●要 約:深部静脈血栓症(以下DVT)症例および静脈血栓塞栓症(以下VTE)の予防について調査するため,日本静脈学会の会員を対象としアンケート調査を行った.72施設から,2009年1年間のDVT 1,162例が報告された.危険因子は,外科手術が38.2%と最も多く関与していた.部位別では,中枢型567肢(52.2%),末梢型519肢(47.8%).末梢型では,ひらめ筋静脈が84%と最も頻度が高かった.診断は超音波法が主に使用され(87.7%),治療は未分画へパリン(57.0%)を含む内科的治療が80.8%に施行されていた.60施設(85.7%)でVTE予防法が行われ,内訳は弾性ストッキング91.4%,早期離床84.3%,間欠的空気圧迫法81.4%,抗凝固薬52.9%であった.DVTは末梢型の頻度が多くなってきており,内科的治療が主体であった.VTE予防上,リスクごとの使い分け,抗凝固薬の投与の頻度はまだ十分とは言えなかった.
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