パーソナリティ研究
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18 巻 , 2 号
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原著
  • ――語彙判断課題による検討
    島 義弘
    原稿種別: 原著
    2010 年 18 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,愛着の内的作業モデル(“不安”と“回避”)が対人情報処理に与える影響を,語彙判断課題を用いて検討した。実験参加者は大学生64名であった。“反応のずれ”(ネガティブ刺激に対する反応時間からポジティブ刺激に対する反応時間を減じた値)を従属変数とした階層的重回帰分析の結果,(1) 対人関係関連語において“反応のずれ”は“回避”からの有意な影響を受けていた。また,(2) 対人関係関連語の“反応のずれ”は“不安”と“回避”の交互作用の影響も受けていた。これらの効果は“不安”と“回避”の双方が高い場合に最も顕著であった。このことから,対人関係に関連した情報の処理は愛着の内的作業モデル,特に“回避”の影響を受けることが示唆された。しかしながら,(3) パーソナリティ関連語においては,“反応のずれ”は“不安”と“回避”のどちらの影響も受けていなかった。最後に,今後の方向性について議論された。
  • 薊 理津子
    原稿種別: 原著
    2010 年 18 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,調査参加者に他者から注意・叱責を受けた過去の経験を想起させ,その他者(叱責者)の特徴によって,屈辱感,羞恥感,罪悪感の各々の感情の喚起に影響があるかどうかについて検討を行った。その結果,嫌いな人間に叱責された場合に屈辱感が喚起された。また,機嫌を損ねたくない人間に叱責を受けた場合に羞恥感が喚起された。さらに,好かれたい人間に叱責された場合に罪悪感が喚起された。また,構造方程式モデリングの結果,叱責者の違いが直接関係修復反応に影響を与えるのではなく,それらの間に罪悪感と屈辱感の感情が媒介することが見いだされた。つまり,罪悪感が関係修復反応を促進し,対照的に,屈辱感が関係修復反応を抑制した。
資料
  • 桾本 知子, 山崎 勝之
    原稿種別: 資料
    2010 年 18 巻 2 号 p. 96-104
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,日本人大学生向けの対人ストレスユーモア対処尺度(HCISS)を開発した。研究1では大学生987名を対象とし,HCISSの因子構造と内的整合性を検討した。その結果,HCISSは12項目から構成される1次元尺度で,十分な因子的妥当性と高い内的整合性を備えていることが明らかにされた。研究2では安定性と構成概念妥当性の検討を行った。大学生370名を対象として検査―再検査を行った結果,HCISSは5~6週間にわたって安定性を十分に満たしていることが示された。構成概念妥当性は,大学生96名における仲間評価,および大学生37名を対象としたRochester Interaction Recordの結果から確認された。十分な信頼性と妥当性を備えた大学生向けの尺度として,HCISSが完成した。
  • 浅野 憲一
    原稿種別: 資料
    2010 年 18 巻 2 号 p. 105-116
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    諦めの適応性に関する先行研究の結果は一貫していない。本研究ではその要因として諦めの意図を測定するわりきり志向尺度を作成した。調査協力者は大学生537名(男性241名,女性281名,性別不明15名)だった。その結果,わりきり志向はわりきりの有効性認知と対処の限界性認知という2つの因子を持つことが示された。さらに,わりきり志向尺度について一定の信頼性と妥当性が示された。また,わりきり志向の2因子によるクラスター分析の結果,非わりきり群,有効性優位群,限界性優位群の3群が得られた。有効性優位群はより低い抑うつ,より高い人生における満足感,より低い否定的考え込み,より高い気分転換的気そらしと関連していた。限界性優位群はより高い抑うつ,より低い人生における満足感,より低い問題解決的考え込み,より高い回避的気そらしと関連していた。
  • 脇本 竜太郎
    原稿種別: 資料
    2010 年 18 巻 2 号 p. 117-128
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究では自己充実と競争という2種の達成動機と自尊心の高低・不安定性の2側面との関連を検討した。達成行動は自我脅威への脆弱性に阻害される。また,自尊心の高低と自我脅威への脆弱性の関係は,自尊心の不安定性に調節される。一般には高自尊心が達成行動に結びつくと考えられがちであるが,上記のことから自尊心の高低と達成動機の関係も,自尊心の不安定性に調節されると考えられる。大学生・大学院生57名を対象とした1週間の日誌法の調査により,この予測を検証した。その結果,自尊心が安定している場合は自尊心が高いほど自己充実的達成動機が強いことが示された。対照的に,自尊心が不安定な場合,自尊心が高いほど自己充実的達成動機が弱いという結果が得られた。一方,競争的達成動機については自尊心の高低・不安定性との関係が見られなかった。これら結果の理論的・実践的示唆について論じた。
  • ――コーピングと心理的離脱が首尾一貫感覚に及ぼす影響
    浅野 良輔, 堀毛 裕子, 大坊 郁夫
    原稿種別: 資料
    2010 年 18 巻 2 号 p. 129-139
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,失恋に対するコーピング(未練型,拒絶型,回避型)が,失恋相手からの心理的離脱を介して,成熟性としての首尾一貫感覚(Antonovsky, 1979, 1987)を予測するという仮説を検証することであった。過去1年以内に失恋を経験した大学生114名(男性60名,女性54名)を分析対象とした。対象者は,最近経験した失恋に対するコーピング,失恋相手からの心理的離脱,人生の志向性に関する質問票(首尾一貫感覚)の各尺度に回答した。構造方程式モデリングによる分析の結果,(a) 心理的離脱は首尾一貫感覚を直接的に向上させ,(b) 心理的離脱を介して,未練型コーピングは首尾一貫感覚を低下させる一方,回避型コーピングは首尾一貫感覚を向上させ,(c) 拒絶型コーピングは首尾一貫感覚を直接的に低下させることが示された。以上の結果から,失恋および継続中の恋愛関係と,成熟性としての首尾一貫感覚との関連性が議論された。
  • 髙坂 康雅
    原稿種別: 資料
    2010 年 18 巻 2 号 p. 140-151
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大学生における同性友人,異性友人,恋人に対する期待の違いを明らかにすることであった。大学生115名を対象に,期待項目35項目について,同性友人,異性友人,恋人に対する期待の程度の回答を求めた。因子分析の結果,「信頼・支援」,「外見的魅力」,「他者配慮」,「積極的交流」,「相互向上」という5因子が抽出された。同性友人に対しては,男性も女性も,「信頼・支援」,「他者配慮」,「積極的交流」,「相互向上」を期待していた。異性友人に対しては,男女とも,「信頼・支援」,「他者配慮」,「積極的交流」を期待しており,男性はさらに「外見的魅力」を,女性は「相互向上」を期待していた。恋人に対しては,男女とも,5つすべてを期待していた。
  • ――メタ分析による相関係数の統合
    岡田 涼
    原稿種別: 資料
    2010 年 18 巻 2 号 p. 152-160
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    自己決定理論(Deci & Ryan, 2000)では,さまざまな領域における動機づけをとらえる包括的な理論的枠組みを提供している。本研究では,メタ分析によって,自己決定理論における動機づけ概念間の相関係数の程度を特定し,動機づけ概念の背後にある次元を探ることを目的とした。レビューの結果,87論文115の相関行列を収集した。収集された相関行列から母相関係数を推定したところ,隣り合う動機づけ間の相関係数は,自己決定的なほうに進むにつれて大きくなる傾向がみられた。動機づけの次元について,自己決定性と統制的動機づけの2次元が見いだされた。動機づけ尺度の妥当性および動機づけの指標について論じた。
ショートレポート
  • 上野 真弓, 高野 慶輔, 浅井 智久, 丹野 義彦
    原稿種別: ショートレポート
    2010 年 18 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    This study investigated the reliability and validity of the Japanese version of the Oxford Schizotypal Personality Scale (STA). Participants included two samples of undergraduates. The results showed high internal consistency and test-retest reliability. The STA had significant positive correlations with the Oxford-Liverpool Inventory of Feeling and Experiences, and the Paranoia Checklist. It was not correlated with the Rosenberg Self-esteem Scale and the Liebowitz Social Anxiety Scale. This indicates that the STA has good psychometric properties and convergent and discriminant validity. These results indicate that the Japanese version of the STA is a highly reliable and valid scale of positive schizotypal personality characteristics.
  • ――認知の顕在的指標と潜在的指標による比較検討
    大月 友, 権上 慎, 杉山 雅彦
    原稿種別: ショートレポート
    2010 年 18 巻 2 号 p. 165-167
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    This study investigated successive changes of psychophysiological responses related to social anxiety using a speech task. Fifteen university students completed the Fear of Negative Evaluation Scale (FNE) and the Go/No-go Association Task (GNAT) which measured their implicit associations between social situations and emotions. During a speech task, psychophysiological responses (electro-dermal activity: EDA; heart rate: HR) were assessed. The results showed that both EDA and HR were reduced through the speech task. For EDA, however, there was a significant difference between high and low GNAT groups. The implications for implicit variables are discussed.
  • ――ストレス負荷課題による検討
    林 明明, 丹野 義彦
    原稿種別: ショートレポート
    2010 年 18 巻 2 号 p. 168-170
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2010/02/28
    ジャーナル フリー
    This study tested the effects of hardiness on subjective stress after acute stress. Forty-eight students answered a hardiness scale and were administered the 20 min Uchida–Kraepelin psychodiagnostic test. Subjective stress was measured with the Phasic Stress Scale (PSS) before and after the task. Then, participants filled out questionnaires appraising the stressor. The low-hardiness group (n=24) showed more subjective stress than the high-hardiness group (n=24). However there were no significant differences between the two groups in the appraisal of the stressor. The results suggest that hardiness decreases the subjective stress, even though the participants did the same amount of a stressful task and had the same appraisal of it.
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