物理のテストを授業外のオンライン形式と授業内の筆記形式で実施して,正答率にどのような影響があるかを調べた。テストの問題は過去の大学入試センター試験物理関連科目から出題された問題の中から選び,大学1 年生向けの授業で実施した。テスト全体の結果として,オンラインテストの正答率が授業内テストよりも 6.25 ポイント有意に低くなった(効果量 d = 0.304)。問題の種類による明確な傾向はなく,ほぼ一様に正答率が変化することが分かった。さらに,オンラインテストでは一部の学生が真剣に回答していない可能性が示唆された。
本研究では,色による虹角の違いを簡単な実験で確かめることを目的に,赤,緑,青の三色のレーザー光線を用いて虹角の測定を行った。水を入れた透明な円筒形の容器を水滴の代わりに用い,レーザー光線を入射したときに出てくる光線の角度を分度器で測定した。さらに,測定の解析の工夫として,最小二乗法を使った解析を行った。
プランクは 1900 年に黒体輻射のスペクトル分布を求めたときに離散的エネルギーを仮定した。光は光電効果でもコンプトン効果でもエネルギー hν の粒子として作用する。今では,質量の単位キログラムがプランク定数で決められている。プランク定数は円運動する素電荷 e の双極子放射と微細構造定数 α によって再定義することができる。そして微細構造定数は,理想的モデル電子の公転周波数と自転周波数の比で表される。
斜方投射の単元にはモンキーハンティングなど多くの興味深い問題が存在するが,微積分の知識が必要になるなど敷居が高いものも多い。ここでは「斜方投射により空間中の決められた点 P へ出来るだけ小さな初速度の大きさで物体を到達させる」問題に関して,初速度の成分 v と v 及び v−v グラフを使うことで微積分の知識を使わずに解を得る方法を紹介し,更にその方法を使うと他の問題との関連が明確になることを示した。最後に筆者が過去の投稿「斜方投射における最大到達距離の算出方法についての考察」で示した方法との比較も行った。
若手の物理教員を対象にした高校物理基本実験講習会兵庫会場(6 回)の実行委員長として運営に携わってきた。この講習会では,工夫した実験器を使った実験方法を考案して,力学分野(自由落下),熱力学分野(仕事と熱),波動分野(弦の定常波,気柱共鳴,光の干渉),原子分野(霧箱)を行った。実際にこれらの実験器・実験方法で生徒実験を実践している。
筆者は2011 年より10 年間,公立鳥取環境大学の理科教員養成課程の開設,運営に関わり,県内外の物理教員研修の講師を務めている。「高校物理基本実験講習会」(兵庫会場)の講師は兵庫物理サークルメンバーが中心となっており,サークルの創設メンバーとして,第 5 回より講師を務めている。第 5 回はエントロピー増大の法則や静電気の授業で生徒を惹きつける工夫を,第 6 回は LED を用いて LED を点灯させる直列・並列つなぎの学習を担当したが,第 7 回以降は物理を中心とした,教科書等に散見する誤解を考える実験を行っている。
2020 年の初めから始まったコロナ禍により,教育現場は大きく変えられた。それまでは当たり前のように行っていた対面での授業が突然不可能となり,オンラインで行わざるを得なくなった。我々教員は,戸惑いながらもオンライン講義を行ったが,一方で,物理教育において重要かつ不可欠な実験・実習のリモート化・オンライン化という大きな問題に直面した。この問題に対して,「オンラインによって自宅で実験・実習を行う」ことを試み,一定の教育効果が得られたと考えられるので,その内容を紹介する。
大阪市立科学館で行っているサイエンスショーは 3ヶ月毎にテーマを変更しているが,1 テーマあたり200〜300 回の演示を行っている。更に定番の実験や人気のある実験は数年毎に再演している。それでも再演に際しては実験内容等を見直し,工夫や改良をしていくことが重要であり,新たな実験を加えることも多い。ここではスペクトルを観察する実験について,どのような理由や意図,背景により,どのような工夫や改良を行ってきたかを報告する。
物理の教員となってから,自分が高校生の時にやってきたように実験を重視した授業をすることに努めてきた。 しかし,教員生活の後半には状況が大きく変化してきて,授業の中で時間をかけた実験を行うことが困難となり,近年はさらに深刻な状況になりつつある。そのような中で,演示実験としての「黒板実験」,さらにはより簡単に実験にできる「簡単実験」の開発に取り組んだ。その取り組みを「兵庫物理サークル」や「高校物理基本実験講習会」などで紹介し,ともに開発を進めている。
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