パーソナリティ研究
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14 巻 , 2 号
(2006)
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原著
  • 菊池 章夫, 有光 興記
    2006 年 14 巻 2 号 p. 137-148
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    628名の大学生の回答をもとに確認的因子分析を繰り返すことで,6つの自己意識的感情(対人的負債感・個人的苦痛・恥・罪責感・役割取得・共感的配慮)を測定する12シナリオ(場面)・72項目からなる尺度 (KA-JiKoKan-12) が構成された.この尺度の信頼性は,α係数・再テスト信頼性係数とも十分なものであった.その妥当性は,これらの感情に対応あるいは関連する他の特性的尺度(罪悪感喚起状況尺度・状況別羞恥感情質問紙・対人的反応性指標・心理的負債感尺度)および行動指標(攻撃性質問紙・向社会的行動尺度)との関係を分析することで検討された.得られた結果はいずれもおおむね満足すべきもので,この尺度が十分な妥当性を持つことを示していた.「全体的考察」では,こうした結果を背景にして,シナリオ方式の利点や問題点,この尺度が測定している感情の性質,弁別的妥当性の問題などが論じられた.
  • 田中 麻未
    2006 年 14 巻 2 号 p. 149-160
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,個人内要因である身体的発達および,パーソナリティ特性と心理社会的要因であるネガティブ・ライフイベンツが,思春期の抑うつに及ぼす影響について検討した.中学生518名を対象にして身体的発達,パーソナリティ特性,そしてネガティブ・ライフイベンツからなる質問紙に回答してもらった.階層的重回帰分析の結果,Cloningerのパーソナリティ理論の気質因子である損害回避と友人問題に関するネガティブ・ライフイベンツの嫌悪感が,抑うつを高めることが明らかとなった.さらに,損害回避とネガティブ・ライフイベンツの嫌悪感との間に交互作用が見られた.この結果から,ネガティブ・ライフイベンツの嫌悪感が増加すると,損害回避の高い中学生は,損害回避の低い中学生よりも抑うつが高まることが示唆された.また,女子では,身体的発達と抑うつとの間に正の相関関係が示された.
  • ――P-Fスタディを用いた検討
    工藤 晋平
    2006 年 14 巻 2 号 p. 161-170
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    成人愛着スタイルの1つであるおそれ型の攻撃性の高さについては,これまで一貫性のない報告がなされてきた.本研究は攻撃性の抑圧,特にその防衛的な側面の抑圧という観点から,この攻撃性のあり方を検討することを目的としている.P-Fスタディを用いて攻撃性を,日本語版RQを用いて愛着スタイルを測定し,大学生・大学院生の女性206名を対象に分析を行った.その結果,他の愛着スタイルと比べておそれ型には潜在的な水準での攻撃性の抑圧が存在し,特に攻撃性の自己防衛的な側面が抑圧されていることが示された.この結果から,これまで一貫性のなかった知見は,攻撃性の抑圧という同じ現象の異なる側面として捉えられることが示唆された.
  • 速水 敏彦, 小平 英志
    2006 年 14 巻 2 号 p. 171-180
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    これまで,他者軽視に基づく仮想的有能感に関して,感情経験との関連を中心とした検討が行われてきた(速水ほか,2003).本研究では,低い自尊感情を補償しようと,他者軽視を行う典型的なタイプを抽出するために有能感の類型論的アプローチを用い,学習観と学習に対する動機づけとの関連を検討した.高校生395名に対して他者軽視,自尊感情,学習観(学習量,環境,方略志向),および自己決定理論に基づく動機づけ(外的,取り入れ的,同一化的,内発的動機づけ)の尺度が実施された.相関関係からは,他者軽視に基づく仮想的有能感は学習量志向と負の関連にあることが示された.また各類型の特徴を整理した結果,仮想型では,自尊型と比べて,外的動機づけおよび取り入れ的動機づけが高く,同一化的動機づけと内発的動機づけが低い傾向にあった.萎縮型では,いずれの動機づけも低い傾向にあった.
  • 井梅 由美子, 平井 洋子, 青木 紀久代, 馬場 禮子
    2006 年 14 巻 2 号 p. 181-193
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,青年期における対象関係を評価する尺度を作成した.分析1では,単純構造の尺度を目指して,各尺度の内容が重複しないよう測定内容の整理を行い,5つの測定内容を設定した.因子分析の結果 (N=566),「(1) 親和不全」「(2) 希薄な対人関係」「(3) 自己中心的な他者操作」「(4) 一体性の過剰希求」「(5) 見捨てられ不安」の5因子で単純構造を示す尺度構成が確認された.分析2-1では,異なるサンプル (N=1041) を用いて交差妥当性を確認した.その結果,分析1とほぼ同様の因子構成が見られ,5つの測定領域を設定することの交差妥当性が示された.分析2-2では,性差・年齢差の検討を行い,予想された箇所で予想された方向に性差と年齢差が得られた.分析2-3では,NEO-FFI (NEO Five Factor Inventory) を用いてパーソナリティ特性との関連を検討し,概ね仮説を支持する内容の相関が見られた.これらの結果から,作成された尺度の構成概念妥当性が確認された.
  • 畠山 美穂, 山崎 晃
    2006 年 14 巻 2 号 p. 194-204
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,仲間による攻撃被害のタイプによって孤独感に違いが見られるか(研究1),また,攻撃被害のタイプによって被害者の仲間との相互作用の質にどのような違いが見られるのかについて明らかにすることである(研究2).研究1では,5歳児126名の孤独感得点及び攻撃による被害得点を測定した.クラスター分析の結果,関係性攻撃被害得点及び外顕的攻撃被害得点の高低に特徴づけられる4つのクラスター(外顕高群,関係高群,両高群,両低群)を採用した.4つの群の孤独感得点に違いが見られるのかについて検討した結果,両高群と関係高群が外顕高群や両低群と比較して孤独感が高いことが示された.また,研究2では,4つの群で仲間との相互作用にどのような違いが見られるかについて検討した.BORと呼ばれる行動観察記録法を用いて観察記録を分析した結果,関係高群は仲間との相互作用において不自然な応答が多いことが示された.
資料
  • 大久保 智生, 加藤 弘通
    2006 年 14 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,問題行動を起こす生徒の学級内での位置づけと学級の荒れおよび生徒文化の関連を検討することであった.中学生645名(男子310名,女子335名)を対象に,学級内での位置づけの測定,問題行動の経験尺度,学級の荒れ尺度,不良少年のイメージ尺度を実施した.まず,問題行動の経験が多い生徒が学級内で排斥されているのかあるいは受容されているのかを検討した.その結果,問題行動の経験が多い生徒が学級内で排斥されているわけではないことが明らかになった.次に,問題行動を起こす生徒が排斥されている学級と受容されている学級においてどのような違いがあるのかを検討した.その結果,問題行動を起こす生徒を受容する学級ほど,学級が荒れており,問題行動を起こす生徒の活動に対して支持的な雰囲気があることが明らかとなった.最後に,今後の問題行動研究の方向性が論じられた.
  • 小西 瑞穂, 大川 匡子, 橋本 宰
    2006 年 14 巻 2 号 p. 214-226
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/31
    ジャーナル フリー
    わが国では,自己愛人格傾向の測定について,Raskin & Hall (1979) やEmmons (1984) の自己愛人格尺度(Narcissistic Personality Inventory; NPI)が邦訳・検討されているが,回答方式や因子構造は研究者によって異なっている.そこで,本研究ではまだ邦訳されていないRaskin & Terry (1988) のNPIを邦訳し,新たな自己愛人格傾向尺度 (Narcissistic Personality Inventory-35; NPI-35) の作成を目的とした.調査1では探索的因子分析によって35項目5因子構造(注目欲求,誇大感,主導性,身体賞賛,自己確信)を見出した.次に調査2では,他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,十分な交叉妥当性を確認した.また,調査3においては,高い再検査信頼性が確認された.調査4ではNPI-35の構成概念妥当性を検討するために,自己愛人格目録短縮版,顕示尺度,賞賛獲得欲求尺度,自尊感情尺度との関連を検討した.その結果,NPI-35および各下位尺度と他尺度との相関関係が先行研究とある程度一致し,十分とは言えないが,構成概念妥当性が確認された.
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