日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
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61 巻 , 4 号
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原著
  • 井上 裕貴, 畑中 加珠, 山本 直史, 平田 貴久, 三辺 正人, 山本 龍生, 内藤 徹, 山本 松男, 佐藤 秀一, 石幡 浩志, 稲 ...
    2019 年 61 巻 4 号 p. 159-167
    発行日: 2019/12/27
    公開日: 2020/01/22
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    歯周炎症表面積(periodontal inflamed surface area:PISA)は,歯周組織の炎症部の面積を表す新たな歯周病の臨床指標である。従来伝わりづらかった歯周病の炎症程度を歯科以外の医療従事者が理解する上で,有用な指標であると考えられる。しかし,歯周病の程度や治療によるPISAの基準は未だ不明である。そこで,本研究は,日本歯周病学会が設ける歯周病専門医・認定医の電子申請書類のデータから各治療フェーズにおけるPISAの値を調べ,歯周病治療に伴う炎症度の基準値を提案することを目的とした。8施設で取得した113症例を用いて,Nesseらの方法によって歯周ポケット深さとプロービング時の出血からPISAを算出した。その結果,PISAの中央値は,初診時1,271.4 mm2,歯周基本治療終了時211.8 mm2,SPT移行時52.1 mm2,そして最新SPT時30.0 mm2であった。また,PISAはBOPと高い相関を示し(p<0.001),BOPよりも鋭敏に治療効果を反映した。以上から,中等度以上の歯周炎においてPISAを用いると,初診時は表面積約1,500 mm2の歯周組織の炎症がSPT時は100 mm2未満(初診時の約7%)に減少することが明らかになった。今後,更なるデータの蓄積および詳細な分析を行いながらPISAの使用を普及させると,PISAは医科歯科連携の際に歯周病炎症を伝える指標になり得ると考える。

  • 横谷 亜希子, 松山 美和, 中居 伸行
    2019 年 61 巻 4 号 p. 168-177
    発行日: 2019/12/27
    公開日: 2020/01/22
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    従来,歯周病重症度の診断や治療のアウトカムは,プロービングデプスなどの生物医学的データにより客観評価されてきたが,近年,医療において生活の質に焦点を当てた臨床・研究の重要性が高まりつつある。そのため,本研究では歯周病の重症度と初診患者の口腔関連QOLとの関連性を明確にすることを目的とした。2014年11月~2017年7月までのなかい歯科の初診患者のうち,30~64歳の者を対象として,カルテおよびサブカルテから基本情報を抽出した。歯周病の重症度は初診時の歯周基本検査の結果をCPIに変換し,4群(C,P1,P2,P3)に分類した。同じく初診時に調査したOral Health Impact Profile Short Version(以後,OHIP-14)を用いて口腔関連QOLを評価した。OHIP-14の合計スコアおよび7つのサブドメインスコアを算出し,歯周病重症度の異なる4群を比較した。OHIP-14の合計スコアと「機能的問題」にはP1-P3間とP2-P3間に有意差が認められ,「不快感」についてP1-P3間に有意差が認められ,P3群が有意に高かった。本研究より,今回検討した歯科医院の初診患者において,歯周病の重症度と口腔関連QOLには関連性が認められ,歯周病が重症の患者ほど主観的に口腔機能が低下し,不快感が増加し,QOLが低くなることが示唆された。

症例報告レビュー
症例報告
  • 秋本 由香利, 関野 仁, 小暮 弘子
    2019 年 61 巻 4 号 p. 187-196
    発行日: 2019/12/27
    公開日: 2020/01/22
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    歯科適応困難な結節性硬化症の重度歯周炎患者に対して,全身麻酔下での全顎のスケーリング・ルートプレーニング(SRP)と静脈内鎮静法下でのサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)を行い,良好な経過を得た症例について報告する。

    患者は43歳男性で,歯が揺れているという主訴で来院した。患者はこれまで歯科治療への拒否が強く,一度も治療を受けていなかった。口腔内は全顎的に著しい歯肉の炎症,深い歯周ポケット,歯の強い動揺を認めた。重度知的能力障害により,患者自身でのブラッシングが困難でブラッシング介助に対しても拒否が強かった。歯周治療は全身麻酔下で抗菌療法を併用した全顎のSRPを行い,1ヶ月間隔のSPTを継続した。その結果,歯周組織は改善しブラッシング介助への受け入れが良くなる,患者の笑顔が増えるなどの生活面の変化も認めた。

    障害者は歯周疾患に早期に罹患し,壮年期には重症化することが少なくない。しかし,患者のニーズがあるにもかかわらず,重度障害者を受け入れられる歯科診療所が限られていることや,受診先を検索する際の患者への情報提供不足などから,歯科が介入できていないという実情もある。本症例から,障害者歯科医療の問題を認識し,歯周病リスクの高い障害者においては早期に歯科受診につなげる一次,二次,三次医療機関の連携や歯科と学校,障害者施設など地域とのネットワークの強化が必要であると考えられた。

歯科衛生士コーナー
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