パーソナリティ研究
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15 巻 , 1 号
(2006)
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
原著
  • ――パーソナリティ特性との関連性に焦点を当てて
    外山 美樹
    2006 年 15 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,小学4年生,6年生ならびに中学2年生を対象とし,社会的比較を行った後,その個人に生じる感情や行動について発達的に検討すること,ならびにそれが個人のパーソナリティ特性とどう関連しているのかを検討することであった。領域別コンピテンス,競争心,情緒性のどのパーソナリティ特性が社会的比較によって生じる感情や行動に強く影響を及ぼすのかを検討するために,3つのパーソナリティ特性を説明変数に,社会的比較の結果下位尺度を各々基準変数とする重回帰分析を学年別に行った。本研究の結果より,社会的比較を行った後に,その個人に生じる感情や行動は,パーソナリティ特性や発達段階に応じて異なることがわかった。小学生(4年生ならびに6年生)においては,領域別コンピテンスが特に,社会的比較によって生じる感情や行動と強く関連していた。一方,中学2年生においては,競争心が社会的比較によって生じる感情や行動に影響を及ぼしていた。
  • ――自己開示に伴う傷つきの予測を媒介要因として
    福森 崇貴, 小川 俊樹
    2006 年 15 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,不快な情動をあらかじめ回避しようとする傾向(不快情動回避心性)が,現代の青年に特徴的とされる友人関係に対してどのように影響を及ぼすのかについて検討することを目的として行われた。具体的には,不快情動回避心性は,自己開示に伴う自己の傷つきの予測を媒介して表面的な友人関係へとつながるという因果モデルを想定し,その検証を行った。本研究では,大学生190名(男性61名,女性129名)を対象として,質問紙調査が実施された。構造方程式モデリングによるパス解析の結果,不快情動回避心性から「群れ」「気遣い」へは直接的な影響のみが認められ,また,不快情動回避心性から「ふれあい回避」については,傷つきの予測を媒介要因とする影響のみが認められた。このことから,直接的あるいは間接的に,不快情動の回避が青年期の表面的な友人関係のもち方へとつながっていくことが示唆された。
資料
  • 野村 信威, 橋本 宰
    2006 年 15 巻 1 号 p. 20-32
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    近年,高齢者の心理的なケアのニーズから回想法への関心が高まっているが,しばしば青年期でも頻繁に回想が行われていることが指摘されている。本研究では個人の心理・社会的発達の相違が日常的な回想と異なる関連をもつ可能性を検討するため,Marcia(1966)の同一性地位による青年期の日常的回想の特徴や心理的適応の違いを検討した。さらに,縦断的データから回想と心理的適応間の相互的な因果関係について検討した。
    大学生,看護学校生,専門学校生190名(平均年齢21.5歳)に対して,同一性地位判定尺度(加藤,1983)などからなる質問紙調査を実施した。その結果,過去の危機と回想の頻度や否定的感情を伴う回想の間に有意な相関が認められたものの,パス解析の結果では同一性地位が回想に及ぼす影響は認められなかった。また頻繁な回想は精神的健康度を低める一方で,自尊感情の低さは頻繁で否定的感情を伴う回想を促し,適応指標間で異なる回想の影響が示唆された。
  • 上村 晃弘, サトウ タツヤ
    2006 年 15 巻 1 号 p. 33-47
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    血液型性格関連説は日本で人気のある疑似性格理論の1つで,1920年代の古川竹二の仮説に由来する。現在では多くの提唱者がこの仮説を様々に解釈している。したがってこの説には多様性がある。本研究では,最近の「血液型ブーム」においてTV放送された説を伝統的説明,生物学的媒介,枠組利用,剰余特性付加の4つの型に分類した。伝統的説明型は古川の仮説の後継である。生物学的媒介型は,血液型と性格の関係を進化論や脳科学などの新しい学術的知識を用いて説明する。枠組利用型は単に占いに用いている。剰余特性付加型は提唱者の専門分野で見出された特性を追加した程度である。すべての提唱者の説は論理的妥当性をもたない。
ショートレポート
特集論文
  • 岡林 秀樹
    2006 年 15 巻 1 号 p. 76-86
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    本稿では,発達研究における方法論的・実践的問題について論じ,縦断データの解析方法を紹介した。第一に,人間のさまざまな性質の変化を正確に把握するために必要とされる,調査デザイン,測定,知見の一般化可能性についての方法論的問題が論じられた。次に,2時点で測定されたデータを用いて因果関係を分析するモデルとして,交差遅延効果モデルと同時効果モデルが解説された。さらに,3時点以上で測定されたデータの分析方法として,潜在成長曲線分析の基本的な考え方が解説された。最後に,多大な費用と時間がかかるが非常に価値の高い長期縦断調査を実施し,管理する際に生じる困難を克服するためには,個々の研究者が,実証科学の方法論に基づいた発達研究の重要性を再認識するだけでなく,学会全体が,より公共性を備えた研究体制の整備に取り組む必要があるという考えが示された。
  • ――インターネット使用と攻撃性の関係
    高比良 美詠子, 安藤 玲子, 坂元 章
    2006 年 15 巻 1 号 p. 87-102
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    本稿は,パーソナリティの形成・発達研究において変数間の因果関係を推定したい場合に,縦断調査を利用する方法について概説したものである。まず,因果関係を推定するための研究方法として,実験,横断調査,縦断調査の3つを取り上げ,それぞれの特徴と限界について述べた。次に,縦断調査の一形態であり,変数間の因果関係を双方向的に検討できるパネル調査に焦点をあて,交差遅れ効果モデルによって因果関係の分析を行う方法を説明した。そして,変数間の因果関係について推定するためにパネル調査を行った実例として,インターネット使用と攻撃性の関係を検討した筆者らの研究について紹介した。なお,この研究では,インターネット使用から攻撃性への因果関係と,攻撃性からインターネット使用への因果関係が,双方向的に検討された。そして,最後に,より精度の高い因果関係の推定を行うために注意すべき点についてまとめた。
  • ――相関関係の行動遺伝学的解析
    山形 伸二, 菅原 ますみ, 酒井 厚, 眞榮城 和美, 松浦 素子, 木島 伸彦, 菅原 健介, 詫摩 武俊, 天羽 幸子
    2006 年 15 巻 1 号 p. 103-119
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,人間行動遺伝学と双生児研究の方法,とりわけ多変量遺伝分析について紹介し,その適用例として4–6歳児の気質と問題行動の関連性を検討した。双生児の母親142名に対し質問紙調査を行い,子どものエフォートフル・コントロール (EC) および外在化問題,内在化問題についての評定を得た。表現型の相関を検討した結果,外在化問題と内在化問題は中程度の正の相関を示し (r=.55),またECは外在化 (r=−.42),内在化 (r=−.18) のいずれの問題行動とも負の相関を示した。多変量遺伝分析の結果,ECを低めるような遺伝的影響は同時に両方の問題行動のリスクを高めるような働きをすることがわかり,ECの低さが両問題行動の共通の遺伝的素因である可能性が示唆された。また,外在化問題と内在化問題の相関関係には遺伝 (22.8%),共有環境 (53.4%),非共有環境 (23.8%) のいずれもが寄与していた。問題行動間の相関関係への遺伝要因の寄与は相対的に小さかったが,これはECに関わる遺伝要因が両問題行動を正に相関させるように働くのに対し,ECとは関連しない遺伝要因が両問題行動を負に相関させるように働くため,互いに相殺しあった結果である可能性が示唆された。
  • 安藤 寿康
    2006 年 15 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    Structural Equation Modeling (SEM) has changed psychological investigation drastically in two ways. First, SEM serves not only as a statistical technique for estimating descriptive statistics and testing causal model hypotheses, but also as a powerful tool to check validity of a theory or even to construct a new theory. Second, thanks to SEM, researchers have begun to think of constructing large-scale and systematic research projects in order to benefit from the advantages of SEM. SEM is, however, not a theory itself, but a tool for theory construction. It is researchers' critical thinking that tests and evaluates a theory. Close collaboration of researchers and statisticians in a research project is desirable, or even necessary.
  • 遠藤 利彦
    2006 年 15 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    The essential purpose of life-span developmental psychology is to describe and explicate the intra-individual continuity or change in human development. Yet, truly empirical studies are only emerging. In that sense, planning of this special issue was especially timely, and the three papers of high value, not only as an introduction of methodology to analyze developmental process and mechanism, but also as a guide to indicate possible future research designs and styles in developmental psychology. Although SEM is a very useful tool, without adequate review of theoretical issues, it could possibly churn out meaningless results. We need detailed theoretical investigation and hypothetical thinking before data collection and analysis, and have to check results against the reality and evaluate effect sizes in order to interpret findings correctly.
  • ――岡林論文・高比良論文・山形論文に関連して
    服部 環
    2006 年 15 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/07
    ジャーナル フリー
    General growth mixture modeling (GGMM) was briefly reviewed and its merits for the researchers who aim to conduct a longitudinal study discussed. The GGMM refers to modeling with categorical latent variables that represent subpopulations where population membership is not known but is inferred from the data (Muthén & Muthén, 2004). Latent class growth analysis (LCGA) and growth mixture modeling (GMM), which are submodels of GGMM, were applied to a single data set in this paper to examine development of antisocial behavior in children. Finally, the data analytical package sem developed by Fox (2006) was introduced, and an example for latent growth curve modeling with time invariant predictors described.
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