成人基本検診と歯科検診を受けた40歳以上の650名を対象とし, 歯周病罹患状況と臨床検査値および歯周病原性細菌の血清抗体価との相関を比較検討した。歯周病罹患状況はCommunity Periodontal Index Of Treatment Needs (CPITN) を用いて評価した。全身状態は, 年齢, 性別, 体格指数, 最高血圧, 最低血圧, 喫煙の有無, 喫煙の量, 心電図判定および, 末梢血液検査より, アルカリフォスフォターゼ値, 総コレステロール値, 低密度リポ蛋白コレステロール値, 中性脂肪値, 空腹時血糖値, C反応性蛋白値, 白血球数, 血小板数について評価した。また, 血清中の
PorPhyromonas gingivalisの線毛に対する抗体価 (IgG.
Pg. Fim.),
P. gingivalis全菌体に対する抗体価 (IgG.
Pg. whole),
Actinobacillus actinomycetemcomitans全菌体 (IgG.
Aa. whovlael) i sに対する抗体価をELISA法によって測定した。被検者をCPITN個人コード値によって分類 (0/1/2群, 3群, 4群, missing sextant (MS) 群) し, 被検者群間の各計測値平均の検定は多重比較検定を用いて行った。また, 従属変数にCPITN値4群, 独立変数に各検査項目値 (1-5のダミー変数を与えた) を用いて, ロジスティック回帰分析を行った。その結果, CPITN値4群とCPITN値0/1/2群間で, 最高血圧, 最低血圧, 中性脂肪値, 白血球数, IgG.
Pg. Fim. の各平均値に有意差が認められた (P<0.05)。また, CPITN値4群とCPITN値3群において, 最低血圧とIgG.
Pg. Fim. との間に有意差が認められた (P<0.05)。ロジスティツク回帰分析で6mm以上の歯周ポケットが存在するオッズ比は, 男性が女性に対して2.27, 喫煙者で2.36, 最低血圧の高い者で1.62, 白血球数の多い者で1.38, また, IgG.
Pg. Fim. 抗体価高値者で1.20, IgG.
Pg. wholeで1.55, IgG.
Aa. wholeで1.45であった。以上の結果より, 歯周病罹患状況と, 性別, 喫煙者, 最低血圧, 白血球数, IgG.
Pg. Fim., IgG.
Pg. whole, IgG.
Aa. wholeとのに関連が示された。
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