【目的と対象】1999年から2008年3月までに,周術期に深部静脈血栓症を起
こし,肺塞栓(PE)予防のため下大静脈フィルター(IVCF)を留置した51症例について,一時型と永久型IVCFの成績を比較した.【結果】男14例,女37例(平均年齢56.2歳)で一時型IVCF 35例,永久型IVCF 16例であった.有症状のPE発症は,一時型1例(術後),永久型群1例(挿入時)であり,呼吸循環補助を必要とせず保存的に治療した.しかし,IVCF関連合併症は多く,永久型で心房損傷1例,一時型でデバイス損傷1例,感染1例,IVCF移動11例(心房への迷入2例)であり,いずれもIVCFの早期抜去を必要とした.また,一時型9例で溶解困難な血栓付着があり,うち1例は開腹し下大静脈を切開してIVCFを除去した.【結論】PE予防の目的に応じたIVCFの選択が必要であるが,一時型IVCFは合併症が多く適応を考慮する必要がある.
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