パーソナリティ研究
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28 巻, 3 号
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原著
  • 後藤 崇志, 石橋 優也
    2020 年 28 巻 3 号 p. 187-197
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/03
    ジャーナル フリー

    これまでの研究において,親の持つ学習観が子の学業達成に果たす役割についてはあまり関心を向けられていなかった。本研究では,親の年収,学歴,学習観,子の学歴への期待,および子への関わり行動の関連を検討した。インターネット調査により,小・中学生の子どもを持つ親400名からデータを収集した。因子分析の結果,親の持つ学習観は,情報処理の深い・浅いの軸で多様なものであることが示された。さらに,パス解析の結果から,深い学習観は,子の学歴への期待と並んで,学歴の高さと効果的な関わり行動のとりやすさの関連を媒介していた。こうした学習観の違いが,学業達成の文化的再生産とどのように関わっているかを論じる。

  • 長峯 聖人, 外山 美樹
    2020 年 28 巻 3 号 p. 198-207
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    ノスタルジアは過去の自分についての情報を示し,現在の自分と過去の自分が類似しているという自己連続性の感覚を高めるものとされる。しかし,過去の自己と現在の自己の連続性にはそうした安定性に特徴づけられるものだけでなく,ある出来事を経験したことが現在の自分に大きな影響を与えているという感覚(自己–出来事関連性)もあり,ノスタルジアは自己–出来事関連性にも関係している可能性があると考えられる。そこで本研究では,その可能性を検討するために実験研究を行った。その際,ノスタルジアと自己–出来事関連性の関係を媒介する要因として心理的成長感および社会的つながりを取り上げた。本研究の結果,大きく2つの知見が提示された。第1に,ノスタルジックな出来事は自己–出来事関連性が高いと認知されやすいことが実証的に示された。第2に,ノスタルジックな出来事における自己–出来事関連性の高さは心理的成長感によって媒介されることが明らかになった。最後に,本研究の課題と展望について議論が行われた。

  • 湯 立, 外山 美樹
    2020 年 28 巻 3 号 p. 208-220
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/21
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,2つの動機づけの低下状況(退屈な場面と困難な場面)を比較しながら,動機づけ調整方略が動機づけ傾向としての興味(感情的価値による興味,認知的価値による興味,興味対象関連の知識)に及ぼす影響について検討することであった。具体的には,退屈な場面における課題価値を調整する方略,困難な場面における自己効力感を調整する方略は動機づけ傾向としての興味を促進するという仮説を立て,大学生572名を対象とした短期縦断調査を行った。多母集団同時分析の結果,退屈な場面における興味高揚方略,自己報酬方略,困難な場面における自己効力感高揚方略は後続の感情的価値による興味を予測した。これらの結果は,仮説を部分的に支持した。最後に,本研究の限界点について考察した。

  • 酒井 厚, 室橋 弘人, 菅原 ますみ, 松本 聡子, 相澤 仁
    2020 年 28 巻 3 号 p. 221-232
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/21
    ジャーナル フリー

    本研究では,小中学生の子どもの親友関係の質を評価するFriendship Quality Questionnaire (FQQ)日本語版を用いて親友関係のタイプを抽出し,情緒の問題との関連を検討した。小中学生1,006名を対象に,FQQ日本語版と抑うつや不安を尋ねる質問紙調査を実施した。FQQ日本語版に関して多母集団同時分析による確認的因子分析を行った結果,小中学生に共通して,オリジナルと同様に5つの肯定的次元の因子と葛藤から成る6因子構造が認められた。クラスター分析からは,小中学生ともに,肯定的次元因子の得点が正で葛藤因子得点が負の値である良好型,肯定的次元と葛藤がともに負の希薄型,肯定的次元と葛藤がともに正である葛藤優勢型の3つの親友関係タイプが抽出された。タイプ間による情緒の問題の比較では,中学生において葛藤優勢型が希薄型よりも有意に得点が高かった。

  • 畠中 智惠, 中本 浩揮, 幾留 沙智, 井福 裕俊, 森 司朗
    2020 年 28 巻 3 号 p. 233-242
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/13
    [早期公開] 公開日: 2020/02/26
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究の目的は,子ども用主張行動尺度を幼児用に改編し,その信頼性と妥当性を検討することであった。まず,研究1では再テスト信頼性の確認を行った。調査対象者は,270名(年中児113名,年長児157名)であった。因子分析の結果から,1因子構造が確認され,再テスト信頼性の結果も有意な相関が得られた。研究2では,27名の年長児(男児14名,女児13名)を対象に,アサーションと理論的関連が予想される共感性との相関を算出することにより基準関連妥当性を確認した。その結果,アサーションと共感性との相関関係が確認された。研究1と研究2の結果より,作成した幼児用主張行動尺度は一定の信頼性と妥当性が確保された。

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