パーソナリティ研究
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20 巻 , 2 号
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原著
  • 中谷 陽輔, 友野 隆成, 佐藤 豪
    原稿種別: 原著
    2011 年 20 巻 2 号 p. 63-72
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    Eriksonのいうアイデンティティ危機が現代青年にどの程度の問題として顕現しうるかどうかについて,神経症様症状が示されるか否かという点から検討した。アイデンティティの指標として信頼性・妥当性が十分に検証されたMEIS(谷,2001, 2008),および神経症様症状を測定する指標として臨床場面で使用頻度が高いGHQ28(中川・大坊,1985)を使用し,大学生302名を対象に調査が行われた。対象者をクラスタリングして一元配置分散分析を行った結果,最もGHQ得点が高かったのはMEIS下位尺度得点すべてが低い同一性拡散群であり,他の群においてもカットオフポイント以上の得点が示された。すなわち,現代日本において青年期特有のアイデンティティ危機が生じており,アイデンティティ形成に焦点を当てた発達支援の必要性が示唆された。また重回帰分析の結果から,自己の内的一貫性・連続性だけでなく,環境的側面としての社会との結びつきや位置づけも考慮することが重要だと考えられた。
  • 孫 怡
    原稿種別: 原著
    2011 年 20 巻 2 号 p. 73-83
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,Hobfollの資源維持理論を異文化適応に応用し,個人の内的資源(パーソナリティ,資源管理,サポート追求度)と外的資源(ソーシャル・サポート:以下SSと略す)との関連,そしてそれらが異文化適応に及ぼす影響を検討することを目的とした。251名の在日中国人留学生(20–24歳)を対象に質問紙調査を実施した結果,損害回避および固執は資源管理との間に,報酬依存および固執はSS追求度との間に有意な相関が見られ,内的資源同士の相互影響性が示唆された。また,新奇性追求および報酬依存,資源管理,SS追求度がSS獲得量との間に有意な相関を示し,個人の内的資源と外的資源(ソーシャル・サポート)との関連が示された。さらに,異文化適応に関する資源モデルをパス解析で分析した結果,パーソナリティ特性はそれぞれ異なるルートで異文化適応(社会文化的適応と心理的適応)に影響を及ぼすことが示され,SS獲得量の媒介効果も検証された。
  • ――日常生活演技尺度の作成および賞賛獲得欲求・拒否回避欲求との関連
    定廣 英典, 望月 聡
    原稿種別: 原著
    2011 年 20 巻 2 号 p. 84-97
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    定廣・望月(2010)は日常生活で行われる演技は「目立つ演技」,「目立たない演技」,「自己や利益のための演技」の3パターンに分類されることを示している。本研究では,どのような特性が演技パターンに影響を与えているのかを検討することを目的とした。行動,動機,場面の観点から演技の頻度を測定する日常生活演技尺度を作成したところ,得点には性差が見られ,女性は「目立たない演技」得点が高かった。また賞賛獲得欲求は「目立つ演技」と,拒否回避欲求は「目立たない演技」と強い正の相関があることが示された。各欲求が低い場合,男性では「目立つ演技」の得点が大きく低下するのに対し,女性では低下の程度が緩やかな傾向があった。本研究の結果から,対人的な欲求の違いによって演技パターンが異なること,演技パターンの違いの背景に性役割観等の影響も考えられることが示唆された。
  • 福中 公輔, 豊田 秀樹
    原稿種別: 原著
    2011 年 20 巻 2 号 p. 98-109
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    因子分析においてモデルの改良を行う場合,因子数や因子パタンを変更することがよくある。しかしこれらのアプローチは,研究当初の構成概念の意味を変更,あるいは歪曲してしまうという問題点がある。また構造方程式モデリングの観点から独自因子に相関を仮定して対処することも可能であるが,どの因子間に相関を仮定すべきかの基準は曖昧である。そこで本研究では,グラフィカルモデリングの共分散選択を利用して,研究当初に仮定した構成概念の意味を変更・歪曲せず,かつデータからの明確な理由でモデルを改良するための独自因子構造解析という探索的アプローチを提案する。本研究ではこの独自因子構造解析の有効性を示すために,3つの適用例を示す。1つ目の例では統計自己効力感の尺度開発を行うという状況の下で本手法を適用し,質問項目の吟味を行った。2つ目の例では6科目の成績データに本手法を適用し,想定した因子の妥当性の検討を行った。3つ目の例では2因子の確認的因子分析モデルに対してモデルの改良を行いたいという状況の下で本手法を適用し,仮定したモデルの考察を行った。分析の結果,独自因子間の関係性に影響する主要な要因を明らかにすることができ,モデルを改良するための指針を得ることができた。
資料
  • ――双生児法による4つの因果モデルの検討
    山形 伸二, 髙橋 雄介, 木島 伸彦, 大野 裕, 安藤 寿康
    原稿種別: 資料
    2011 年 20 巻 2 号 p. 110-117
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究は,Grayが提案した気質である行動抑制系(BIS)と抑うつ,不安感情の間の因果の方向性について検討した。双生児424組のデータに対し,横断的家族データから変数間の因果関係を推測する方法である「因果の方向性モデル」を適用した。(1)BISが抑うつ,不安に影響を与える,(2)抑うつ,不安がBISに影響を与える,(3)両者が相互に影響を与え合う,(4)両者の相関関係は第三変数による擬似相関である,という4つの可能性を検討したところ,抑うつ,不安いずれについてもBISが影響を与えるとするモデルの当てはまりが最もよかった。次に,抑うつ,不安の間の因果の方向性を検討したところ,抑うつと不安は相互に正の影響を与え合うとするモデルの当てはまりが最もよかった。以上より,BISが様々な精神病理の素因であるとする従来の考え方が支持され,また抑うつ,不安一方への介入が他方の改善にも有用である可能性が示唆された。
  • ――多母集団同時分析を用いた因子不変性の検討
    緒方 康介
    原稿種別: 資料
    2011 年 20 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は因子分析と多母集団同時分析を用いて,S-M社会生活能力検査における因子構造の不変性の確認と知的障がい児への適用に関して因子不変性を検証することである。児童相談所のケース記録から2歳から18歳までの知的障がいの有る/無い児童のデータ1,002名分(女児292名,男児710名)を抽出した。K式発達検査のDQを基に対象児童は,1)障がい無群,2)軽度群,3)中度群,4)重度群の4群に分類された。知的障がい児の場合,理論的な1因子モデルの因子構造の不変性は低くなった。一方,1因子モデルに替わるものとして2因子モデルの方が知的障がい児に対しての適合度が高かった。本研究知見により,S-M社会生活能力検査を知的障がい児に適用する場合には理論モデルとは異なったモデルを用いて社会生活能力を測定する必要があることが明らかとなった。
  • ――「状況依存的記憶」と「言語的記憶」を媒介したプロセスモデルの検討
    小田部 貴子
    原稿種別: 資料
    2011 年 20 巻 2 号 p. 127-137
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2012/05/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,傷つき体験が,体験に基づいて形成される記憶表象を媒介して,後の心理的不適応と結びついているのか否かを明らかにすることであった。Brewin et al.(1996)によるPTSDの二重表象理論を援用し,傷つき体験に基づく記憶表象を,操作的に「状況依存的記憶」と「言語的記憶」という2つの処理形態の異なる記憶表象からなるものとして定義した。大学生236名を対象に質問紙調査を行い,記憶表象媒介モデル,傷つき体験直接影響モデル,以上の両者を併せ持つ混合モデルの3つを構成して,パス解析を行った。その結果,記憶表象媒介モデルが最もあてはまりが良いことが示された。
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