ペストロジー
Online ISSN : 2432-1540
Print ISSN : 1880-3415
26 巻, 1 号
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原著
  • 元木 貢, 佐々木 健, 楠木 浩文, 高岡 正敏, 橋本 知幸
    原稿種別: 本文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    学校におけるダニ数およびDer 1アレルゲン量を調べた.いずれの箇所でも総ダニ数に占めるチリダニ類の割合が圧倒的に高かった.文部科学省基準の衛生基準にあるダニ数100匹/m2を超えたサンプル数は,カーペットの4校5カ所(2%)であった.また,1 m2当たりの平均総ダニ数を見ると,カーペット>畳>寝具>板敷きの順,平均Der 1量は,カーペット87 ng/m2>畳71ng/m2>寝具34 ng/m2>板敷き23 ng/m2の順であった.同衛生基準にあるダニ数100匹/m2に相当するダニアレルゲン量(Der 1)は,寝具および床材によって異なり,カーペット353 ng,板敷き546 ng,寝具711 ng,100匹/gに相当するダニアレルゲン量(Der 1)は,カーペット535 ng,板敷き354 ng,寝具642 ngで,カーペットでは,面積当りで示されるDer 1量は塵重量当りで示される量の70%であったが,板敷き,寝具では逆に150%,110%となった.一方,WHOの感作の閾値(100匹/g)を越えたのは全体では26校73ヵ所(31%:寝具39,カーペット18,板敷き13,畳3),急性喘息発作の閾値(500匹/g)を越えたのは15校26カ所(11%:寝具16,カーペット8,畳1,板敷き1)で,文部科学省の基準はWHOの基準に比較すると,2004年の調査結果と同様に大幅に緩い値であった.面積当りではアレルゲン総量や環境中のアレルゲン量を反映するという利点もあるが,掃除機の性能や採塵時間,採塵者,素材によってばらつきが出る.今後,国際基準に適合させるなど,文部科学省の基準の見直しが必要であろう.
短報
  • 木村 悟朗, 矢口 昇, 谷川 力
    原稿種別: 本文
    2011 年 26 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    トコジラミの多数生息するアパートで,形状と素材の異なる2種類のトラップを用いた捕獲調査を行い,トラップの違いによる捕獲数を検討した.紙製トラップは開口部が狭く傾斜があり,ポリプロピレン(PP)製トラップは開口部が広く傾斜がなかった.2種類のトラップを部屋の4隅にそれぞれ一組みとして,合計8個を同時に設置した.紙トラップに捕獲されたトコジラミの総個体数は151個体であり,幼虫は100個体,成虫は51個体であった.一方,PPトラップに捕獲されたトコジラミの総個体数は279個体であり,幼虫は227個体,成虫は52個体であった.いずれのトラップにおいても幼虫の割合が高かった.PPトラップでは幼虫と成虫との捕獲数に有意な差があった.捕獲個体数をトラップ1 m2,1日当たりに換算し,統計解析を行った結果,PPトラップの平均捕獲数は設置地点間で有意な差があった.本調査の結果から,いずれのトラップでもトコジラミを捕獲することが可能であり,特に幼虫が高頻度で捕獲されることが明らかとなった.
事例報告
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