深部静脈血栓症は,近年,その合併症である肺血栓塞栓症と共に,我が国でも急増してきており,また一旦,肺血栓塞栓症を発症すれば,致死的にもなりうるため,早期に適切な治療が必須である.また,深部静脈血栓症に対する不十分な治疫に伴う慢性期の血栓後症候群や深部静脈血栓症の再発も問題になっている.
最近,静脈血栓症に対して,従来の末梢静脈からの全身投与による血栓溶解療法に代わって,カテーテルを用いて選択的に薬剤を投与し,積極的に血栓を溶解させるカテーテル血栓溶解療法が用いられるようになり,その優れた早期血栓溶解効果が報告されつつある.さらに,治療に伴う出血といった合併症の頻度や慢性期の血栓後症候群の発生頻度を低下させられる可能性も秘めており,今後の静脈血栓症に対する新しい治療法として大いに期待されている.
静脈血栓症に対するカテーテル血栓溶解療法の適応,具体的な手技と方法.治療効果,合併症,今後の問題点などについて,これまでの海外の論文の成績を中心に.われわれの施設での経験を交えて解説する.
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