日本歯周病学会会誌
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50 巻, 3 号
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巻頭言
原著
  • 畑中 加珠, 福家 教子, 妹尾 京子, 冨山 高史, 岩城 完三, 國方 敏夫, 政木 直也, 福田 恵温, 前田 博史, 新井 英雄, ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 50 巻 3 号 p. 167-175
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/17
    ジャーナル フリー
    タデ藍は染料用植物としてよく知られている一方で, そのエキスが抗炎症作用および歯周病原因菌に対する抗菌作用を有することも明らかにされている。本研究の目的は, このタデ藍水抽出エキスを用いて, 歯肉の炎症に対する効果を調べることとした。
    本研究は, 病状安定期(SPT期)にある慢性歯周炎患者30名を対象とした二重盲検法にて実施した。被験者は, 10週間にわたって, 1日3回食後の口腔清掃後に, タデ藍エキス含有ジェル1 gを歯肉に塗布した。開始前, 5週目および10週目に, 被験歯4歯のプラーク指数(PlI), プロービングポケット深さ(PPD), およびプロービング時出血(BOP)を評価した。また, 同時期に歯肉溝滲出液(GCF)を採取し, その重量とTNF-α濃度を測定した。
    被験者全体でみると, タデ藍水抽出エキス含有濃度に関わらず経時的にPlIおよびBOPが減少する傾向にあった。一方, 開始時の平均PlIが1.5以上の被験者に絞ってみると, 含有濃度依存的に経時的にBOPが減少する傾向にあり, また, GCFの重量は, 高濃度群で経時的に有意に減少し, かつ10週目において対照群および低濃度群と比較して有意に低値を示した。なお, いずれにおいてもPPDおよびGCF中のTNF-α濃度には変化が見られなかった。
    以上の結果から, タデ藍水抽出エキスは自身での清掃が十分でない人への応用が有益であり, 歯肉の炎症を抑制する可能性が示唆された。
    日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50(3) : 167-175, 2008
  • 佐々木 庸子, 荒木 正大, 目澤 優, Zhitao Wang, 金子 博寿, 小方 頼昌
    原稿種別: 原著
    2008 年 50 巻 3 号 p. 176-184
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/17
    ジャーナル フリー
    低出力レーザーに細胞や組織の修復促進効果があることが知られている。CO2レーザーは, 治療用レーザーと言うよりもむしろ外科用レーザーであるが, 低エネルギー密度で照射することにより, 何らかの生物学的効果が得られると考えられる。骨シアロタンパク質(BSP)は, アパタイト結晶形成能を有し, 石灰化結合組織特異的に発現する非コラーゲン性タンパク質である。本研究では, 低出力のCO2レーザー照射がBSPの転写に与える影響を, 骨芽細胞様細胞であるUMR106細胞を使用して検索した。UMR106細胞をCO2レーザー(3 W, 20sec)で刺激すると, 12時間後にBSP mRNA量の増加が認められた。ラットBSP遺伝子プロモーター配列を挿入したルシフェラーゼコンストラクトを使用したルシフェラーゼアッセイの結果, 同エネルギーのCO2レーザー刺激により, 12時間後にpLUC4(-425∼+60)の転写活性が増加した。CO2レーザー照射による, pLUC4ルシフェラーゼコンストラクトの転写の上昇は, FGF2応答配列とHOX配列に2塩基対の変異を導入すると抑制された。ゲルシフトアッセイの結果, CO2レーザー照射後に経時的に抽出した核内タンパク質と, 逆方向のCCAAT配列との結合に変化は認められなかったが, 3'-FREとHOX配列と核内タンパク質との結合は, 経時的に減少した。以上の結果から, CO2レーザー照射による骨芽細胞でのBSPの転写調節は, ラットBSPプロモーターに存在するFREとHOX配列を介すると考えられた。
  • 竹内 あゆ美, 稲垣 幸司, 大河内 ひろみ, 森 智恵美, 安藤 和枝, 山口 みどり, 山本 弦太, 林 潤一郎, 野口 俊英, 森田 ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 50 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/17
    ジャーナル フリー
    勤務歯科衛生士40名(36.1±10.5歳, 21歳∼57歳)の喫煙状況, 同居家族の喫煙(受動喫煙)の有無および社会的ニコチン依存度を5回, すなわち, 1回目講義前とその直後, 6か月後の2回目講義前とその直後および13か月後に調査した。そのうち, 5回すべてに有効回答をした26名(37.5 ± 10.7歳)を解析対象とした。なお, 社会的ニコチン依存度は, 加濃式社会的ニコチン依存度調査票 (KTSND, 10問, 30点満点)を用いて評価した。その結果, 非喫煙者25名(96.2%), 前喫煙者1名(3.8%)で, 喫煙者はいなかった。受動喫煙のある者は, 9名(32.5%)であった。1回目講義前の KTSND得点は, 8.6±5.1で, 講義後3.5±4.4, 2回目講義前6.0±4.7, 2回目講義後2.2±3.0, 13か月後3.7±4.8と推移した。すなわち, 1回目講義後に一度低下したKTSND得点は, 6か月後には戻る傾向にあったが, 2回目講義で低下し, 13か月後においても低下した状態が維持されていた(1回目講義前と他の4回の調査時 ; P < 0.01)。受動喫煙別のKTSND得点は, 受動喫煙のある者9.3±6.5, ない者8.2±4.4となり, 受動喫煙のある者がやや高かったが, 有意差はなかった。以上のことから, 禁煙教育を繰り返すことが, KTSND得点を有意に低下させ, その状態を維持できるということが示唆された。
    日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50(3):185-192, 2008
症例報告
歯科衛生士コーナー
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