今回キシリトール含有ガム摂取の効果を臨床的, 細菌学的, 生化学的見地から検討した。被験者は臨床的に歯周炎の徴候がなく, 実験開始前の少なくとも3ヵ月以内に抗生物質を使用していない7名(平均年齢31.3±8.5歳)を対象とし, またすべての被験者は非喫煙者とした。実験はsingle-blind, cross-over designにて行われた。実験開始後3日間すべての被験者に口腔清掃を禁じ(trial 1), 次の2日間はwashout periodとして口腔清掃を再開させたのち, さらに3日間口腔清掃を禁じ(trial 2), キシリトール含有ガムをtrial 1もしくはtrial 2のどちらかの期間に摂取させた。このときtrial 1もしくはtrial 2で, キシリトール含有ガムを摂取した時期をキシリトール期, しなかった時期をコントロール期とした。trial 1,2のそれぞれ開始時および終了時に臨床パラメータとしてQHIを, 唾液検査項目として唾液量および唾液pH, LDH, ALP, F-Hb,
S.mutans菌数を測定し, コントロール期とキシリトール期それぞれのday 0からday 3にかけての変化量を計算し, 各パラメータを統計処理した。キシリトール期はQHIスコア増加量が1.08±0.08となり, コントロール期の増加量が1.52±0.23と比較し統計学的有意差が認められた。唾液検査に関してはコントロール期, キシリトール期の両期間について統計学的有意差は認められなかった。
日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50(4) : 231-237, 2008
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