静脈学
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12 巻, 1 号
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巻頭言
特別講演
  • 一瀬 白帝
    2001 年 12 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    先天性機能喪失(loss-of-function)型の凝固異常は静脈血栓症の約1/4にみられ,その遺仏子解析・診断が可能になった.我々は,日本人での遺伝子頻度が高いプラスミノゲン異常症の遺伝子解析によりエクソンXVのAla601→Thr, エクソンXのVal355→Phe,エクソンXVIIのAsp676→Asn置換などを同定し,PCR-RFLP法によるDNA診断を可能にした. また,新たに開発したMARMS-RACE(multiple amplification refractory mutation system-rapid automated capillary electrophorcsis)法による遺伝子診断で.中国の漢人族や韓国人にもAla601→Thr変異の異常症が存在することを見つけた.今後は,新規の症例の遺伝子解析や遺伝子診断は,DNAチップを用いた方法によってなされるようになると思われる.しかし,依然として原因不明の症例の方が多いので,今後は機能獲得(gain-of-function)型異常の検索が必要であり,SNPs (single nucleotide polymorphism) を用いた解析が有用であると思われる.

原著
  • 杉浦 芳章, 吉住 豊, 愛甲 聡, 松山 智一, 内藤 善久, 松崎 純一, 木村 民蔵, 飯塚 康博, 志水 正史, 前原 正明
    2001 年 12 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    膵癌の予後は不良であるが,中には拡大手術により長期生存する症例もある.1978年から1995年までに膵癌67例を切除した.門脈合併切除術は46例(69%)に施行され,術式別にみると膵全摘症例に多かった.門脈合併切除群(PV)と合併切除が必要なかった群(nonPV)に分けて,TNM因子について検討した.腫瘍の小さい症例はnonPV群に多くみられた.PV群では腫瘍の大きさにより生存月数には差がみられなかった.n因子はPV群において予後に関して極めて鋭敏な指標てあった.遠隔転移症例には長期生存例は皆無であった.腫瘍の大きさは門脈合併切除の適応を決める因子ではなく,リンパ節転移の有無こそが重要な因子であることが判明した.

  • 倉地 清隆, 中村 達, 鈴木 昌八, 斉藤 孝昌, 山本 尚人, 内山 隆, 三岡 博, 海野 直樹
    2001 年 12 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    過去21年間における肝,胆道,膵癌切除に伴う門脈再建の意義と問題点を検討した.1980年4月から2000年5月までの21年間に施行された肝胆道膵癌切除は425例であり,そのうち48例に門脈切除再建術か行われた.肝細胞癌切除295例中7例(2%)に門脈腫瘍栓摘除兼再建術を行った.2例に再肝切除,2例に術後TAEを行った.胆管細胞癌,胆道癌,膵癌切除例は各々28例中8例(29%),68例中16例(24%),34例中17例(50%)に門脈再建を行った.3例に術後腹腔内感染に起因する早期門脈狭窄を生じたが,門脈再建に伴う重篤な合併症はなかった.胆道癌と膵癌の門脈再建例と非再建例の比鮫では累積生存率に差はなかった.肝細胞癌では門脈腫瘍栓摘除を伴う肝切除は術後補助療法を可能にし,延命が得られ,胆道癌および膵癌では,切除率や根治性を向上させる有意義な手技である.また,胆道癌・膵癌では門脈狭窄を回避するために,適切な再建法と術後感染に留意する必要がある.

  • 羽賀 將衛, 稲葉 雅史, 山本 浩史, 東 信良, 浅田 秀典, 郷 一知, 笹嶋 唯博
    2001 年 12 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    過去12年間に教室で12例の大静脈血行再建術を施行した.上大静脈(SVC)血行再建は縦隔腫瘍3例,肺癌3例,食道癌リンパ節転移1例,原発不明リンパ節転移1例に対して,SVC切除,腕頭静脈—右心耳バイパス4例,SVC管状切除,置換1例,SVC部分切除,縫合2例,PALMAZステント挿入1例を施行し,下大静脈(IVC)血行再建は腎癌2例,後腹膜悪性神経鞘腫1例にIVC切除,置換,Budd-Chiari症候群の1例にIVC器質化血栓切除パッチ形成を施行した.手術死亡3例,在院死亡1例,遠隔死亡は術後3, 6ヵ月,12年の癌死で,5例が術後1年から9年で生存中である.SVC症候群の3例は症状が消退し,Budd-Chiari症候群の1例は肝機能が正常化した.大静脈血行再建により腫瘍の根治的切除が可能となり,術後のQOLにも寄与するが,手術侵襲が大きく,適応はその効果と原疾患の予後を考慮し慎重に決定すべきである.

  • 立原 啓正, 戸谷 直樹, 石井 義縁, 藤江 由香, 巷野 道雄, 萩原 博道, 山崎 洋次
    2001 年 12 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    Webtype下肢静脈瘤に対する,(ロングパルス)ダイレーザーを用いた新しい治療法を本邦では初めて経験したので報告する.21人(全例女性)30肢(大腿部15例,下腿部11例,足部4例),直径1mm程度までのred webまたはblue web type静脈瘤を対象とした.レーザー設定条件は,波長595nmx出力15J/cm3を中心とした(パルス幅は1.5msに固定).照射後平均2.8ヵ月で肉眼的に照射前と比較検討した.静脈瘤消退度≧50%(足部を除く)は14/26例(54%)であった.そのうちred web主体例の消退度≧50%は10/12例(83%),blue web合併例は3/8例(38%), reticular type合併例では1/6例(17%)であった.また,色素沈着を70%,色素脱失を3%に認めた.全体的な評価は,有効7%,やや有効33%,無効40%,悪化20%であった.ダイレーザーを用いた治療法は,従米からの硬化療法に加えて,web type下肢静脈瘤の治療の選択の幅を広げ得るものと考えられた.

  • 石川 雅彦, 森本 典雄
    2001 年 12 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    1次性下肢静脈瘤症例968例1391肢に対する治療方針として当初より現在まで伏在静脈高位結紫硬化療法を甚本としてきた.治療前検査は全例に静脈造影を施行した前期(1991年4月~1996年1月)と,基本的に理学所見とHand-held Dopplerのみの後期(1996年2月~1999年9月)に分けて検討した.治療3ヵ月以降の再発は90肢(6.5%)で,前期48肢(5.4%),後期42肢(8.2%)と後期の再発率が有意に高く,再発原因のなかで不全交通枝の占める割合も後期が有意に高かった.しかし,再発率は諸家との比較でも遜色なく,この一連の診断・治療の低侵襲化の方法は比較的満足する結果と考えている.

  • 春田 直樹, 浅原 利正, 丸林 誠二, 杉野 圭三, 岡島 正純, 吉岡 伸吉郎, 板本 敏行, 三浦 義夫, 中原 英樹
    2001 年 12 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    慢性静脈不全症や静脈瘤再発症例において不全穿通枝が関与することは以前より指摘されており,これらの症例において,不全穿通枝の切離は有効な外科的治療法である.穿通枝存在部に皮膚切開を加えずに切離可能な術式である2ポートシステム内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(Two Ports System Endoscopic Subfascial Severing of Perforating Veins:以下TPS-ESSP)を,37症例44肢に施行した.術前duplex scanにて確認した不全穿通枝152本中,141本を処理できた.

    下肢静脈瘤に対する,一連の内視鏡下不全穿通枝切離術は,不全穿通枝の処理を安全,確実,低侵襲に行える術式であり,静脈性潰瘍症例でのTPS-ESSPの有用性はわれわれの結果からも明らかである.今後,本術式の呼称の統一,1次性静脈瘤のうち,不全穿通枝の逆流を認めるが,stasis syndromeを伴わない症例での,付加手術としての適応基準など,解決すべき問題が多い.中でも,未だ,本術式が保険診療に認められていない点の早急な解決が望まれる.

  • 内田 智夫
    2001 年 12 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    下肢静脈瘤患者の下肢皮膚温を立位と臥位で比較検討した研究は少ない.そこで,大伏在静脈の弁不全のある下肢静脈瘤患者65例を対象とし,サーモグラフィーを用いて下肢の最高皮膚温を測定し,静脈瘤のある患肢と静脈瘤のない健肢でその平均値を比較検討した.立位,臥位ともに患肢は他肢よりも最高皮膚温が有意に高く,平均値の差は立位で0.90℃,臥位で0.78℃であった.また同じ患者で比較すると健肢は立位と臥位で差はないが,患肢は有意差はないものの立位の方が臥位よりも平均0.12℃高値を示し,特に皮膚症状のある場合,立位の方が臥位よりも0.54℃の上昇を示した.下肢静脈瘤における下肢皮膚温の上昇に微小な動静脈瘻の存在や不全通枝の関与を指摘する意見もあり,今同の検討ではこれらの関与を否定できるものではないが,伏在静脈の弁不全による静脈血の逆流もある程度は皮膚温の上昇に関連している可能性がある.

  • 小窪 正樹, 野坂 哲也, 森山 博史
    2001 年 12 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    1997年9月から2000年7月までに施行した日帰りストリッピング手術670例937肢のうち,75歳以上の高齢者38例51肢(5.4%)を対象に検討した.平均年齢は78.4±2.8歳(75~85),男女比は13:25,内訳は大伏在静脈(GSV)41肢,小伏在静脈(LSV)10肢であった.高齢者に対する全身評価からみた手術適応は,アメリカ麻酔科学会分類classⅡまで,かつ歩行できることとしたが,84%に高血圧,癌の既往等の合併症を認めた.本法は,局麻2剤と静脈麻酔propofolを用いて麻酔し,完全なる高位結染と逆流部分を選択的にストリッピングする方法である.平均手術時間は,1肢あたりGSV43.7±10.2分,LSV32.5±12.2分であった.原則として日帰りではあるが,本人の希望等により14例(37%)が平均3.8泊入院した.合併症は伏在神経障害および過緊張による異常高血圧を各1例に認めるのみで,麻酔合併症,出血,創感染,また老人特有のせん妄等もみられなかった.術後経過は,症状が全て消失した改善32肢(63%),軽快15肢(29%),不変4肢(78%)であり,患者の満足度は極めて高かった.

  • 倉田 悟, 神保 充孝, 縄田 純彦, 川添 康, 池田 裕司, 中安 清, 本郷 碩, 工藤 淳一, 善甫 宣哉, 江里 健輔
    2001 年 12 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    下大静脈(IVC)腫瘍血栓を伴った悪性腫瘍を5例経験したので手術方法,補助手段,転帰について検討した.

    症例は男性1例,女性4例,年齢は55~75歳,平均68歳であった.原疾患は腎癌のIVC進展4例,乳癌の左腎およびIVC転移1例であった.IVC腫瘍血栓の部位は腎静脈流入部から肝静脈流入部まで3例,肝静脈流入部1例,右房に逹するもの1例であった.手術方法は腎摘兼IVC切開腫瘍血栓摘除術3例,前者に右房切開を追加したもの1例,IVC―右房バイパス1例であった.補助手段は4例に使用せず,1例に体外循環を用いた.転帰は,腎癌4例中2例が術後いずれも6ヵ月癌死し残りの2例がそれぞれ3年5ヵ月,4年3ヵ月生存中である.乳癌の1例は術後1年1ヵ月癌死した.

    悪性腫瘍がたとえIVCに進展していてもリンパ節転移や遠隔転移がなければ積極的に手術に取り組むべきである.

  • 保坂 純郎, 隈崎 達夫
    2001 年 12 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    超音波検査で大腿部静脈弁の描出と機能評価を試みた.対象は健常群10例(10肢),深部静脈血栓症例5例(9肢),静脈瘤症例3例(6肢)で装置はATL/日立社製HDI3000または5000である.体位は仰臥位で上平身半挙上,検査部位は大腿静脈最中枢側弁近傍である.検査は平常呼吸下で施行し,腹圧上昇のため意図的咳込みを付加した.検討項目は,弁描出能,弁形態,平常呼吸時の血流状態と弁挙動,腹圧上昇時の血流と弁直下静脈断面積の変化である.基質化した血栓が存在した2肢を除く全肢で,弁の描出および血流評価が可能であった.弁形態は,健常群は全肢正常で,疾患群は血栓症例の1肢を除く全肢で消失または短縮化がみられた(p<0.01).平常呼吸時の血流は,健常群は呼吸性の変動を呈することが多く,疾患群は弁の開閉が不明瞭であった.腹圧上昇時の静脈血流は,健常群では著明な逆流を認めず,疾患群では全肢に1秒以上続く逆流が観察され(p<0.01),静脈断面積の10%以上の増大は,健常群1肢(1/10),血栓症例肢の半数(3/6, p=0.2),静脈瘤症例全肢(4/4, p=0.01)で観察された.本検在法は静脈弁の状態の正確な把握が可能であり,弁形成術前後の評価など臨床上極めて有用と考えられた.

症例
  • 佐伯 宗弘, 廣恵 亨, 橘 球, 玉井 伸幸, 西村 謙吾, 金岡 保, 浜崎 尚文, 応俵 成二
    2001 年 12 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は72歳の女性である.喉頭癌で1997年11月に当院耳鼻科にて,喉頭全摘と共に,左内頸静脈合併切除を伴う左根治的頸部郭清術をうけた.1999年5月,右頸部リンパ節に再発し入院した.右内頸静脈への浸潤が疑われ,6月14日に手術を行った.再発リンパ節が右内頸静脈に浸潤していた.全身ヘパリン化の後,一時的内シャントを確立し,大伏在静脈で作成したスパイラルグラフトで右内頸静脈を再建した.術後3ヵ月目に頸部超音波検在でグラフトの開存を確認した.

    頸部悪性腫瘍の手術に際して,内頸静脈の合併切除後の再建では,大伏在静脈によるスパイラルグラフトが有用である.

  • 岩崎 年宏, 東 輝仁, 赤木 秀治, 山本 忠生
    2001 年 12 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    大動脈ー下大静脈瘻(aortocaval fistula,以下ACF)は,腹部大動脈瘤の稀な合併症の1つである.その診断に静脈エコーが契機になったACFの1例を経験した.症例は73歳男性主訴は左下肢の腫脹,腰痛,呼吸困難,他院より深部静脈血栓症に合併した肺塞栓症疑いで紹介された.左下肢の著明な腫脹と肺うっ血を認めた.高心拍出性心不全を呈していた.下腿浮腫に対して静脈エコーを実施し血栓は認めなかったが,パルスドプラー法にて収縮早期に短時間の動脈性の血流速波形を検出した.これより腹腔内での動静脈シャントの存在を疑い腹部造影CT検査を実施,腎動脈下に4.7x5.7cm大の腹部大動脈瘤を認めた.動脈瘤は下大静脈を圧排し直後より下大静脈は拡張していた.また左右の総腸骨動脈にも動脈瘤を認め,左総腸骨動脈瘤は左総腸骨静脈を圧排していた. Qp/Qsは5.7であった.腹部大動脈瘤に合併したACFと診断し手術を行った.動脈瘤の後壁側には4x5cm大の瘻孔が認められゴアテックスシートにてバッチ縫合し,動脈瘤はYグラフトで置換した.術後,心不全症状は改善し下肢浮腫も軽快した.静脈超音波検査法において血栓の有無だけでなく,ドプラー法での血流分析も重要であると考えられた.

  • 四方 裕夫, 土島 秀次, 佐々木 規之, 東 光太郎, 岩井 邦光, 村井 裕, 渡邊 洋宇, 松本 正幸, 松原 純一
    2001 年 12 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は71歳,男性.胃瘻からの栄養管理中,数日前より頻回の下痢があり,突然の呼吸困難とチアノーゼが生じた.酸素吸入は無効で当院救急部に搬入された.輸液と挿管による呼吸管理で全身状態は安定したが,臨床症状より肺塞栓症を疑った.第2病日の肺血流シンチグラムでは左肺全野が欠損し,肺塞栓症と診断した.第3病日の肺動脈造影で左肺動脈末梢のA8とA9のみ閉塞していた.第9病日の再度の肺血流シンチグラフィーではほとんど改善はみられなかった.輸液などの保存的加療で全身状態良好となって紹介元の病院に転院した.退院後,外来での肺血流シンチグラムは閉塞動脈に一致した限局欠損像であった. MAA肺血流シンチグラフィーと肺動脈造影の解離について考察した.

プラクティカル フレボロジー
  • 山田 典一, 中野 赳
    2001 年 12 巻 1 号 p. 95-105
    発行日: 2001年
    公開日: 2022/06/10
    ジャーナル オープンアクセス

    深部静脈血栓症は,近年,その合併症である肺血栓塞栓症と共に,我が国でも急増してきており,また一旦,肺血栓塞栓症を発症すれば,致死的にもなりうるため,早期に適切な治療が必須である.また,深部静脈血栓症に対する不十分な治疫に伴う慢性期の血栓後症候群や深部静脈血栓症の再発も問題になっている.

    最近,静脈血栓症に対して,従来の末梢静脈からの全身投与による血栓溶解療法に代わって,カテーテルを用いて選択的に薬剤を投与し,積極的に血栓を溶解させるカテーテル血栓溶解療法が用いられるようになり,その優れた早期血栓溶解効果が報告されつつある.さらに,治療に伴う出血といった合併症の頻度や慢性期の血栓後症候群の発生頻度を低下させられる可能性も秘めており,今後の静脈血栓症に対する新しい治療法として大いに期待されている.

    静脈血栓症に対するカテーテル血栓溶解療法の適応,具体的な手技と方法.治療効果,合併症,今後の問題点などについて,これまでの海外の論文の成績を中心に.われわれの施設での経験を交えて解説する.

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