パーソナリティ研究
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29 巻 , 2 号
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原著
  • 原田 宗忠, 中井 大介, 黒川 雅幸
    2020 年 29 巻 2 号 p. 50-60
    発行日: 2020/08/04
    公開日: 2020/08/04
    ジャーナル フリー

    これまでの研究では,いじめ被害と自己像の不安定性がいじめ加害と関係する可能性が示唆されているものの,いじめ被害と自己像の不安定性の因果関係は示されてこなかった。そこで,本研究では3時点の縦断調査によってこれらの関係を示すことが主な目的であった。調査対象者は,小学校5, 6年生420名,中学校1, 2, 3年生942名の計1,362名であり,1年間において3回の質問紙調査を実施した。質問紙では,自己像の不安定性,いじめ被害経験,いじめ加害経験の測定を行った。いじめ被害経験と加害経験については,1回目の調査では現在の学年になってから,2, 3回目の調査では前の調査からのことを尋ねた。交差遅延モデルによる分析の結果,一部有意な傾向のパスを含むが,中学生においてのみ,自己像の不安定性が高いことがいじめ被害経験を高め,いじめ被害経験がいじめ加害経験を予測することが示唆された。

  • 渡邊 明寿香, 大澤 香織, 伊藤 大輔
    2020 年 29 巻 2 号 p. 61-70
    発行日: 2020/08/19
    公開日: 2020/08/19
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,マインドフルな気づきと注意が認知的フュージョンを媒介してPTSD症状に影響を及ぼすというモデルを検証することであった。大学生884名を対象に,外傷体験調査票,マインドフルな気づきと注意,認知的フュージョン,PTSD症状に関する測定尺度を実施した。広義のトラウマ体験者254名のデータを用いて,共分散構造分析を実施した結果,採択可能なモデル適合度が得られた。つまり,海外の先行研究と同様に,マインドフルな気づきと注意が認知的フュージョンに負の影響を及ぼし,認知的フュージョンがPTSD症状に正の影響を及ぼすプロセスが示された。このことから,マインドフルな気づきと注意が高まるだけでなく,脱フュージョンが生じることが,PTSD症状の改善に有効である可能性が示された。今後は,マインドフルネスの様々な構成要素を包括的に検討していくとともに,それらをターゲットとした介入法の有効性を検討していくことが望まれる。

  • 中井 大介
    2020 年 29 巻 2 号 p. 78-90
    発行日: 2020/09/09
    公開日: 2020/09/09
    ジャーナル フリー

    本研究では,青年期の恋愛関係の形成・維持プロセスを,恋愛関係への動機づけと現在の恋人に対する信頼感および親密性との関連から検討した。大学生509名のうち,現在恋人がいると回答した185名を対象に質問紙調査を実施した。第一に,探索的因子分析の結果,恋愛関係への動機づけ尺度は「内的調整」「同一化」「取り入れ」「外的調整」の4因子,恋人に対する信頼感尺度は「役割遂行評価」「安心感」「不信」「付き合いづらさ」の4因子が抽出された。第二に,各変数の関連では男女とも「内的調整」が「安心感」を媒介し,「親密性」を高めていた。この結果から,親密性という自我発達にとっては,ただ恋愛関係を形成・維持すれば良いのではなく,恋愛関係への自律的動機づけや現在の恋人に対する安心感が重要であることが示唆された。また,各変数の関連の様相には性差が認められることも明らかになった。

  • 水野 君平, 柳岡 開地
    2020 年 29 巻 2 号 p. 97-108
    発行日: 2020/09/25
    公開日: 2020/09/25
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は中高生を対象にして「スクールカースト」における友だちグループ間の地位と複数の心理的適応および仮想的有能感の関連性と学校段階間の差を検討することであった。本研究では心理的適応として学校享受感,顕在的自尊心,潜在的自尊心を扱った。中高生408名に対して自己報告式のweb調査を行った。その結果,中高生ともに所属グループの地位が高い生徒ほど学校享受感も高く,グループ内での地位が高い生徒ほど顕在的自尊心も高いことが明らかとなった。また,高校生のみ高地位グループの生徒ほど顕在的自尊心も高いことが明らかとなった。潜在的自尊心と仮想的有能感についての関連はみられず,中高生の間で関連性の差も見られなかった。最後に,以上の結果をもとに,中高生における「スクールカースト」と本研究が用いた複数の指標との関連性について議論した。

  • 中川 威
    2020 年 29 巻 2 号 p. 109-119
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,中高齢期における感情の個人内変化を検討した。50歳から76歳までの個人を対象にした,2007年から開始された調査の6年間の縦断データ(第1波調査時点での分析対象者:N=3,107)を用いた。いずれの年齢でもポジティブ感情は低下した一方,ネガティブ感情の軌跡には年齢差が認められた。ネガティブ感情は,中年期には逆U字型の変化を示し,高齢期には安定した。さらに,ボトムアップ理論に従い,文脈要因(性別,教育歴,就労状況,婚姻状態,主観的健康)が感情の個人内変化における個人差を説明するか検討した。関連要因を統制しても,ポジティブ感情は低下した一方,中年期におけるネガティブ感情の変化は部分的に説明された。とりわけ中年期における感情の悪化は既存の知見と整合しなかった。感情の軌跡について,考えられるメカニズムを考察した。

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