日本歯周病学会会誌
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57 巻, 4 号
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ミニレビュー
原著
  • 稲垣 裕司, 中島 由紀子, 堀部 ますみ, 生田 貴久, 梶浦 由加里, 成石 浩司, 木戸 淳一, 永田 俊彦
    2015 年 57 巻 4 号 p. 149-158
    発行日: 2015/12/28
    公開日: 2015/12/29
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    オステオポンチン(OPN)は,骨代謝を調節する骨基質蛋白であるが,最近,炎症や代謝疾患におけるOPNの役割が注目され,糖尿病患者では血中OPNレベルが上昇する。一般に糖尿病患者の歯周炎は重症化しやすいが,糖尿病関連歯周炎の重症化に関与する決定的な要因は未だ明らかにされていない。本研究は,糖尿病における歯周炎の重症化にOPNが関与するかどうかを調べることを目的とし,その手始めとして,肥満2型糖尿病自然発症ラット(DM群)と非糖尿病ラット(Control群)に実験的歯周炎を惹起させ,両者を比較してOPNの関与を検討した。実験では,上顎右側臼歯にナイロン糸を結紮し,非結紮の左側臼歯を対照側として結紮後3日目と20日目の歯周組織を取り出し,マイクロCT分析と免疫組織化学染色を行った。その結果,20日DM群ではControl群よりも重度の歯周炎が惹起され,マイクロCT分析からDM群ではコントロール群より1.3倍歯槽骨吸収度が進行し,重度の組織破壊が認められた。20日後の免疫組織化学分析では,DM群およびControl群の非結紮側の歯肉結合組織でOPNの発現はほとんど認められなかったが,DM群結紮側で著明な発現,Control群結紮側で軽度の発現が認められた。これらの結果から,糖尿病と歯周炎に関する研究に本実験系が有用であり,糖尿病関連歯周炎の重症化にOPNが関与する可能性が示された。
  • 八島 章博, 鈴木 丈一郎, 田村 紗恵子, 松島 友二, 五味 一博, 新井 髙
    2015 年 57 巻 4 号 p. 159-167
    発行日: 2015/12/28
    公開日: 2015/12/29
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    近年,音波歯ブラシが一般に普及している。音波歯ブラシの利点は高振動数によりプラーク除去効率に優れ,歯周ポケット内細菌に影響を与えていると考えられる。しかし,音波歯ブラシの歯周ポケット内細菌への影響を評価した研究は少ない。本研究では,音波歯ブラシのプラーク除去効果と臨床パラメータの変化,歯周ポケット内細菌への影響について評価した。振動数の異なる音波歯ブラシ3種と手用ブラシを無作為に40名の被験者に割り振り,使用前,2, 4週後に臨床パラメータ(Probing Pocket Depth, Gingival Bleeding Index, Gingival Index)とPlaque Control Recordを評価した。歯周ポケット内細菌はPCR-Invader法により総菌数と歯周病原細菌数を評価した。全歯ブラシで,ベースライン時に比べ,4週後のPlaque Control Recordと臨床パラメータで改善傾向を認めた。歯周ポケット内細菌は,いずれの歯ブラシでも総菌数の顕著な変化はみられなかったが,歯周病原細菌の中には音波歯ブラシの使用によって減少傾向を示す細菌種も存在した。以上より,どの歯ブラシを用いても縁上プラークの減少と臨床パラメータの改善が認められ,一定の効果を有することが示された。また,音波歯ブラシは,歯周ポケット内細菌叢に影響を与える可能性のあることが示唆された。
  • 吉沼 直人, 小森谷 祐理, 中村 泰三, 好士 亮介, 関 啓介, 山本 崇申, 長嶋 秀和, 長尾 麻由, 安藤 和成, 菅野 直之, ...
    2015 年 57 巻 4 号 p. 168-176
    発行日: 2015/12/28
    公開日: 2015/12/29
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    臨床研修歯科医(以降,研修歯科医とする)が行う歯周治療の中で,高頻度治療としてヘミセクションがあげられる。本研究の目的は,研修歯科医がヘミセクションを行う際の術式の教育法として映像教材の有効性を検討することである。事前に平成25年度日本大学歯学部付属歯科病院研修歯科医を対象に,ヘミセクションの臨床研修における経験の有無に関するアンケート調査を行った。その結果をもとに指導医のヘミセクションを見学・介補をした経験のある者8名を経験群,一度も見学・介補をしなかった者8名を未経験群とした。両群に対してヘミセクションの術式に関するプレテストを実施した後,日本歯周病学会監修のヘミセクションの歯周病学基礎実習動画を視聴させた。次に各研修歯科医に実習用模型を用いてヘミセクションを行わせ模型実習に対する評価を行い,ポストテストを実施した。プレテストおよびポストテストの結果,経験群と未経験群ではほぼ同等の点数で統計学的有意差は認められなかった。実習評価点は両群ともほぼ同等で統計学的有意差は認められなかった。一方,映像教材を使用した模型実習後のポストテストの結果は両群ともプレテストと比較して点数は約2倍となり,統計学的有意差が認められた。以上のことから研修歯科医に対するヘミセクション実習において映像教材を使用することの有効性が示唆された。
歯科衛生士コーナー
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