小伏在静脈膝窩静脈接合部に較べ,大伏在静脈大腿静脈接合部(SFJ)の破格は頻度は少ないものの時に経験される.よってSFJの破格形態,頻度および治療に際しての問題点を検討することを目的とした.2005年4月より2010年3月までに下肢静脈瘤を主訴として来院し超音波検査を行った1,563例2,552肢を対象とした.カラードプラ法にて大腿静脈との位置関係を中心にSFJの破格の有無を観察した.SFJの破格を認めたのは6肢(0.24%)であり,大伏在静脈が総大腿動脈の外側から動脈の背側を通り大腿静脈に流入するタイプが3肢と最も多かった.今回の検討では比較的低い頻度ではあるもののSFJの破格を認めた.今後,1次性下肢静脈瘤の治療として血管内レーザー治療が普及していくと考えられるが,SFJに破格が存在することを常に念頭に置く必要があり,またSFJ破格例では焼灼の際に工夫を要すると考えられた.
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