静脈学
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18 巻, 4 号
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巻頭言
原著
  • 根岸 由香, 黒澤 弘二, 戸谷 直樹, 金岡 祐司, 矢永 勝彦, 大木 隆生
    2007 年 18 巻 4 号 p. 195-199
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    カテーテルの長期留讃ではしばしば血栓症が問題となる.当科での過去5年間の皮下埋め込み型中心静脈カテーテル留置症例の血栓症を小児と成人とに分けて検討した.小児78例と成人45例を対象とした.小児は全例全身麻酔下で外頸静脈あるいは鎖骨下静脈へBroviacカテーテルを留置した.成人は局所麻酔下で鎖骨下静脈あるいは大腿静脈にカテーテルを留閥した症例で,血液凝固異常症は除外した.3~40カ月のカテーテル留置期間中の血栓症について調査した.小児では1年以上カテーテルを留置していた4例に,成人では感染のために抜去および再挿入を繰り返していた3例に鎮骨下静脈閉塞が認められた.血栓症発生率を小児と成人とで比較すると有意差はみられなかったが,カテーテル径で比較したところ,6.6Fr.以下のカテーテル留置例では3.1%,7Fr.以上では14.8%であった.血栓症予防にカテーテルサイズも考慮すべきであると思われるので報告する.

  • 團野 克樹, 池田 正孝, 竹政 伊知朗, 野村 昌哉, 山本 浩文, 関本 貢嗣, 川崎 富夫, 門田 守人
    2007 年 18 巻 4 号 p. 201-207
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    肺血栓塞栓症(PTE)/深部静脈血栓症(DVT)予防ガイドラインが発行されてから2年が経過し,再検討が必要と考えられる.そこで今回,当科で消化器疾患に対する待機手術を受けた患者を対象に.静脈血栓塞栓症(VTE)の予防の現況について調査を行ったDVTは臨床症状,下肢の周径差により抽出し下肢静脈USで診断,PTEは臨床症状・動脈血酸素飽和度の低下により抽出し肺血流シンチ,胸部造影CTで診断した.症例数は500例.男女比は329:171,年齢は63.3±11.4歳,静脈血栓塞栓症の既往は12例(2.4%)であった.危険因子を複数項目保有するものは449例(89.8%)と多く,危険度は最高リスク群・高リスク群が452例(90.4%)を占めた.ガイドライン推奨の予防法を満たしていた症例は98%であった.最高・高リスク群であっても低用量未分画ヘパリンの使用例は13例(2.6%)と少なかった.症候性DVTは0例,症候性PTEは1例(0.2%)であった.今後さらに症例を集積する予定である.

  • 林田 直樹, 谷嶋 紀行, 村山 博和, 松尾 浩三, 鬼頭 浩之, 浅野 宗一, 平野 雅生, 大場 正直, 杉本 晃一, 椛沢 政司, ...
    2007 年 18 巻 4 号 p. 209-213
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    最近9年間に当院で静脈弁形成術および付加手術を施行した慢性静脈不全症患者31例33肢を対象に成績を検討した.2000年以降の症例ではair plethysmography(APG)を静脈機能の評価に用いた.平均follow-up月間は42.5カ月で,全症例で術後早期には症状の改善をみた.潰瘍例(n=8)では,潰瘍非再発率は1年で100%,2年で85.7%であった.下行性静脈造影(n=27)ではKistnerのgrade3.3度から1.4度へと改善し,APG(n=23)におけるvenous filling index(VFI)は7.5ml/secから4.7ml/secへと改善した.弁形成の手技としては,目標となる弁の同定,静脈切開時に弁を損偏しないことが重要と考えられた.合併症としての深部静脈血栓症予防としてはワーファリンによる抗凝固療法が重要と考えられた.

  • 佐々木 司, 重松 宏, 小櫃 由樹生, 渡部 芳子
    2007 年 18 巻 4 号 p. 215-219
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    内シャント肢の腫脹などを主訴とする中枢側静脈の狭窄または閉塞病変に対して,ブラッドアクセス温存のために経皮経管的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty; PTA)を行った.対象は35例で観察期間は1カ月から94カ月で平均24カ月だった.10例が潮尿病であり,2例にステントを留置した.一次開存は初回PTAから再狭窄により再PTAまたは何らかの外科的処置を行うまでの期間とし,二次開存は初回PTAから再狭窄による静脈高血圧症状のためシャント閉鎖を行った期間として計算した.全症例の累積一次開存率は3カ月78.0%,6カ月67.9%,1年52.4%,2年42.8%,3年30.6%であった.累積二次開存率は3カ月97.1%,6カ月90.4%,1年79.2%,2年74.5%,3年67.7%であった.糖尿病合併群における累積二次開存率は有意に低かった.一次,二次開存率とも通常のシャント静脈PTAと同等の成績であり,妥当な方法と考えられた.

  • 平井 正文, 岩田 博英, 杉本 郁夫, 石橋 宏之, 太田 敬, 庄 健二, 小松原 良平
    2007 年 18 巻 4 号 p. 221-225
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    三次元形状計測装置を用いて下肢の周径を測定し,健常者における浮腫の日内変動を観察し,弾性ストッキング,運動,下肢挙上などの浮腫予防・軽減効果を検討した.浮腫は,朝から夕方にかけて次第に増加することから,朝よりその予防法を講じることが大切であると考えられた.弾性ストッキングは,圧迫圧の強い弾性ストッキングほど浮腫予防効果が著明であったが,8mmHgという弱い圧迫圧でも予防効果が認められた.運動,下肢挙上はいずれも浮腫の予防・軽減に有用であるが,とくに運動では筋ポンプ作用を増強させる強い運動が必要であった.

  • 星野 丈二, 野村 文一, 磯村 正
    2007 年 18 巻 4 号 p. 227-229
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    冠動脈バイパス術(CABG)において,内視鏡下大伏在静脈(SVG)採取(ESVH)を129例に行った.SVGを採取した創は小さく,美容的に患者は満足していた.創合併症は皮下トンネル部の血腫を1.6%,リンパ漏を0.8%に認めたが創感染はなく,満足できるものであった.術後造影を行った症例におけるSVGの開存率は90.0%であり.ESVHを行った他の報告と比べ遜色はなかった.当院にて行った従来の開放採取におけるSVGの開存率(91.8%)と比較しても有意差はなかった.CABGにおいてESVHは低侵襲である一方,開存率も同等であり,有用な方法であると考える.

症例
  • 内田 大貴, 和泉 裕一, 眞岸 克明, 清水 紀之
    2007 年 18 巻 4 号 p. 231-235
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    Venous aneurysm(VA)は比較的稀な疾患であるが,急性肺塞栓症を契機に発見されたヒラメ筋静脈VAを経験した.症例は53歳の女性,起床時より胸痛,呼吸困難を訴えショック症状にて当院へ搬送された.CT上,両側肺動脈下梨枝内に血栓を認め急叩肺塞栓症と診断され血栓溶解療法が開始された.上向性下肢静脈造影およびduplex scanningにて左下腿ヒラメ筋静脈に瘤内血栓を伴う紡錘状のVAが認められ,同部位が塞栓源と診断された.術前に下大静脈フィルターを留讃した後瘤切除術を施行した.術後弾性ストッキングの着用とワーファリンによる抗擬固療法を継続し,良好な術後結果を得た.

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