グレーシータイプのスケーラーの効果を検索する第一歩として, 使用する器具の種類, および経験年数により, スケーリング・ルートプレーニング (SRP) の効果に差があるか否かを, 模型上にて比較検討した。
人工着色剤を歯根面に塗布した学生実習模型をマネキンに装着し, SRPを施行した。器具にはHu-Friedy社製グレーシーキュレットのオリジナル®, アフターファイブ®, ミニファイブ®を使用した。人工着色剤除去部分に対して画像解析を行い, 到達度, 除去率を算出し, 器具別, 術者の経験年数別に比較した。なお, 臨床経験年数が2年未満の術者8名を初心者群, 臨床経験年数が6年以上の術者4名を経験者群とした。
器具の違いによる比較では, 下顎前歯部の初心者群で, 到達度, 除去率に統計学的に有意差が認められ, ミニファイブ ®, アフターファイブ®, オリジナル®の順で到達度, 除去率が高かった。臼歯部においては, 上顎第一小臼歯の近遠心側面の除去率は, 上顎第二小臼歯よりも低かった。また, 下顎第二大臼歯遠心部では経験者群で, オリジナル®, アフターファイブ®に対してミニファイブ®の到達度が高かった。経験年数の違いによる比較では, 下顎前歯部においてオリジナル®使用時に, 経験者群が, 到達度, 除去率が高かった。また, 下顎臼歯部のアフターファイブ®, ミニファイブ®使用時に, 経験者群が, 除去率が高い歯面が認められた。
以上より, グレーシータイプの中でもアフターファイブ®, ミニファイブ®はオリジナル®タイプに比較して歯肉縁下でのSRPに有用であり, また, その効果と有用性は臨床経験によって差があることが示唆された。
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