パーソナリティ研究
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12 巻 , 2 号
(2004)
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 若尾 良徳
    2004 年 12 巻 2 号 p. 47-58
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,青年期の自己報告型のアタッチメントスタイルが不安喚起場面での親密な他者との行動に現れるのかを検討することである。自由な相互作用が可能な場面でなく,パートナーの有効性が疑われる分離再会状況において,行動はアタッチメントに関連した組織化がなされ,アタッチメントスタイルとの関連が見られる可能性を検討した。恋愛関係または友人関係にある18組(恋愛関係9組,友人関係9組,男性13名,女性23名)が実験に参加した。参加者の平均年齢は,22.03歳であった。参加者は,不安やストレスを感じた状態で,待合室と称した実験室において,パートナーとの相互交渉および短い分離と再会を経験した.その後,アタッチメントの個人差測定尺度を含むいくつかの質問紙に回答した.彼らの実験室での行動はVTRで撮影され,2名の評定者により評定された.その結果,自由な相互交渉が可能な場面からはアタッチメントに関わる行動の組織化は見られなかった。それに対して,分離再会場面においては,アタッチメントに関連した行動の組織化がなされており,自己報告との関連が見られた。青年のアタッチメントの個人差は,乳幼児と同様に,親密な他者との分離再会における行動に現れることが示された.
  • 山田 剛史
    2004 年 12 巻 2 号 p. 59-72
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,現代大学生の自己形成を理想自己の観点から捉えることを目標とし,質問紙により尺度評定と自由記述とを絡めた検討を行った.本研究では,「自己形成」を“理想自己実現に向かっていこうとする意欲と実際に向かっているという行為の総体(理想自己志向性)”として規定し,得点化した.この得点と適応感を測定するための自尊感情得点との組み合わせから自己形成の8つのパターンを作成し,個人が重要とする理想自己に対する6つの意味づけのパターンと実現に向けての具体的方略およびその希求の相違についての検討を行った.その結果,理想自己志向性としての自己形成の高さには,意味づけにおける自己/他者の違い,方略の有無ならびに実行率が関係していることが示された.
資料
  • 鈴木 公啓
    2004 年 12 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本人大学生の心配の構造について検討することを目的とした.初めに,一般的な心配を測定することのできるWDQの日本語版を作成した.表現に修正を加えたWDQ日本語版を,208名の大学生に施行した.高い信頼性が確認されたが,因子的妥当性についてはさらに検討する余地が残った.次に,クラスター分析を用い,内容ごとの心配の傾向により分類をおこなったところ,ある内容に対して心配する人は同時に他の内容に対しても心配している,つまり特定の内容だけに対して心配するのではないことが明らかになった.また分散分析の結果から,種々の内容に対して心配する人ほど不安感を感じていることが明らかになった.因子分析およびクラスター分析の結果をまとめると,日本人大学生の心配は海外の一般成人の心配の構造とは同じような分化の仕方をしていない可能性が示唆された.
  • 大野木 裕明
    2004 年 12 巻 2 号 p. 82-89
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/28
    ジャーナル フリー
    日本において標準化,出版されている3種類の5因子モデル性格検査(FFPQ版,BFPI版,NEO-PI-R版)を大学生263名に対して実施し,それぞれ次のような対応関係を得た.1)FFPQ版「外向性」,BFPI版「外向性」,NEO-PI-R版「外向性」の3つの相互には,r=.691, .740, .777の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.2)FFPQ版「愛着性」,BFPI版「協調性」,NEO-PI-R版「調和性」の相互には,r=.544, .635, .661の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.3)FFPQ版「統制性」,BFPI版「勤勉性」,NEO-PI-R版「誠実性」の相互には,r=.769, .825, .829の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.4)FFPQ版「情動性」,BFPI版「情緒安定性」,NEO-PI-R版「神経症傾向」の相互には,r=−.647, −.719, .809の高い相関係数が得られ,3尺度間に強い関連性が認められた.5)FFPQ版「遊戯性」とNEO-PI-R版「開放性」の間の相関係数はr=.655と高く強い関連性がみられた一方で,BFPI版「知性」とこれら2尺度間については有意ではあるものの低い相関係数を示した.このように4尺度については密接な相関的対応関係が見られ,第5尺度のFFPQ版「遊戯性」とNEO-PI-R版「開放性」に対してBFPI版「知性」の相関係数が相対的に高くないという結果は,引き続いてなされたジョイント因子分析や下位尺度の相関分析の結果においても裏付けられた.
  • 杉森 伸吉, 安藤 寿康, 安藤 典明, 青柳 肇, 黒沢 香, 木島 伸彦, 松岡 陽子, 小堀 修
    2004 年 12 巻 2 号 p. 90-105
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/28
    ジャーナル フリー
    心理学における研究者倫理への関心が高まる中,日本パーソナリティ心理学会では研究倫理ガイドライン検討特別小委員会を設け,性格心理学研究者倫理の問題を検討した.その中で,日本パーソナリティ心理学会員および他の関連諸学会員の合計262名と心理学専攻の学部生59名を対象に研究倫理観に関するアンケート調査を行った.研究倫理観は基本的に相対的なものであるという認識にもとづき,心理学研究者と学部学生を対象に52項目の倫理的問題に関する許容度判断を求め,その意見分布を示した.全体のうち半数近くの項目で研究者と学生の間に許容度判断の有意差が見られ,いずれも研究者のほうが寛容という傾向であった.また,主たる専門や研究法による倫理判断の相違,性差,研究年数による相違,ならびに基本的倫理観と個別の倫理判断の関連性分析,52の倫理問題に関する許容度判断の主成分分析と主成分ごとの許容度判断などについて検討した.基本的には,各人が研究を行う上で必要な事柄に関しては倫理的判断が寛容になり,研究を行う上で必要性が低い事柄については厳格になる傾向が見られた.本研究の結果は,日本パーソナリティ心理学会員をふくむ心理学者一般について,個別の倫理判断をする上でのひとつの判断基準を提供するものと考える.
  • 福島 裕人, 名嘉 幸一, 石津 宏, 與古田 孝夫, 高倉 実
    2004 年 12 巻 2 号 p. 106-115
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,看護者のバーンアウトとパーソナリティー特性との関連を検討するため,総合病院に勤務する看護者1876名を対象にMaslach Burnout Inventory(MBI),NEO-FFI等からなる質問紙調査を行い,有効回答の得られた1449名を分析,検討した.その結果,MBIの情緒的消耗感(EE)は主に神経症傾向(N)や誠実性(C)と関連がみられた.脱人格化(DP)は,主に調和性(A),神経症傾向(N),外向性(E)および誠実性(C)と関連がみられた.達成感(PA)は外向性(E)や誠実性(C)および開放性(O)と関連がみられた.また階層的重回帰分析から,個人的属性項目(性別,年齢,趣味の有無,相談者の有無)はバーンアウト得点の分散の4~8%を説明するに留まっていたが,パーソナリティー特性はバーンアウト得点の分散の約20%を説明していた.
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