アメリカにおける物理教育研究の源流の1つとされるWashington大学によるPhysics by Inquiryの開発理念とカリキュラム構造を検討した。Physics by Inquiryは,誤概念研究と認知心理研究をふまえ,物理概念の理解を目指して作成されており,自分の現在の概念を表現しグループで討論し,実験事実とのずれをもとに概念を再構築し,身につけた概念を言語化するという設問の繰り返しで構成され,教員はそのプロセスをソクラテス対話的方法で援助する。電気回路の内容を検討した結果,回路/電流の概念形成を丁寧に学ぶデザインとなっていることが認められた。