静脈学
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26 巻 , 1 号
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巻頭言
第34回日本静脈学会総会 教育講演
総説
  • 羽藤 高明
    2015 年 26 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:最近,静脈狭窄により血流を低下させることによってヒトDVT 類似の血栓が形成されるモデルマウスが登場した.このマウスを用いることによって予想を超えるほど見事な生体反応が静脈血栓を形成していることが明らかになってきた.静脈血栓の形成は血流のうっ滞が血管内皮の活性化を引き起こし,粘着蛋白や炎症性サイトカインを発現することによって,単球,好中球,血小板が集積することに始まる.単球は組織因子を発現して外因系凝固を稼働させ,好中球は自らの核構造物(NETs)を細胞外に放出して第XII 因子から始まる内因系凝固を稼働させる.血小板は白血球の集積を助け,NETs 形成を促進する.この新たな血栓形成機序からDVT の治療戦略を考えると第XII因子阻害薬,抗NETs 薬などの有用性が浮上している.DVT の発症機序がわかってきたことによって現在使用されている薬剤の作用が明確化し,さらに新たな抗血栓薬開発の道が開かれつつある.
原著
  • 久米 博子, 佐藤 彰治, 寺崎 宏明, 小松崎 聡, 清水 直子, 加賀山 知子, 岩井 武尚
    2015 年 26 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:血管内レーザー焼灼術(endovenous laser ablation; EVLA)後,下腿残存瘤に対して硬化療法を施行した.【方法】大伏在静脈瘤300 肢に対し,EVLA を施行した.術後1カ月後,6 カ月後にカラードプラ検査を行った.術後1 カ月のカラードプラ検査で下腿静脈瘤の径が3 mm 以上で逆流を認めた場合,下腿静脈瘤に対しフォーム硬化療法を施行した.【結果】術後,大伏在静脈本幹が閉塞しなかった症例が4 例あり,GSV 本幹硬化療法を施行した.97 肢(32.3%)に下腿残存瘤の硬化療法を施行した.EVLA のみで治療を終了した症例は199 肢(66.3%)であった.【結論】EVLA と硬化療法により,低侵襲で美容的に優れた治療ができる.
  • 村上 厚文, 洞口 哲, 加藤 盛人
    2015 年 26 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:深部静脈血栓症と肺血栓・塞栓症の院内予防対策実態調査の結果と問題点について検討した.2007 年から2012 年の新規入院患者2751 名を対象とした.病棟5 カ所,集中治療室,手術室の7 カ所で入院時の低,中,高,最高リスクの指示に基づいて弾性ストッキング(ES),空気圧迫療法(IPC),薬物療法(AC)の施行状況と院内発症例を検討した.リスク分類は平均で低リスク25.5%,中32.1%,高7.2%,最高1.6%で未指示率は33.8%であった.未指示率は2009 年に14.0%まで低下したが,2010 年以降上昇傾向を示した.病棟の予防法はES:49.3%,IPC:22.0%,AC:10.7%,未指示率は36.6%であった.手術室は低28.2%,中39.2%,高12.5%,最高は5.4%で未指示率は14.7%であった.これに対し手術室の予防法はES:74.7%,IPC:61.2%,AC:5.7%で未指示率は9.6%であった.IVC フィルター留置下血栓溶解療法を行った院内発症26 例は,脳神経外科や神経内科の長期臥床患者が多く,次に一般外科,呼吸器系のがん患者で近年増加傾向であった.発症時予防対策を全く施行していなかった症例は14 例(53.8%)で,医師自身の意識向上と薬物療法を中心としたわかりやすい簡素化した予防法が重要と考えられた.血栓溶解療法後は全例溶解が得られ,もとのADL に復帰していた.
  • 山本 崇, 坂田 雅宏
    2015 年 26 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:下肢静脈瘤血管内焼灼術で用いられるラジオ波とレーザーのうち,2014 年に本邦で保険収載されたエンドヴィーナスクロージャーシステム(RF)とRadial-2Ringファイバー・1470 nm(2R)の60 J・90 J/cm について比較した.焼灼時のGSV に類似した環境にてそれぞれ焼灼を行い,血管壁の組織学的変化を低温で生じる組織腫脹,やや高温で生じる空胞形成,高温で生じる炭化の3 種類に区分し,それぞれの範囲を計測した.2R-60 J/cm では表層から順に炭化・空胞形成・組織腫脹が17±3.2,42±10.5,190±14.6 μm だけ認められ,2R-90 J/cm では順に14±4.0,105±64.2,363±71.3 μm だけ確認されたのに対し,RF では組織腫脹のみが251±72.6 μm だけ認められる結果となった.組織学的にはRF のほうが無駄のない加熱を実現していると考えられる.
  • 平林 朋子, 真野 修江, 相川 潔
    2015 年 26 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:【はじめに】今回われわれは下肢静脈エコー検査時の被検者体位による伏在静脈径の変化について検討した.【対象と方法】2013 年11 月から2014 年3 月の間に一次性伏在型静脈瘤患者19 名19 肢(男:女比12:7,平均年齢60 歳,すべて大伏在静脈)およびコントロール群としての正常大伏在静脈5 名10 肢(男:女比0:5,平均年齢40 歳)で臥位より10 度ずつ80 度まで頭側を挙上(逆トレンデレンブルグ体位)し大伏在静脈径を大腿部,膝部,足関節部で計測し変化を比較した.【結果】静脈径はコントロール群では30 度以上,伏在型静脈瘤の場合は50 度以上でほぼプラトーとなった.また,大腿部および膝部では伏在型静脈瘤の血管径の変化の割合が大きく,不全の有無にかかわらず膝部での血管径の変化の割合が高いという結果であった.【結語】逆トレンデレンブルグ体位で下肢静脈エコーを行う際は伏在型静脈瘤の場合は50 度以上,不全のない場合は30 度以上で行えば,ほぼ立位と同じ結果になると考えられた.
  • 栗原 伸久, 広川 雅之
    2015 年 26 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:【はじめに】光ファイバー先端に2 つのプリズムを持つradial 2ring fiber を用いて波長1470 nm レーザーによる血管内レーザー焼灼術(EVLA)を行い良好な結果が得られたので報告する.【対象と方法】2012 年3 月から2014 年4 月までに当院において,波長1470 nm レーザーおよびradial 2ring fiber を用いた68 例75 肢(平均年齢60 歳)を対象とした.【結果】平均手術時間は36 分,焼灼静脈長は31 cm,LEED は86 J/cm.術後にDVT,肺塞栓症等の重大な合併症は認めなかった.疼痛を1 例(1.3%)に認めた.術後観察期間は平均216 日(1~493 日,中央値228 日),1 年以上経過観察したのは32 肢(43%)であり,全例で再疎通は認めなかった.【まとめ】波長1470 nm によるradial 2ring fiber は,操作性が良好で,合併症も少なく低侵襲な治療が可能であった.
  • 猪狩 公宏, 井上 芳徳, 寺崎 宏明, 岩井 武尚
    2015 年 26 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/25
    ジャーナル フリー
    要約:【背景】Porphyromonas gingivalisPg)やTreponema denticolaTd)などの歯周病菌と末梢血管疾患の関連性が指摘されており,静脈内に直接口腔内細菌を注入し,反応がおこるかを観察した.【材料と方法】ビーグル犬の静脈内に口腔内細菌としてPg 菌,Td 菌を注入し,その後静脈および血液を採取し,光学顕微鏡による病理学的検査とPCR 法を用いた菌の検出を試みた.【結果】血液からはPCR 法で菌を検出できず,またTd 菌を投与した静脈からは菌を検出できなかったものの,Pg 菌を投与した静脈からは菌を検出できた.病理学的検査では,Td 菌,Pg 菌ともに,濃度依存性に静脈内および周囲に炎症性変化を確認することができた.【結語】静脈に選択的に口腔内細菌を投与することで,これまで論じられている歯周病と末梢血管疾患を含めた全身疾患との関連を直接的に実験,観察しうる可能性がある.
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