パーソナリティ研究
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27 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
原著
  • 中尾 達馬, 村上 達也, 数井 みゆき
    2019 年 27 巻 3 号 p. 179-189
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/12
    [早期公開] 公開日: 2018/11/08
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,児童用に,アタッチメント不安とアタッチメント回避を測定可能な尺度(児童版ECR-RS)を作成し,その信頼性と妥当性を確認することであった。調査対象は小学4年生から6年生540名(平均年齢10.5歳,男児260名,女児280名)であった。本研究では,まず,児童版ECR-RSが2因子(アタッチメント不安,アタッチメント回避)から構成されているとみなせるかどうかを検討した。次に,児童版ECR-RSの信頼性については,内的整合性と再検査信頼性(5カ月)を確認した。最後に,妥当性については,児童版ECR-RSと理論的な関連性・無関連性が想定される変数(アタッチメントの安定性,全体的自己価値,情動知能,共感性,生活満足度,対人不安傾向,孤独感,友人関係良好度,運動能力評価)との間で検討を行った。これらの結果は,我々の予測をおおむね支持していた。以上の結果から,児童版ECR-RSは,一定の心理測定的属性(信頼性と妥当性)を備えた尺度であることが示唆された。

  • 亀倉 大地, 安保 英勇
    2019 年 27 巻 3 号 p. 190-199
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/12
    [早期公開] 公開日: 2018/11/22
    ジャーナル フリー

    自己愛傾向と恥・屈辱感の関連が理論的に指摘されているが,我が国における検討は少ないのが現状である。本研究では大学生および大学院生199名が病理的自己愛傾向,屈辱感・恥,ストレス反応の項目から構成される質問紙に回答した。共分散構造分析を用いて,二種類の自己愛傾向が恥・屈辱感を媒介してストレス反応に及ぼす影響を検討した。その結果,一対一の場面でネガティブな評価を受けた場合,過敏型自己愛傾向は恥および屈辱感を媒介してストレス反応に正の影響を及ぼすことが示された。

  • 増永 希美, 杉浦 義典
    2019 年 27 巻 3 号 p. 200-209
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/12
    [早期公開] 公開日: 2018/12/11
    ジャーナル フリー

    本研究では,全般性不安症状および抑うつ症状の素因としてネガティブなメタ認知的信念を扱い,これらの関連に対するウェルビーイングと感謝感情による調整(緩衝)効果を検討した。大学生173名に質問紙調査を実施し,階層的重回帰分析を行った結果,ウェルビーイングがネガティブなメタ認知的信念と全般性不安症状および抑うつ症状の関連を有意に緩衝した。一方,感謝感情は有意な緩衝効果が得られなかった。この要因として,日本人は身近な他者に社会的支援を求めることを快く思わないといったような潜在的に負の対人関係を有しているため,感謝をすると,感謝感情に伴って負債感情も生起することが考えられる。したがって,本邦においては,ウェルビーイングを高めることは全般性不安症状および抑うつ症状を低めるが,感謝感情を高める介入の効果は低い可能性が示唆された。

  • 井川 純一, 中西 大輔
    2019 年 27 巻 3 号 p. 210-220
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/12
    [早期公開] 公開日: 2018/12/11
    ジャーナル フリー

    本研究では,グリット(Grit:根気・一貫性)とバーンアウト傾向(情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成化の低下)及び社会的地位との関係について,対人援助専門職(医師,看護師,介護福祉士(男性233名,女性217名))を対象に検討した。Gritと社会的地位に関連が認められるのであれば,職業威信スコアの最も高い医師のGrit得点が最も高くなると予測したが,Gritの間に職種間の差異は認められなかった。一方,管理職と非管理職を比較したところ,一貫性において管理職のほうが高い値を示した。また,Gritがバーンアウト傾向に与える影響について検討したところ,根気は脱人格化及び個人的達成感の低下,一貫性は情緒的消耗感及び脱人格化を抑制していた。分位点回帰分析を用いた検討では,これらのGritのバーンアウト傾向抑制パタンは症状の増悪に伴って変化するものの,どのパーセンタイルでもバーンアウトを増加させる要因にはならないことが明らかとなった。

  • 桃木 芳枝, 中谷 素之
    2019 年 27 巻 3 号 p. 221-234
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/12
    [早期公開] 公開日: 2019/02/27
    ジャーナル フリー

    本研究では対人ストレスを負荷した認知的評価/コーピング過程での共感―システム化の機能をメンタルヘルスの状態(心理的ストレス症状)との関連で検討した。学部学生1,090名から得られた質問紙について構造方程式モデリングによる分析を行った。その結果,共感―システム化が認知的評価に影響を与え,影響を受けた認知的評価がコーピングの選択に影響を及ぼすことが確認された。そして,選択されたコーピングが心理的ストレス症状に正あるいは負の影響を与えた。すなわち,認知スタイルは,認知的評価を媒介としてコーピングに影響を及ぼすことが示された。部分的に,コーピングには,共感およびシステム化からの直接のパスもみられた。コーピングと心理的ストレス症状の関係において,肯定的解釈/気晴らしは心理的ストレス症状を弱め,一方,問題回避は心理的ストレス症状を強めた。性差は,問題解決/サポート希求と心理的ストレス症状との関係でみられた。

  • 太幡 直也, 佐藤 広英
    2019 年 27 巻 3 号 p. 235-245
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/12
    [早期公開] 公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,Twitter上での他者情報公開を規定する心理的要因を検討した。Twitterを利用する高校生,大学生を対象に,web調査にて,Twitter上での最近1か月の友人,知人に関する他者情報公開や,プライバシー意識などの心理的要因に関する尺度に回答するように求めた。その結果,自己のプライバシーを意識せず,プライバシーを維持する行動をとりにくい者ほど,他者情報公開数が多かった。加えて,人気希求,犯罪被害リスク認知が高い者ほど,他者情報公開数が多かった。一方,他者のプライバシーの意識しやすさ,他者のプライバシーを維持する行動のとりやすさは,他者情報公開数とはほとんど関連はみられなかった。上記の結果は,高校生,大学生ともにみられた。

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