パーソナリティ研究
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25 巻, 1 号
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エディトリアル
原著
  • 中井 大介
    原稿種別: 原著
    2016 年 25 巻 1 号 p. 10-25
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,量的研究が限られている中学生の友人に対する信頼感の因子構造を実証的に明らかにし,友人に対する信頼感が生徒の学校適応感とどのように関連するかを検討した。中学生563名を対象に調査を実施した。第一に,生徒の友人に対する信頼感尺度(STS尺度)を作成し,信頼性と妥当性を検討した。その結果,(1)STS尺度は「友人への安心感」「友人への不信」「友人への頼もしさの感覚」の3因子構造からなり,信頼性と妥当性があること,(2)STS尺度の得点は,1年生が3年生に比べ,女子が男子に比べ高く,学年差・性差があることが明らかになった。また,生徒の友人に対する信頼感が生徒の学校適応感に及ぼす影響を検討したところ,(3)「友人への安心感」「友人への不信」「友人への頼もしさの感覚」のそれぞれが生徒の学校適応感に異なる影響を及ぼしていること,(4)また,その関連の様相も生徒の学年別,性別によって異なる可能性が示唆された。
  • 太幡 直也, 佐藤 広英
    原稿種別: 原著
    2016 年 25 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,ソーシャル・ネットワーキング・サービス上での自己情報公開を規定する心理的要因を検討することであった。mixi利用者1,051名を対象にウェブ調査を実施し,プロフィール上での自己情報公開や,情報プライバシーなどの心理的要因に関する項目に回答するように求めた。その結果,自己の属性情報(e.g., 性別),識別情報(e.g., 本名)への情報プライバシーが低いほど,不特定他者への自己情報公開数が多く,また,プロフィール上の自己表出性が高かった。一方,人気希求,犯罪被害へのリスク認知が高いほど,プロフィール上の自己表出性が高かった。
  • 高田 圭二, 田中 圭介, 竹林 由武, 杉浦 義典
    原稿種別: 原著
    2016 年 25 巻 1 号 p. 35-49
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究はマインドフルネスとwell-beingの関連を調整する要因として注意の制御に着目し,注意の制御がマインドフルネスとwell-beingの関連に与える影響を,大学生145名を対象に検討した。分析の結果,Subjective well-being(SWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察と注意の制御の主効果が有意だった。Psychological well-being(PWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察,描写,反応しない態度と注意の制御の主効果が有意だった。また注意の制御による調整効果が示され,体験の観察は注意の制御が高いとSWBを高めた。さらに描写も注意の制御が高いとPWBを高めた。以上の結果から,体験の観察がSWBを促進するには体験を万遍なく観察する必要があり,そのためには柔軟な注意の制御が必要だと考えられる。そして,描写がPWBを促進するには内的な体験を的確に言語化する必要があり,注意の制御が高い場合に言語化が的確になると考えられる。
  • 小山内 秀和, 楠見 孝
    原稿種別: 原著
    2016 年 25 巻 1 号 p. 50-61
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/06/04
    ジャーナル フリー
    物語を読むときに読者が体験する「物語に入り込む」現象を示す概念として,近年「物語への移入」が注目されている。本研究では,Green & Brock(2000)が作成した物語への移入尺度と,さらにそれを元にAppel, Gnambs, Richter, & Green(2015)の提案した短縮版の日本語版をそれぞれ作成し,信頼性と妥当性の検討を行った。調査1(920名)および調査2(275名)の結果,日本語版移入尺度は高い信頼性を持つことが示され,並行して測定したイメージへの没頭尺度や文学反応質問紙(LRQ)との間に正の相関を示し,基準関連妥当性を有することが示唆された。しかしながら,予測された1因子モデルによって確証的因子分析を行った結果,オリジナルの移入尺度の適合度は低いものとなる一方,短縮版尺度の適合度は許容できる結果となった。二つの日本語版尺度は,因子構造についてさらに検討する余地があるものの,今後の心理学,文学研究への応用が期待できるツールと考えられる。
  • 服部 陽介, 池田 賢司
    原稿種別: 原著
    2016 年 25 巻 1 号 p. 62-73
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,意図的な抑制努力の個人差とネガティブな気分が講義中に生じるマインドワンダリングに関連する可能性について検討した。参加者は,講義を受けている際に合図を受け,その際の思考内容を記録するとともに,その思考と講義との関連度を評価した。思考内容と講義との関連度に基づき,マインドワンダリングの程度を算出した結果,講義に無関連な思考を意図的に抑制しようとすることで,マインドワンダリングが生じにくくなることが示された。ただし,ネガティブな気分が強い場合には,意図的な抑制努力に伴うマインドワンダリングの減少が生じないことが明らかになった。思考の意図的抑制という観点を取り入れながら,マインドワンダリングの発生に関与する要因を整理することの重要性が議論された。
  • ——養育要因と自尊感情に着目して
    齊藤 彩, 松本 聡子, 菅原 ますみ
    原稿種別: 原著
    2016 年 25 巻 1 号 p. 74-85
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は,児童期後期の子どもの不注意,多動性・衝動性を含む注意欠陥/多動傾向が,母親ならびに父親の養育要因,自尊感情を媒介して抑うつへと関連するかどうかを検討することを目的として実施された。210世帯の子ども(小学校5年生)とその母親,父親を対象に質問紙調査を行い,母親の評定により子どもの注意欠陥/多動傾向,両親の評定により養育のあたたかさと親子間の葛藤,子どもの自己評定により自尊感情,抑うつを測定した。母親については,注意欠陥/多動傾向と養育のあたたかさ,母子間の葛藤との関連が見られ,さらに養育のあたたかさは自尊感情を媒介して抑うつへと関連を示した。一方,父親については,注意欠陥/多動傾向と養育のあたたかさ,父子間の葛藤との関連は見られたものの,養育要因から自尊感情への関連は見られず,注意欠陥/多動傾向が直接自尊感情を媒介して抑うつへと関連することが示された。
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