日本歯周病学会会誌
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43 巻, 3 号
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  • 小西 秀和, 川浪 雅光, 加藤 熈
    2001 年 43 巻 3 号 p. 339-
    発行日: 2001年
    公開日: 2021/11/22
    ジャーナル フリー
    p.277、図16が誤っていたため、修正いたしました。
  • 村井 正大
    2001 年 43 巻 3 号 p. 197-203
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    口腔清掃について, 我が国で歯磨 (粉) が売りだされたのは1643年で歯を白くし口中のあしき匂いをさるという目的であったという1) 。1713年, 発刊の養生訓2) では洗口について, 食後には湯茶で口中を数回すすぐがよい…, 夜は温かな塩茶をもって口をすすぐがよい, 歯根が丈夫になる… と記している。
    歯周病について口腔清掃が必要であると感じ初めたのは1860年代で, Witzelが微生物が関与していると報告したのは, 1880年はじめであるとされている3)
    それが明確になったのは1965年, Löらが発表した実験的歯肉炎の論文4) であろう。すなわち, 健康な歯肉をもつ被験者にブラッシングを中止させると日を追ってプラークが増加し, それと並行して歯肉に炎症が起こり進行していくが, ブラッシングを再開させるとプラークが減少し歯肉の炎症も改善され, もとの健康歯肉に戻ることを証明したものである。次いで, 1966年Theiladeら5) がプラークと歯肉炎との因果関係を明らかにした。1970年以降, 細菌学的研究が進歩するにつれて, 健康部位と罹患部のプラーク中の細菌叢が異なり歯周病の病型によって, その型特有の細菌叢が発症に関与することが明らかになってきた6)
    現在, 歯周病は口腔内歯周病原性細菌による感染症として位置づけられ, 歯周病の予防あるいは歯周治療の基本として, その原因となる細菌性プラークを除去し, その状態を維持していくことを目的とした歯肉縁上および縁下プラークのコントロールに重点が置かれている。
    その方法としては機械的方法と化学的方法とがあり, 機械的方法としては歯ブラシや補助的清掃用具による歯肉縁上のプラークの除去, さらに広義には歯肉縁上・縁下のスケーリング・ルートプレーニングが含まれる。一方, 化学的方法には抗菌洗口 (含嗽) 剤による洗口および歯周ポケット内の洗浄や抗菌剤などの経口投与などがある。両者を比較すると機械的方法が化学的方法に比して, プラーク除去が高く, 適切に行われていれば歯周病の発症を予防し, 歯周組織が長期にわたり良好な状態に維持しうることが確認されている。しかしながら, 機械的方法, とくにブラッシングのみでは完壁にプラークを除去することが難しく, 必ずしも十分なプラークコントロールが得られないこと, 歯ブラシと併用する歯間ブラシ, トウースピックなど歯間清掃用具を使用することを推奨7) しているが, ブラッシング時間が長くなるなどの理由で治療中は別として, あるいは一般の人は日をおうごとに使用しなくなってしまう傾向がある。このような背景から抗菌剤, 酵素剤, 消毒剤などの水溶液を用いた洗口による化学的プラークコントロールの導入が機械的方法を補うものとして推奨されている。
    洗口に用いる溶液は, 含漱剤あるいは洗口剤と呼称されているが, 通常, 定義はあいまいに使われている。日本歯科用薬品集によると含嗽剤とは口腔内および咽喉内を洗浄し, 清掃, 殺菌, 除臭, 収劍, 止痛の目的で使用する薬剤, いわゆる「うがい薬」をいうが, 歯科領域では口腔粘膜や歯を対象とすることが多く洗口剤とも称しているようである8)
    ここでは現在, 歯肉縁上プラークの抑制効果の高いといわれている抗菌性洗口剤 (表1) を中心にふれてみたい。
  • 中村 貴文, 長谷川 明
    2001 年 43 巻 3 号 p. 204-216
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉厚さは歯周疾患の治癒過程および歯肉退縮, 歯肉の炎症の拡大に影響を与えると考えられる。歯肉厚さを把握することは, 歯周疾患の診断を行い適切な治療方針を決定することができ, 治療の予後を想定する上で重要である。本研究は非観血的に, かつ容易に歯肉厚径を得ることができる超音波粘膜厚さ計測装置SDM™(Krupp社, ドイツ) (以下SDM) を応用し, 予備実験では, SDMを用いて歯肉厚さを測定し, その データの再現性および信頼性を検討した。次いでSDMにて臨床的正常歯肉を有する歯肉厚さを計測し, 平均的な歯肉厚さをもとに, 歯肉の薄い場合と厚い場合に分類した。そしてその分類をもとに歯周疾患患者において初期治療による歯肉厚さ, および臨床的パラメータの変化を検討し, さらに組織学的に検討した。その結果, 次のような結論を得た。
    1. SDM法による測定値は, 他の測定法と比較し, 安全で信頼性が高く臨床応用が可能である。
    2. SDM法による臨床的正常歯肉の厚さは, 平均0.92±0.42mmであった。
    3. 歯肉が薄い場合 (SDM値1.4mm未満群), 炎症の消退は早く, PD, CALの改善が著明であるが歯肉退縮を引き起しやすい。また, 歯肉が厚い場合 (SDM値1.4mm以上群), 炎症の消退は遅く, PD, CALの改善もしにくい。
    4. 歯肉厚さの違いによる組織学的検討の結果, 角質層・上皮の厚さは, 歯肉が厚くなるに従い, 厚くなり, 結合組織の占める割合も大きくなる。
    以上より, SDMを用いた歯肉厚さの測定は臨床的に有用性が示唆された。また, 歯肉厚さの違いにより, 臨床的パラメータの違いと組織学的な違いを認めた。
  • 田村 太一
    2001 年 43 巻 3 号 p. 217-226
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    細胞外基質 (ECM) は細胞の分化, 増殖, 遊走などの細胞機能を制御することにより, 歯周炎の進行や治癒において重要な役割を演じていると考えられている。そこで今回, 3種のECM, osteopontin (OP), laminin (LM), fibronectin (FN) がヒト歯肉上皮細胞 (HGE) の接着, 増殖, 遊走, 接着斑構成タンパク質であるfocal adhesion kinase (FAK) およびpaxillinの発現およびそのチロシンリン酸化に及ぼす作用を比較検討した。HGEを各ECMでコートした培養ディッシュ上で培養したところ, FN上では細胞接着と遊走が, OP上では細胞増殖が有意に促進され, LM上では細胞遊走が抑制傾向を示していた。また, FAKとpaxillinの発現はECM上で増加する傾向を示し, 上にFN上ではFAKとpaxillinが, OP上ではFAKが顕著に発現促進されていた。また, FAKのチロシンリン酸化はFN上で, 一方paxillinのチロシンリン酸化はLM上およびFN上で著しく促進されていた。本研究の結果は, FNとOPはそれぞれHGEの細胞接着と遊走あるいは細胞増殖を促進することにより, 歯周ポケット形成や歯周炎の治癒において重要な役割を担っている可能性があること, またFNの細胞機能促進作用には接着斑構成タンパク質のチロシンリン酸化が関与している可能性があることを示唆している。
  • 牧草 一人, 戸田 伊紀, 諏訪 文彦
    2001 年 43 巻 3 号 p. 227-239
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, ヒトに近似する顎骨形態と咀嚼様式を有するニホンザル下顎骨骨膜の微細血管構築の詳細な観察を行い, 骨膜血管網の形態と周囲組織の特性との関係を検索した。アクリル樹脂微細血管注入法により微細血管鋳型標本を作製して, 走査電顕にて観察し, さらに連続組織切片標本を作製して, 光顕にて観察した。
    その結果歯肉部では, 一般に豊富な血管と細胞が存在するとされる深層骨膜血管網は認められなかった。歯槽粘膜部では毛細血管網からなる細かい網目の深層骨膜血管網と, 粗く不規則な静脈性毛細血管網からなる浅層骨膜血管網の二層構造をしており, 特に深層骨膜血管網は歯槽部の骨表面上において歯肉部と歯槽粘膜部との骨膜血管網の形態が明らかに異なり, 粘膜組織の特性が骨膜血管網にまで強く反映していた。さらに, 歯槽粘膜部の深層骨膜血管網は, 骨の凹凸に対応して血管形態と分布状態に差異が認められた。骨体部では, 深層骨膜血管網が歯槽粘膜部より粗い網目を形成し, 大きな貫通管を通る導出静脈の存在が認められた。骨側からの観察においても, 歯肉歯槽粘膜境および歯槽部一骨体部の境界は, 骨膜血管網の血管構築の違いから明瞭に位置を確認できた。
    以上の観察結果から, 下顎骨骨膜血管網は歯肉部, 歯槽粘膜部, 骨体部でそれぞれ周囲組織の組織特性を反映して異なった形態をしていた。特に歯肉部は, 発達した粘膜固有層の存在により深層骨膜血管網が存在しないため, 歯槽骨や歯根膜との連携を密接にして組織の恒常性を維持していると考えられた。
  • 稲垣 覚
    2001 年 43 巻 3 号 p. 240-250
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Porpromoms gingivalisは成人性歯周炎や急速進行性歯周炎の発症や進行に深く関わっていることが明らかにされている。本菌の産生するシステインプロテアーゼであるArg-gingipain (RgP) は組織破壊のほか, 赤血球凝集能や本菌の線毛形成に重要な役割を果たしていると考えられている。本研究の目的はRgp Aの各機能ドメインに対する歯周炎患者の血清IgG産生について解析することにある。 RgpAのコンポーネントの組換えタンパク, (1) r-Rgp CAT, (2) r-Rgp 44, (3) r-Rgps 15-27, (それぞれRgpAのアミノ酸配列の (1) 228-719, (1) 720-1136, (3) 1137-1704) を作製し, これらに対する血清IgG抗体反応をELISAによって成人性歯周炎 (AP), 早期発症型歯周炎 (EOP) 患者と健常者の問で比較した。 P. gingivalis全菌体抗原, r-Rgp 44, r-Rgps 15-27に対する血清抗体価はAP群, EOP群ともに健常者群に比較して有意に高い値を示した (P<0.0001)。しかし, r-RgP CATに対する抗体価はEOP群においては健常者群に比較して有意に高い値を示した (P<0.0001) が, AP群においては健常者群との間に有意差は認められなかった。以上の結果より, 成人性歯周炎患者ではRgp Aのcatalytic domainに対して抗体が産生されにくいことが示唆された。
  • 松村 道子, 大崎 忠夫, 沼部 幸博, 鴨井 久一
    2001 年 43 巻 3 号 p. 251-259
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人性歯周炎患者の歯周炎罹患部位および健常者歯肉における, それぞれの歯肉溝滲出液中の多形核白血球 (以下GC-PMNs) の細胞死に関して, アポトーシスの形をとるものが, どの程度占めているかについて検索した。成人性歯周炎患者および健常者各5名の協力を得, 各被験者よりGGPMNsを採取した。また, 歯肉溝滲出液 (以下GCF) 成分による末梢血多形核白血球 (以下PB-PMNs) の細胞死への影響について検索するため, PB-PMNsを健常者より採取, GCF上清により刺激した。GCF上清は, 健常者歯肉より採取したもの以下H-GCF群), 歯周炎罹患部位より採取したもの (以下AP-GCF群) を用いた。解析は, アポトーシス細 (胞, ネクローシス細胞の検出試薬として, FITC標識annexinV, Propidium iodideを用いて, フローサイトメトリー, および共焦点レーザー走査顕微鏡により行った。その結果, 健常者群GC-PMNsにおけるアポトーシス細胞およびネクローシス細胞の比率が, それぞれ3.25±1.86%, 3.52±3.4%であるのに対して, 患者群GC-PMNsでは, それぞれ19.48±2.4%, 16.79±4.8%で, ともに健常者群に比較して患者群でアポトーシス細胞およびネクローシス細胞の比率が有意に高く認められた。生細胞の比率は健常者群に比較して患者群で有意に低かった。また, GCF刺激によるPB-PMNsのアポトーシス細胞の比率は, H-GCF群 (1.59±0.57%) に対してコントロール群 (3.87±1.1%), AP-GCF群 (3.12±0.87%) でそれぞれ有意に高く認められた。以上の結果より, 歯周炎罹患部位では, 健常者歯肉に比較して, アポトーシスあるいはネクローシスの形をとるGC-PMNsが多く存在することが示唆された。
  • - フローサイトメーターと共焦点レーザー走査顕微鏡による観察-
    斉藤 泰子, 斎藤 洋一, 沼部 幸博, 鴨井 久一
    2001 年 43 巻 3 号 p. 260-272
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病の進行は, グラム陰性細菌と感染部位に遊走した多形核白血球 (PMNと略す) との生体応答の結果, 菌体の破壊などによって遊出する菌体内毒素 (LPSと略す) が, 歯周組織の炎症および破壊を惹起し増悪すると考えられている。本研究では, LPSによるPMNへの影響を検討する目的で, PMNをEscherichia coli由来のLPSで前処理し, PMNの貪食能, Fcγ レセプター, C3biレセプターについてフローサイトメーター (FCMと略す) と共焦点レーザー走査顕微鏡 (CLSMと略す) を用いて検索し, 次の結果を得た。
    1) 貪食率はLPS濃度0.01μg/ml群で対照群と比較して有意に増加し, LPS濃度10μg/ml群で有意に減少した。
    2) 貪食度はLPS濃度0.01μg/ml, 0.1μg/ml群で対照群と比較して有意に増加した。
    3) C3biレセプターの発現量はLPS濃度依存的に増加傾向を示した。とくにLPS濃度10μg/ml群で, 対照群と比較して有意に増加した。
    4) Fcγ レセプターの発現量はLPS濃度依存的に減少傾向を示した。とくにLPS濃度10μg/ml群で, 対照群と比較して有意に減少した。
    5) CLSMによるビーズ貪食細胞の連続する断層像により, 細胞内と表面とに存在するビーズが観察できた。
    6) CLSMにより, Fcγ レセプターは細胞膜全体に一様に存在している状態が観察された。また, C3biレセプターは細胞膜の数カ所に局在して観察された。
    本研究はPMNにLPSを作用させ, FCMとCLSMで貪食能と貪食に関わるレセプターについて詳細に検討した結果, PMNの貪食過程で異物がPMN表面に付着した場合と, PMN内に取り込まれた場合とでは, 重要な差異の起こることを認め, さらにPMNのレセプターの観察によってその存在の様相を明らかにした。
  • 深井 浩一, 加藤 まり, 富井 信之, 大森 みさき, 内田 美江, 鈴木 泉, 北神 裕美子, 長谷川 明
    2001 年 43 巻 3 号 p. 273-282
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スケーラーは歯周治療に不可欠で, 十分な管理のもとスケーリングやルートプレーニングに効率的であることが求められる。しかしスケーラーはその使用法についての情報は多いが管理についての情報は少ない。そこで筆者らはスケーラーの消耗頻度, 使用頻度, 研磨頻度や研磨時間の実態を調査して問題点と解決法を模索してきた。今回の研究の目的は電動シャープナー導入によるスケーラーの消耗頻度, 研磨時間, 刃部形態, 鋭利度を調査することにある。調査対象はコロンビア改良型スケーラーとグレーシー型スケーラーの合計11本とした。電動シャープナーはPerioStar® (Mikrona, Switzerland: 白水貿易, 大阪) を用いた。スケーラーは臨床で使用し, 洗浄, 滅菌, 刃部検査と研磨, 再滅菌のサイクルで消耗しきるまで用い, 使用回数と刃部形態の変化を調査した。鋭利度の評価には同じ11種類のスケーラーを3本ずつ用意して, これを未使用, 手研磨, 電動シャープナーの3群に分け, 盲検法でフラップ手術に供しビジュアルアナログスケール (VAS) で評価した。結果は91日後に全てのスケーラーが消耗し, スケーラー1本あたりの使用可能回数は59.4±15.4回, 再研磨率は78.4%, 研磨時間は56±26秒であった。鋭利度は統計学的に未使用のものに優り手研磨と同等であった。また刃部形態変化は少なかった。以上により, また手研磨による筆者らの過去の報告に比較して電動シャープナーの導入は消耗と研磨時間の改善に, また形態保持と鋭利度の点から歯周治療に有効と思われた。
  • 関野 愉, 相羽 玲子, 相羽 寿史, 塚原 武典, 田代 俊男, 岡本 浩
    2001 年 43 巻 3 号 p. 283-288
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    数種類の洗口剤を用いて, 初期のプラーク形成抑制効果に関して臨床的検討を行った。歯周疾患の徴候のない25~35歳の成人8名を被験者とした。実験開始前, 14日間にわたり専門家による歯面清掃と口腔衛生指導を行った。実験開始時から全ての機械的歯面清掃を中止し, 洗口剤10mlで1日2回1分間の洗口を4日間行った。実験開始時と4日後, 全歯面に対してPlaque Index (PII) を用い診査を行った。4日目の診査後, 専門家による歯面清掃と被験者自身によるブラッシングを再開し, 10日後に再び歯面清掃を中止し, 他の洗口剤により4日間洗口を行った。以上の方法で, 1) 蒸留水 (DW), 2) 0.12%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液(CHX), 3) 酸化電位水 (AW), 4) 0.1%フッ化第一スズ水溶液 (SnF2), 5) 0.02%塩化セチルピリジニウム含有洗口剤 (CPC) の5種類の洗口剤を用いて検討を行った。全歯面におけるPII値はCHXで0.75, AW 1.21, SnF21.20, CPC1.55, DW1.61であった。これらを比較検討したところ, CHXと他の全ての洗口液, AWとCPCとDW, SnF2とCPCとDWの間に統計学的有意差が認められた。また, 全ての洗口剤において前歯部のPII値は小臼歯部, 大臼歯部のものよりも低く, 頬舌側面のPII値は隣接面よりも低かった。
  • 関野 愉, 相羽 玲子, 田代 俊男
    2001 年 43 巻 3 号 p. 289-294
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    キシリトール配合製品と溶液, クロルヘキシジンを混合したキシリトール溶液のプラーク沈着抑制効果を比較した。健康な成人10名を被験者とした。材料は蒸留水 (DW), 65%キシリトール配合ガム (XG), 100%キシリトール含有キャンディー (XC), 5%キシリトール溶液 (5%X), 20%キシリトール溶液 (20%X), 5%キシリトール溶液と0.02%クロルヘキシジンの混合液 (XCHX) を用いた。実験開始前, 14日間にわたり専門家による歯面清掃 (PTC) と口腔衛生指導を行った。実験開始時から全ての機械的歯面清掃を中止し, XGまたはXCの場合は1日2回, 2個ずつ摂取するように, 溶液の場合は10mlで1日2回1分間の洗口を行うよう指示した。実験開始時と4日後に診査した (Plaque Index)。診査後PTCと被験者自身によるブラッシングを再開し, 10日後再び歯面清掃を中止し, XGまたはXCの使用, または洗口を4日間行った。以上を6回繰り返した。DWと5%Xの間 (p<0.05), DWと20%Xの間 (p<0.05), DWとXCHXとの間 (p< 0.01) に有意差が認められた。XGとXCによるプラーク沈着抑制効果はDWよりやや優れているが, 有意差はなかった。5%Xと20%Xの使用により有意なプラーク抑制効果がみられた。キシリトール溶液にクロルヘキシジン溶液を混合することによりプラーク沈着効果が高まった。結論として, 高濃度のキシリトール溶液とクロルヘキシジンを混合することによりプラークの形成抑制効果が高まるので, このような形での使用が歯周病や齲蝕の予防に有効であると思われる。
  • -10年間の推移-
    廣木 祐子, 富井 信之, 大森 みさき, 加藤 まり, 深井 浩一, 長谷川 明
    2001 年 43 巻 3 号 p. 295-307
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 歯周炎患者の初診来院時の進行度や口腔清掃状態と, 質問調査表に対する患者の回答状況を調査し, 10年, 5年前に行った同様の調査と比較検討することである。そして, 対象患者のその後の治療経過もあわせて調査し, 口腔清掃状態改善度, 治療効果を確認するとともに, 質問調査表がその後の治療に有意義な情報となるか検討した。
    その結果, 過去の調査と比較し, 初診患者年齢分布の高齢化を認め, さらに重度歯周炎患者の比率増加傾向も認めた。またブラッシンク指導やスケーリングを受けた経験のある患者数は過去最高であった。初診後約2年経過時の追跡調査の結果, メインテナンスを含む治療継続患者は約4割であった。それら患者のO'LearyらのPlaque Control Record 以下PCR) の最低値の平均は10.8%と口腔清掃状態改善度は良好で, さらに歯周基本治療による歯周炎の良好な改善状況も示された。
    一方, 質問調査表中の自覚症状項目に回答の少ない患者群は, 多い患者群と比較しPCRが低下しにくい傾向を認め, 本項目から得られる情報はその後の治療に活かすべき重要なものであることが示唆された。また質問調査表中の喫煙習慣や過去の歯周治療経験の項目への回答の有無は, 初診時の歯周炎進行度を表す調査項目の一部に差を認めたものの, その後の治療経過, 口腔清掃状態改善度そして治療効果には影響しないことが示された。
  • 加藤 まり, 深井 浩一, 富井 信之, 大森 みさき, 長谷川 明
    2001 年 43 巻 3 号 p. 308-316
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    メインテナンス患者における予後不良の原因の1つに根面カリエスがあげられる。今回の研究は, 歯周治療後の根面カリエスを予防するにあたりその発生を予測する指標を得ることを目的とした。歯周メインテナンス患者のうち, プラークコントロール良好な50名を対象に根面カリエスに関連すると考えられる因子を調べた。臨床的診査項目としては, プラーク, 歯根露出歯率, 唾液中のStreptococcus mutans数, 唾液分泌速度, 唾液中のLactobacilli数, 唾液緩衝能を, 日常の習慣としては, 1日の間食回数とブラッシング回数を調査した。また全身疾患や喫煙との関連, フッ化物使用の有無での影響も調査した。メインテナンスでの根面カリエスは平均2.2±2.9歯で発生し, 50名中28名で発生が認められた。これらの根面カリエスの発生は, 歯根露出歯率, 初診時および初期治療中の根面カリエスの数, 残存歯数との間に有意な関連を認めた。また, Streptococcus mutans数, Lactobacilli数との間に有意な相関を認めた。
    以上の結果より, 初診時および初期治療中の根面カリエスの存在が, メインテナンス中の新たな根面カリエスの発生を予測する因子として, 有効であることが示された。また, フッ素入り歯磨剤を中心としたフッ化物の使用が根面カリエスの予防に有効であることが示された。
  • 新井 高
    2001 年 43 巻 3 号 p. 318
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アメリヵ歯周病学会 (AAP: American Academy of Periodontology) から, 1999年11月, 歯周病の新しい分類が発表された (Annals of Periodontology, Vol. 4-1, Dec. 1999)。これは, 1999年に行われた“1999 International Workshop for a Classification of Periodontal Diseases and Conditions”において検討されできあがった。今回の分類の上徴は, 1989年に行われた“World Workshop in Clinical Periodontics”での分類と比較し, かなり詳細な内容となっている。現日本歯周病学会理事長の石川烈教授も, 本ワークショップ実行委員の1人として活躍された。
    日本歯周病学会として, 用語委員会を中心に今まで日本語訳を検討してきたが, ここにその対訳を掲載する。
  • 2001 年 43 巻 3 号 p. 319-322
    発行日: 2001/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1. 歯肉疾患
    A. プラーク起因性歯肉疾患
    1. プラーク単独性歯肉炎
    a. その他の局所因子を含まない
    b. その他の局所因子を含む (皿A参照)
    2. 全身因子関連歯肉疾患
    a. 内分泌関連
    1) 思春期性歯肉炎
    2) 月経性歯肉炎
    3) 妊娠性
    a) 歯肉炎
    b) 化膿性肉芽腫
    4) 糖尿病性歯肉炎
    b. 血液疾患関連
    1) 白血病性歯肉炎
    2) その他
    3. 薬物関連歯肉疾患
    a. 薬物性歯肉疾患
    1) 薬物性歯肉肥大
    2) 薬物性歯肉炎
    a) 経口避妊薬性歯肉炎
    b) その他
    4. 栄養障害関連歯肉病変
    a. アスコルビン酸欠乏性歯肉炎
    b. その他
    B. 非プラーク起因性歯肉疾患
    1. 上異細菌性歯肉疾患
    a. Neisseria gonorrhea関連病変
    b. Treponema pallidum関連病変
    c. 連鎖球菌関連病変
    d. その他
    2. ウイルス性歯肉疾患
    a. ヘルペスウイルス感染
    1) 原発性ヘルペス性歯肉口内炎
    2) 再発性口腔ヘルペス
    3) 水痘・帯状疱疹感染
    b. その他
    3. 真菌由来歯肉疾患
    a. ヵンジダ感染
    1) 広汎型歯肉ヵンジダ症
    b. 線状歯肉紅斑
    c. ヒストプラスマ症
    d. その他
    4. 遺伝性歯肉病変
    a. 遺伝性歯肉線維腫症
    b. その他
    5. 全身状態による歯肉徴候
    a. 粘膜皮膚病変
    1) 扁平苔癬
    2) 類天疸瘡
    3) 尋常性, 天疱瘡
    4) 多形性紅斑
    5) エリテマトーデス (紅斑性狼瘡)
    6) 薬物性
    7) その他
    b. アレルギー反応
    1) 歯科用修復物
    a) 水銀
    b) ニッケル
    c) アクリル
    d) その他
    2) 歯磨剤などへの反応
    a) 歯磨剤
    b) 含漱剤/洗口剤
    c) チュこインガム添加物
    d) 食品および添加物
    3) その他
    6. 外傷性病変 (人為的, 医原的, 偶発的)
    a. 化学的傷害
    b. 物理的傷害
    c. 温度的傷害
    7. 異物反応
    8. 原因不上定 (NOS: Not otherwise specified)
    II. 慢性歯周炎
    A. 限局性
    B. 広汎性
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