日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
45 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 歯周病臨床からみた慢性剥離性歯肉炎
    上野 和之
    2003 年 45 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 加藤 熈
    2003 年 45 巻 1 号 p. 9-21
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 氏家 優子
    2003 年 45 巻 1 号 p. 22-32
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病はプラーク中の細菌やその代謝産物が引き金となって歯根膜が破壊されることにより起こると考えられている。そこで, 歯周病に罹患した歯根膜の破壊過程とそれに関与するプロテアーゼについて調べた。
    歯周病患者の新鮮抜去歯に付着した歯根膜中のプロテアーゼ活性を基質にゼラチンとブタの正常歯根膜の非コラーゲン性タンパク質 (PLNCP) を用いたZymographyで検出した。Zymographyと免疫化学による結果から, 炎症組織では好中球エラスターゼとMMP-9の増加が認められた。PLNCPを基質にした場合, 好中球エラスターゼの活性のみが検出されたため, 歯根膜組織の分解にはまず好中球エラスターゼが働くと考えられた。
    歯根膜の破壊における好中球エラスターゼの関与を調べるため, 好中球エラスターゼでブタの正常歯根膜を消化すると, ヒトの炎症歯根膜によく似たコラーゲン線維が露出した形態を得た。消化前のブタの正常歯根膜はヒトの正常歯根膜と同様にコラーゲン線維の露出はなく, コラーゲン線維はコーティングされている形態を示した。
    好中球エラスターゼの生理的基質をPLNCPで調べると, 約110kDaのStains-al1に陽性の酸性タンパク質が主に分解されていることが分かった。
    これらの結果から歯根膜のコラーゲン線維は非コラーゲン性タンパク質の複合体に包まれて存在し, 歯周病のの進行に伴い増加する好中球エラスターゼが, コラーゲン線維を覆う複合体の一部の酸性タンパク質を分解することで歯根膜の破壊が始まると考えられた。
  • 中根 恒治, 松本 敦至, 川浪 雅光
    2003 年 45 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 歯周病罹患率の高まる中年齢患者の歯周組織再生にrhBMP-2を応用することを想定して, 中年齢ビーグル犬 (6歳齢) の下顎前臼歯部頬側に水平性歯槽骨欠損を作製し, rhBMP-2配合ポリ乳酸グリコール酸共重合体/ゼラチンスポンジ複合体 (PGS) 移植 (MB群) とPGS移植 (MP群) を行った。また, 中年齢群と比較するために, 若年齢ビーグル犬 (14カ月齢) に対して, 同様にrhBMP-2配合PGS移植 (YB群) とPGS移植 (YP群) を行った。移植12週後に, 病理組織学的観察および組織計測を行った。その結果, MB群の歯槽骨新生率は, 42±19%で, YB群と同程度であり, MP群 (14±8%) よりも有意に大きかつたp<0.01)。セメント質新生率は, YB群 (56±21%) はYP群 (33±12%) よりも有意に大きかったが (p< (0.05), MB群 (42±13%) はMP群 (28±8%) よりも大きい傾向を示したものの統計学的有意差はなかった。以上の結果から, 中年齢ビーグノレ犬の歯周組織にrhBMP-2配合PGSを移植することにより, 若年齢と同様に, 担体のみの移植に比べ歯槽骨新生量を増加させることが明らかとなった。また, セメント質新生については, 若年齢では増加させるが, 中年齢では増加は明らかではなかった。
  • 小神 絵里子, 松本 敦至, 川浪 雅光
    2003 年 45 巻 1 号 p. 43-55
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 年齢が外傷力を伴う歯周炎の進行に与える影響を検索する目的で, 年齢の異なるビーグル犬に実験的に外傷力を伴う歯周炎を惹起し, その進行状態を臨床的および病理組織学的に比較検討した。1歳齢 (若年齢) と6歳齢 (中年齢) のビーグル犬各3頭ずつ計6頭の72被験部位を用い, 年齢群ごとに外傷力のみを加える群 (T群), 炎症のみを誘発する群 (I群), 炎症と外傷力を加える群 (TI群) の3群に分け, 計6群とした。被験歯の歯肉弁を剥離し, 歯槽骨頂に相当する根面にノッチを付与し, これを組織学計測の基準点とした。I群, TI群には炎症を誘発させるため根面に綿糸結紮してから歯肉弁を復位, 縫合した。ノッチ付与から1週間後, T群, TI群には外傷力を加えるためにパワーチェーンを装着し, 1週間毎に牽引方向を変えjiggling forceが加わるようにした。観察期間は17週とし, 臨床診査, 病理組織学的観察と計測を行った。その結果, 若年齢と中年齢の比較では, T群では動揺度以外の臨床診査結果では有意差は認められず, 病理組織学的所見にも違いは認められなかった。I群, TI群では, 臨床診査結果および病理組織学的結果かち, 炎症の広がりや歯周組織の破壊が中年齢でより高度であった。以上の結果から, 外傷力のみに対する反応は, 年齢による違いは認められなかったが, 炎症単独および炎症と外傷が合併した場合の組織破壊は, 中年齢が若年齢より強く生じる可能性が示唆された。
  • 町頭 三保, 森田 康彦, 瀬戸口 尚志, 南 睦美, カンヤラツト スティン, 湯田 昭彦, 上稲葉 隆, 下津 昭洋, 谷口 八郎, 野 ...
    2003 年 45 巻 1 号 p. 56-66
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病の診査・診断におけるコンピュータ断層撮影により得られた3次元画像 (3DCT) の有用性を評価した。3DCTとデンタルX線写真により歯周治療の予後に影響を与える歯槽骨吸収や歯根形態の診断を行なった。歯周基本治療を終了した成人性歯周炎患者8名を対象とした。垂直性骨吸収, 口蓋根周囲の骨吸収, 根分岐部病変, 根面溝, 開窓, エナメル突起を診査項目とし, それらの有無を歯周外科時に確認した。読影者は歯科医師20名で, 歯周治療経験年数により3群に分けた。無作為に抽出されたデンタルX線写真, 3DCTをそれぞれ160枚ずつについて, 各診査項目の有無を5段階で判定した。診断精度は受信者動作特性 (ROC) 解析により評価した。その結果, 3DCTではデンタルX線写真に比べ同等以上の正確な診断が得られた。デンタルX線写真でも垂直性骨吸収は正確に判定されたが, 開窓, エナメル突起では正確な判定は得られなかった。また口蓋根周囲の骨吸収および根分岐部病変では歯周治療経験年数が長い程正確な判定が得られたが, 根面溝は経験年数が長いと偽陽性率が高い傾向がみられた。一方3DCTでは, 根面溝ではほぼ正確な, また他のすべての診査項目において正確な診断結果が得られ, 経験年数には影響されなかった。以上の結果より, 3DCTでは経験年数に関係なく正確な診断が可能であり, 歯周治療計画の立案や術式の決定において有用であることが示唆された。
  • 矢吹 義秀, 岡本 浩
    2003 年 45 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    今回, 私達は人口約300人の離島 (無歯科医村) という上殊環境下において, 口腔疾患予防活動 (以下予防活動) の一つとして, 申し出のあった住民56名に対し, Professional Tooth Cleaning (以下PTC) を主体にした予防活動を5年間にわたり行なった。予防活動の前後で予防活動を受けたグループ (以下テスト群) と受けなかったグループ (以下コントロール群) での健診データを比較することで, 5年間のPTCを主体とした予防活動の効果を検討した。評価法はO'Learyのプラークコントロールレコード (以下PCR), 歯周ポケットの深さ, 一人平均喪失歯数とした。
    1) PCRの変化は, テスト群, コントロール群, 共に有意な改善が認められたが, テスト群においてより顕著な改善が認められた。
    2) 歯周ポケットの深さの変化は, テスト群では全体的に有意差をもって改善がみられた。コントロール群では前歯小臼歯群で変化がみられなかったが, 大臼歯群においては有意差をもって悪化が認められた。
    3) 一人平均喪失歯数は, テスト群で減少の傾向を示したが統計的有意差は認められなかった。
    以上のことから, 定期的にPTCを受けることで, 口腔清掃に対するモチベーションを維持し, 歯周ポケットの深さを改善できることが明らかになった。
  • 下津 昭洋
    2003 年 45 巻 1 号 p. 74-82
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人基本検診と歯科検診を受けた40歳以上の650名を対象とし, 歯周病罹患状況と臨床検査値および歯周病原性細菌の血清抗体価との相関を比較検討した。歯周病罹患状況はCommunity Periodontal Index Of Treatment Needs (CPITN) を用いて評価した。全身状態は, 年齢, 性別, 体格指数, 最高血圧, 最低血圧, 喫煙の有無, 喫煙の量, 心電図判定および, 末梢血液検査より, アルカリフォスフォターゼ値, 総コレステロール値, 低密度リポ蛋白コレステロール値, 中性脂肪値, 空腹時血糖値, C反応性蛋白値, 白血球数, 血小板数について評価した。また, 血清中のPorPhyromonas gingivalisの線毛に対する抗体価 (IgG. Pg. Fim.), P. gingivalis全菌体に対する抗体価 (IgG. Pg. whole), Actinobacillus actinomycetemcomitans全菌体 (IgG. Aa. whovlael) i sに対する抗体価をELISA法によって測定した。被検者をCPITN個人コード値によって分類 (0/1/2群, 3群, 4群, missing sextant (MS) 群) し, 被検者群間の各計測値平均の検定は多重比較検定を用いて行った。また, 従属変数にCPITN値4群, 独立変数に各検査項目値 (1-5のダミー変数を与えた) を用いて, ロジスティック回帰分析を行った。その結果, CPITN値4群とCPITN値0/1/2群間で, 最高血圧, 最低血圧, 中性脂肪値, 白血球数, IgG. Pg. Fim. の各平均値に有意差が認められた (P<0.05)。また, CPITN値4群とCPITN値3群において, 最低血圧とIgG. Pg. Fim. との間に有意差が認められた (P<0.05)。ロジスティツク回帰分析で6mm以上の歯周ポケットが存在するオッズ比は, 男性が女性に対して2.27, 喫煙者で2.36, 最低血圧の高い者で1.62, 白血球数の多い者で1.38, また, IgG. Pg. Fim. 抗体価高値者で1.20, IgG. Pg. wholeで1.55, IgG. Aa. wholeで1.45であった。以上の結果より, 歯周病罹患状況と, 性別, 喫煙者, 最低血圧, 白血球数, IgG. Pg. Fim., IgG. Pg. whole, IgG. Aa. wholeとのに関連が示された。
  • 増田 浩之
    2003 年 45 巻 1 号 p. 83-94
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 歯の動揺が結合組織性付着に及ぼす影響を検索することにある。ニホンザル9頭を用い実験歯は上顎左右側第2小臼歯とし, 対照歯は上顎左右側第2大臼歯とした。歯の動揺の発現法は, 北村1990年) の方法を用いた。すなわち, サルの上下顎左右側犬歯の歯冠を除去し, ブラキシズムを発現させた (後, 上顎第二小臼歯頬側咬頭にアンレータイプの鋳造物を装着した。装着後2, 4および10週で安楽死させた。標本の半分は, ヘマトキシリン・ エオジン染色と墨汁染色を行つた。残りの半分は, von Willebrand Factor抗体および増殖細胞核抗原 (PCNA) 抗体の免疫組織化学染色を行つた。骨縁上結合組織部と歯根膜組織部について検索した結果, 結合組織性付着に関して明らかな差異を認めた。骨縁上結合組織部では, 結合組織内の血管数の増加, 血管内皮細胞におけるvWF染色性の増加, 血管周囲には多くのPCNA陽性細胞を認めた。また, この部位の結合組織性付着は維持されていた。歯根膜組織部では, 結合組織内に血管数の明らかな減少, 血管内皮細胞におけるvWF染色性の低下, 血管周囲にはPCNA陽性細胞を認めなかつた。また, この部位では, 結合組織性付着の喪失を認めた。以上の結果より歯の動揺は, 血管系の消失および損傷により結合組織性付着の喪失を生じることが示唆された。
  • 高橋 慶壮, 申 基テツ, 安井 利一
    2003 年 45 巻 1 号 p. 95-104
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    侵襲性歯周炎患者に対して歯周組織再生療法および骨接合型インプラントを含む包括的な歯周治療を行った。患者は36歳の女性で, 全顎的に高度の歯槽骨吸収を呈するが, 全身的には健康で, 両側下顎大臼歯部歯肉の疼痛および腫脹を主訴に来院した。口腔内診査から, 全顎的な歯肉の炎症およびプラーク堆積を認めた。プラーク以外の歯周病のリスク因子を特定できなかった。歯周初期治療後に, エナメルマトリックスデリバアィブ (EMD) およびguided tissue regeneration (GTR) による組織再生療法を, 欠損部にはguidedboneregeneration (GBR) 併用の骨接合型インプラント治療を行った。その結果, 歯肉溝からの出血, プラーク指数およびプロービング深さは改善された。再生療法により付着の獲得ができ, 骨接合型インプラントにより右側の咬合機能を回復した。上顎前歯の審美的問題は, 上皮下結合組織移植による欠損部歯槽堤増大術により改善した。これらの多分野に亘る治療体系は侵襲性歯周炎患者の治療として有効であった。
  • Hiroki Ishikawa, Yuji Aiba, Mutsumi Nakanishi, Yoshitami Oh-hashi, Yas ...
    2003 年 45 巻 1 号 p. 105-112
    発行日: 2003/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    The ability of Lactobacillus salivarius TI 2711 (LS 1) to displace periodontopathic bacteria, like Porphyromonas gingivalis and Prevotella intermedia, was studied using humanvolunteers. LS 1 was one thousandfold more susceptible to lactic acid than Lactobacillus acidophilus, a representative acid-resistant Lactobacillus strain frequently found at the sites of caries, when these bacteria were exposed to 50 mM of lactic acid. In an in vitro system, LS 1 completely killed P. gingivalis within 24 hours when these bacteria were cultured together. In a clinical study, 57 subjects took tablets containing 2×107 CFU or more of LS 1 daily for 4 or 8 weeks. The number of black-pigmented anaerobic rods, which includes most periodontopathic bacteria, in the saliva decreased to one-twentieth of the initial value after 4 weeks, whereas the numbers of whole bacteria, Streptococcus mutans and lactobacilli did not change. While the saliva pH was widely distributed (ranging from 5. 4 to 8. 5) before LS 1 treatment, it converged to within a neutral range of around 7. 3 after treatment. Thus, the possibility that LS 1 accelerates caries formation by lowering the pH in the oral cavity was excluded. These findings suggest that LS 1 may be, potentially useful probiotic agent against periodontopathic bacteria. J Jpn Soc Periodontol, 45 : 105-112, 2003.
feedback
Top