日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
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55 巻, 1 号
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巻頭言
ミニレビュー
原著
  • ―口臭質問票と口臭測定結果の関連性―
    富田 幸代, 亀山 敦史, 渡邉 直子, 牧野 麻子, 高山 沙織, 細井 隆太郎, 勢島 典, 中西 万理子, 色川 大輔, 石井 善仁, ...
    2013 年 55 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2013/03/28
    公開日: 2014/04/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,口臭外来を受診した患者の実態,口臭質問票の回答および客観的評価である臭気測定器(オーラルクロマTM)による口臭診断との関連性を分析し,心理的口臭症患者の不安障害の傾向を捉えることができるか検討することを目的とした。対象者は,2009 年 1 月から 2011 年 12 月までに東京歯科大学千葉病院口臭外来を受診した患者 363 名とした。口臭質問票の項目の一部(性別,年齢,口臭の自覚の有無,口臭を意識した時期,口臭を意識するようになった契機,口臭による社会生活や家庭生活への影響,口臭について相談できる人の有無)とオーラルクロマTMによる検査結果の関連性を分析した。臭気測定器による分析は,臭気物質の中で口臭の強弱と強い相関が認められるCH3SH 濃度を指標とし,対象者を臭気レベルを下げるための治療が必要か否かにより,口臭なし群と口臭あり群に分けた。その結果,対象者のうち口臭を自覚する者は 8 割を超えていたが,そのうち約半数は口臭なしと診断され,口臭の自覚と口臭の有無との明確な関連性は認められなかった。口臭の診断,治療には心理的側面も含めた様々な面からのアプローチが必要であると思われた。特に心理的口臭症患者への対応では,エゴグラム等の分析を待たずに,口臭質問票の一部の項目と口臭測定結果から,不安障害を有する患者の傾向をある程度捉えることが可能であると考えられた。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(1):15-23, 2013
  • 志田 哲也, 高橋 弘行, 田胡 和浩, 出口 眞二
    2013 年 55 巻 1 号 p. 24-36
    発行日: 2013/03/28
    公開日: 2014/04/10
    ジャーナル フリー
    生きた細胞を用いる組織工学が,組織や臓器移植に代わる手法として浮上してきている。本研究の目的は,移植片として使用できる厚みを持つ細胞シートの作製,および作製期間の短縮化である。ヒト歯槽骨骨膜由来細胞(HABPCs)を 24 穴の温度応答性培養器材へ初日と 7,11 日後に同じウェル上に 3.6×104cells/ml の濃度で播種した。初回の播種より 14 日後,他のウェルから回収した 15 枚の細胞シートを一箇所の細胞シート上に積層し,HABPC 積層細胞シートを作製した。HABPC 積層細胞シートを 1,3,5 日培養し,組織学的,免疫組織化学的に観察した。alkaline phosphatase 染色およびⅠ型コラーゲン,オステオポンチン,オステオカルシン,runt-related transcription factor 2 による免疫染色より,経時的にシート表層から HABPCs の分化が促進されたと考えられ,3 日目から 5 日目にかけて骨形成能が上昇したことが示唆された。von Kossa 染色では 3 日目より石灰化様組織の形成が認められた。本研究において,温度応答性培養器材を使用し,初期細胞播種濃度を増やすことにより,作製期間の短縮化が可能となった。さらに,移植片として単独で使用できる十分な厚みを持ったHABPC 積層細胞シートの作製方法が示唆された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(1):24-36,2013
症例報告レビュー
症例報告
  • 武藤 昭紀, 窪川 恵太, 海瀬 聖仁, 高橋 弘太郎, 三木 学, 阪中 孝一郎, 大野 友三, 内田 啓一, 小松 寿, 吉成 伸夫
    2013 年 55 巻 1 号 p. 43-53
    発行日: 2013/03/28
    公開日: 2014/04/10
    ジャーナル フリー
    Ca 拮抗剤による薬物性歯肉増殖症を服用薬剤の変更,歯周外科の施行なしに歯周基本治療のみで改善した 2 症例について報告する。 症例 1:初診時 49 歳,女性。上顎右側臼歯部の歯肉腫脹,疼痛を主訴に来院。1998 年より高血圧症と診断され,Ca 拮抗剤を服用している。初診時,口腔内は歯肉の発赤,増殖を認め,下顎前歯部に著明であった。 症例 2:初診時 63 歳,男性。上顎左側臼歯部の疼痛,歯の動揺を主訴に来院。2001 年より高血圧症,不整脈,脳梗塞と診断され,Ca 拮抗薬を含む 8 種類の薬剤を服用している。初診時,口腔内は歯肉の発赤,増殖を認め,下顎前歯部,上顎左側臼歯部に著明であった。両症例とも主治医に対診するも,他剤への変更は不可能との返信で,口腔清掃指導を中心とする歯周基本治療を開始した。その結果,両症例とも歯周基本治療のみで歯肉増殖が改善し,歯周病安定期治療へ移行した。 ヒトの薬物性歯肉増殖症は,細菌性プラークの関与が大きいとされている。本症例より,プラークを可及的に除去することにより薬剤の変更,歯周外科の施行なしに歯肉増殖を改善する可能性が示された。今後,生活習慣病の増加に伴い,Ca 拮抗薬を含む多剤併用者の増加が考えられる。このような患者に長期に口腔健康支援をするため,ライフステージや全身状態に沿ったセルフケアの支援と,それを補うプロフェッショナルケアが重要であると考えられる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(1):43-53,2013
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