パーソナリティ研究
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17 巻 , 1 号
(2008)
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集論文
  • 授業の学習外文脈における相互交渉に注目して
    澤邉 潤, 岸 俊行, 大久保 智生, 野嶋 栄一郎
    原稿種別: 特集論文
    2008 年 17 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,小学校4年生の国語科授業を対象として,教室授業場面における児童間の相互交渉に焦点をあてた継続的な授業観察を行った。その中から,2つの授業に注目し,授業の学習外文脈における児童間対立の形成過程を検討した。その結果,授業の学習外文脈における児童間対立は,初めは些細な児童間の意見対立やトラブルであったが,クラスメートがどちらか一方の立場に同調していく過程で現出し,児童が泣き出してしまう程のからかいや攻撃行動へと発展していったことが明らかとなった。また,攻撃の対象となる児童は,時に児童間の関係性において流動的である可能性も示唆された。さらに,授業の教授–学習文脈に即していると思われる児童の行動であっても,授業の学習外文脈においては,児童間対立が促されることも示唆された。最後に,教室授業場面における観察研究の有効性と今後の研究の方向性が論じられた。
原著
  • 谷 伊織
    原稿種別: 原著
    2008 年 17 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    わが国では,社会的望ましさ反応の測定についてCrowne & Marlowe(1960)の社会的望ましさ尺度が邦訳されて使用されているが(北村・鈴木,1986),社会的望ましさ反応を測定する尺度の因子構造は研究者によって異なっている。そこで本研究においてはまだ邦訳されていないPaulhus(1991)のバランス型社会的望ましさ反応尺度を邦訳し,安定した因子構造を持つ新たな社会的望ましさ反応尺度を作成することを目的とした。調査1では探索的因子分析によって自己欺瞞,印象操作の2因子構造が見出された。調査2においては他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,交差妥当性が確認された。調査3においては他の概念との関連から構成概念妥当性が示され,調査4においては基準関連妥当性が認められた。以上より,バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版の信頼性と妥当性が確認された。
  • 小西 瑞穂, 山田 尚登, 佐藤 豪
    原稿種別: 原著
    2008 年 17 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    自己愛人格傾向がストレスに脆弱な素因であるかを検討するために,大学生174名(男性72名,女性102名)を対象として縦断的調査を行った。自己愛人格傾向の高い者は最近1ヶ月以内のストレッサー経験量が多いと精神的健康が低下するという仮説を立て,精神的健康のネガティブな側面をストレス反応,ポジティブな側面をハッピネスとして測定した。階層的重回帰分析の結果,自己愛人格傾向の高い者がストレスイベントを多く経験した場合,男性では抑うつ反応および自律神経系活動性亢進反応,女性では身体的疲労感が増加し,一方ストレスの少ない状況ではこれらのストレス反応が自己愛人格傾向の低い者や平均的な者に比べて最も少なかった。つまり,自己愛人格傾向には個人の精神的健康を部分的に支える働きがあるが,それはストレスの少ない状況に限定されたものであり,ストレスの多い状況ではストレス反応を生起しやすい,ストレスに脆弱な素因と考えられる。
  • 井隼 経子, 中村 知靖
    原稿種別: 原著
    2008 年 17 巻 1 号 p. 39-49
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    Resilienceとは,有害な出来事によるダメージを和らげるパーソナリティ特性の一種である。本研究は,Resilienceにおける4つの側面を個別に測定する4つの尺度を作成することを目的とした。資源の所在とその処理の観点から,Resilienceを(1)個人内資源の認知,(2)個人内資源の活用,(3)環境資源の認知,(4)環境資源の活用の4つの側面に分類した。447名の大学生を対象とした調査から各側面を測定する尺度を作成した。SDSとの有意な相関により各尺度は妥当であることが確認された。このモデルにより,従来よりも詳細にResilienceを検討することが可能となるだろう。
  • 佐藤 徳
    原稿種別: 原著
    2008 年 17 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    反社会性人格障害(ASPD)は,違法行為の反復,人をだます傾向,衝動性,無責任性,良心の呵責の欠如によって特徴づけられる。本研究は,2つの行動選択課題を用いて,ASPD傾向者が高い衝動性を示すかを検討した。遅延価値割引課題では,参加者は,即時小報酬と遅延大報酬の間で選択を行う。衝動性は即時小報酬への選好と定義される。他方,確率価値割引課題では確実な小報酬と不確実な大報酬との間で選択を行う。衝動性は不確実な大報酬への選好と定義される。16名のASPD傾向者と19名の健常者が両課題を行った結果,まず,遅延価値割引課題ではASPD傾向者は健常者より急激に遅延報酬の価値を割り引くことが示された。確率価値割引課題では両群の差はなかった。遅延価値割引は,「反社会的行為の反復」ならびに「性的関係における無責任性・搾取性」と有意に関連していた。本結果から,長期的な結果の価値を切り下げることがいくつかのASPD症状の根底にあることが示唆された。
  • 抑うつ,ネガティブな反すうを媒介として
    齋藤 路子, 沢崎 達夫, 今野 裕之
    原稿種別: 原著
    2008 年 17 巻 1 号 p. 60-71
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,自己志向的完全主義(完全欲求,高目標設定,失敗過敏,行動疑念)と攻撃性(身体的攻撃,短気,敵意,言語的攻撃)および自己への攻撃性(自己への身体的攻撃傾向,自己への敵意)の関連を検討するために,大学生444名に対して,質問紙調査を行った。その結果,高目標設定は言語的攻撃と,失敗過敏は短気,敵意,自己への身体的攻撃傾向,自己への敵意と,行動疑念は敵意,自己への敵意と,それぞれ有意な相関があった。さらに,自己志向的完全主義が攻撃性,自己への攻撃性に至るプロセスに関するモデルを構成し,共分散構造分析による検討をしたところ,(a)不適応的完全主義が強いほど,認知・情動的攻撃性が強まり,認知・情動的攻撃性が強いほど,自己への敵意が強まること,(b)不適応的完全主義が強いほど,ネガティブな反すうが強まり,ネガティブな反すうが強まるほど抑うつが強まり,抑うつが強まるほど,認知・情動的攻撃性,自己への攻撃性に影響を与えることが示唆された。最後に,自己志向的完全主義が攻撃性および自己への攻撃性に至る認知プロセスについて議論した。
資料
  • 髙橋 雄介, 繁桝 算男
    原稿種別: 資料
    2008 年 17 巻 1 号 p. 72-81
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    Gray(1970, 1982, 1987)の強化感受性理論は,罰の回避の感受性と報酬への接近の感受性という2つの基礎的な次元の個人差によって,人間行動を記述する気質モデルである。本研究では,罰の回避の感受性と報酬の接近の感受性を測定する3尺度を含む質問紙調査を実施し,各尺度間の相関及びGrayの気質モデルとEysenckの気質モデル(神経症傾向(N)と外向性(E))との関係を検討するために,相関分析,共分散構造分析による検討を行った。その結果,罰の回避の感受性と報酬への接近の感受性は,(1)前者は因子として十分なまとまりを持つが後者はやや不十分であること,(2)お互いに相関はなく,両者は独立に機能し得ること,(3)前者はNと正の相関,Eと負の相関,後者はN・Eとも正の相関を持つことが確認され,また,Grayの気質モデルの全体的な構造は,単独の尺度のみを用いたときよりも,3尺度を組み合わせることによって,より理論的な想定に沿った測定が行えることが示唆された。
  • 妥当性の検討および行動抑制/行動接近システム・実行注意制御との関連
    原田 知佳, 吉澤 寛之, 吉田 俊和
    原稿種別: 資料
    2008 年 17 巻 1 号 p. 82-94
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,“社会的場面で,個人の欲求や意思と現状認知との間でズレが起こった時に,内的基準・外的基準の必要性に応じて自己を主張するもしくは抑制する能力”である社会的自己制御(Social Self-Regulation; SSR)を測定する尺度を開発し,その信頼性・妥当性の検討を行った。研究1では,予備調査で選定された42項目に対して,大学生,高校生673名に回答を求めた。探索的因子分析の結果,SSRは「自己主張」「持続的対処・根気」「感情・欲求抑制」の3下位尺度(計29項目)から構成されることが示された。また,尺度の十分な信頼性と収束・弁別妥当性も確認された。研究2では,脳科学的基盤が仮定された自己制御概念として行動抑制/行動接近システム(BIS/BAS)・実行注意制御(EC)を取り上げ,SSRとの関連を検討した。その結果,先行研究を支持する結果が得られ,構成概念妥当性が確認された。
ショートレポート
  • 情緒的依頼心に着目して
    亀山 晶子, 坂本 真士, 岡 隆
    原稿種別: ショートレポート
    2008 年 17 巻 1 号 p. 95-97
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was to examine the relationship among the following four variables: discrepancy between expectation and reception of support, emotional reliance, self-esteem, and depression. Longitudinal data from 44 university students were collected, with the first questionnaire measuring, among others, self-esteem, depression, expectation of support from a significant other, and emotional reliance, and the second two months later measuring self-esteem, depression, and reception of support from the same person. Results showed that the discrepancy between expectation and reception of support predicted lower self-esteem and higher depression, as reported by Nakamura & Ura (2000). Furthermore, the relationship between the discrepancy and low self-esteem was most apparent for those high on emotional reliance.
  • 佐藤 徳
    原稿種別: ショートレポート
    2008 年 17 巻 1 号 p. 98-100
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    The present study examined whether mere subliminal priming of potential action consequences enhanced actors' feeling of intentionally causing the consequences. Under a subliminal priming paradigm, 26 university students performed one of two actions, which were followed by one of two visual stimuli. Immediately before each action, a masked prime-stimulus was presented, which was either congruent, incongruent, or unrelated to the post-action stimulus. Results showed that subjective feeling of authorship and experience of conscious will for “the consequence” depended on the congruency between the primed representation before and the actual stimulus following the action, even when the primed representation remained completely unconscious for the actor.
  • 髙坂 康雅
    原稿種別: ショートレポート
    2008 年 17 巻 1 号 p. 101-103
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    The relationship between feeling of inferiority and self-oriented perfectionism in adolescence was investigated. Adolescents (N5609) were asked to complete a questionnaire of 40-item feeling of inferiority scale and Multidimensional Self-oriented Perfectionism Scale (MSPS). Results of cluster analysis revealed four clusters of adolescents: (1) Low perfectionism, (2) High concern over mistakes, (3) High perfectionism, and (4) High personal standards. Results of analysis of variance indicated that adolescents with high concern over mistakes had significantly stronger inferiority feeling than other groups.
  • 離人症状とサイコパシーにおける感情鈍磨現象の検討
    金山 範明, 大隅 尚広, 飯村 里沙, 余語 真夫, 大平 英樹
    原稿種別: ショートレポート
    2008 年 17 巻 1 号 p. 104-107
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    Emotional process at times goes awry. For instance, depersonalization disorder includes emotional detachment, which is evoked sometimes by stressful events, just like a common symptom of acute stress disorder. Similarly, psychopathy is characterized by weak emotional responses. However, although they appear to have something in common, these phenomena are not completely the same, and each has some different function for or influence on behavior. We investigated the differences between emotional detachment in depersonalization and weakened emotion in psychopathy, using Emotional Processing Scale (EPS). Path analysis revealed that emotional malfunctions in depersonalization could be separated into dissociation, which was common with primary psychopathy, and suppression, uncontrollability, and confusion, which were common with secondary psychopathy.
  • 伊藤 慎也, 岡田 斉
    原稿種別: ショートレポート
    2008 年 17 巻 1 号 p. 108-110
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    It was not clear that schizotypal people had the same difficulty, such as attention deficits, as schizophrenics frequently showed to some extent. In the present study, 22 volunteer participants with high and low scores on Schizotypal Personality Questionnaire, Brief version, performed an attention task. In Posner task, participants in high group were distinguished from those in low group by slower responses to targets in the right visual field than to targets in the left visual field, when attention was not first directed to the target location. The finding supported the concept of schizotypy, which posited a continuum of low to high to extreme high levels of schizophrenia.
依頼論文
  • Samuel D. Gosling, Zezelia Olson
    原稿種別: Invited Article
    2008 年 17 巻 1 号 p. 111-119
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    Animal studies have been appealing to many area of psychology because, in comparison with human studies, they afford greater experimental control, more options for measuring physiological and genetic parameters, greater opportunities for naturalistic observation, and an accelerated life course. Thus, it makes sense that interest in and research on animal personality has flourished in recent years. Reviews of the literature show that: (a) personality exists and can be measured in animals; (b) studies of animal personality fall into three broad domains (animal-model research, behavioral ecology, and practical applications); (c) personality can be identified in a broad array of species; and (d) some traits show more cross-species generality than others. Conceptual and empirical analyses show that personality can be assessed in animals using rating and behavior-coding methods; comparisons of the two methods suggest that ratings are generally superior to behavior codings. Animal personality research is well placed to shed light on the genetic, biological, and environmental bases of personality and to illuminate research on personality development, personality perception, and the links between personality and health.
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