静脈学
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25 巻 , 3 号
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巻頭言
シンポジウム・パネルディスカッションのまとめ
特集:各種血管内レーザー治療とラジオ波焼灼術の治療成績(第33回総会パネルディスカッション1)
原著
  • 白石 恭史
    2014 年 25 巻 3 号 p. 285-290
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:2008年4月から実施したVNUS® ClosureFAST を用いた高周波焼灼術の大伏在型静脈瘤に対する中期治療成績を検討した.術後6カ月以上経過観察できた11例12肢(男性2例2肢,女性9例10肢)の観察期間は平均35.3カ月,最長60カ月であった.手技上問題のあった最初の2肢を含め,術後6カ月,1年,2〜5年時の完全閉塞率は100%,100%,71.4%であった.APGで評価した最終観察日におけるvenous volume(VV)とvenous filling index(VFI)は術前より有意に低下した.合併症はわずかな皮下出血と静脈周囲の色素沈着を認めただけで重大な合併症はなかった.VNUS® ClosureFAST を用いた高周波焼灼術は合併症も少なく,安全かつ良好な中期治療成績が得られ,優れた血管内治療法である.今後この手技が1日も早く保険適用となることを期待する.
  • 杉山 悟, 宮出 喜生, 因来 泰彦
    2014 年 25 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:ラジオ波を用いた下肢静脈瘤に対する血管内治療(RFA)の治療成績を評価するため,大伏在静脈型の下肢静脈瘤に対してわれわれが経験したRFA の短期成績について報告する.2006~2007 年にClosurePlus を用いて24 例24 肢に,2009~2010 年にClosureFast を用いて24 例35 肢を経験した.ClosurePlus では,上部10 cm を0.5 mm/sec,その末梢側は1 mm/sec,85˚C で焼灼した.ClosureFast では,最上端は40 秒,以下は6.5 cm ごとに20 秒ずつ120˚C で膝下まで焼灼した.6 カ月での閉塞率はClosurePlus 24/24,ClosureFast 30/30 で,いずれも100%であった.術後VFI は,ClosurePlus,ClosureFast,ともに速やかに低下した.術後深部静脈血栓症および肺血栓症症例などの重大な合併症はなく,中等度以下の皮下出血を,ClosurePlus で9 肢(38%),ClosureFast で10 肢(29%)に認めたが,高度の皮下出血を来した症例は認められなかった.ラジオ波を用いた下肢静脈瘤に対する血管内治療は,本邦での使用経験がまだ極めて少ないが,2014 年6 月に保険収載され,今後,合併症の少ない極めて有用なデバイスとして期待される.
原著
  • 草川 均, 小津 泰久, 駒田 拓也, 片山 芳彦
    2014 年 25 巻 3 号 p. 297-305
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:不全穿通枝(IPV)は慢性静脈不全による皮膚症状発現に関与し,再発静脈瘤の原因としても重要で,これに対する正確な診断と系統的な治療方針が重要である.IPVは伏在静脈本幹と直結するものとそうでないものに分かれる.2010 年2 月~2013 年6 月の446 例632 肢の下肢静脈瘤手術症例に術前静脈エコーを行い,より正確なIPV の診断を目的に,逆流負荷テストを工夫した.前者のIPV については,ストリッピングの創をIPV 連結部におき,IPV を結紮切離し(31 肢),後者のIPV は,皮膚症状のない部位には皮切IPV 切離(98 肢110 箇所),皮膚症状のある部位のうち,浅後方筋コンパートメントにあるものに内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS,91 肢)を行い,それ以外やSEPS困難例にはエコー下フォーム硬化療法(2 肢)を行った.全例で合併症なく良好に経過し,とくに23 肢の潰瘍例ではSEPS 後の一次治癒率100%,再発率4.3%,暫定治癒率100%と良好であった.正確なエコー診断に基づいた当院のIPV に対する治療方針は妥当なものであると考える.
  • 篠崎 幸司, 太田 英夫, 片山 智博, 石井 孝明, 川崎 靖仁, 大鶴 實, 安田 青兒
    2014 年 25 巻 3 号 p. 306-312
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:不全穿通枝(IPV)を伴うCEAP 分類のC4 以上の下肢静脈瘤の治療に際して表在静脈の逆流の遮断とIPV の切離を行う場合がある.IPV は直達的処理ができる場合と皮膚病変直下に存在することがあり後者の場合は2 port system によるSEPS(筋膜下内視鏡的不全穿通枝手術)を導入した.SEPS の適応症例はC4 以上の症例とし,直達的処理はC3 以上の静脈瘤として,静脈抜去術など表在静脈の手術と同時か二期的に行う.SEPS は48 例(C4a 19 例,C4b 12 例,C5 2 例,C6 15 例)に施行した.C4–5 の症例では皮膚症状の改善がみられC6 の15 症例では13 例で潰瘍が治癒した.直達的処理はstripping 術やvaricotomy に併施した5 症例と単独で行った例が1 例(C4a とC6 が各3 例)であり良好に経過した.直達法とSEPS によるIPV の切離は静脈うっ滞性病変の治療法として有用である.
  • 内田 智夫
    2014 年 25 巻 3 号 p. 313-319
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:2001 年より2013 年までの間に当科で挿入したIVC フィルター33 例について検討した.同時期に診療した深部静脈血栓症患者349 例(うち肺塞栓症合併21 例)に対する挿入率は9.5%であった.肺塞栓症合併例に限ると7 例にフィルターを挿入しており挿入率は33.3%であった.男性12 例,女性21 例,年齢27~82 歳,平均58.5 歳.経過観察期間1 カ月~132 カ月,平均31 カ月である.下大静脈フィルター挿入中,肺塞栓症の新たな発症はみられなかった.肺塞栓症合併の有無にかかわらず婦人科,整形外科などの術前に深部静脈血栓症を指摘されて肺塞栓症の予防目的で挿入したものが25 例と最も多かった.当院では永久留置による合併症をできる限り避ける方針とし,当初一時留置型を主に使用していたが,回収可能型が市販されて以降これを採用している.永久留置型1 例,一時留置型14 例,回収可能型18 例であった.初めから永久留置目的で挿入したのは回収可能型を含め8 例であった.回収可能型のうち11 例に挿入後10 日以内に回収を試み不成功だったのはALN 1 例のみで,回収率は91%であった.Neuhaus Protect 1例で,フィルターに血栓が多量に付着していたためウロキナーゼを末梢より持続注入し,溶解して抜去した.
  • 杉山 悟, 宮出 喜生, 因来 泰彦
    2014 年 25 巻 3 号 p. 320-325
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/08
    ジャーナル フリー
    要約:下肢静脈瘤の自覚症状が治療の後でどの程度改善する可能性があるかを知ることは,手術の適応を決定するうえで重要であると考え,問診票による調査を行った.平成22 年1 月から平成24 年12 月までの3 年間に行った片足の大伏在型下肢静脈瘤431 例,男性132 例,女性299 例を対象とした.治療としては,ストリッピング術を192例に,レーザー焼灼術を239 例に行った.術前にみられた「足の疲労感」は術前312 例のうち284 例(91%)が改善,「こむらがえり」は術前233 例のうち205 例(88%)が改善,「足の腫れ」は術前199 例のうち178 例(89%)が改善,「足の痛み」は術前138 例のうち115 例(83%)が改善,「かゆみ」は術前131 例のうち112 例(85%)が改善,「熱感」は術前96 例のうち86 例(89%)が改善していた.また,付随した自覚症状で,膝関節痛が改善した例が83 例(19%)に,足先の冷感が改善した例が50 例(12%)に,腰痛の改善が19 例(4.4%)に認められた.ストリッピング術とレーザー治療の間には,各症状の改善率すべてに有意差を認めなかった.自覚症状は術後に速やかに改善するものが多く,また整形外科的な付随症状の改善がみられる症例があり,とくに高齢者における有症状の下肢静脈瘤に対する治療根拠になると考えられた.
  • 黒岩 政之, 宇治橋 善勝, 高平 尚伸, 栗田 かほる, 横田 友希, 長田 真由美, 鈴木 政子, 見井田 和正, 川谷 弘子, 荒井 ...
    2014 年 25 巻 3 号 p. 326-331
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/08
    ジャーナル フリー
    要約:健康ボランティア15 名を対象に,弾性ストッキング(以下ES)着用前および着用20 分後,40 分後における膝窩静脈の最高血流速度(以下PV)および血管径(以下VD)について測定した.ES は身長,足関節周囲径および脹脛周囲径を基準にサイズを選択した.VD は長軸断面の血管径を,PV はパルスドプラ法でそれぞれ連続3 回測定し,平均値を算出した.PV は着用前と比べES 着用20 分後,および40 分後で有意に増加した(P<0.01).VD はES 着用20 分後および40 分後で有意な減少を認めた(P=0.03).ES 着用は安静座位の膝窩静脈でVD を減少させ,かつPV を上昇させることがわかった.
  • 高橋 佳史, 小窪 正樹, 野坂 哲也
    2014 年 25 巻 3 号 p. 332-339
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/08
    ジャーナル フリー
    要約:下肢静脈瘤診療における画像診断法として,128 列MDCT を用いた非造影3DCT-venography(3DCTV)が第一選択の画像診断法となりうるかどうかを検討した.平成21 年9 月から平成25 年8 月までに非造影3DCTV を施行した1348 例2696 肢を対象とし,静脈機能の推測,不全穿通枝の描出能,深部静脈疾患との関係,手術方法決定における有用性の観点から検討した.大伏在静脈径とvenous filling index との間には正の相関(r=0.539)を認めた.不全穿通枝の同定率は86.7%であった.深部静脈不全症および深部静脈血栓症では,伏在静脈と交通のない分枝型から網目状静脈瘤が広範に認められるという特徴的な所見を認めた.非造影3DCTV は,静脈瘤の全体像を立体的に客観的に把握することが容易で,手術戦略を決定するうえで有用であった.状況に応じてduplex scanを併用した評価が必要であるが,非造影3DCTV は第一選択の画像診断法になりうると考えられた.
症例報告
  • 杉山 悟, 松原 進, 宮出 喜生, 因来 泰彦
    2014 年 25 巻 3 号 p. 340-345
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:下肢の腫脹や色素沈着を訴える患者で,超音波検査によって大伏在静脈に拍動性の波形を検知する場合がある.しかし,画像検査を行っても明らかな動静脈瘻は特定できない場合が多い.2011 年1 月から2012 年12 月までの2 年間に,超音波検査にて大伏在静脈に明らかな拍動性の脈波を検知した症例12 例18 肢(男性5 例,女性7 例)について臨床像を総括した.原因となる疾患はさまざまであり,それぞれ原因に応じた治療が必要であるが,圧迫療法は基本的な治療法として有用であった.
  • 大澤 晋, 正木 久男, 藤原 寛康, 柚木 靖弘, 佐野 俊二
    2014 年 25 巻 3 号 p. 346-349
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/05
    ジャーナル フリー
    要約:症例は62 歳女性で,以前より寒冷曝露により左手指の冷感が強いことを自覚していたが経過観察していた.この度,左上腕内側に拍動性腫瘤,および左前腕の倦怠感,冷感の増強があり,近医受診後当院紹介となった.同部への外傷など特記することはなかった.左上腕内側にthrill を伴う拍動性腫瘤25×20 mm を認め,同部超音波検査で上腕動静脈瘻の診断を得た.血管造影検査を施行したところ,上腕動脈末梢側に径10 mm 大の動静脈瘻を1 箇所認めた.以上のことから,上腕動静脈瘻の診断にて手術を行った.瘻孔部周囲の動静脈は瘤化しており,癒着が強固であったが上腕動脈を露出し瘻孔部を切離,大伏在静脈にて自家移植を行った.上腕静脈は直接閉鎖した.術後,前腕の冷感は消失し,静脈うっ滞所見もなく経過している.特発性上腕動静脈瘻は珍しく,前腕冷感,血流障害の原因になることも念頭に置くべきと思われた.
  • 松本 春信, 木村 直行, 伊藤 智, 由利 康一, 安達 晃一, 山口 敦司, 桂田 純二郎, 松本 力雄, 黒田 徹, 山田 博文, 安 ...
    2014 年 25 巻 3 号 p. 350-354
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/08
    ジャーナル フリー
    要約:上腕深静脈は,上腕深動脈に伴走する深部静脈であり,バスキュラーアクセスとして利用されることは稀である.今回われわれは,度重なる内シャントトラブルの症例に対し,発達した上腕深静脈を転位表在化させ,内シャント修復を行った症例を経験したので報告する.症例は59 歳女性.左肘窩で作成された内シャントトラブルに対し複数回の血管内治療が施行されたが,遠隔期にシャント静脈である腋窩近傍の上腕深静脈に留置されたステント部に仮性瘤を形成し,当科へ紹介となった.自己血管での再建を目指し,上腕尺側皮静脈を用いて内シャント修復したのちに,二期的に上腕深静脈の結紮を予定したが不調に終わったため再手術となった.シャント吻合部を温存し,発達した上腕深静脈を上腕中枢まで遊離し結紮切離後,上腕前面に転位し,上腕静脈と吻合する形でシャントを修復した.術後12 カ月経過するがトラブルなく術後経過は良好である.
プラクティカル・フレボロジー
  • 山本 匠, 成島 三長, 光嶋 勲
    2014 年 25 巻 3 号 p. 355-359
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/25
    [早期公開] 公開日: 2014/08/08
    ジャーナル フリー
    要約:閉塞性リンパ浮腫の治療としてさまざまなリンパ-静脈シャント術が試みられたが,いずれもリンパ組織を2 mm 程度の静脈内に内挿する術式であったため,全身麻酔下に長い皮切を要し,吻合部血栓の形成率が高く効果も不安定であった.0.5 mm 未満の確実な血管吻合を可能とする超微小血管吻合技術(スーパーマイクロサージャリー)の確立により,内皮同士が接合するようにリンパ管と細い静脈を吻合する,リンパ管細静脈吻合術が可能となった.インドシアニングリーンリンパ管造影による術前・術中ガイダンスを応用することで,局所麻酔下に小さな皮切から確実にリンパ管を吻合することも可能となり,リンパ浮腫外科治療はより低侵襲なものとなった.
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