められた (発赤: p<0.01, 腫脹: p<0.05)。この傾向はグループB (歯周パックを行わなかった群) においても同様に観察され, またday 7およびday 15のGIスコアは, 試験歯ブラシ群で有意な改善を示した (p<0.05)。他方, プラーク除去効果をPCRスコアを介して評価した結果, グループAおよびグループBのいずれにおいても, 試験歯ブラシ群は明らかな減少を示したのに対して, 対照群では試験期間を通じて大きな変化を認めなかった。また, 試験歯ブラシによる歯周組織の損傷は認められなかった。これらの結果は, 術後早期のプラークコントロールとして殺菌剤配合リンス剤による洗口と目的に応じた歯ブラシによるブラッシングを併用することが, 歯肉炎症の速やかな改善とプラーク除去を図るうえでより効果的な方法であることを示唆している。
  • 吉田 晶子, 鴨井 久博, 斎藤 泰子, 納富 泰行, 宇野 文重, 長内 麻子, 大崎 忠夫, 玉澤 修, 佐藤 聡, 鴨井 久一
    1998 年 40 巻 2 号 p. 254-261
    発行日: 1998/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Periodontalscreeningandrecording (以下PSR) を用いて検診時の歯周病罹患状態をスクリーニングし, アンケート調査により得られた歯周病に対する自己評価との関係について検討を行った。研究は, 某製作所に勤務する者100名 (男74名, 女26名, 平均年齢49.1歳) を対象とした。PSRの測定では, 口腔内を6分割 し診査を行い, それぞれの部位における診査結果を5段階のcodeに分類した。さらにプラークの付着状態をPlaque control record (以下PCR) を用い測定を行った。また, アンケートは, 歯周病関連の症状, 歯周病の指摘を受けたことの有無, 歯周病に対する理解度, ブラッシングの頻度および時間, スケーリングを受けた既往などについて調査を行った。統計的検索は, PSRのcodeとPCRおよびアンケート項目についてx2検定, F検定を用いて行った。PSR全体では, code3を示す部位が多く認められた。さらにPCRの結果においてもcode3, code4で高い値を示し, code1との間に統計的有意差が認められた (p<0.05) 。アンケートの結果では, codeが高くなるに従い, 歯周病関連の症状の有無の割合が高くなる傾向が見られた (p<0.01, p<0.05) 。以上のことよりPSRを用いた歯周病罹患状態の評価が可能であり, アンケート調査との併用が集団的歯周病の早期発見, 早期治療, 患者管理に役立つと思われる。
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