水波投影機等による実験は,水面波の干渉の様子を観察するにはよいが,定量的に考察を行うには向いていない。そのため,図や写真等の静的な教材や,アニメーションやシミュレーションによる動的な教材が学習に用いられる。水面の変位の時間的な変化等を考察するにはシミュレーションが適していると考えられるが,従来の教材では特定の場面しか表現できないものや,表現方法の種類が少ないものが多い。この研究では,多様な場面に対応した水面波の干渉を様々な表現方法で提示可能な教材の開発と,授業実践における有効性の分析を行った。
高校生の物理学習の動機づけの向上を目的として,動機づけ理論を枠組みとする宿題を用いた介入を考案し,実践的に検討を行った。実践前後に実施した調査結果を比較したところ,宿題に対する自律性は向上し,宿題が『自分のためになっている』と回答する生徒も見られた。さらに,物理学習に対する動機づけは 9 の下位尺度が総合的に向上し,特に【効力予期】,【興味価値】,【感情的要因】,【身体的要因】,【社会的環境】は宿題および宿題を用いた活動をきっかけに実践前後で有意な影響を受けたことが明らかとなった。
新型コロナウイルスが日本で初めて確認されてからかれこれ 2 年が経とうとしているが,依然人類とウイルスの戦いは続いている。執筆現在(2022 年1 月)も北海道でまん延防止等重点措置が適用され,各校で学級閉鎖等も相次いでいる。感染対策のために思うような授業が展開できず,学級閉鎖が実施された場合に備えてオンラインでの授業の準備も必要である。 本原稿の執筆依頼をいただいたことが,私自身がこれまでに行ってきた授業を再考し,新たな時代に向けて授業を再構するいい機会となった。私が以前から授業の中に取り入れてきたことと,現在のコロナ禍において新たに取り組んでいることをここに報告する。
学会の活動の大きな柱である会誌の刊行は編集委員会が担当している。近年その編集体制の改革が行われたので70 周年を機にその経緯について報告する。また,現在の編集体制を概観し,編集に関わる課題と“思い”を読者と共有できればと考える。今後の会誌の発展はより多くの読者が意見を交換し,物理教育の知恵をともに育て上げていくことが鍵である。そして物理教育に関わる我々自身が物理を楽しむことが本質的であるという理解のもと,会員各位には積極的な投稿を呼び掛けたい。
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