日本歯周病学会会誌
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56 巻, 2 号
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巻頭言
ミニレビュー
原著
  • 白川 哲, 氏家 優子, 大木 亜悠子, 吉峰 正彌 , 小倉 喜一郎, 鈴木 丈一郎, 鴨井 久博, 五味 一博
    2014 年 56 巻 2 号 p. 171-181
    発行日: 2014/07/03
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    要旨:歯周疾患治療用医薬品アセス®は基剤として炭酸水素ナトリウムを用いており,粘度が低く硬いため歯ブラシへの保持性に問題があった。そこで歯ブラシへの保持性を改善するために U 字植毛を行った歯ブラシを試作した。本研究では試作歯ブラシのプラーク除去効果とその使用感に関するアンケートを行ったので報告する。 試作歯ブラシ A(以下 A),試作歯ブラシ B(以下 B)および歯科医院取扱い歯ブラシ(以下 C)を用いた。各歯ブラシは 1 週間アセス®と併用し,来院前日にブラッシングを中止させ,来院時に臨床パラメーターの測定およびプラーク付着量を測定した。次いで 5 分間のブラッシングを行わせた後,再度プラーク付着量を測定しプラーク除去率を算出した。 プラーク除去率はどの歯ブラシにおいても差は認められなかった。一方,A および B において臨床パラメーターの改善が認められた。しかし,C を用いた場合には最終的に臨床パラメーターの改善はなかった。また,アンケートより A およびBはCと比べアセスを乗せやすく,またアセス®が落ちにくいことが示された。以上より,試作歯ブラシ A・B は C 歯ブラシとほぼ同程度のプラーク除去効果を有し,U 字植毛を行ったことでアセス®を良好に保持し口腔に適応できることからアセス®が効果的に作用し臨床パラメーターの改善につながったと考えられた。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(2):171-181,2014
  • 武藤 昭紀, 岡本 成美, 小林 加奈, 海瀬 由季 , 柳沢 みさき, 西窪 結香, Murtaza Saleem, 三木 学, 窪川 恵 ...
    2014 年 56 巻 2 号 p. 182-192
    発行日: 2014/07/03
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    歯周病治療においてプラークコントロールは必須だが,歯周炎患者にとって,手用歯ブラシによるブラッシング技術の習得は困難である。そこで,簡便で効率の良いプラークコントロールを確立する一助として,中等度歯周病患者における2種類の音波歯ブラシ(PRINIA®slim,Sonicare®FlexCare)のプラーク除去効果を手用歯ブラシ(バトラー®#211)と比較,検討した。被験者は,本研究に同意の得られた口腔清掃指導歴のない中等度慢性歯周炎患者 40 名とした。ブラッシング方法は,最初に手用歯ブラシにてスクラビング法を,2回目に音波歯ブラシにて機械の振動のみを利用するように指導した。プラーク除去率は,各歯ブラシによるブラッシング前後に OʼLeary の plaque control record を用いて評価した。また,使用感についてアンケートを行なった。その結果,音波歯ブラシは,手用歯ブラシと同等,あるいはそれ以上のプラーク除去効果が得られた。また,両音波歯ブラシ間では有意な差は認められなかった。使用感については,手用歯ブラシと比べて両音波歯ブラシの方が「使用感が良い」という結果が得られた。今回の研究により,音波歯ブラシは,中等度慢性歯周炎患者において,有効なプラーク除去のツールであることが示唆された。しかし,1回のブラッシング指導では不十分であり,さらなるブラッシング指導が重要であると考えられる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(2):182-192,2014
症例報告レビュー
臨床報告
  • 渡辺 久
    2014 年 56 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 2014/07/03
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    矯正治療後に認められた侵襲性歯周炎患者(女性,初診時 22 歳)に一連の歯周治療を施し,24 年以上に亘り歯と歯列の保存に努めた。患者の各ライフステージにおける治療経過と治療成果について報告する。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(2):199-202,2014
  • 長谷川 沙弥, 内山 美幸, 坂井 由紀, 中村 俊美, 阿部 祐三, 佐藤 聡
    2014 年 56 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 2014/07/03
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    ブラキシズム,早期接触などに起因する外傷性咬合は,歯周炎進行に深い関わりがあると言われている。 今回,外傷性咬合を伴ったと思われる限局型慢性歯周炎患者に対し,治療の早期段階より咬合の調整と安定に努めた一症例を報告する。 患者は 30 歳の女性で,ブラッシング時の歯肉出血が気になり来院した。 臨床所見は臼歯部にわずかな発赤と歯肉退縮を認めた。PCR33.7%,BOP18.6%,臼歯部には 4 mm〜7 mm の歯周ポケットと 1 度〜2 度の動揺を認めた。 咬合検査の結果,咬合性外傷が認められたため,プラークコントロールと同時に外傷性咬合の除去を開始した。 すなわち患者教育,自己暗示法を歯科衛生士が行い,早期接触を認めた際は歯科医師による咬合調整を歯周外科治療,補綴治療時も継続して行い,SPT に移行した。 本症例は,外傷性咬合の除去を早期より行うことで,歯周炎の治療が良好に経過したと考えられる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(2):203-208,2014
  • 後藤 弘明, 藤田 貴久, 水野 剛志 , 二階堂 雅彦, 齋藤 淳
    2014 年 56 巻 2 号 p. 209-216
    発行日: 2014/07/03
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    抜歯によって生じた上顎前歯欠損部顎堤の形態不良に対し,歯周形成外科として複数回の結合組織移植により歯肉増大を行い,機能性・審美性を改善させた後,固定性補綴を行い良好な結果を得た一症例を報告する。 患者は 54 歳女性で上顎前歯部の歯肉腫脹を主訴としていた。予後不良の #11 を抜歯した後,歯肉の陥没が認められ,その状態は Seibert の分類で Class Ⅰと診断した。同部位の形態不良は,患者にとってコンプレックスとなっており,前歯部欠損を固定性補綴装置で治療するにあたり陥没の改善を必要とした。結合組織移植による歯肉増大術を試みたが思うような結果が得られず,合計 4 回の歯肉増大術によって機能面での改善と患者の満足を得ることができた。手術後 1 年以上経過したが,現在まで変化無く維持されている。日本では未だニーズは潜在的であると思われるが,今後益々高い審美性とメインテナンスしやすい環境作りは求められるであろう。本症例を通して,歯肉増大術は歯周環境の長期的な安定のための一手段として重要であるが,適切な診断のもと,明確な治療成果を見据えた治療計画が必要であると思われた。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(2):209-216,2014
  • ―血清 IgG 抗体価による歯周病原細菌感染度のモニタリング―
    内藤 仁美, 工藤 値英子, 目黒 道生, 成石 浩司, 伊東 孝, 前田 博史, 高柴 正悟
    2014 年 56 巻 2 号 p. 217-226
    発行日: 2014/07/03
    公開日: 2015/02/18
    ジャーナル フリー
    ある広汎型侵襲性歯周炎患者(女性)の 24 歳時からの 26 年間に及ぶ歯周治療経過を,臨床的観点と細菌学的・免疫学的な観点から追った。その間,患者には結婚,転居,出産,そして育児といったライフステージの変化があった。そこで,このライフステージによる生活習慣の変化が歯周病の病態に影響を与える可能性を考えて,動的治療期から Supportive Periodontal Therapy(SPT)期に渡って臨床症状が出現する前に病態変化を捉えようと,歯周病原細菌感染度を歯周病原細菌に対する血清 IgG 抗体価を用いてモニタした。この治療経過における患者の病態と SPT 期における継続的な受診支援に関して考察し,10 代後半から 20 代前半に発症する侵襲性歯周炎患者の長期管理法を提案する。この方法は,細菌の持続感染による疾患の活動性を把握するために用いた血清 IgG 抗体価検査による,口腔内の感染管理に注目するものである。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(2):217-226,2014
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