反転運動型電動歯ブラシは, 人にできない動作で効果的にプラークコントロールする手段として, 多数開発されている。本研究の目的は, 反転運動型電動歯ブラシにおいて, 反転角と振動数およびブラシのかたさが清掃性に与える影響を検討することである。評価は, 所定のブラッシング圧で歯を清掃する装置 (ブラッシングシミュレーター) を用いて行った。清掃性の評価は, 顎模型に塗布した着色粉末の除去率を画像解析にて計測して行った。
反転角10°, 20°, 40°, 75° と振動数1,000, 2,000, 3,500, 5,000, 7,000cpmについて評価した結果, 歯面全体において, 反転角が大きくなるにしたがって除去率は高くなった。反転角10°, 75° では振動数により除去率は変化せず, 反転角20°, 40° では振動数1,000および7,000cpmで除去率が低下した。隅角部においても同様に反転角が大きい程除去率が高くなる傾向を示し, 振動数の影響は小さかった。
ブラシのかたさに関して検討した結果, 歯面全体ではかたさの影響は少なく, 隅角部では, ブラシのかたさがやわらかい方が清掃性に優れていた。
これらの結果から, 反転角は清掃性へ与える影響が大きく, ブラシのかたさは, 隅角部の清掃効果への影響が大きいことが示唆された。
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