パーソナリティ研究
Online ISSN : 1349-6174
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18 巻, 1 号
(2009)
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
原著
  • ──自己憐憫尺度作成の試み
    林田 太郎, 佐藤 純
    原稿種別: 原著
    2009 年 18 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,これまで我が国の心理学において取り上げられることがなかった自己憐憫について,過去の事例研究や自由記述の結果をもとに概念を整理し,その結果に基づいた尺度を作成して実証的に検討することであった。研究1では,大学生に自己憐憫の経験を尋ね,自己憐憫とは日常的な場面でも生じるもので,その内容としては他者を意識した感情や反応があることが明らかにされた。研究2では,その結果をもとに自己憐憫尺度を新たに作成し,322名の学生を対象に質問紙調査を実施した。確認的因子分析の結果から,3因子モデルが妥当であることが確認された。また,α係数や再検査信頼性係数は十分な値を示し,信頼性が確認された。妥当性を検討するために統制感,孤独感,怒りの表出との相関を検討した結果,ある程度予想通りの結果が得られ,妥当性を確認することができた。
  • 福森 崇貴, 小川 俊樹
    原稿種別: 原著
    2009 年 18 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,a)不快情動との直面を促進する要因とはどのようなものか,b)それらの要因は不快情動の回避にどのような影響を及ぼすか,の2点について検討することを目的として行われた。自由記述式調査およびそこから得られた項目群の因子分析結果から,不快情動との直面を促進する要因は,“支えてくれる他者”,“気分調整の自信”,“環境的ゆとり”,“つらい過去経験”,“成長への意志”の5つから捉えられることが示唆された。また,構造方程式モデリングを用いたパス解析の結果,直接・間接的に不快情動回避に影響を及ぼしていたのは,“気分調整の自信”,“支えてくれる他者”,“環境的ゆとり”の3要因であった。よって,不快情動との直面を考える上では,特にこれらの要因が重要となることが示された。
資料
  • 長谷川 晃, 金築 優, 根建 金男
    原稿種別: 資料
    2009 年 18 巻 1 号 p. 21-34
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,本邦の大学生を対象に調査を実施し,抑うつ的反すうに関するポジティブな信念の確信度を測定する尺度を作成すると共に,どのような内容の信念が抑うつ的反すう傾向と関連しているのか検討することを目的とした。研究1では,“人生への悪影響の回避”,“問題解決能力の向上”,“感情制御の促進”,“現状の悪化の回避”の4下位尺度からなる「抑うつ的反すうに関するポジティブな信念尺度 (PBDRQ)」が作成された。研究2では,PBDRQの併存的妥当性と再検査信頼性が確認された。研究3では,“人生への悪影響の回避”と“現状の悪化の回避”という,反すうしないことで生じる不利益に関する信念が抑うつ的反すう傾向と関連していることが示された。結果より,抑うつ的反すうに関するポジティブな信念の中で,特に反すうしないことで生じる不利益に関する信念を変容することにより,抑うつ的反すう傾向を効果的に低減できる可能性が示唆された。
  • 門田 昌子, 寺崎 正治
    原稿種別: 資料
    2009 年 18 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,外向性,神経症的傾向と主観的幸福感との関連を媒介する要因としての日常的出来事の効果を明らかにすることであった。大学生278名を対象に,様々な日常的出来事に対する快・不快と体験頻度についての評定を求めた。構造方程式モデルによるパス解析の結果,外向的な人ほど,対人的な出来事をより快と評価し,その結果,主観的幸福感や自尊心が高くなっていた。一方,神経症的傾向が高い人ほど,仕事や学業上の行き詰まりをより多く体験し,結果として否定的感情を高め,人生満足感や自尊心を低下させることが明らかになった。
  • ──「私はなぜ私なのか」と問う取り組み方による違い
    天谷 祐子
    原稿種別: 資料
    2009 年 18 巻 1 号 p. 46-56
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,「私はなぜ私なのか」という問い―自我体験―を経る人と経ない人の間,また自我体験を経て,それを深刻に捉えるか否かの間でパーソナリティ特性が異なるという仮説の検証を第1の目的とした(研究1)。そして自身が自我体験を経た意味を積極的に見出すか否かにより,孤独感と心理的well-beingに対する関連が異なるという仮説の検証を第2の目的とした(研究2)。その結果研究1からは,自我体験を経てそれを深刻に捉えている人が未体験者よりも神経症傾向が高いことが示された。また未体験者の方が自我体験を経て深刻に捉えていない人よりも誠実性が高かった。研究2からは,自身の自我体験に積極的な意味を見出している人は未体験者よりも「人は本来1人である」と考える傾向が強いことが示された。これにより,自我体験を経る人と経ない人のパーソナリティ特性,また自我体験の孤独感への関連が明らかにされた。
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