パーソナリティ研究
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16 巻 , 3 号
(2008)
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
特集論文
  • 渡邊 芳之
    原稿種別: 特集論文
    2008 年 16 巻 3 号 p. 263-264
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
  • 自らを「性同一性障害者」と語らなくなったAの事例の質的検討
    荘島 幸子
    原稿種別: 特集論文
    2008 年 16 巻 3 号 p. 265-278
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,約3年に及ぶ縦断的インタビューで得られた性同一性障害者1名の語りから,当事者であったAが医療における「成功物語」から離脱し,自らを「性同一性障害者」と語らなくなっていく変容プロセスを質的に検討した。分析の視点は,①治療へのモチベーション及び身体の捉え方の変化,②Aを取り巻く社会的関係の変化,③病いの意味づけの変化であった。結果では,それぞれ①身体違和感及び治療へのモチベーションの相対的低下,②Aを取り巻く社会的関係の拡大及び私的関係における摩擦と他者との折り合い,③他者との関係性の中で生きることの重視が明らかになった。考察では,Aが「GID当事者である」と語らなくなっていた過程を,「成功物語」と「私物語」の間に齟齬が生じる過程として捉え返し,それを悪魔物語の解体と物語の再組織化過程という観点から述べた。
  • 女性の生涯発達の観点から
    安田 裕子, やまだ ようこ
    原稿種別: 特集論文
    2008 年 16 巻 3 号 p. 279-294
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    子どもを望み不妊治療を始めた女性が,いかにして治療をやめる選択をしたのかを,治療プロセスの語りから捉えることを目的とした。治療では子どもが授からなかった女性9名の語り方の特徴から,〈行為主体の語り〉〈共同の語り〉〈逡巡の語り〉の3型に整理し,各型より事例を提示した。〈行為主体の語り〉と〈共同の語り〉に関し,差違と共通性の観点から,治療をやめる選択に至る発達的変化を検討した。差違は,医療従事者との信頼関係の有無に基づくものだった。共通性は,治療プロセスでの困難や藤を経て,今に焦点化された治療中心の状態から今後の生活や人生に視野を転換していったことである。そして,語り口に揺らぎを伴う〈逡巡の語り〉については,語り直しの観点から,その後の発達的変化の可能性に言及した。いずれの型も,治療経験の語りが力動的に組織化されていく様相には,不妊の経験を意味づけしようとする志向性の表れがみてとれた。
  • 事例研究による体験・意味づけ変容モデルの検討
    舛田 亮太
    原稿種別: 特集論文
    2008 年 16 巻 3 号 p. 295-310
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,青年における日常的解離の体験・意味づけに関する変容モデルを検討した。研究1では,大学生・大学院生・高専生計130名(平均20.11歳)を対象に,日常的解離自由記述質問紙を実施した。KJ法の結果,日常的解離大カテゴリーとして「うわの空・空想」「没頭・没入」「自動的行動」「同時行動」「出来事の詳細健忘」「近距離への遁走」「自己の客体化」「感覚の鈍化」の8つに分類された。研究2では,大学生・大学院生計28人(平均20.64歳)に半構造化面接を実施,うち女性3人には再度3年後に面接実施した。事例研究の結果,「うわの空・空想」「没頭・没入」「自動的行動」「同時行動」「自己の客体化」の5つが該当した。そして3人の語りから,日常的解離の体験・意味づけの変容は個人の発達状況・発達課題と大きく関連していることが示された。
原著
  • 金築 優, 伊藤 義徳, 根建 金男
    原稿種別: 原著
    2008 年 16 巻 3 号 p. 311-323
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,心配に関するメタ認知的信念を測定する尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。大学生の自由記述式調査を基に項目の作成を行った。大学生353名のデータを対象として因子分析を行ったところ,第1因子「ネガティブなメタ認知的信念」と第2因子「ポジティブなメタ認知的信念」が抽出された。両下位尺度ともに安定的な内的整合性が示されたことから,尺度の信頼性が認められた。また,特性不安,心配性傾向及び問題解決スタイルを測定する尺度との関連性により,構成概念妥当性が確認された。加えて,心配を誘導する実験において,本尺度で測定されるメタ認知的信念が心配への評価と関連することが認められたことからも,本尺度の構成概念妥当性が裏付けられた。本尺度によって測定される心配に関するメタ認知的信念の特徴について考察を行った。また,心配に関するメタ認知的信念に着目することによって得られる臨床的示唆について述べた。
  • 国里 愛彦, 山口 陽弘, 鈴木 伸一
    原稿種別: 原著
    2008 年 16 巻 3 号 p. 324-334
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    現在盛んに研究がなされているパーソナリティモデルにCloningerの気質・性格モデルとBig Fiveモデルの2つのモデルがある。しかし,2つのモデル間の関連性についての研究は少ない。そこで,本研究は,気質・性格モデルとBig Fiveモデルとの関連を検討することを目的とした。大学生457名を対象にTemperament and Character Inventory (TCI) とBig Five尺度を実施した。その結果,TCIとBig Five尺度は強い関連を示し,気質・性格モデルはBig Fiveモデルの説明を行うことが可能であることが示唆された。また,外向性を除くBig Fiveモデルの各因子の説明には,気質だけでなく性格が必要であることが示唆された。最後に,気質・性格モデルの観点からBig Fiveモデルの各因子の特徴について論議された。
  • 李 暁茹, 下山 晴彦
    原稿種別: 原著
    2008 年 16 巻 3 号 p. 335-349
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,中国人大学生を対象に,強迫傾向尺度を作成し,その得点と親の養育態度尺度との関連性を検討した。研究Ⅰでは,230名の大学生・大学院生に,予備調査で作成した60項目の強迫傾向質問紙に回答を求めた。因子分析により,「疑惑・制御」,「確認」,「正確」「優柔不断」,「洗浄」という5つの下位尺度,合計49項目からなる,強迫傾向尺度を作成した。また,充分な信頼性(内的整合性・再テスト信頼性)と妥当性(因子的妥当性・基準関連妥当性)が確認できた。研究Ⅱでは,重回帰分析を用いて,下位尺度を中心に,強迫傾向と親の養育態度との関連を検討した。その結果,男性においては,「強迫傾向」及びその3つの下位尺度「正確」,「確認」,「疑惑・制御」と親の養育態度の間に有意な相関が見られた。一方,女性においては,「優柔不断」「洗浄」という男性とは違う側面において,親の養育態度との間に有意な相関が見られた。
  • 清水 健司, 川邊 浩史, 海塚 敏郎
    原稿種別: 原著
    2008 年 16 巻 3 号 p. 350-362
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,青年期における対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデルにおける性格特性と精神的健康(心理的ストレス反応)の関連を検討することを目的としている。大学生595名を対象として対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデル尺度短縮版(以下,TSNS-S),心理的ストレス反応尺度,性格特性を測定する尺度であるFFPQ尺度の質問紙調査を施行した。分析1では,TSNS-Sにおける信頼性と妥当性を検討し,分析2では,対人恐怖心性と自己愛傾向の相互関係の観点から分類された5類型における性格特性と精神的健康の関連を検討した。その結果,分析1ではTSNS-Sにおけるα係数,再検査法の各信頼性係数が高い値を示し,FFPQとの相関分析の結果においても一定の構成概念妥当性を持つことが確認された。また,分析2では5類型の性格特性と精神的健康の関連性の検討から,各々の類型が持つ特徴の基礎的部分が明らかにされた。
  • パネル調査による因果関係の推定
    赤坂 瑠以, 坂元 章
    原稿種別: 原著
    2008 年 16 巻 3 号 p. 363-377
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,小学生から高校生までの450名を対象に2時点でのパネル調査を行い,携帯電話の使用が友人関係の深さと密着性に及ぼす影響について検討した。分析の結果,携帯電話の使用が友人関係の深さに及ぼす影響では,有意な効果が見られず,密着性に及ぼす影響では,いくつかの変数で有意な効果が見られたことから,携帯電話の使用が友人関係の深さに及ぼす影響は大きなものとは言えないが,密着性に及ぼす影響はある程度認められることが示唆された。校種別に見ると,高校生では,虚構の心理的一体感,情緒的依存が高いほど,密着性が増加すること,中学生では,インターネット量,真実の心理的一体感,情報伝達,情緒的依存が高いほど,密着性が低下することが示され,小学生では有意な結果は見られなかった。さらに,友人関係が携帯電話の使用に影響するという逆方向の関係を示す結果もいくつか得られ,密着性と虚構の心理的一体感や情緒的依存との間に,互いを高め合う循環的な関係があることが示唆された。
資料
  • 内田 香奈子, 山崎 勝之
    原稿種別: 資料
    2008 年 16 巻 3 号 p. 378-387
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,情動焦点型コーピングの1つである感情表出と抑うつとの因果関係を,予測的研究方法を用いて検討することである。参加者は341名で,質問紙には,怒りと落胆感情に対する2タイプの感情表出(独立的/他者依存的)を測定する感情コーピング尺度 (ECQ) の状況版,問題焦点型コーピングの測定にはGeneral Coping Questionnaire (GCQ) の状況版,抑うつの測定にthe Center for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D) を用い,5週間をあけ (T1とT2),2度回答した。階層的重回帰分析の結果,女性においてT1の独立的感情表出がT2の抑うつと正に関連していた。また,女性において抑うつが高いほど問題解決を行わないことが示された。独立的感情表出を低め,同時に問題解決を高める介入の可能性について論議された。
  • 順応することと享受することの違い
    岡田 有司
    原稿種別: 資料
    2008 年 16 巻 3 号 p. 388-395
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究では学校生活への順応と学校生活の享受の2側面を区別して学校への心理的適応を捉え,学校生活の下位領域に対する意識との関係を明らかにすることで,両概念の違いについて検討することが目的であった。質問紙調査により得られた中学生407名分のデータから,以下の知見が得られた。まず,因子分析からは学校生活への順応と学校生活の享受を区別して捉えることの妥当性が確認された。重回帰分析の結果,学校生活への順応・学校生活の享受ともにクラスへの意識が影響していた一方で,順応には友人への意識が,享受には教師・校則への意識が影響するという違いのあることが示された。学校生活に順応することと学校生活を享受することの違いについて検討され,順応に影響していた友人関係は生徒が不安を感じやすい領域であり,享受に影響していた教師や校則といった領域は生徒が反感を抱きやすい領域であることが示唆された。
  • 伊藤 亮, 村瀬 聡美, 吉住 隆弘, 村上 隆
    原稿種別: 資料
    2008 年 16 巻 3 号 p. 396-405
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は現代青年のふれ合い恐怖的心性の精神的健康度について,抑うつと自我同一性の側面から検討することであった。大学生292名(男性125名,女性167名)を対象に質問紙調査を実施し,対人退却傾向,対人恐怖的心性,抑うつ,自我同一性の感覚を測定した。対人退却傾向と対人恐怖的心性の高低の組み合わせによって対象者をふれ合い恐怖的心性群,対人恐怖的心性群,退却・恐怖低群の3群に分類した。一元配置分散分析の結果,ふれ合い恐怖的心性群は対人恐怖的心性群より抑うつは低く,自我同一性の感覚は高いことが示された。一方,退却・恐怖低群と比較した場合,自己斉一性・連続性,対他的同一性の感覚は低いことが示された。これらの結果から,ふれ合い恐怖的心性群は対人恐怖的心性群よりも精神的には健康的な群ではあるが,個として他者と向き合う対人関係においては自我同一性の危機が生じやすい一群であることが示唆された。
  • 性格記述の分類と,評価性・叙述性の検討
    安井 知己
    原稿種別: 資料
    2008 年 16 巻 3 号 p. 406-415
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,日常言語におけるBig-Fiveについて検討することであった。女子大学生(125名)から自由記述により性格記述を収集し,Big-Fiveへの分類(研究1)を行い,語彙の評価性・叙述性について検討(研究2)した。その結果,96.5%の記述がBig-Fiveのいずれかの次元に分類されたが,遊戯性に関する記述はほとんど得られなかった。また,本研究で得られた語彙は極端に評価性の高い語彙は少なく,叙述性がやや高い語彙であった。Big-Fiveの各次元において出現頻度の高い要素特性が存在しており,これらの次元が日常言語において有用性の高い特性概念であることが示唆された。
  • 佐藤 徳
    原稿種別: 資料
    2008 年 16 巻 3 号 p. 416-425
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    つい最近のことのはずなのに遠い昔のことに感じられたり,自分に起こった出来事なのに自分の体験ではないように感じられることがある。本研究は,何がこのような感覚に影響を及ぼしているのかを検討した。その結果,実際には同じ頃の出来事を想起しているにもかかわらず,自尊心が高い者はネガティブな出来事を遠く,自尊心が低い者はポジティブな出来事を遠く感じることが明らかとなった。また,現在の自己概念と一致しない出来事はより遠く感じられていた。出来事の自己所属感も同様であり,同じく自分に起こった出来事を想起しているにもかかわらず,現在の自己評価と異なる出来事は自分の体験ではないように感じられること,現在の自己概念と一致しない出来事も同様に自分の体験ではないように感じられることが明らかとなった。以上より,想起された出来事の時間的距離判断ならびに所属判断が自己概念や自己評価の影響を受けることが示唆された。
  • メタ分析による統合
    近江 玲, 坂元 章
    原稿種別: 資料
    2008 年 16 巻 3 号 p. 426-434
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,テレビ視聴量とパーソナリティの知的側面との間に見られる相関関係が,視聴番組の内容によってどのように異なるか検討するために,調査研究を対象としたメタ分析を行った。11の研究を対象とし,各研究から抽出した相関係数を,相関係数と偏相関係数に分類した。そしてそれぞれについて,番組ジャンルごとに効果サイズを統合した。その結果,ニュース・ドキュメンタリー,教育番組の各視聴量と知的側面との間には有意な正の相関が確認された一方で,アニメ,ドラマ,スポーツ,暴力的番組の各視聴量と知的側面との間には負の相関が検出された。したがって,テレビ視聴量と知的側面との関連を議論する際には,視聴する番組の内容に注意すべきであることが,改めて示唆された。
ショートレポート
  • 尺度開発と尺度モデルの検討
    松尾 一絵, 清水 安夫
    原稿種別: ショートレポート
    2008 年 16 巻 3 号 p. 435-437
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2008/07/15
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to develop Coping Scale for Japanese Elementary School Teachers and to explore its dimensional structure. Results of exploratory factor analysis suggested a four-factor model. Confirmatory factor analysis and reliability analysis supported structural soundness and factor reliability of the scale. Results of hierarchical cluster analysis revealed that the four factors of the scale were classified into two clusters: emotion-focused and problem-focused copings. Higher-order factor analysis for the secondary model based on the result of hierarchical cluster analysis obtained indices that showed satisfactory fit. The scale would be a valuable tool in evaluation studies of coping intervention.
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