静脈学
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26 巻, 4 号
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シンポジウム・パネルディスカッションのまとめ
原著
  • 小口 裕子, 藤澤 康聡, 鈴木 なつき, 齋藤 英子, 伊瀬 里江
    2015 年 26 巻 4 号 p. 279-283
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル オープンアクセス
    要約:伏在静脈型下肢静脈瘤の手術後に弾性ストッキング着用を1 カ月間継続した690 例1015 肢を対象とし,手術前後での下腿周径の変化を検証した.手術1 カ月後に腓腹部周径が1 cm 未満減少した症例が37.6%,1 cm 以上2 cm 未満減少した症例が38.9%,2 cm 以上3 cm 未満減少した症例が17.5%,3 cm 以上減少した症例が5.9%であった.術前のvenous filling index(VFI)別にみると,VFI<4.0 ml/sec 群では術後に0.9±1.0 cm 減少,4.0 ml/sec≤VFI<8.0 ml/sec 群では1.3±1.1 cm 減少,VFI≥8.0 ml/sec 群では1.6±1.1 cm 減少し,術前VFI が高くなるにつれ術後の下腿周径は減少する傾向が示された.術後も中長期にわたって弾性ストッキング着用を継続する場合,その適正サイズが術前と異なっている可能性があり注意を要する.
症例報告
  • 家村 順三, 神原 篤志, 山本 芳央
    2015 年 26 巻 4 号 p. 285-288
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル オープンアクセス
    要約:症例は89 歳,男性.約1 カ月前から右下肢の高度腫脹が出現し,深部静脈血栓症の疑いで紹介された.右下肢全体に著明な腫脹を認め,下腿最大周径は右40 cm,左32 cm であった.下肢エコーでは深部静脈に血栓を認めず,静脈血流速度の低下も指摘されなかった.エコー画像,外観や触診からリンパ浮腫と診断した.リンパ流障害の原因究明のため腹部単純CT を施行したが骨盤腔内に腫瘍性病変はなく,リンパ節腫大も認められなかった.ただし,膀胱の過膨張(残尿1500 ml),左(健肢側)の腎盂,尿管の拡張が見られた.下肢腫脹に対しては圧迫療法を開始しリンパマッサージを予定した.尿閉に関しては泌尿器科で神経因性膀胱と診断され,バルーンが留置された.5 日後に初回リンパマッサージのために来院した時には下肢腫脹は完全に消失していた.過膨張した膀胱が右下肢のリンパ流障害の主因であったと考えられる,まれな病態と経過であった.
  • 大久保 由華, 竹久保 賢, 塚原 明弘, 島田 晃治, 保坂 靖子, 大関 一
    2015 年 26 巻 4 号 p. 289-292
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル オープンアクセス
    要約:症例は44 歳男性.製材作業中に左下腹部に木材が刺さり,当院に救急搬送された.来院時,左下腹部に厚さ5 mm,幅30 mm,長さ220 mm の木材が突き出ている状態で,体内に刺入した長さは不明であった.全身状態は安定しており,迅速簡易超音波検査(FAST: focused assessment with sonography for trauma)は陰性,右下肢の腫脹は認めなかった.造影CT で木材による腹部,右大腿動静脈の損傷が疑われた.緊急開腹手術を行うと,木材は皮下,腹腔外を通り右鼠径部に達していた.鼠径靭帯下で大腿動静脈を露出,木材刺入部上下で大腿静脈をテーピングし木材を抜去すると木材は大腿静脈を貫通していた.大腿静脈を遮断し,静脈損傷部を直接縫合し修復した.木材全長は480 mm で,体内に木片が散在しており丁寧に除去し,十分に洗浄を行い,開放創としドレーンを留置した.術後経過は良好で,早期離床により静脈血栓症を合併することなく第15 病日独歩退院した.半年後の造影CT 検査で右大腿静脈の良好な開存を認めた.
  • 折本 有貴, 石橋 宏之, 杉本 郁夫, 山田 哲也, 丸山 優貴, 岩田 博英
    2015 年 26 巻 4 号 p. 293-296
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル オープンアクセス
    要約:下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)後のendovenous heat-induced thrombus(EHIT)は深部静脈血栓症(DVT)の原因としてよく知られているが,EVLA 後にEHIT とは無関係にDVTを発症した2 例を経験したので,報告する.症例1 は52 歳女性,体重65 kg.左大伏在静脈レーザー焼灼術を施行した.術後1 日目,7 日目にEHIT を認めなかった.術後38 日目に感冒を契機に熱発し,その翌日に左下肢腫脹が出現した.CT 上,左総腸骨~大腿静脈に血栓を認め,入院した.肺塞栓(PE)は認めず,入院後は抗凝固療法を施行し退院となった.症例2 は49 歳男性,体重95 kg.前医で日帰りによる両側大伏在静脈レーザー焼灼術が施行された.術翌日起床後より呼吸困難が出現し,当院へ救急搬送された.CT 上,両下腿のDVT,両側PE と診断した.エコー上,EHIT は認めなかった.線溶抗凝固療法が著効し退院した.DVT のリスクである脱水,臥床,肥満に加え,EVLA が影響してDVT を合併したと考えられた.
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