屋外にフェロモントラップを設置して,ノシメマダラメイガとタバコシバンムシの2015年の初見日の全国調査を行った.ノシメマダラメイガは4月3日の京都で初めて捕獲され,次いで岡山,埼玉であった.タバコシバンムシは5月10日の新潟で初めて捕獲され,次いで埼玉,大阪であった.いずれの種も初見日と各地点の年平均気温との間に有意な相関関係は認められなかった.また,ノシメマダラメイガとタバコシバンムシが全国的に広範囲に分布することが再確認された.
関東地方(東京都,埼玉県,千葉県,茨城県)において,一般住宅地の家屋の屋外にコクゾウムシ用のフェロモントラップを2015年春季:4~7月,秋季:10~11月に設置して捕獲個体数を調査した.東京都府中市で5月に雌1個体,6月に雄1個体,茨城県つくば市で6月に雄1個体が捕獲された.10~11月にはまったく捕獲されなかった.近郊に玄米貯蔵庫などの発生源がなく,越冬個体が周囲に少ないと思われる一般住宅地であっても,少数であるがコクゾウムシが関東地方において春季に屋外で活動することが示唆された.
2015年12月10日に茨城県西部の玄米貯蔵施設5カ所で,その敷地内を対象に屋外のコクゾウムシの越冬個体を探索し採集した.5施設の内,4施設でコンクリート片や木片の下にコクゾウムシを発見した.4施設で採集したコクゾウムシ成虫を玄米に投入して,25°C・70%RH・16L8Dの条件で40日後に調べると,次世代の成虫羽化が確認され,12月前半の個体は産卵能力があると考えられた.
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