静脈学
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26 巻 , 3 号
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巻頭言
原著
  • 田中 宏樹, 財満 信宏, 佐々木 健, 今野 弘之, 瀬藤 光利, 海野 直樹
    2015 年 26 巻 3 号 p. 227-235
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    要約:静脈とリンパの還流は組織恒常性を保つため,ともにドレナージ機能を果たしているが,その相互関係は明らかでない.われわれはラットの大腿静脈周囲に存在する集合リンパ管を,静脈周囲組織を剝離せずに中枢部で全て結紮し,リンパを停滞させる動物モデルを作成した.リンパ管を結紮せずsham operation を行った組織をcontrol群とした.処置7 日後,リンパ管は拡張しリンパ停滞を示した.さらに質量顕微鏡法解析から,Lysophosphatidylcholine,Phosphatidylcholine(diacyl 16:0/20:4),Triglyceride が,静脈壁,静脈周囲組織に蓄積していた.28 日後の静脈壁は,control 群に比べ有意に肥厚した.また周囲組織の脂肪細胞は増加し,その間質はTNFα 陽性であった.さらにリンパ管数は処置後,経時的に減少しcleaved caspase3 が発現していた.リンパ管のドレナージ不全は,リンパ停滞によって組織に異常な脂質分子を蓄積させる.脂質蓄積に伴い脂肪細胞が増加し,TNFα の分泌,静脈壁の肥厚,リンパ管のアポトーシスに関与する可能性が示唆された.
  • 橋本 紘吉, 戸崎 綾子, 松田 奈菜絵, 前川 二郎
    2015 年 26 巻 3 号 p. 236-243
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    要約:弾性包帯を用いたリンパ浮腫の保存療法は安定した装着と圧迫が難しい故に長期にわたる報告はみられない.一方弾性ストッキングの特徴は安定した着圧と圧勾配にある.本研究はリンパ管機能評価に基づき弾性ストッキングを使用した保存療法の効果と限界および前後に保存療法を組合せたリンパ管吻合術の有用性を統計的に評価することを目的とした観察研究である.対象は続発性下肢リンパ浮腫(片側性)の初診時44人と44 人中リンパ管静脈吻合術を実施した29 人,評価指標は体積の変化率と変化量である.集中排液30 日後の変化率は下腿部16.7%,大腿部9.6%であった.治療前に対する下腿部のリンパ管静脈吻合術前50 日/ 術後50 日の変化率は16.5% /19.8%あった.集中排液による患肢の縮小は維持期でも保持されリンパ管静脈吻合術の組み合せでさらに効果が期待できることを示した.観察期間は2010 年3 月から2013 年7 月である.
症例報告
  • 菰田 拓之
    2015 年 26 巻 3 号 p. 244-250
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    要約:下肢静脈性潰瘍の治療原則は徹底した皮膚軟部組織高静脈圧の改善であるが,それでは潰瘍が治癒せず皮膚軟部組織再建を要する症例も存在する.症例は68 歳男性,5 年前より再発を繰り返す右内果部静脈性潰瘍の診断にて紹介となった.30 年前に両側下肢静脈瘤に対して大伏在静脈,小伏在静脈抜去術が施行されていた.圧迫療法と外用薬にて肉芽形成は認めたが,肉芽内に新たな点状壊死を認め,その下床には石灰化病変が存在していた.石灰化病変は潰瘍,うっ滞性皮膚病変を越えて存在しており,難治化の主因と思われた.石灰化病変を含んだ潰瘍とうっ滞性皮膚病変の広範囲摘出と皮膚軟部組織再建にて治癒を得た.病理組織診断は異所性骨化で,静脈うっ滞による慢性的な炎症による化生が原因と考えられた.骨の存在が局所の血流低下や二次感染の原因となり治癒遅延が起きたと考えられ,皮膚軟部組織再建が有効であったと思われた.
  • 清水 紀之, 和泉 裕一, 眞岸 克明
    2015 年 26 巻 3 号 p. 251-255
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    要約:症例は,62 歳,女性.喀血を主訴に受診.造影CT 上,右肺動脈内血栓と気管支動脈-肺動脈瘻を認めた.右心カテーテル検査にて肺高血圧の所見を認め,慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の診断となった.肺動脈内血栓が,右肺動脈側に限局していたことと,喀血の原因と考えられる気管支動脈-肺動脈瘻の処理を同時に行うことが可能なことから,右開胸下でのアプローチを選択し,右肺動脈血栓内膜摘除と気管支動脈結紮術を施行した.
プラクティカル・フレボロジー
  • 戸島 雅宏
    2015 年 26 巻 3 号 p. 256-264
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/25
    ジャーナル フリー
    要約:大伏在静脈1505 例,1951 肢,小伏在静脈205 例,219 肢に対し高位結紮術併用本幹フォーム硬化療法を行った.生命表による大伏在静脈累積閉塞率は5 年85.0%,10 年52.1%であった.伏在膝窩静脈接合部(SPJ)の1 年閉塞率は85.5%であった.比例Cox モデルを用いた多変量解析で,大伏在静脈閉塞率は1%ポリドカノール(ハザード比2.59 vs 3%ポリドカノール),BMI 30 以上(ハザード比3.21 vs BMI 25 未満)で劣り,SPJ 閉塞率は空置SPJ 長70 mm 以上(ハザード比5.94 vs 30 mm 未満)で劣っていた.年齢,性,左右,CEAP 分類臨床徴候,術前深部静脈不全,大伏在静脈直径,混合気体(空気or 炭酸ガス),SPJ 直径の各因子は閉塞率に有意な影響を認めなかった.大伏在静脈閉塞の長期成績は良好で有用な治療手段と考えている.SPJ 閉塞の短期成績は良好で今後長期成績の検討が必要である.
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