今春も,東京における「今春の物理入試問題についての懇談会」(通称「入試懇談会」)が実施された。この懇談会も今回で23回目,継続されて来たがための高校・大学両側からの貴重な意見交換・情報交換が為されたものと思える。今春は,理科(及び数学)は,旧学習指導要領下での最後の大学入試となった。すでに,この4月からは,現役高校生の学ぶ物理はすべて新学習指導要領に基づくものとなっている。来春は,新学習指導要領に基づく大学入試が行われる。そのため,後半の意見交換は,昨年同様,新課程下における,個別大学入試に向けた課題や危惧,意見などの提示も含まれることとなったが,前半の各大学の問題に対する議論でも話題に挙がった幾つかのテーマについて,率直で,貴重な意見交換が為されたのが,今年の懇談会の特徴であろう。以下,今回の懇談会における話題を紹介し,入試問題を題材としつつ,中等教育から高等教育へとつなげる物理教育を考えるきっかけとしたい。
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