パーソナリティ研究
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22 巻 , 2 号
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原著
  • —方法因子の因子得点の和が0になるという制約の下で
    久保 沙織, 豊田 秀樹
    原稿種別: 原著
    2013 年 22 巻 2 号 p. 93-107
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    多特性多方法行列を扱う確認的因子分析モデルにおいて,CT-CMモデルは信頼性と収束的・弁別的妥当性の解釈が一通りに定まるというメリットがあるが,識別されない場合が多い。一方で,CT-C (M-1)モデル(Eid, 2000)は,識別は保証されるものの,基準となる方法の選択に依存して,同一データに対して信頼性と妥当性の解釈が変わってしまうという欠点がある。そこで本論文では,CT-CMモデルを基に,方法因子の因子得点の和が0という制約(Kenny & Kashy, 1992)を導入することで,基準となる方法を決める必要がなく,信頼性や妥当性の解釈が一通りに定まるモデルを提案する。主要文献より引用した12の相関行列に3種類のモデルを適用した結果と,シミュレーション研究の結果から,提案モデルは信頼性と妥当性に関する解釈が一通りに定まり,識別の可能性も高く,有望なモデルであることが示唆された。
  • 田中 圭介, 神村 栄一, 杉浦 義典
    原稿種別: 原著
    2013 年 22 巻 2 号 p. 108-116
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    近年,マインドフルネス・トレーニング(MT)は,全般性不安障害や心配への介入法として注目されている。MTは,マインドフルネス傾向や脱中心化,注意の制御を媒介して,不安や抑うつに作用することが示唆されている。しかし,これらの媒介変数が,心配に作用する過程については,いまだ検討されていない。本研究では大学生を対象に質問紙調査(N=376)を行い,心配に対する注意の制御,マインドフルネス傾向,脱中心化の影響について検討を行った。共分散構造分析の結果,注意の制御を外生変数とした場合に最もモデル適合度が高いことが示された。さらに,注意の制御は,マインドフルネス傾向と脱中心化を媒介して,心配の緩和に繫がることが明らかとなった。これらの結果から,MTが心配に作用する際には,注意の制御の増加が体験との関わり方(マインドフルネス傾向,脱中心化)を改善し,心配を低減させる作用プロセスが想定される。
  • —遠い将来への肯定的な期待が持つ脅威軽減機能について
    福沢 愛, 山口 勧, 先崎 沙和
    原稿種別: 原著
    2013 年 22 巻 2 号 p. 117-130
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    不安定な高自尊心を持つ人は,他罰的傾向などの望ましくない特性を持つことが,先行研究で示されてきた。これに対して本研究は,自尊心変動性とポジティブな機能との関連を検討した。不安定な高自尊心を持つ人は,ネガティブな出来事によって自尊心が脅威を受けた後,脅威軽減のために,遠い将来への期待を高く持つのではないかと予測した。146名のカナダ人大学生(男性40人,女性106人)を対象に7日間の日記式調査を行い,自尊心レベル,自尊心変動性,ネガティブな出来事の頻度,時期を想定しない将来への期待,5年後への期待を測定した。予測どおり,人間関係に関するネガティブな出来事を多く経験した高自尊心者の間で,自尊心変動性と,時期を特定しない将来,5年後への期待との正の関連が見られた。このことは,遠い将来への肯定的な期待が,不安定な高自尊心を持つ人にとって,ネガティブな出来事によって受けた脅威を軽減する機能を持つことを示唆している。
  • 市川 玲子, 望月 聡
    原稿種別: 原著
    2013 年 22 巻 2 号 p. 131-145
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    DSM-IVにおける複数のパーソナリティ障害(PD)の合併診断の頻度の高さが問題視されている。本研究では,依存性をその診断基準の一部に含み,複数の先行研究でオーバーラップが示唆されている境界性・依存性・回避性PD傾向間の共通点および相違点を数量的に検討した。調査対象者は,大学生・大学院生216名であった。PD傾向の測定には,日本語版SCID-II(高橋・大曾根訳,2002)および中澤(2004a)の大学生用PD傾向尺度(10PesT)における境界性・依存性・回避性PDに関する項目を用いた。結果から,これらのPD傾向は,自分の判断や考えに自信がなく,他者の目を気にするがあまりに自己開示を抑制する点でオーバーラップしていることが示された。また,境界性・依存性PD傾向のそれぞれに特有の特徴も明らかにされたが,回避性PD傾向特有の特徴は本研究からは明らかにされなかった。これらの結果から,境界性・依存性・回避性PD傾向の背景にある特性および潜在因子の特徴について考察を行った。
  • —注意の喚起機能による調整効果
    田中 圭介, 杉浦 義典, 竹林 由武
    原稿種別: 原著
    2013 年 22 巻 2 号 p. 146-155
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    マインドフルネスとは,“今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく,能動的に注意を向けること”として定義される自己の体験に対する特殊な注意の向け方である。マインドフルネスの個人差を規定する要因として,注意機能の関連が指摘されている。しかし,注意機能のどの側面が,どのような交互作用でマインドフルネスに関連するのかについては,これまで明らかにされていない。本研究では,大学生を対象にAttention Network Test(Fan et al., 2002)とマインドフルネス傾向(Baer et al., 2006)を測定した。階層的重回帰分析の結果,注意の喚起機能が低い時には,注意の定位機能はマインドフルネスと正の関連を示す一方で,喚起機能が高い場合には,定位機能はマインドフルネスと負の関連を示した。これらの結果は,マインドフルネスの個人差の規定因として,注意機能を交互作用から捉える必要性を示唆する。
資料
  • 藤本 学
    原稿種別: 資料
    2013 年 22 巻 2 号 p. 156-167
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    コミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したENDCOREモデルを発表してから6年が経つ。その間に,このモデルを構成する6スキルを測定する尺度である“ENDCOREs”は,コミュニケーションやスキル・トレーニングに関する諸研究で用いられるようになってきた。今後,幅広い領域における研究や活動に活用されるためには,ENDCOREモデルおよびENDCOREsに対する再現性を確認し,ENDCOREsの因子と項目の性質を明らかにしなければならない。さらに,コミュニケーション・スキルの定義についても,明確にしておく必要がある。そこで,本研究はこれまで蓄積してきた2,184人のデータを用い,ENDCOREモデルの構造およびENDCOREsについて再検証を行った。その結果,おおむね藤本・大坊 (2007)と同様の分析結果が得られた。しかしながら,従来のモデルでは十分な適合性が得られなかった。そこで,概念的に妥当かつ十分な適合性を持つモデルに最適化した。これらの知見を受けて,コミュニケーション・スキルの概念的定義とENDCOREモデルの実践的活用について議論した。
  • 金政 祐司
    原稿種別: 資料
    2013 年 22 巻 2 号 p. 168-181
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    本研究は,先行研究の3つの青年・成人期の愛着関係で示された共通項が青年期の同性の友人関係においても認められるのかについて,成人の愛着スタイル,関係内の感情経験,関係への評価の観点から検討を行った。分析対象者は,106組の青年期の友人ペアであった。その結果,愛着次元の関係不安は,回答者本人のネガティブ感情ならびにポジティブ感情と有意な正の相関関係を示していた。親密性回避は,回答者本人のネガティブ感情と有意な正の相関を,関係への評価とは有意な負の相関を,加えて,ポジティブ感情とは有意傾向の負の関連を示していた。また,上記の親密性回避と本人の関係への評価との関連は,本人のポジティブ感情によって媒介されており,これは先行研究の3つの青年・成人期の愛着関係では見られなかった傾向であった。これらの結果について,愛着システムと親和システムの観点から議論を行った。
ショートレポート
  • 安保 恵理子, 根建 金男
    原稿種別: ショートレポート
    2013 年 22 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    This study reports on the development of the Young Women's Appearance-Related Negative Emotions Scale-State Version(YWANES-S) from the standpoint of cognitive-behavioral counseling. Three questionnaire surveys were conducted with female university students (n=165, 185, and 40). The YWANES-S was shown to be a 7-item unifactorial scale with high internal consistency. The scores on the YWANES-S were moderately associated with scales of trait body dissatisfaction, state self-esteem, and negative mood states. Construct validity was confirmed by individuals' differential reactivity to an appearance-related and a non-appearance-related imagery task. This study shows that the YWANES-S has substantial reliability and validity.
  • —気晴らしへの集中に着目して
    及川 恵, 山蔦 圭輔, 坂本 真士
    原稿種別: ショートレポート
    2013 年 22 巻 2 号 p. 185-188
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    This study investigates the process of self-efficacy for reducing depression by focusing concentration on distractions as a mediator. Self-efficacy was one of the effective factors for preventing depression in previous studies. In the present study, participants completed a questionnaire twice with a one-month interval. The results suggest that self-efficacy reduced depression by means of enhancing concentration on distraction. The results also suggest that high depression at Time 1 affected high depression at Time 2, and that high interpersonal stressors during the one-month interval affected low concentration on distraction and high depression at Time 2.
  • 森 正樹, 丹野 義彦
    原稿種別: ショートレポート
    2013 年 22 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    A longitudinal study was conducted to examine the influence of self-reflection on depression. We looked for a unique effect of self-reflection on depression by eliminating the influence of self-rumination because previous studies showed that the influence of self-reflection was likely to be contaminated by self-rumination. Multiple regression analysis showed that self-reflection significantly reduced the maladaptive effects of negative life events on depression, whereas self-rumination exacerbated those influences of stressors. Although previous studies emphasized that suppression of self-rumination contributes to prevention of depression, this study showed that promotion of self-reflection also can contribute to reducing depression.
  • —信頼性と妥当性の検討およびカットオフポイントの検討
    渡辺 舞, 今川 民雄
    原稿種別: ショートレポート
    2013 年 22 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2013/12/04
    ジャーナル フリー
    The present study examined the reliability and validity of the short form of the Geriatric Depression Scale (GDS), and examined the cutoff points for the scale. The reliability of the GDS was confirmed, with a Cronbach's alpha of 0.83. To confirm the validity, the GDS data was compared with the Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D), and two factors were extracted. The correlation between the GDS and CES-D for the first factor, named “Depression, Loneliness and Anxiety” was 0.60. There were two cutoff points on the GDS; the first was between 5 and 6, and the second was between 9 and 12.
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