不全穿通枝の治療は下肢静脈瘤治療において重要な位置を占め,静脈瘤の診断では,duplex scanによる検査が今日の主流である.duplex scanと術中所見による下腿穿通枝不全診断につき検討した.
175人の静脈瘤患者,324肢に304本の穿通枝を認めた.duplex scanにより診断した非不全および不全穿通枝の径(mm)はそれぞれ,下腿上部で2.45±0.17,3.40±0.13,下腿下部で2.84±0.12,3.68±0.08,下腿後面で2.64±0.21,3.40±0.15であった.術中所見による非不全および不全穿通枝の術前duplex scanによる径(mm)は,下腿上部で2.67±0.21,3.23±0.13,下腿下部で2.85±0.12,3.68±0.08,下腿後面で2.67±0.27,3.27±0.14であった.術中所見と照らし合わせた時のduplex scanのsensitivityとspecificityはそれぞれ87.7%,75.3%であった.duplex scanの診断を術中診断と照らし合わせて,真不全穿通枝,偽不全穿通枝,真非不全穿通枝,さらに偽非不全穿通枝に分類すると,真不全穿通枝および偽不全穿通枝の径(mm)は3.59±0.07 ,3.31±0.17であり,真非不全穿通枝および偽非不全穿通枝の径(mm)は2.61±0.11,2.89±0.16であった.
不全穿通枝は非不全穿通枝よりも径が太いという結果が得られたが,duplex scanによる径と逆流を指標とした検査のみでは術前に不全穿通枝と非不全穿通枝を確実に区別することは困難であり,今後さらなる検討が必要であると思われた.
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