日本歯周病学会会誌
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最新号
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ミニレビュー
原著
  • 鈴木 苗穂
    2019 年 61 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/28
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    歯周病はグラム陰性嫌気性菌による炎症性疾患であり,細菌感染と生体防御の均衡の破綻により病状が進展する。Lactoferrinは分子量約80 kDaの多機能性を有する鉄結合性糖タンパク質であり,歯周病原細菌に対する抗菌作用やバイオフィルム形成抑制作用などが知られているが,歯周組織への直接的な作用については不明な点が多い。本研究では,ヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)を対象にLactoferrinが及ぼすin vitroの影響について検討を行った。DNAマイクロアレイ解析から,Lactoferrinは細胞の発生,形態形成,代謝,生合成,遊走に関連する遺伝子群の発現変動に寄与していた。また,HGFsにはLactoferrinの受容体であるlow density lipoprotein(LDL)receptor-related protein 1(LRP1)が発現しており,LactoferrinによってHGFsの細胞増殖能と創傷治癒が促進された。さらに,Lactoferrinがextracellular signal-related kinase 1/2(ERK1/2)のリン酸化を促進した。以上のことから,LactoferrinはHGFsにおいてERK1/2を活性化し,細胞増殖や創傷治癒を亢進させる機能を有し,歯周組織構成細胞である歯肉線維芽細胞の組織修復機能を強化する有用な素材であると考えられる。

症例報告レビュー
症例報告
  • 二宮 雅美
    2019 年 61 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/28
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    降圧薬や抗けいれん薬,免疫抑制薬を服用している患者に,口腔内副作用として歯肉増殖症を生じることが知られている。今回,長期の降圧薬(Ca拮抗薬)の服用により,歯列不正や咬合崩壊を伴う重度の薬物性歯肉増殖症を発症した患者に対して包括的歯周治療を行い,著明な歯周組織の改善を得ることができた。降圧薬(Ca拮抗薬)の変更に関しては,他剤に変更すると血圧の上昇が認められたため変更はできず,原因因子を完全には除外できなかった。しかし,SPTにより口腔衛生管理を徹底することで歯肉増殖の再発は予防できており,現在も歯周状態は良好に保たれている。

  • 尾形 美和, 白井 要, 古市 保志
    2019 年 61 巻 1 号 p. 47-56
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/28
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    歯科処置の中でも歯周治療は治療頻度が高い処置であるが,観血処置であることからも菌血症を引起す可能性がある。本症例は,人工弁置換術の全身既往がある患者に対し,感染性心内膜炎予防に配慮し非外科的に歯周治療を行いSPTに移行した一症例である。患者は67歳男性で,下顎前歯の動揺を主訴に来院した。歯科既往歴が僅少であることで,歯科恐怖症を抱え,脳梗塞の既往から右半身麻痺であった。さらに多数の全身性疾患を有しており,付随し服用薬剤も多種であったことから,内科との連携を密に歯周治療を行うこととした。

    患者には,心臓弁置換術の既往があると菌血症によって感染性心内膜炎を併発するリスクが高く,歯周病がその動因になり得ることを説明した。その上で患者自身の口腔環境が,実際に菌血症を引起こしやすい状態であること,またブラッシングの重要性を説明し歯周治療の必要性を訴え歯周治療参加への同意を得た。

    結果,主訴である下顎前歯(41歯)は抜歯処置となったものの,歯周基本治療後の再評価時にはPCR値17.2%となった。また下顎前歯部に対し,当初の治療計画では補綴処置を行う予定であったが,歯周組織状態が安定していることからMTMを行い,歯列不正を正すことでブラッシングを行いやすい歯周環境を構築することとした。延いてはPCR値20%以下を維持しSPTに移行した。SPT中もブラッシングに対し高いモチベーションを保持していたため,全身疾患も悪化することなく経過した。

    感染性心内膜炎の発症を予防するためにも口腔衛生管理の徹底は不可欠である。

  • 飯倉 拓也, 松田 哲, 大竹 千尋, 草間 淳, 飯塚 奈々, 小澤 万純, 河方 知裕, 堀内 康志, 齋藤 大嵩, 長谷川 陽子
    2019 年 61 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/28
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    概要:今回,上唇可動量の過剰によるガミースマイルに対し,口唇移動術を行い,1年の経過を追い,良好な結果が得られたので報告する。症例は過度な歯肉露出を主訴に来院した24歳の女性である。全身状態は良好,歯肉に炎症を認めなかった。笑った際に上顎前歯部で8 mmの歯肉露出を認め,口腔内検査所見およびX線写真検査所見より上唇可動量の過剰によるガミースマイルと診断した。

    治療方針:口唇移動術に先立ち,組織の切除を行わない可逆的試験処置を行った。1週間経過観察を行い,口唇移動術を実施することを決定した。

    治療経過:口唇移動術は上唇小帯を保存することにより,術後の左右非対称を防止できる改良型口唇移動術を行った。術後,口唇の運動制限を指導した。1週間後の抜糸時には,疼痛,腫脹,皮下出血を認めた。1ヶ月後には症状は消失し,笑った際の歯肉露出は上顎前歯部で8 mmから1 mmに改善し,口唇の非対称性などの合併症も認めなかった。1年間の経過観察を行い,後戻りも認められず,経過は良好で満足度は高かった。

    考察:過度のガミースマイルは審美的な問題となる。ガミースマイルに対する治療法は様々あり,口唇移動術は適応可能な症例や長期予後に関して議論の余地がある。可逆的試験処置を行うことにより予知性を高めることができ,的確な診断のもと行えば,補綴や外科矯正と比較して,治療期間,侵襲の点などで優れた治療法であると考察する。

歯科衛生士コーナー
訂正
  • 2018 年 61 巻 1 号 p. 71
    発行日: 2018/03/29
    公開日: 2019/03/28
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    日本歯周病学会会誌第60巻4号に誤りがございました。

    訂正申し上げます。

    P203 左段11~16行目

    (正)一方,電子タバコ(electroniccigarette,ecigarette)はニコチン等の入ったリキッドを加熱し,その蒸気を吸引する製品である。加熱式タバコと電子タバコを混同している医療従事者や患者もいるため,区別する必要がある(表1)。また,加熱式タバコは,タバコの葉を加熱してその蒸気を吸引する製品である。

    (誤)一方,電子タバコ(electroniccigarette,ecigarette)はタバコの葉を加熱してその蒸気を吸引する製品である。加熱式タバコと電子タバコを混同している医療従事者や患者もいるため,区別する必要がある(表1)。また,加熱式タバコは,ニコチン等の入ったリキッドを加熱し,その蒸気を吸引する製品である。

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