日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
53 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
原著
  • -ヘッドの大きさと刷掃時間について-
    笠井 俊輔, 深谷 千絵, 穂坂 康朗, 両角 祐子, 佐藤 聡, 中川 種昭
    原稿種別: 原著
    2010 年 53 巻 4 号 p. 235-242
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/04/12
    ジャーナル フリー
    歯周病に対する予防における効果的プラークコントロールは大変重要である。本研究は, 2種類の音波歯ブラシを用い, プラーク除去効果を比較検討した。
    被験者は, 臨床的に正常な歯肉を有し, 歯肉退縮や歯列不正などを認めない医局員20名とした。プラーク除去率はブラッシング前後のO'Learyのplaque control recordの改良法を用いて評価した。
    実験1 : 使用した音波歯ブラシとブラシヘッドはSonicare® Eliteのスタンダードブラシ(ES群), ミニブラシ(EM群), Sonicare® FlexCareのスタンダードブラシ(FS群), ミニブラシ(FM群), と手用歯ブラシ(MT群)。Sonicare® Eliteと手用歯ブラシを用い, 刷掃時間を1口腔2分間と4分間に設定し, 刷掃時間の違いによるプラーク除去率を比較検討した。
    実験2 : 実験1の結果をふまえ, 刷掃時間を4分間に設定し, Sonicare® EliteとSonicare® FlexCareのプラーク除去率を比較検討した。
    その結果, Sonicare® Eliteの刷掃時間比較ではどの群においても2分間と比較し4分間が有意に高いプラーク除去率を示した。さらに両音波ブラシの4分間での全顎プラーク除去率は統計学的有意差は認めなかったものの, FM群がES群より高い値を示した。Sonicare® EliteよりSonicare® FlexCareがより高い除去効果があると認められた。2分間という短い刷掃時間ではブラシヘッドの特徴を十分に生かすことは難しいが, 刷掃時間を長くとることで全体のプラーク除去効果が高くなり, 特にミニブラシの利点と考えられる口腔前庭の狭い大臼歯部の頬側面や隣接面にもブラシが到達することができ高い清掃効果が得られることが示された。
    日本歯周病学会会誌(日歯周誌)53(4):235-242, 2011
  • 松本 知久, 中島 啓介, 村岡 宏祐, 横田 誠
    原稿種別: 原著
    2011 年 53 巻 4 号 p. 243-253
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/12
    ジャーナル フリー
    歯周治療への反応が良好でない症例やメインテナンス中に歯周ポケットの深化を認める症例に遭遇することは少なくない。我々は, 歯周基本治療に対する個々の歯周ポケットの反応性がメインテナンス中の歯周ポケットの深化に関連しているのではないかという仮説をたて, それを検証するために慢性歯周炎患者を対象とした縦断的研究を行った。本研究では, 歯周基本治療を行った後, 深い歯周ポケットが残存しかつプロービング時出血(BOP)を認めた部位には歯周外科治療を行った。メインテナンス期に移行した35名の患者のうち, 歯周ポケットの深化を認めた19名の患者の部位(n=895)を解析の対象とした。なお, 歯周ポケットの深化部位の定義はメインテナンス開始前には3 mm以下に改善していたがメインテナンス中に再び4 mm以上になったものとした。すべての部位を深化部位群(n=82)と安定部位群(n=813)に分け, 歯周基本治療前後での臨床パラメーターの変化について解析した。さらに, すべての解析対象部位を歯根形態(単根歯, 複根歯), BOPの有無あるいは動揺の有無により分類して, 歯周基本治療後のプロービングポケットデプス(PPD)減少量からメインテナンス中に歯周ポケットの深化が起きない確率を予測するモデルを構築した。その結果, 歯周基本治療によるPPDの減少量が小さい部位ではメインテナンス中に歯周ポケットの深化が認められる可能性が高いことが明らかになった。本研究の結果から, 歯周基本治療によるPPDの減少量を測定することにより, メインテナンス中に歯周ポケットの深化が生じると予想される部位を特定できる可能性が示唆された。
    日本歯周病学会会誌(日歯周誌)53(4) : 243-253, 2011
症例報告
  • 宮下 徹
    原稿種別: 症例報告
    専門分野: -専門医最優秀ポスター賞-
    2011 年 53 巻 4 号 p. 254-262
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/12
    ジャーナル フリー
    重度広汎型慢性歯周炎患者に対し, 全顎的な歯周基本治療と補綴治療で対応し, 非外科的歯周治療で安定したメインテナンスを20年間継続している症例を報告する。
    本症例を通して, スケーリング・ルートプレーニング施行により獲得された上皮性付着は, 長期にわたって安定できることを確認した。
    日本歯周病学会会誌(日歯周誌)53(4) : 254-262, 2011
  • 松盛 恵美
    原稿種別: 症例報告
    専門分野: -ベストハイジニスト賞-
    2011 年 53 巻 4 号 p. 263-271
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/04/12
    ジャーナル フリー
    本報では広汎型侵襲性歯周炎の患者に対し, 歯周外科治療を行わずに, プラークコントロールを重視した歯周基本治療と短間隔のサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)によって歯周組織に著明な改善が得られた症例について報告する。
    患者は27歳男性で, 全身疾患を有さず喫煙歴はない。22近心のう蝕とブラッシング時の歯肉出血を主訴に来院した。初診時の臨床所見は全顎的に歯間部と辺縁部の歯肉に発赤と腫脹を認め, エックス線所見では全顎的に中等度の水平性骨吸収と, 部分的に垂直性骨吸収を認めた。多量の歯肉縁下歯石の付着も見られた。歯周組織検査の結果, 4 mm以上のプロービングポケットデプス(PD)の割合は63.0%, プロービング時の出血(BOP)部位の割合は59.4%と非常に高かったが, その割にO'Learyのプラークコントロールレコード(PCR)は21.1%と比較的低かった。
    歯周基本治療において患者教育を行うことにより, 患者は自分自身の口腔内に関心を持つようになった。また, 患者は, 歯周病に関する知識を得たことで歯周治療に対して積極的になったので, スムーズに歯周基本治療を進めることができた。しかし, 歯周外科治療は恐怖心から拒否したので, 非外科的治療で対応した。PD4 mm以上の歯周ポケットが残存する部位のデブライドメントに努め, ハイリスク部位に対しての, 徹底したセルフケアや1ヵ月毎のSPTを行うことで, 2年後PD4 mm以上の割合は21.9%, BOP部位の割合は9.4%になり, 歯周組織は改善して安定した歯周状態が得られている。
    日本歯周病学会会誌(日歯周誌)53(4) : 263-271, 2011
教育賞受賞
歯科衛生士コーナー
feedback
Top