パーソナリティ研究
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15 巻 , 3 号
(2007)
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原著
  • 佐々木 掌子, 尾崎 幸謙
    2007 年 15 巻 3 号 p. 251-265
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,新たなジェンダー・アイデンティティ尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討することを目的とした。これまでの尺度ではジェンダー・アイデンティティを具体的な性役割や性指向などで測定してきたが,本尺度はEriksonのアイデンティティ理論に則り,ある性別へのアイデンティティ感覚を構成概念とした。対象は大学生である(女性205名,男性207名)。4因子を想定して尺度作成をし,2因子モデル,4因子モデル,高次因子モデルの適合度指標を比較したところ,高次因子モデルがもっとも適合度がよかった。採択されたのは,高次の2因子の下位に各々2つの因子が配されるモデルであった。また,妥当性の検討のために,性役割,性別受容,自尊心といった尺度との相関や,性同一性障害をもつ者(男性から女性への移行者male to female “MTF” 120名,女性から男性への移行者female to male “FTM” 155名)との比較が行われ,妥当性が確認された。
  • 行為者との関係性による違いの検討
    小池 はるか, 吉田 俊和
    2007 年 15 巻 3 号 p. 266-275
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究の主な目的は,共感性と特定の人物に対する対人的迷惑行為の認知との関連を検討することである。学生113名から質問紙((1) 共感性,(2) 顔見知りから受けた行為の迷惑認知,(3) 友人から受けた行為の迷惑認知,(4) 迷惑認知の評定の根拠)の回答を得た。その結果,共感性の低い者は,共感性の高い者に比べ,行為を迷惑と認知しやすいという仮説が部分的に支持された。また,状況依存的な共感性が高い者は,迷惑認知評定をする際に,自己の視点のみではなく,行為者の視点に立っている傾向が示された。さらに,友人からの行為より顔見知りからの行為を迷惑と認知したり,行為者が顔見知りの場合より友人の場合に状況依存的な共感性が高くなるといった結果が示され,行為者との関係性が対人的迷惑認知及び共感性に影響を与えていることが明らかとなった。
  • ――BIS/BAS尺度日本語版の作成と双生児法による行動遺伝学的検討
    高橋 雄介, 山形 伸二, 木島 伸彦, 繁桝 算男, 大野 裕, 安藤 寿康
    2007 年 15 巻 3 号 p. 276-289
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,Grayの強化感受性理論 (Reinforcement Sensitivity Theory) に基づいた2つの気質次元,行動抑制系 (Behavioral Inhibition System) と行動賦活系 (Behavioral Activation System) について,日本語版尺度の信頼性・妥当性の検討(研究1),生物学的基盤との対応関係の検討(研究2)を行った。研究1では,大学生446名を対象に質問紙調査を行い,Carver & White (1994) が作成した尺度の日本語版の信頼性を確認した。また,因子的妥当性,構成概念妥当性の検討を行い,十分な結果を得た。研究2では,慶應義塾双生児プロジェクトによって集められた双生児を対象に質問紙調査を実施し,293組から有効な回答を得た。行動遺伝学的解析の結果,BISとBASは遺伝要因によって部分的に説明され,お互いに独立な遺伝因子から寄与を受けていることが分かった。
  • 印象形成の観点から
    磯部 美良, 菱沼 悠紀
    2007 年 15 巻 3 号 p. 290-300
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究では,大学生を対象に,自らの攻撃性の高低によって,他者に対する印象形成に違いが見られるのかどうかを検討した。また外顕性攻撃と関係性攻撃の2種類の攻撃タイプを取り上げ,自分自身が示しやすい攻撃タイプや仮想人物の示す攻撃タイプが,その仮想人物に対する印象や評価に関係するかどうかも検討した。研究1では,大学生132名を調査対象に,外顕性攻撃と関係性攻撃の自己報告尺度を作成した。研究2では,大学生245名を調査対象に,攻撃性の質問紙調査と印象形成課題を1週間の間隔をおいて実施した。その結果,攻撃性の高い個人は,自分と類似の攻撃を示す人物をポジティブに,自分とは異なる攻撃を示す人物をネガティブに捉える傾向を示した。しかし外顕性攻撃と関係性攻撃の両高群は,関係性攻撃を示す人物の敵意性を高く評定するとともに,怒りや抑うつを強く感じており,総じて関係性攻撃を示す人物をネガティブな方向に捉える傾向を示した。
  • 川崎 直樹, 小玉 正博
    2007 年 15 巻 3 号 p. 301-312
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    我が国における臨床的議論の中では,自己愛人格と対人恐怖の背景に共通した心理的プロセスがあることが示唆されている。こうした議論を元に,本研究では他者と親和する上での動機づけのあり方に焦点をあて,自己愛傾向及び対人恐怖傾向との関連を検討した。大学生299名に質問紙調査を行い,自己愛傾向,対人恐怖傾向とともに,4側面の親和動機が測定された。その結果,楽しさなどのポジティブな刺激と外的な評価を求めて他者と接する傾向が自己愛傾向に影響することが示された。一方で,ポジティブな刺激は求めずとも,他者からの是認や外的な評価を求める傾向が対人恐怖傾向に関与していることが示された。これらの結果から,自己愛人格と対人恐怖の背景にある心理的プロセスの共通点や相違点が議論された。
  • 寺島 瞳, 小玉 正博
    2007 年 15 巻 3 号 p. 313-322
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究では,他者を操作することに影響する個人内要因に関する臨床的指摘の実証を第一の目的とした。実証する臨床的指摘は(1)誇大化した自己評価を確証するために他者からほめられたいという欲求が高まって自己の優越性をアピールする操作を行う,(2)自尊心を保てないために他者からのケアを求める欲求が高まって自己の劣位性をアピールする操作を行う,の2つであった。また,操作と社会的スキルとの背景要因の比較を第二の目的とした。347名の大学生を対象にして調査を行った結果,臨床的指摘は両者ともに支持された。さらにそれらの臨床的指摘とは関連しない影響も見られ,操作の背景には強い自己肯定感と低い自尊心といった両方の要因があった。また,社会的スキルとの比較の結果,強い自己肯定感とともに高い自尊心をもつ場合は適応的な対人行動をとることができるが,同じ強い自己肯定感があってもそれが揺らいで不安定になった場合に,操作という対人行動に至ることが示唆された。
資料
  • 中井 大介, 庄司 一子
    2007 年 15 巻 3 号 p. 323-334
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,学校教育における教師と生徒の信頼感の重要性と,思春期における特定の他者との信頼感の重要性を踏まえ,中学生の教師に対する信頼感とその関連要因としての幼少期の父親および母親への愛着との関連を検討することであった。中学生201名を対象に,「生徒の教師に対する信頼感尺度」と「親への愛着尺度」を実施した。男女別に相関係数を算出した結果,男子では,両親への「安心・依存」が教師に対する信頼感と正の関連を示すこと,女子では,両親への「安心・依存」「分離不安」が教師に対する信頼感と正の関連を示すことが明らかになった。また,男女とも両親への「不信・拒否」が教師に対する信頼感と負の相関を示すことが明らかになった。本研究の結果から,生徒の教師に対する信頼感には,教師側の要因だけではなく,生徒の幼少期における両親への愛着といった生徒側の心理的な要因も関連し,その関連の様相は男女によって異なることが明らかになった。
  • 吉江 路子, 繁桝 算男
    2007 年 15 巻 3 号 p. 335-346
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,ピアノサークルに所属する大学生,大学院生77名を対象に,対人不安傾向と完全主義認知が演奏状態不安に与える影響を検討した。演奏状態不安の指標としてState-Trait Anxiety Inventory (Spielberger, Gorsuch, & Lushene, 1970) を用い,本番の演奏前後の状態不安を測定した。さらに,演奏状態不安の要因の指標として,演奏前に完全主義認知,演奏後に聴衆不安と相互作用不安,自己志向的完全主義を測定した。その結果,対人不安傾向のうち“聴衆不安”,完全主義認知のうち“ミスへのとらわれ”のみが演奏前状態不安と正の相関をもった。また,これら2変数には交互作用が見られ,“ミスへのとらわれ”高群においてのみ,聴衆不安傾向が演奏前状態不安を有意に予測していた。これらの結果より,演奏者のパフォーマンスを高めるための実践的示唆が得られた。
  • 藤本 学, 大坊 郁夫
    2007 年 15 巻 3 号 p. 347-361
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    コミュニケーション・スキルに関する諸因子を階層構造に統合することを試みた。既存の尺度を構成する因子を分類することで,自己統制・表現力・解読力・自己主張・他者受容・関係調整の6カテゴリーが得られた。これらの6因子は理論的に基本スキルと対人スキル,また,表出系,反応系,管理系に分類された。こうしてコミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したものがENDCOREモデルであり,各スキルに4種類の下位概念を仮定した24項目の尺度が,ENDCOREsである。
ショートレポート
  • 離人症状の分類と回避傾向の関連について
    金山 範明, 大隅 尚広, 大平 英樹
    2007 年 15 巻 3 号 p. 362-365
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/07
    ジャーナル フリー
    Depersonalization is considered to be elicited by traumatic stress, and is characterized by episodes of detachment or estrangement from one's self. Recently, this phenomenon was understood as a coping mechanism, reducing the impact of a traumatic event. But findings of previous empirical studies were not consistent, possibly because depersonalization has not been classified into more detailed, finer categories. In this study, we preliminarily investigated the classification scheme of Cambridge depersonalization scale using factor analysis, and the relationships between depersonalization and behavioral inhibition system (BIS). Results suggested that depersonalization might lead to reduced and maladaptive emotional responses.
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