日本歯周病学会会誌
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50 巻, 2 号
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巻頭言
原著
  • 両角 祐子, 菅原 淳道, 岩堀 敏之, 宮崎 晶子, 原田 志保, 佐藤 治美, 小倉 英夫, 佐藤 聡
    原稿種別: 原著
    2008 年 50 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    本研究では, 音波式電動歯ブラシを用い, 振動数, 共振, ブラッシング圧の組合せがプラーク除去効果に与える影響を検討した。2つの共振点を有している, 2種類の試作音波式電動歯ブラシを使用した。両試作機ともに第1共振では低い振動数でありながら横方向の振動振幅が大きくなり, 第2共振では縦振動が大きくなる。本研究では, 振動数を低速(第1共振), 中速(共振領域の振動数ではない), 高速(第2共振)に設定し, ブラッシング圧との組合せで実験を行い, 人工プラークのプラーク除去率で評価を行った。結果, ブラッシング圧100gfでは, 両試作機ともに高速, 低速, 中速の順にプラーク除去率が高かった。ブラッシング圧250gfでは, 高速, 中速, 低速の順であった。ブラッシング圧100gfにおいて, 共振領域の振動数を使用した高速と低速が共振領域の振動数ではなかった中速よりも除去率が高くなる結果を得た。これは, 共振領域では電動歯ブラシの振動振幅が増大するためであり, 共振領域でない中速よりも結果的にプラーク除去率が高くなったためと考えられる。一方, ブラッシング圧250gfでは強いブラッシング圧により, 毛先の動く範囲が限定され, 共振の特性である振動振幅の増大が有効に作用しなかったと考えられる。したがって, 電動歯ブラシを共振領域で駆動させることにより, 振動数が低い領域であっても効果的にプラークを除去でき, そのためにはブラッシング圧も重要であることが示された。
    日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 97-103, 2008
  • 小川 智久, 村樫 悦子, 新井 貴子, 飯野 賀子, 榎本 慶子, 織田 洋武, 渡辺 裕司, 多保 学, 太田 敦士, 西澤 聡, 鴨井 ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 50 巻 2 号 p. 104-111
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    無平線植毛技術を用いた歯ブラシは植毛台が薄く, 口腔内の操作性がより高まると考えられる。以前我々は, ブラシの性状と植毛台の厚さが若干異なる2種類の無平線植毛歯ブラシにおけるプラーク除去効果について報告した。そこで, 本研究において歯ブラシの植毛台の厚さがプラーク除去効果に与える影響について検索するため, 刷毛の性状は同じであるが植毛技術の異なる2種類の歯ブラシ(歯ブラシS : 無平線歯ブラシ, 植毛台の厚さ2.5mm, 毛丈9.0mm, 毛先テーパード加工歯ブラシN : 平線歯ブラシ, 植毛台の厚さ5.0mm, 毛丈9.0mm, 毛先テーパード加工)と, 刷毛の性状が異なる無平線歯ブラシ(歯ブラシM : 植毛台の厚さ2.9mm, 毛丈9.5mm, 毛先ラウンド加工)を用い, プラーク除去効果について測定を行った。被験者は, ブラッシング技術が標準化された歯科衛生士学校の第2学年生徒(26名)とし, Ramfjörd の代表6歯(16,21,24,36,41,44)に17,26,27,37,46,47の大臼歯を加えた12 歯を対象とし検討した。
    その結果, 全ての部位においてプラーク除去率は歯ブラシSが最も高く, 次いで歯ブラシN, 歯ブラシMの順であった。大臼歯部における歯ブラシSのプラーク除去率(46.9%)は他の歯ブラシ(歯ブラシM : 32.4%, 歯ブラシN : 33.2%)に比べ高く, 歯ブラシMに対しては統計学的に有意(p < 0.05)に高かった。
    歯ブラシSのプラーク除去率が歯ブラシNに比べて高かったのは, 植毛台の厚さが影響していることが示唆され, その効果は大臼歯部において顕著であった。
    日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 104-111, 2008
  • 森元 孝之, 堀 俊太郎, 根本 賢治, 光家 由紀子, 山下 修, 辻上 弘, 菅谷 彰, 出口 眞二
    原稿種別: 原著
    2008 年 50 巻 2 号 p. 112-120
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    Er:YAGレーザーとPhenol-Alcohol法を用いてメラニン色素沈着除去を行い, 両術式による臨床的予後評価を歯科用色彩計を用いて経時的に比較検討した。また, 喫煙者と非喫煙者間のメラニン色素沈着除去後の予後についてもそれぞれ経時的に評価した。被験者は全身的疾患が認められず, 上顎前歯唇側歯肉にメラニン色素沈着を有するもので, 本研究に同意の得られた10名(喫煙者5名, 非喫煙者5名, 平均年齢23歳)を対象とした。喫煙者は1日約20本喫煙する者を被験者とした。メラニン色素沈着除去は上顎前歯部唇側歯肉を対象とした。右側歯肉をEr:YAGレーザー(HOYAフォトニクス社製)を用いて行い, 左側歯肉にはPhenol-Alcohol法を用いた。評価時期は術前, 術後1週, 術後2週, 術後1ヶ月, 術後2ヶ月, 術後3ヶ月, 術後6ヶ月, 術後12ヶ月とし, 術前からのL*, a*, b*値の色差(ΔE), L*値の色差(ΔL), a*値の色差(Δa), b*値の色差(Δb)をそれぞれ算出した。その結果, 喫煙群のフェノール群では6ヶ月から, レーザー群では3ヶ月からΔE, ΔLの低下を示し後戻りの傾向を認めた。また非喫煙群のレーザー群, フェノール群でも6ヶ月からΔE, ΔLの低下を示し後戻りの傾向を認めた。
    日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 112-120, 2008
症例報告
  • 村岡 宏祐, 田中 達朗, 久保田 浩三, 森本 泰宏, 横田 誠
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 50 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    本症例は, 慢性歯周炎広汎型の患者で, 歯周基本治療により, 咬合機能が改善された際, functional MRI(fMRI)のBOLD(blood oxygeneration level dependent)信号で咬合状態の改善を示す信号変化が確認されたので報告する。患者は60歳女性で, 全顎的な歯周治療を希望して来院した。既往歴は, 高脂血症である。臨床診査およびX線診査によって, 慢性歯周炎広汎型と診断した。歯周基本治療は, Tooth Brushing Instruction, Scaling, Root planingのみとし, 咬合調整は一切行わなかった。患者の同意を得て, 初診時と再評価時に, 咬合力の診査とfMRIを撮影した。初診時のfMRIでは, 噛み締め時に, 弱いBOLD信号を片側大脳皮質一次体性感覚野のみに認めた。歯周基本治療を行うと, 歯周組織, 咬合力の改善を認めた。同時に, fMRIによる脳血流を示すBOLD信号は, 左右対称性を示すと同時に増加傾向を認めた。
    この結果は, 慢性歯周炎広汎型の患者に対する歯周基本治療により片側のみの弱い咬合から両側性の強い咬合状態に変化したことをfMRIによりとらえた可能性を示唆する。
    日本歯周病学会会誌(日誌周誌)50(2) : 121-128, 2008
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