高校における物理教育への影響を考慮しつつ,大学入試での物理の問題のあり方を考える。まず影響の大きいのは,共通第1次試験(センター試験)ではなく,各大学が行う入試であることを指摘する。次いで各大学の入試問題を調査した結果に基づき,物理の入試問題の具体的な改善策を提案する。主なものは,受験生の途中の思考過程も採点の対象とするよう,穴うめ式や多肢選択式の問題はできるだけ少くすること,計算問題にかたよらず定性的な文章やグラフにより解答させる問題を多くすること,数値計算を混ぜること等である。さらに条件設定を余り複雑にせず,基礎的材料で工夫した出題をすること,また独立した科目での出題にこだわらず,いろいろな形での試験方法を考えるべきことを指摘した。
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