静脈学
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19 巻, 5 号
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巻頭言
原著
  • 佐藤 彰治, 加賀山 知子, 久米 博子, 岩井 武尚
    2008 年 19 巻 5 号 p. 247-254
    発行日: 2008年
    公開日: 2022/07/30
    ジャーナル オープンアクセス

    エコーガイド下フォーム硬化療法の登場によって,硬化療法は新たな局面を迎えた.伏在型静脈瘤治療においても外科手術成綾と遜色ない結果を得ることが可能となった.1% polidocanolと二酸化炭素を1:3の割合で,Tessari法によりフォーム硬化剤を作製し,伏在膝窩静脈接合部(SPJ)が膝窩に存在することが確認された,径10mm未満の小伏在静脈瘤例13例に本幹硬化療法を行った.エコーガイド下で, SPJより約10cm尾側で小伏在静脈を穿刺し,プラスチック針を留置した.計8mlのフォーム硬化剤を2回に分け,尾側に向け注入した.注入時下肢は挙上位とし,エコープローブのマッサージにて薬剤を誘導した.治療目標は,血管攣縮像を認めることである.3~4週後のカラードプラ検査では,5例で逆流全域の閉塞を見た.残り8例は分節的閉塞であった.追加治療を適切に行うことで成績が向上すると考えるが,いつどのような所見のもとに行うのが良いのか,今後さらに検討を要する.

  • 小川 智弘, 星野 俊一, 中尾 雅朋
    2008 年 19 巻 5 号 p. 255-260
    発行日: 2008年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】最適な混合空気比を設定し,その泡状硬化剤によるフォーム硬化療法の成績について検討した.【方法】1.1%のポリドカノール(POL)と種々の空気比の泡状硬化剤を作成し,形態の時間的経過および粘度を測定した.2.静脈抜去術または高位結紫術後に液状POL(1-3%)と泡状POLによる下肢静脈瘤硬化療法を施行した110肢に対し,術後の合併症および静脈瘤再発率を観察した.【結果】1.1:3の混合比の泡状硬化剤が最も長時間.泡状形態を保持していた.2.粘張度測定では混合比l: 3~5が高粘度であった. 3.硬化療法合併症は表在性血栓性静脈炎.色素沈着,水疱形成が多く,それらの頻度は両詳間に有意差を認めなかった.静脈瘤の再発率は術後2年で液状群が7%,泡状詳で5%であった.【結語】泡状硬化剤の至適混合比はPOL:空気=1:3~4であると考えられたまた外科的静脈逆流遮断併用硬化療法に対するホーム硬化療法は従来の硬化療法に比し,同様の成綾をより少最の硬化剤にて施行し得た.

  • 孟 真
    2008 年 19 巻 5 号 p. 261-265
    発行日: 2008年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    下肢静脈瘤硬化療法に比較的初期から携わってきた市中病院での硬化療法の歴史的変遷を報告する1990年に伏在型静脈瘤に対して高位結紫術併用硬化療法として開始した初期より比較的軽症例に適応を選択し.術前術後の超音波検査による評価を行った.しかし中期成綾の検討を経て伏在型静脈瘤に対する高位結紫術併用硬化療法の適応は高齢者とハイリスク症例に限定されたその一方で非伏在型静脈揺に対しては院内調剤によるポリドカノールにより液状硬化剤により行われてきたが治療回数が多いことが問題となっていた2004年よりfoam sclcrotherapyを導入し,さらには2007年からは院内調剤ではなく保険収載されたポリドカスクレロール.「Mを導入してfoam sclerothcrapyを行っている.近年,治療回数の低下傾向をみており硬化療法は再度見なおしの時期にきていると思われる.

総説
症例
  • 江口 大彦, 川崎 勝己
    2008 年 19 巻 5 号 p. 275-279
    発行日: 2008年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は47歳男性.労作時息切れを主訴に近医受診し,心拡大・心房細動・胸水貯留を認め,精査目的のため当院循環器内科に入院となった.心臓カテーテル検査時の腹部大動脈造影で右総腸骨動静脈痩を認め,造影CTを施行したところ痕孔中枢の右総腸骨動脈は拡張し同部位で仮性瘤を形成していた.下大静脈は径3cmと著明に拡張していた.患者は昭和59年に腰椎ヘルニア手術を受けた際に術中突然大量出血し一時血圧が測定不能となった既往があった.医原性右総腸骨動静脈痕による高拍出性心不全の診断で当科へ紹介転科し,痕孔部を含めた瘤の空置(縫縮閉鎖)・大動脈一右外腸骨動脈バイバス術を行った後腹膜は広範に癒着しており剥離はきわめて困難であった.術後,心不全は改善し自覚症状も消失したが退院時の造影CTでわずかに動静脈痕の残存が確認され,現在外来フォローアップ中である.

  • 城間 寛, 佐久田 斉, 松原 忍
    2008 年 19 巻 5 号 p. 281-288
    発行日: 2008年
    公開日: 2022/07/09
    ジャーナル オープンアクセス

    35歳の男性が両下肢の発赤,腫脹,疼痛を主訴に当院を受診した.両側下肢深部静脈血栓症が疑われたので超音波検査を行ったところ,両側の大腿静脈から腸骨静脈にかけて,静脈内血栓が認められた.CT検査では大腿静脈,腸骨静脈に血栓の充満が見られたが,総腸骨静脈合流部から腎静脈合流部までの下大静脈は認められなかった.腸骨静脈は仙骨レベルで上行腰静脈に流入し,奇静脈および半奇静脈に結合して上大静脈に流入する静脈の走行異常が見られた.腎門部より末梢側の下大静脈は認められないが,左右の腎静脈は合流して下大静脈を形成した.肝静脈はその下大静脈につながり右房へ流入した.通常,下大静脈欠損症は肝静脈部下大静脈が発育不全を来たしたことから発生し,奇静脈結合となっているものが多い.本症例は,腎門部より末梢側の下大静脈の欠損が,両下肢の静脈鬱滞の原因となり,深部静脈血栓症を発症したものと考えられた.

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